旅立ち エピソード1
「空の果てにて待つ、か。親父殿も随分と遠くにいってしまったものだ、なぁ、ビィ。」
温暖な気候の中、汗一つかかず、分厚い外套で身を包んだ青年が、手に持つ手紙を何度も読み返しながら言う。
「なぁ、アルトリウス、本当に行くのかぁ?手紙にあったからって空の果てに辿り着けるのかよ……。」
小さな身体と翼、爪、赤色の体を持つアルトリウスの相棒、ビィは怪訝な表情で言った。
「さて、な。完全なる空図があればなんとかなるかもしれんが。」
「完全なる空図?星の民が残したっていうあれか?」
「そうだ。」
「だけどそりゃあ、いや確かにあればどこだって行けるだろうけどよ、でも所詮お伽話だろ?」
「なぁに、一つお話の世界に入るのも一興だ、何もしないでここで暮らすよりも有意義だろうさ。」
「ま、そうだな、ずっといいや。」
一人と一匹はにこりと笑い合って、アルトリウスは地面に広げていた旅の荷物を片付けようと立ち上がった。
「ん……?おい、まて、まてまてまて、あれを見ろよ、アルトリウス!」
ビィが血相を変えて空を指す。
「あれは……戦艦?なにゆえこんな辺鄙なところに……。」
「まったくだ、どうしてこんなど田舎に戦艦が来るんだ!?しかも……あの煙、村の方向じゃねぇか!急いで戻るぞ、アルトリウス!」
アルトリウスは急いで丈夫な革で作られた鞄に道具を詰め込む。村に走ろうとする瞬間、アルトリウスの背に衝撃が走った。
「きゃあ!」
ビィとアルトリウスが振り向くと、胸にきらめく石があしらわれた白のワンピースを着た、長い透き通るような空色の髪をもつ少女が尻もちをついていた。
「いたたたた……。」
「何だこのお嬢ちゃん、見たことない顔だな……。」
ビィがずいと少女の顔の近くまでよる。
「あ、あの!助けてください!!」
正気を取り戻した少女がいきなり立ち上がった、お陰でその勢いにビィが空中でよろめいている。
「そこの者、止まれ!剣を足元において両手をあげるのだ!」
追いかけるようにして上半身を硬い鎧で包んだ男たちがやってくる。
「……帝国兵がこんな辺鄙な地に何用か。」
アルトリウスは背に少女を隠すようにして達、口を開いた。
「ふんっ、貴様には関係のないことだ、さあ、命押しくばその娘をこちらに渡せ!」
尊大な態度と、武器を構えたままの帝国兵は、その言葉の裏に何処か焦りが混じっていた。少女がアルトリウスの後ろで怯えている。
「早くその娘を開放するのだ、こちらとて手荒な真似はしたくない、されたくもないだろう、さあ!」
「ふむ……こちらとしては助けを求められた身、そうやすやすと信用するには少々無理がある。」
アルトリウスはもとより決まっていた答えを、すらりと口から流した。便乗するようにして、ビィがまくし立てる。
「……っ、警告はしたからな。」
先頭にいた帝国兵は、自らの部下であろう後ろの兵たちに、小さく手で合図を送った。多種多様の武器を持つ帝国兵が、今まさに襲いかからんとする。アルトリウスは一度ため息を漏らして、外套内より剣を抜いて、隙間よりその刀身をのぞかせた。
「てめぇらこんないたいげなお嬢さん泣かせて、覚悟しろよ!」
ビィがまるで自分が戦うかのように言う。アルトリウスは嘆息を又一つ重ねて、迫り来る帝国兵に気を向けた。
息抜きです
ブラッドボーンの方はプロットが完成しつつあるので、そう時間の掛からない内に投稿できるのではないでしょうか