居酒屋 夜雀亭   作:アンフェンス

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その6 白黒と七色と七曜

今日は月に一度の魔法使い達の集まりの日。メンバーは『普通の魔法使い』霧雨魔理沙、『動かない大図書館』パチュリー・ノーレッジ、『七色の人形遣い』アリス・マーガトロイド、そして『四季の使い手』堺蒼汰。彼らは自分の研究の成果を発表する(とい

 

う名目で酒を飲む)ために月に一度夜雀亭に集まるのであった。

 

「「「「カンパーイ!!」」」」

 

グラス同士がぶつかる高い音が響く。それぞれの中身を喉に流し込んだ後グラスをたたきつける。

 

「いやー、この一杯のために生きていると思うぞ」

「レミィ達じゃなくてこの面子で飲むのもいいわね。紅魔館では飲めないお酒も飲めるし」

「そうだな。いつもと違う人と飲むのはまた違う感じで最高だぜ!」

「魔理沙はほぼ毎日飲んでいるくせに。そんなんじゃおいしいお酒もおいしく感じられないわよ」

「そういうアリスは美味しい酒が分かるほど酒を飲んでないんじゃないのか?」

「む。確かに博麗神社にはあまり行かないけど、一人でも飲んでいるからそれぐらいは分かるわ」

「おいおい、今日はそういう話をする場じゃないだろ?あ、みすちーさん、枝豆となんかつまめる物適当にお願い」

「はいはい、他の人は何にしますか?」

 

店主に一通り注文をした四人の話題は一応ここに集まった理由である研究成果の発表に移る。

 

「それで蒼汰のアレはどうなったんだ?」

 

最初に話題に上がったのはこの中で唯一の男性である蒼汰。しかしその話題の中心である蒼汰は苦い顔で答えた。

 

「人工雨のことか?今はちょっと行き詰っててどうしようか悩んでいるところなんだよ」

「お前が行き詰るなんて珍しいな。何があったんだ?」

「雨雲の種に水分を付けるところは出来たんだが、肝心の雨雲の種を広範囲に制御しながらばらまく方法が思いつかなくてな…」

 

自分で言った通り、蒼汰は現在『人工雨を降らせる魔法』の研究を1年以上続けている。彼の研究にはここにいる全員が関与しており、それ故興味津々である。

 

「確かに操作対象が術者よりある程度離れると制御できなくなるからね…私もせいぜい15mぐらいが関の山だし」

「アリスのように人形の精密操作を考えなくていいから一応20~30mまでは広げられたんだけどな。雨を降らせる範囲に直結するから出来れば100mぐらいは行きたいんだよ」

「100m!?そんな遠隔操作って私の魔法を使っても難しいわよ」

「でも半径100mの魔法陣を書けばできないことはないだろ?」

 

その言葉に反応したのは魔法陣をメインで使うパチュリー。彼女は蒼汰に詰め寄るようにして反論していく。

 

「そうかもしれないけど、魔法陣ってね、1㎝の違いすら許されないものなのよ。それを100mの規模で書くなんてそれは手間に対する成果が少ないわよ。第一、半径100mの円状の物が書ける場所をどうやって確保するつもりなの?」

「やっぱりそうだよなー。魔法陣が使えたらすごく楽に行けると思ったんだけどな。後近い。ものすごく近いよ、パチュリー」

 

その言葉にはっとしたパチュリーは慌てて元の席に戻る。

 

「こほん。現実的な魔法陣で物体を制御できるのは5~10m位よ。それ以上の遠隔操作は難しいわね」

「…やっぱり自分で頑張るしかないのか…」

「頑張りなさい、私たちに出来ることがあれば手伝ってあげるわ」

「そうだぜ。蒼汰の研究はなんか面白そうだからな!」

「私も手伝うわよ。その魔法が完成すれば応用がすごく利きそうだしね」

 

蒼汰の研究の話がひと段落し、他の三人の研究の話に入る。しかし、彼女らの研究の話はさっきまでの話に比べれば盛り上がりに欠け、いくらか作業的になる。それだけ彼の研究が壮大であることを示しているのであろう。もっとも、この後に待っているものに早く入りたいという願望があったのも否めないが。

 

「はーい、注文の物ですよー」

 

彼らの話が一段落したのを見計らってか店主が料理と追加の飲み物を運んでくる。

いよいよメインイベントの宴会の始まり始まり。

 

 

さてさてその小さな宴会の中心にいるのは

 

「いやー、蒼汰聞いてくれよ。霊夢の奴がさ『たまには賽銭の一つや二つ落としていきなさい』っていうんだぜ?あいつもこっちの懐事情ぐらい理解しているはずなのに酷いやつだと思わないかい?」

「それは普段の行動を顧みてから言おうか、魔理沙」

「最近こっちに遊びに来ないじゃない、たまには遊びに来るって言ってたのは嘘なの?」

「アリス、眼が座ってて怖いよ。後遊びに行くって言ったのは今やってる研究が済んでからの話だからね」

「うちで調べ物をするときは一言声をかけてくれればいいのに。いきなり来ていきなり帰るからびっくりしちゃうじゃない」

「いや、声をかけたかったけど、パチュリーの研究を邪魔するのは悪いなと思って自重してたんだよ」

「なぁ蒼汰、「ねぇ蒼汰、「蒼汰、

「あぁもう!三方向から同時に話しかけてくるな!俺は神子じゃねぇんだぞ!」

 

三人の少女にもみくちゃにされる蒼汰であった。

 




人工降雨って様々な問題があるらしいですね。
彼らは知的好奇心のみで動いてますけど。
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