幻想郷とは似て非なる世界、幻相郷からの来客です。
「はぁい。夜雀亭の御二方さん、元気にしてるかしら?」
ある夏の日の昼下がりにそう言って紫が夜雀亭にやってきた。
「紫さん、どうしました?仕入れの時期はまだ先ですけど」
「あらミスティアさん。今日訪れたのはその件ではないわ。店の予約をしに来ただけよ」
「紫さんが予約ということは八雲家の三人でのお食事ということですか?」
「いいえ。ちょっと他の世界の人たちが訪れたいと言っててね」
「へ?他の世界ですか?」
「そうそう。ここでも外の世界でもない別の世界からの来客よ」
「そうですか…それでどんな人ですか?」
「四季をつかさどる神とその御一行だったかしら。まぁその人たちが明後日くるから席を空けて頂戴」
「了解しました」
その言葉を聞いた紫は満足そうに店を後にした。
その翌々日。
指定されていた時間になると店の扉が開いた。
「ここが幻想郷一の居酒屋、『夜雀亭』なんだな」
「人がいっぱいいますねー」
「妖怪もそれなりにいるわね」
扉の向こうで呆けているのは一人の男性と秋姉妹にレティ・ホワイトロック、そしてリリーホワイトだった。
顔なじみがいたことに驚きつつも、従業員は対応に向かった。
「えーと、打墨様でしょうか?」
「俺が打墨時夜だが、あんたがここの従業員だよな?」
「はい。私はここの従業員である鷲田進です。それでそちらの方々は?」
「うちの神社の巫女で、順に秋静葉、秋穣子、レティ・ホワイトロック、そしてリリーホワイトだ」
「合計で五名様ですね。ではこちらの席へどうぞ」
そう言って従業員はその五人を奥の座敷へと案内した。
座敷に案内し、五人が各々の席につくと、時夜が従業員に話かけてきた。
「いきなり変な質問していいか?」
「はい?なんでしょうか?」
「えーとだな…あんたが知っている幽々子ってどんな奴だ?」
「幽々子さん?亡霊で、大喰らいで、冥界の管理人ですけど」
「あー…その、なんだ。彼女の家族とか知らないか?」
「いえ、私は知りませんが…西行寺という苗字も他に聞きませんし」
「西行寺!?西行寺といったな!!」
「?えぇ、そう言いましたが?」
「あぁ、いや。俺たちがいつもいる世界は幻
「具体的にはどのような世界で?」
「幻想郷の人たちがこうありたい、と願った世界だ。具体的に言うなら妖精が最強だったりとかな」
「そんな世界があるんですか…ということはそこの四人は?」
「勿論幻相郷の人たちだ」
「そうですか…それでどうしてさっき幽々子さんについて聞いたんですか?」
「あぁ、確認のためだよ。こっちの幽々子は妖夢の母だからな」
「へ?ということは西行寺妖夢ということですか?」
「違う違う。魂魄幽々子だ」
「確かに私の知っている幽々子さんとは違うようですね」
「それを確認したかっただけだ。変な質問してすまなかったな」
「いえいえ。面白いことが聞けましたので」
「ならいいが…注文いいか?」
「構いませんよ」
「それなら…それぞれの季節にあった物を作ってくれないか?」
「つまり秋姉妹が秋の物で、リリーが春の物で、レティが冬の物ということでいいですか?」
「そういうこと。俺は夏の物を頼む」
「はい、ご注文承りました」
注文を受けた従業員はそれに答える料理を考え、作り上げた。
その料理を持って行き、それぞれの客の前におく。
「これは…?」
「なるほど。カレーライスか」
「姉さん!お米の上に何か乗っているよ!」
「これはキノコとサツマイモかしら?」
「おしそうな料理ですねー」
五人の前におかれた皿にはご飯の上にとろみのついたスープがかかった料理。
全て置き終えた従業員は説明を始めた。
「これはカレーライスという料理です。少し辛めのカレールウをご飯にかけた料理になります。それでそれぞれ違う具材が入っています。まず、打墨さんのには茄子とピーマンを、レティさんのにはカボチャと白菜を、リリーさんのには筍とさやえんどうを、秋姉妹さんのにはキノコとサツマイモを入れたルウをかけました」
「これは箸で食べるのは難しそうな料理ね…」
「はい。スプーンでご飯とルウをすくって食べるのが一般的ですね」
「スプーンって…あぁ、これね」
「それではお召し上がりください」
「「「「「いただきまーす」」」」」
その言葉とともに五人は各々のカレーを食べ始める。
おいしい料理を食べた五人は笑顔を見せた。
料理を食べ終えた五人は会計を済ませ、店の入り口に立つ。
見送りのために、と従業員がその傍に立っていると、目の前にスキマが開いた。
「帰りますよ…って、うわぁ!」
そこから現れた少女は従業員を見るなり驚いて中に戻ってしまった。
「…今のは?」
「…幻相郷の八雲紫だ。ビビりで人見知りだからな」
「帰ってしまいましたが…」
「すぐ戻ってくるからいいだろう」
その言葉通りに先ほど帰っていった少女が戻ってきた。
彼女が涙目で開いたスキマに入りながら時夜が従業員に話しかけた。
「それじゃ、またお邪魔するかもな」
「またのご来店、お待ちしております」
いかがでしたか?
いつかやりたかったコラボが実現して嬉しい限りです。
企画に乗ってくれたreira様、ありがとうございました。