案内されたのは大きな倉庫だった
「ここは近々取り壊し予定の倉庫だ。
もともとはライブラの武器庫だったのだが、防犯上の都合上移転することになった場所だ。
君にはここで戦ってもらう。」
クラウスさんはそう言って倉庫に歩みを進める。
クラウスさんの話によると対戦相手はすでに中で待っているらしく若干の緊張をしている。
錆びた不快な音を立てながら倉庫の扉があいていく
「遅かったな旦那。待ちくたびれたぜ。
そこにいるデブが新入り候補か?」
デブだと?今こいつデブっていったか?
「ザップ、初対面に対して失礼ではないか」
「だってどこからどう見ようともまぎれもないデブじゃねぇか」
間違いなく言ったよな?デブって言ったよな?
「おいデブ!ライブラっつーのは世界の平和守ってんだよ!
てめぇみたいなのろまは足手まといだから帰れ!」
「ザップさん!いくらなんでも失礼っすよ!」
決めた、殺すつもりでぶっ潰す
「クラウスさん、もう始めてもいいですか?」
「ああ、構わないとも」
「聞いてんのかデブ!てめぇのそのたるみきった腹をはむみたいに捌かれたくないだろ?
悪いこといわねぇから帰れ」
「猿みたいにキーキー鳴かないでくれるかな?糞面(ファッキンフェイス)」
「アァ?」
うわぁ、ザップさんが失礼なこと言うからブッチャさんがとてつもない顔してるし
しかも挑発しかえしちゃったからザップさんも怒ってるし
でもまぁ確かにブッチャさんは体太目だけど…なんだろう?体の動きには一つ一つキレがあるように見えるんだよなぁ。
「糞面とはずいぶんなご挨拶じゃねぇか、アァ?
来いよ糞豚。初手は譲ってやるよ」
あーあー、舐めきってるし
「へぇ、優しいんだね糞面くん。
じゃあ僕も一つ、いいことを教えてあげよう。
僕のこの体、体脂肪率は5%ほどなんだよね。」
は?あの体で!?
あれ?ブッチャさんのお腹がどんどんへこんでいく?それに比例して腕周りが筋肉で盛り上がっていってる!?
「その初手で決まって泣くなよ?」
ブッチャさんがザップさんに襲いかかっていく
完全に筋肉が盛り上がった腕は太さを増し、ザップさんの両足ほどの太さになっている
そんな巨大な拳が迫ってきてもザップさんは両手をポケットに入れたまま立っている。
「ザップさん!」
思わず叫んだ瞬間大きな音が鳴り響いた
それは肉や骨がつぶれる鈍い音ではなくまるで金属がぶつかり合ったような甲高い音だった
「フン、何が初手を譲るだ。
きっちり攻撃してきてるじゃないか」
「ハッ、本気にするとはてめぇ相当のバカだな?」
そこには拳と真っ赤な刀がぶつかり合い拮抗している姿があった
「いつの間に焔丸を出したんだあの人
構える時間はあっても焔丸を出す時間なんてなかったのに」
「ザップはさっきポケットに手を入れていたね?
彼は先ほどその状態のままポケットに入れていたライターを握りしめ、血液だけ出した状態にしていたのだよ。そうすれば構えると同時に形を整えるだけで焔丸が展開できる」
「見えていたんですか!?クラウスさん!」
「いやいや、見えていたというよりもあのやり方を一度やられた時があったのだよ。
だから彼の行動から推測できたんだ」
「なるほど」
すごいな、やっぱり見えるだけじゃあどうにもならないこともあるのか。
「それにしても固いな、刃が骨まで届かない。
てめぇは皮膚でも取引したのか?」
「フン、ネタばらしなんかするわけにはいかないだろう?」
骨まで届かない?どういうことだろう?
あの焔丸はだてにも邪神の体を切り裂いたのだから切れ味が悪いわけない
「ハッ、そりゃそうだ!じゃあてめぇの体にきいてやるよ!」
そういうとザップさんは焔丸でブッチャさんを猛烈な勢いで切り始めた。
ブッチャさんは反応できずにガードを固めることしかできないようだ。
だけどブッチャさんは血を一滴も流さずにまるで無傷に見える。
いや、目を凝らしてみると体に傷はできてる!傷が出来たそばから流れるはずの血がまるで瘡蓋みたいになっているんだ!
「レオナルド君、君は血がどこで作られているか知っているかね?」
「クラウスさん?いきなりどうしたんですか?そりゃあ脳とか心臓なんじゃないですか?」
「いや、違うんだ。血液というのは骨が作っているんだ。」
へぇ~、でもそれがどうしたんだろう…って
ということとはブッチャさんは全身の骨が義骨だから…
「理解したかね?
いわば彼の血液は神造血液なのだ。
それ故に彼の傷はすぐにふさがるのだろう」