居酒屋 夜雀亭   作:アンフェンス

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その56 神卸と素粒子と玉兎

 

今日は夜雀亭の休業日。

いつものように従業員は妖夢と椛に稽古をつけていた。

 

「よし。じゃあいったん休憩にするぞ」

 

その言葉とともに休憩に入った三人は彼らのほうに来るこれまた三人組を見かけた。

夜雀亭に来るほうの三人組はうさ耳をつけた者と刀を提げた者と帽子をかぶった者の三人組だった。

 

「鷲田さん、こっちに人が来ますよ」

「あー、間違って今日来ちゃった客かな?」

「見慣れない人たちですし、たぶん今日が定休日だと知らなかったんでしょう」

 

そんなことを従業員達が話していると、件の三人組たちが夜雀亭に到着した。

 

「あれ?今日はお休み?」

「みたいですね。どうしますか姉さん?」

「うーん、どうしようかしら?」

「豊姫様、依姫様。そこに人がいますよ」

「本当ですね。彼らにでも聞きましょう」

 

そう結論付けた三人組は従業員達に話しかけた。

 

「すいません、そこの人たち」

「どうした?」

「このお店って今日は定休日なんですか?」

「うちの店は半月の日は休みだからな」

「お店の方でしたか」

「あぁ。ここのお店で働いている鷲田進だ」

「これはどうも。私は綿月依姫といいます」

「依姫の姉の豊姫よ」

「私は二人のそば仕えをしているレイセンです」

「鈴仙…?月の関係者か、あんたら」

「…ッ!?なんでわかったんですか!?」

「むしろなぜ分からないと思ったんだか…最近、幻想郷でいろいろあったからな」

「サグメ様が色々手を回していた件ですか」

「ま、そんなところだ」

 

従業員と依姫が話しているとその横から妖夢が依姫に話しかけた。

 

「あの、すいません」

「何ですか?」

「依姫さんでしたっけ?いきなりで不躾ですか、手合わせをお願いできますか?」

「手合わせというと…」

「刀を使ったものです」

「なるほど。鷲田さん、ここの広場を使ってもいいですか?」

「いいぞ。店に傷をつけない範囲ならばな」

 

 

 

カン、カンと木刀同士が打ち付けあう音が鳴り響く。

夜雀亭の軒下でレイセンと豊姫と椛はその音を聞きながら二人の試合を眺めていた。

 

「依姫さん、上手いですね」

「自慢の妹よ」

「でも妖夢さんも負けてませんね」

「そうね。依姫にここまで立ち合える人も珍しいわね」

「そりゃあ二人とも本気じゃないからな」

 

豊姫たちの背後からの声に彼女たちが顔を向けるとそこにはお盆を持った従業員がいた。

そのお盆には小さなカップが人数分乗っており、そのカップの中には黄色の物体が入っており、その上に茶色のソースがかかっていた。

 

「あら、分かるの」

「『見て』いるからな」

「そう。それよりそのお盆の上のものは?」

「プリンっていうやつだ」

「プリン?」

「外の世界…幻想郷の結界の外の世界のお菓子だ。わざわざ月から来てくれたからな。何も食べさせずに帰らせるのはどうかと思って作ってきた」

「へぇ、ありがとう。このお菓子。茶碗蒸しみたいね」

「似たようなものだ。匙で食べるから一人一つどうぞ」

「妖夢さんたちの分は?」

「あとで渡すからきにすんな」

 

プリンが入った容器を受け取った三人は各々食べ始める。

甘いプリンとほろ苦いカラメルソースが絡み合ったその食べ物は三人の下の上でほどけていった。

 

「甘ーい!」

「おいしい」

「~♪」

 

三人の少女はそのお菓子に顔をほころばせる。

上機嫌でお菓子を食べているところに手合わせを終えた二人がやってきた。

 

「疲れました…って何食べているんですか!?」

「あ、このお菓子おいしいわよ。依姫も食べてみたら?」

「鷲田さん!なんで私たちの手合わせが終わる前に配るんですか!」

「え、そっち!?」

「そこまで怒らないでくれ。今から持ってくるから」

 

苦笑いを浮かべながら厨房へと向かう従業員であった。

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