魔法少女リリカルなのはIF   作:多田 竜一

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 何書いてんの俺……。
 と、とりあえず処女厨の方は注意してください。
 あと、ちょっと性的な言葉は出てくるけどエロはないから。
 
 本当に何してんだ俺は……。


IF短編
フェイト(23)「私、まだ処女なんだ……」


「は?」

 アタシ、フェイト・T・ハラオウンの使い魔「アルフ」が、その言葉を聞いて出てきた第一声は、それだった。

 ちょっと待て。何言ってるのこの娘。

 ……うん。とりあえず落ち着こうか。

 ここは地球にあるハラオウン家だ。今住んでるのはエイミィとリンディさん、そしてエイミィとクロノの子供2人の、計4人。アタシとフェイトの実家だ。

 今日は珍しくフェイトとアタシ、そしてクロノの休日が重なって、せっかくの機会だからだと3人ともこの家に来ている。

 アタシは何日か泊まっていくつもりだけど、フェイトとクロノは明日には帰ってしまうらしい。

 まあなんにしても、ご主人様と久しぶりにゆっくりできる時間が出来たのだ。普段不足しているフェイト成分をたっぷり吸収してやろう。

 そう思ってハラオウン家に着いて少し落ち着いた頃、フェイトが唐突に「相談があるんだ」と言い出した。

 使い魔と魔導師のリンクから、それが真面目なことだと察したアタシは、特に何も言うことなく話を聞くことにして、今リビングで話を聞き始めたところだ。

 そしてその相談というのが。

 ―――私、まだ処女なんだ。

 は? 何言ってるのこの娘。

 ……ダメだ。落ち着いても結局何も変わってない。

 いや、ね。アタシもそんな気はしてたよ? フェイトって本当に男が出来たみたいな話を聞かないから、もしかしたらって思ってましたよ?

 しかしね、なんでアタシに相談するのさ。まあ、確かにこんな話が出来る人は少ないだろうし、その中でアタシが選ばれたってのはある意味で使い魔として誇らしいけどさ。

 アタシ、使い魔だからさ、未経験なんですよ、ご主人様。

 だからね、そんな話を聞かされても反応に困るし、ていうか何もいえないんだけど。

「このままじゃ、マズイと思うんだよ……」

 いや、あの。勝手に話を進めないで、マジで。

「周りの友達とか、みんな経験しててさ……いや、そもそもこの年で処女って貰ってくれる男性がいる訳ないと思うし」

 いや、だから困るんだってば。

 アタシには経験とかそれ以前に、男と女とか付き合うとか結婚だとかに全く興味示さなかったし関わってこなかったんだよ。だって、使い魔だし。

「あー。周りの友達って、例えば?」

 とりあえず、聞き上手になろうと努めることにした。

 なんか適当にそれっぽい事言ってたらなんか知らん内に話が終わるでしょう(ていうか終わって)と思いながらの、深く考えないでの発言だった。

 適当に話題を広げて適当に聞いていたら良いだろうって思ってた。

「なのはとかはやてとか、もう経験済みなんだって……」

「は?」

 のだが、フェイトの少しふて腐れた声で出てきた名前は、思ったよりも身近な人物のものだった。

 へー。なのはとはやてが、ね。

 フェイトと同じくらい男の話は聞かなかったと思うけど、まさか男がいたとは。

「なのはは、中3の時にユーノとしてたんだって」

 ち、中3!? いやそれよりも、ユーノ!?

 え!? 嘘!? あの2人、肉体関係持ってたの!?

 信じられない。いつも何を言っても「ただの幼馴染です」としか言ってなかったあの2人が……嘘でしょ?

「ああ、いや。中学の卒業式の話だから、厳密には中3じゃないんだった。なんか、家にユーノを泊めたらしいんだけど、その場の雰囲気と勢いで、やっちゃったんだって」

 その場の雰囲気と勢いって。ちくしょう! 騙された! やっぱりあの2人はそういう雰囲気になれる仲だったんじゃないか! 

「今でも年に1回してるんだって。その時の事を話してるなのはの表情は、今でも忘れない……」

 ふ、フェイトがなのはの話をしてるのに、暗いだって!?

 なのは、いったいどんな話をしたんだよ……。

「ゆ、ユーノにも話聞いたりしたのかい?」

「いや、まともに聞けてないけど。ユーノのことなら、アルフの方が何か聞いてるんじゃない?」

 あ、しまった。こっちに話が振られてしまった。

 まあ、無限書庫で一緒に仕事してるから、当然っちゃ当然だよね。

「いや、私も全然聞いてない。ていうか、アイツ自分のこと全然話さないし」

 話すことと言えば、仕事についてか、ちょっとした世間話。あとは私の身内話にユーノが付き合ってくれた時くらいかな。

 まあ、私もあまり興味なかったし、向こうも向こうで自分から自分のことを話すタイプでもなかったからなぁ。そういえばここ数ヶ月間、全然ユーノに関わる話を聞いてない気がする。その数ヶ月前の話だって、遺跡調査から戻ってきたユーノの話の聞き手になってただけだったし。なんでも、ベルカより前の時代の何かが見つかったとかで結構興奮してたけど、何話してたかは全然覚えてないや。

「そうか。……まあ、この話を振った時のユーノの反応からして、なのはの言葉は本当なんだと思うんだけどね」

 マジですか。戻ったら聞いてみよ。

「しかも、なのはの話では年に1回してるんだってさ。避妊はしてるらしいんけど、これって絶対付き合ってるよね?」

「ま、まあ、確かにそうだね。なんで付き合ってないとか言ってるんだろうね」

 そんな事実がなくったって不思議だけど。

 っていうか、ユーノも童貞じゃなかったんだ。

「分かんないけど、なんかもう、あの2人見てると無性に敗北感が……」

 頭を抱えながらそういうフェイトにアタシは苦笑いしか出来なかった。

 ここは話題を変えた方が良いのだろうか? いや、なのはの話でこれだろ? なんかはやての方が凄まじそうなんだけど。そっちに話題を移して良いのかな?

 いやぁ、でもこのままでもイカンでしょうしなぁ。

 どうしましょ。

「はやてとかも、もう恐かったよ……」

「え? そうなの?」

 おう。意外。フェイトから話題を変えてきたか。

 いやでも、はやての話ってそれはそれで恐いんだけど。

「虚ろな目をして『聞きたい?』だって……。もう恐くて聞けるわけないじゃん……」

 こわっ! はやてこわっ!

 え? ていうか何があったの? やば。それはそれで気になってしまった。

 次に合ったときにでもこうk……止めとこ。

「はあ……。やっぱり23で処女はマズイって……」

「いや、そんなこと言われても。ほら、他にもいるかもしれないだろう?」

 フォローになってるのかね、これ。

 ……。

 いや、この様子はなってないや。

「スバルとティアナにも先を越されてた……」

「……へ?」

 また凄いところから名前が出てきたなぁ。あんまり面識ないけど。

「2人とも、いい感じの男の人を見つけたんだって。お互いに熱く話してたよ。私なんか置いてきぼりで……」

 おお。マジか。

 いやぁ。人って成長するものですなぁ。

 あの2人も女してるんだねぇ。面識薄いけど。

「ほ、他には? ほら、アリサとかすずかとか」

「彼氏持ちでした」

 これもダメか。えーっと、あとは……

「あっ! キャロは!」

「エリオ」

「……わーお」

 あの2人まだ14じゃなかったっけ? 最近の若者は進んでるね。

 ていうか、これマジでマズイのかな?

 フェイトの周りでフェイトだけが処女……これはマズイですね。よくよく考えてみれば23とか結構いい年した大人だし。しかも自分の子供に抜かれるって

 とはいえ。

「アタシに言われても困るよフェイト」

「そんな~」

 いや本当に、マジで困る。

 何が困るって、アタシじゃ何も言えない。

 なんかもうエイミィとかに相談した方が良かったんじゃない?

「こんなこと、アルフにしか相談できないのに」

「そんなこと言われても、アタシにだって経験はないし、使い魔だから性欲ないし」

「うぅ……」

 机に突っ伏しながらフェイトがうなってる。

 少しかわいい。……じゃなくて。

 なんとかしてあげたいんだけどなぁ。どうしよう。

「子供がいる家のリビングで何を話してるんだ君らは」

 と、唐突に後ろから声をかけられた。フェイトにとっては前からだけど。

 椅子に膝立ちして振り返る。そこにいたのはクロノだった。

 クロノだった!?

「お、お兄ちゃん!?」

「きた! 待ってたよ救世主!」

 フェイトが顔を真っ赤にして驚いてる。ってことは、クロノには相談してないし出来なかったんだろう。

 けど、そんなものは知らん!

 早くこの状況からアタシは脱出するんだ!

「き、救世主?」

「聞いてくれよクロノ! フェイトがまだ処女なのがマズイとか言ってきて困ってたんだ!」

「ちょっと! アルフ!」

 フェイトが止めてきたけど、もう遅いね!

 聞いたクロノは一瞬キョトンとして、その後顎に手を当てて何かを考え始めた。

 そしてしばらくして、その様子を真っ赤な顔でマジマジと見つめてくるフェイトに目を向けて、またしばらく。

 そして、訳が分からないといった表情のまま、とんでもないことを口にした。

「何を言っているんだ、フェイト。君は処女じゃないだろ」

 ……。

 …………。

 ………………。

「「はあ!?」」

 アタシとフェイトは同時に立ち上がった。フェイトなんかは、勢いのあまり椅子が倒れてしまっている。

 いやぁ、こんな時に声がハモるなんて、使い魔として嬉しいなぁ。

 ……じゃない!

「え? どういうこと?」

「いや、君は僕としたじゃないか」

「……何を?」

「何って、性行為だろ?」

 カチャ、シュピン、ブン、カキン!

 一瞬の出来事だった。

 フェイトがバルディッシュを起動させて、ソニックムーブか何かでクロノの懐に入ってそれを揮って、クロノが展開したS2Uで受け止めた。

 ちなみに、2人とも私服のままである。

「お、落ち着けフェイト! 状況が良く分からんがとりあえず落ち着いてくれ!」

「うそ! クロノとしたなんて嘘だ!」

「いや、何を言って……まさか! 覚えてないのか!? そういえばあの時は確かに寝ぼけてたような……」

「クロノくん最低! 寝ぼけてる女性を襲うなんて! しかもこれ浮気じゃない!」

「クロノォ!!」

「ちょっ! エイミィ!? 何でここに!? というか話をややこしくしないでくれ!!」

 エイミィは凄いな。あんなことを悪ノリで言っちゃってるよ。まあ、それだけ夫を信頼してるって事だよね。いやぁいい夫婦だなぁ。

 とか思いながら、私はリビングを後ににする。

 え? 何故かって?

 いや、もう処女がどうとかって話は解決したみたいだし、あの混沌とした空間はいると疲れそうだったからね。まあクロノがなんとかしてくれるでしょ。

 久しぶりに子犬になって骨でも噛んで遊ぶかな。ついでに昼寝してるだろう子供たちが起きたら遊び相手になってやろう。

「いやぁ、今日もハラオウン家は平和だなぁ」




 後悔ばかりが押し寄せてくる……。
 ま、反省はしないけど。
 読んでくださり、ありがとうございました。
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