久々の投稿でキャラの口調が少し変わっているかもしれません。
それでも良ければどうぞご付き合いください。
とある春の昼下がり。
夜雀亭では花見と称したただの宴会用の料理を作っていた。
その作業も終わりに近づき、従業員と店主が一息つけようとしたそのとき、闖入者が現れた。
「イッツルナティックターーーーイム!!」
「うるさい」
従業員がその頭をはたく。
スパン!と気持ちのいい音が鳴り響き、その闖入者は頭を抱えた。
「いったぁーーーい!」
「それはなにより。それでこの店に何の用だ?」
「あれ?ここってお店なの?」
「外の看板を見てなかったのか?ここは夜雀亭で、料理を提供するお店だ」
「ふぅん」
「…お前、もしかして最近幻想郷に来たのか?」
「あたいはずっと月にいたけど?」
「月?お前、妖精だよな?」
「あたいは純化された妖精、クラウンピースだ!さぁ、イッツルナティックターーイム!」
「うるさい」
「いったーい」
また従業員がクラウンピースの頭をはたき、彼女は頭を抱えた。
それでも決して帰ろうとしない彼女に従業員はため息をつく。
「はぁ。客じゃないなら早く帰ってくれないか?」
「じゃあ客だったら帰らなくていいんだね!」
そう言うと彼女はいそいそとカウンター席へと座った。
再度ため息をついた従業員はカウンターの向こう側、厨房へと向かった。
「それで、お客さん。注文は何だ?」
「なんでもいいよ」
「そうか。それじゃ、どれぐらいのお金を持っているんだ?」
「えっと…これぐらい」
彼女は言いよどみながら、がま口から少しのお金を取り出した。
そのお金をみて従業員は頭を抱えた。
「はぁ。それぐらいしかないのか」
「これだけじゃダメなの?」
彼女が持っていた金額はとても少なく、この店で一食食べるには到底足りない量。
とはいえ、少なめの料理は提供できる金額であった。
「あー、クレープでも食べるか?」
「何か食べられるならそれでいい!」
そして従業員が選んだのはクレープ。
彼女の服装から思いついたものだった。
作る料理が決まったのならそれからの仕事が早いのがこの店の従業員。
慣れた手つきでクレープの生地をかき混ぜてそれをフライパンに流し込んだ。
フライパンに流し込まれた生地が焼けていく匂いに彼女は期待を膨まらせていった。
そしてついつい彼女はカウンターの上に乗り出してしまう。
「んー、いいにおい」
「もう少しで出来上がるからそこでおとなしく座っていろ、な」
従業員にとがめられたクラウンピースはカウンターの席へと座りなおした。
そうして従業員は焼き上げたクレープでクリームを包み込む。
出来上がったそれを手に取ったクラウンピースはそれを大きくほおばった。
そしてその味に顔をほころばせた。
「ん、おいしー!」
「それは何より」
「これお替りしちゃダメ?」
「ちょっと生地が余ったからそれだけならいいぞ」
その答えにクラウンピースは満面の笑みを浮かべた。
そして二つ目のクレープを彼女が食べているのを見ていると後ろから従業員に声をかける人がいた。
「ふふ、結局小さい子には甘いんですね」
「まぁな」
店主に答えつつも従業員の視線は目の前の妖精に注がれていた。
彼女が笑顔で食べる様子を見ていた従業員の顔も少し笑顔になっていた。
「おいしー!」
もっとも、目の前の妖精はそんなことを気にせずに食べていくのであったのだが。
クレープを食べきった彼女は店を後にする。
「ごちそーさまでしたー!」
「また来いよー」
彼女が去り、夜雀亭に残された二人は互いに顔を見合わせた。
「さて、続きを始めるか」
「ふふ、いい息抜きになったようですね」
そして二人は宴会用の料理の作成へと戻るのであった。