大学という場所は彼の周囲の環境をガラリと変えた 作:さくたろう
一応今回は誕生日の日の続きとなっております
話がなかなかすすまない(´・ω・`)
「とうちゃく~♪ただいまですっ」
先輩とのデートを終え、私たちはマイホームに帰ってきた。(なんか同棲みたい。てへ)
「何それあざとい。というかここお前んちじゃないから」
「あざとくないですよ!別にただいまくらい言ったっていいじゃないですかー」
「狙いすぎなんだよ、お前は素の方が可愛いと思うぞ?」
「また、あざとって、ふぇっ!?」
本当にこの人は不意打ちが得意だ。しかもそれが効果は抜群で急所を狙ってくるから卑怯である。
「あ、いや、そのな、あざといのに比べたらってことだ。深い意味はないからな。勘違いするなよ」
「か、勘違いってなんですかツンデレか何かですかわたしがせんぱいに好意を持ってるとでも思ってるんですかねそっちのほうが勘違いです!」
ちょっと負けた気がして悔しいので早口で否定する。これなら何言ってるかわからないでしょう。
「お前よくそんな長く喋って噛まないな。俺もう疲れたし横になるから一色はベッドつかっていいぞ」
なんかすごく興味なさそうに言われたんですけどー……
というかですね先輩。二十になる男が1個下の後輩を部屋にあげてそのテンションはどうかと思うんですよね。
いや確かに私が無理やり先輩の家に来た感はありますけど。
自分で言うのもなんですが高校時代より綺麗になりましたし?
スタイルというか胸だって結衣先輩までは無理ですが多少は大きくなってるんですよ……?
前回は不覚にもお泊まりしたのに全く記憶がありませんが今日は体調も良好ですし、お酒も入っていないので十分にポイント稼ぎにいきたいんですけどー。
だけれどそこで私は思った。よく酔ってると間違いが起きやすいと聞くけど、酔ってる私は間違わなかっていうことは、これって今の状態だともしかして前回よりも厳しい戦いなんですかね……
でも関係を進展させるのにお酒の力を借りるっていうのは何か違う気がするしなぁ。
それは果たして本物といれるのかな。
あぁ~もぅっ!なんで私一人でこんなに悩まなくちゃいけないんですか!これが惚れた弱みってやつですか、そうですか!
はぁ……、なんか疲れたなぁ。
さっきまで割と良い雰囲気だと思ってたのは気のせいだったのだろうか。
私としてはせっかく先輩と二人きりなのだし、もうちょっと先輩とお話ししたりしたいけれど先輩はそう思っていないと思うと途端に悲しくなる。
どれだけ私は先輩のこと好きなんだろう。
こんな状態で眠れるわけないじゃないですか、もう……
それに卓球で少し汗かいたし、とりあえずシャワー借りよう。
「せんぱい、シャワーお借りしていいですか?」
「あぁ、いいぞ。そういや卓球で汗かいたしな」
ちゃんと返事は帰ってくるんだ。寝てるのかと思った。
先輩に一言告げシャワーを浴びる。
ここで先輩が毎日シャワーを浴びてるんだなぁと思うと少しだけ恥ずかしくなる。
そもそも私は先輩にどう思われているか知らないけど男の人の家に遊びに行くこと自体、つい最近の先輩の家に来たのが初めてなわけで、緊張だってしてるのに……
先輩は緊張とかそういうのまったくしてなさそうだし、もしかして慣れてるのかな。
雪ノ下先輩や結衣先輩が先輩の家に行ったりしたこと聞いたことあるし、大学に入ってからの先輩を私はまだあまり知れていない。金沢先輩にだって先輩はある程度気を許している部分もあると思うし、あの人もここに遊びに来たことはあるんだろうなと思うとどんどん負の方向に考えが進む。
「あれ……、おかしいな、なんで、こんなに、悲しいんだろ……」
さっきまであんなに楽しかったのに気づけばシャワーを浴びながら私は涙を流していた。
先輩の存在が遠い。
こんな気持ちになるためにここに来たわけじゃないのに。
少し気持ちを落ち着かせ、浴室からでる。
しまった……。替えの着替えの入ったバック玄関だ。
今先輩に声をかけるのは少し気まずいしどうしよう……
少し悩んでいると不意に扉の開く音が。
「一色、お前のバッ……!?!?」
「へっ!?」
バタンと扉が閉められ外から先輩の声が。
というか今完全に見られた?あれ、あれ……
「わ、わりぃ……、何も持たずに入ったからバック持って置いといてやろうと思って。すまん」
「い、いえわたしも今それを頼もうかと思ってたんで……、その、すいません」
「あ、ああ、じゃあ俺戻るわ……」
バックから着替えを取りだし、急いで着替える。
ヤバイヤバイヤバイ。主に心臓が。落ち着け私。扉が開かれたのは一瞬だ。如何に私がまったく隠してなかったとしても流石にあの一瞬で全てを見るのは不可能に近い……はず。
あーーもう顔が熱いよぅ……。
「平常心、平常心……」
自分に言い聞かせリビングの方に向かう。
「え、えっとー、シャワーありがとうございましゅた」
噛んじゃったーーー!私のアホバカドジマヌケ!これ完全に動揺してるのばれるじゃん!
「い、いや、気にしゅんな」
先輩も噛んだーーー!あれ、この人も動揺してます?
あんなに素っ気なかったのに?ちょっと嬉しいかも?
「先輩、後輩の裸を見て動揺してるんですか?噛んでますよ。キモイです!」
少しいつもの自分を取り戻してきたかもしれない。
「うるせー、お前だって噛んでただろ。それに一瞬だったし全然見えてないから。ホントだから」
先輩はプイッと顔を背けながら答える。先輩のくせにその仕草可愛いんですけど、というかあざといですそれ。
さっきまで落ち込んでいたのに先輩と少し話してるだけでこうも嬉しくなるとは……
我ながら先輩のこと好きすぎでしょう……
「まだ、誰にも見せたことのない私の裸を見た罪は重いですよ、せんぱい?」
「いや、だってあれは不可抗力だし。というか初めてって意外だな」
「やっぱり見たんじゃないですか!言い訳は聞きたくありません、責任取ってください。しかも意外ってなんですか!こう見えてわたし身持ちは堅いんです」
「こう見えてって言っちゃってるじゃん。とりあえず責任ってなんだよ……、俺のできる範囲でにしてくれ」
「責任は責任ですよ?それに先輩にしかできないので大丈夫です。ただまだその時ではないので今は貸し1つということで」
さすがにこれを理由に一気に攻めることはしない。これが理由で私の願いが叶うほど先輩は甘くないことくらいわかってる。
だからもっと良い関係になった時にこれを使わせてもらいますよ、先輩。
でもここで何もないのも味気ないなー。
あっ、いいことを思いついた。
「せんぱい、髪を乾かしたいんですけど」
「あー、ちょっと待ってろ」
先輩は部屋からドライヤーを持ってきて私に手渡そうとする。よし、ここまでは作戦通り。
私はそれを受け取らない。
「せんぱいどうしたんですか?早く乾かしてくださいよ」
「は?俺がすんの?自分でやれよ」
「はぁ、私先輩に裸を見られたことサークルで言っちゃいそうだなぁ」
「わかりました。やらせていただきます」
勝った。完全勝利だ。
先輩はドライヤーの電源を入れ私の髪に当てる。
ただ私の髪には触れようとしない。
「せんぱい、ただ当ててるだけじゃ中の方乾かないんですけどー」
そう言うと先輩は「はぁ」とため息をつきながら手で私の髪を触りながら乾かす。
自分で言っておいてあれだけど、これちょっと恥ずかしい……。
先輩の手は優しくて、撫でられているような気分になる。これ凄い気持ちいいんですけど、ずっとこうしてたい。
「ほら、もう大丈夫だろ」
先輩の言葉で心地のよい時間は終わりを告げる。でもまだだ。まだ終わりじゃない。
「ありがとうございます。せんぱいも汗かいたんですしシャワー浴びた方がいいですよ?」
「え、なに?臭う?」
別にそこまで臭ってはいないのだけれどここで臭わないと言ってしまうと終わってしまう。
「自分ではわかりにくいですからね。浴びた方がいいです。間違いないです」
そう言うと先輩は仕方ないかと浴室の方に向かった。
しばらくすると先輩が戻ってきた。もちろん髪の毛は少し濡れている。
さて作戦の実行に移りますかねー。
「あれれー?せんぱい、まだ髪の毛濡れてますよ。ちゃんと乾かさないと風邪引いちゃいます」
「あー、そうだな。一色、悪いけどドライヤー取ってくれ」
どうやら先輩は気づいていないようですね。これから自分が何をされるか……、ふふっ。
「はーい、じゃあわたしが乾かしてあげますね♪」
「へっ?いやいい、自分でやるから」
ふっ、先輩は断れる立場の人間じゃないんですよ?
「裸……」
「お願いします……」
「よろしい。では可愛い後輩がせんぱいの髪の毛を乾かしてあげましょう!」
ドライヤーをつけて先輩の髪の毛を乾かす。意外と綺麗な髪の毛だなぁこの人。
触ってて気持ちいい。単純に先輩に触れられているっていうだけでテンションも上がる。
というかこれってあれですよね、ただの友達同士だったら絶対にしないですよね?
顔が少しにやけるのがわかる。
「……もうよくね?」
女性に比べると男性の髪はすぐ乾くのでいいな、なんていつもは思ったりするけど今日はなんでこんなにすぐ乾いてしまうのだろうという気持ちでいっぱいです。
「ふふっ、せんぱい気持ちよかったですか?」
「あー、まあなんだ、その、悪くはなかったな」
乾かした髪をガシガシと掻く。
これは照れてますね。少しは意識させれただろうか。
「せんぱい照れてます?顔赤いですよ?」
「そりゃ照れるだろ。まだ俺だからいいけど他の男なら勘違いしちゃうぞ」
こんなの先輩以外にするわけないじゃないですか。あと先輩は少しくらい勘違いしてください。
「まぁせんぱい以外の人にやるつもりはありませんからね♪」
「本当あざといなお前……、もう寝るぞ」
そう言ってすぐに顔を背けた。だけどその前に先輩の顔がさっきより赤くなっていたのを見逃さなかった。どうやら作戦は大成功らしい。
少しだけ満足して私は先輩のベッドに向かう。枕に染みついた先輩の匂いが鼻孔を擽る。
「おやすみなさい、せんぱい」
最後まで読んでくださいありがとうございました!
前回の投稿から結構あいだ空いてしまいすいません(´・ω・`)
ではよければ感想や評価をしていただけると嬉しいです!