魔法先生ネギま、心の力(物理)   作:オズワルド

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ひぃいいいいやっはあああああああ!!!
更新だぞ喜べよ!
ん?
まさかこんなに早く更新が来るとは思って無かったって!?

俺もびっくりだよ!

まぁそんな事は置いといて師匠(マスター)とのイチャラブを待ち望んでたんだろ、喜べ師匠(マスター)が赤面涙目だぞ!サービス回だぞ!
筆が捗る捗るワッフルワッフルゥウウウ!

ps.多分こんなに速いのはもう有りません、一日仕事以外をほぼ費やしたからです、疲れた遊びたい


さようなら、ごめんなさ――

城内に靴音が響き渡る、靴音を鳴らしているのはまず間違いなく師匠(マスター)だろう

 

深く息を吸って肺にしばらく溜めてから吐き出す、今月今宵の結果によって俺の世界が変わる、そう言って間違いないだろう

 

震える手を握りしめて押さえつける、大丈夫、大丈夫な筈だ、いや結果は分からないがやれる事は全てやった筈だ、出来ることは全部手を尽くした筈だ、今日この日の為にも俺は常日頃から努力を惜しまなかった、筈だ――

 

嫌な予感が頭を過る、もしも、もしかしたら、本当に後悔しないのか、いや望まない結果なら俺は後悔するだろう、絶対に後悔する、笑って諦められる程俺は潔くは無いし、しょうがないと認められる程の生半可な気持ちでも無い、だからこそ、だからこそだ

 

俺は今日師匠(マスター)に自分の気持ちを告白する

 

そしてその結果によっては……、この城を出て行く事になるだろう、この俺が無様に惨たらしく師匠(マスター)に張り付き重荷にならないように、いや言い訳だなそれは、正直な所は師匠(マスター)が老いる姿も、俺じゃない誰かが師匠(マスター)の隣に居る事も我慢出来ないだろう、粘着質なストーカーのようで気持ちが悪いが、これが俺の本性か、……ダサいな

 

靴音が近づいて来ている、きっともうすぐ師匠(マスター)がこの部屋にたどり着くだろう、飾り気もない部屋だが構わない、今この場に必要なのは俺と師匠(マスター)だけだ余計な枝葉はいらない

 

震えが止まらない、俺はこんなにも情けない男だっただろうか、それとも人を好きになると言うことはこれ程の事なんだろうか、怖い、ああ怖い、俺はどうなってしまうんだろう、成功するだろうか、それとも……、分からない、師匠(マスター)に出来る限りのアピールはしたはずだ、何時でも師匠(マスター)の目に止まるように細かい気遣いにも気を配った、いける、大丈夫

 

祈るような気持ちで遂には目を瞑り握り締めた両手を顔の前に持ってくる、あああダメだ、ダメ駄目だ、良くない良くないぞ、成功するイメージが思い浮かばない、こんなんじゃダメな筈だ、分かってる、気持ちで負けたらだめだ、自分に自信を持て、駄目だ持てない、駄目じゃない、うあああ

 

靴音が俺が居る部屋の前で止まった、ああああうわああ、どうしようどうしようマジであああ、『神様』あああ『神様』ぁああ、なわぁあああ、ヤバイやばい、どうしよう何て言うんだっけ、本当に何て言うんだっけ忘れたやべぇ、ヤバイってどうしよう、ゆ、指輪、指輪は何処だっけ大丈夫かよこれ何でこの指輪にしたんだっけヤバイ落とす落とす、あっぶね、うわああああ

 

――ああ、『神様』助けて

 

 

 

「入るぞ、コウ」

 

「おう」

 

「それで、なんだチャチャゼロまで使って人を呼び出したりして、くだらん用事だったらどうなるか分かってるんだろうな馬鹿弟子ィ」

 

「ふぅー、師匠(マスター)、大事な話が有ります」

 

「……どうした、聞くだけ聞いてやる」

 

 

 

不機嫌そうな顔の師匠(マスター)が居る、修行をしないでこんな所に呼び出されて不機嫌なんだろう、もう後に引くことは考えない

 

何故だか頭がスッキリして気持ちが落ち着く、余裕という物さえ出てきた次第だ、どうしたんだろうか俺は、諦めたのだろうか、それとも自暴自棄になったのか?

 

分からないが、怯えも、恐怖も、泣き言も、何処からか、本当に何処からか湧き出してきた勇気で叩き伏せて、懐から取り出したそれを師匠(マスター)に渡す

 

目を見開き、小さく震える師匠(マスター)にしっかりと伝えた

 

 

 

師匠(マスター)の事が好きだ、師匠(マスター)を、いや、『君』を俺の物にしたい、『君』が欲しい

 

もしくれるなら、『君』の名前を俺にくれ――」

 

「ッッッ――!」

 

 

 

前世も、今世も、掛け値なしに、俺の人生で一番の舞台、わずか一瞬、ほんの数分、たった一夜の出来事が、今までの俺の人生を凌駕した瞬間だった

 

 

 

――だけど、その舞台は

 

――物の見事に、『破壊』された

 

 

 

それに気付いたのは偶然、本来なら俺よりも真っ先に気付く筈の師匠(マスター)が気付かなかったのも偶然、けれど指輪と俺の告白にボロボロと涙を流して表情を崩した師匠(マスター)を俺が部屋から突き出したのは『必然』だった

 

 

 

師匠(マスター)ぁああああああああああああああああああああああ!!!」

 

「ッ!? コ――」

 

 

 

床一面に広がった『魔法陣』が爆発と同時に俺を何処かへと飛ばした、衝撃と高熱が全身を舐め回すように広がる、衝撃が過ぎ去った後に瞑っていた目を開けると、そこは何処かの森の中で、多くの人に囲まれていた

 

今までに襲撃された事が無い訳じゃない、襲われなかった訳じゃない、だけど、だけれども俺は信じられない気持ちでいっぱいだった

 

その武装した人達の中にはローブを来て杖を構えてる人達がいた、部屋に『魔法陣』が浮かんだ事からも答えは分かり切っていた

 

――『教会の魔女狩り』できた街人ではない、『魔法使い』だ

 

 

 

「て、てめぇら、魔法使いか、どういうことだ……、何でいきなり攻撃してきやがった!?」

 

「な、なんだと、君はもしや魔法使いか?

どういうことだ話が違うぞ、何故普通の魔法使いが『彼処』に居る――!?」

 

「訳わかんねぇ事言ってんじゃねぇぞ、もしも師匠(マスター)に何かしてみやがれ、地獄を物理的に見せてやるぞッ!」

 

「マ、師匠(マスター)

君は、それは、そんな馬鹿な、まさか君は『アレの弟子』かッ!!?」

 

 

 

その魔法使いの言葉に小さくない動揺が広がって行く、魔法使いと魔法剣士がうろたえている間に身体を起こして身構える、何がなんだか分からないがいきなり攻撃してきた輩だ戦闘準備をしておこう

 

右掌を胸に押し当て力強く握り締める、胸から溢れた銀色の光を掴み取り一気に引き抜く!

 

これと言った装飾の無いソレ、身の丈を超える銀色のグレードソードに分類されるだろう代物を片手で弄ぶ、風切り音が五月蝿いくらいに泣き叫ぶ、そう言えば師匠(マスター)から名前を貰ったんだったか、特に考えていた訳でもないし、そもそも名前を付けるという事が頭の中になかった為にそのまま採用したが確か……、『銀の剣』だったか?

 

 

 

「何がなんだかわからねぇが、てめぇら全員俺の敵って事で良いんだよな?

無様に土を舐めてぇ奴から相手になってやる」

 

「ま、待ちなさい! 我々に君と戦う意思は無い!」

 

「……あぁ?」

 

 

 

理解が出来なかった、何が理解出来ないかと言えばその言葉もそうだがそれよりもその言葉が心からの『本心』だったからだ、その場限りの嘘で騙そうというそういった類の物ではなく、心からの戦闘拒否

 

彼等からは一切の攻撃的な感情を感知出来ない、いやむしろ、それどころか、何をどう間違ったのか彼等から感じられるこの感情は『哀れみ』『悲哀』『悲しみ』だというのだから余計に訳が分からない

 

この異常事態に俺は取り敢えず話を聞いてみる事にした

 

 

 

「まず、君に確認したいのは、君がどこまで『知っているのか』だ……」

 

「なんの話だよ、話が見えてこねぇな、てめぇらが師匠(マスター)を狙ってる謎連中ってことしかわかんねぇよ」

 

「君は……、顔色が悪いがそれは貧血だね、どうして貧血なのか聞いてもいいかい?」

 

「貧血だからどうしたよ、敵の心配か?

こりゃ師匠(マスター)がなんかに使う為に血を俺から貰ってるだけだ、魔法を習う対価に支払ってる物だしあんたらには関係無いだろうが 」

 

「君は、君はその『血』が何に使われているのか、気になった事はないのか?」

 

「さっきから訳の分からん質問ばかりしやがって!

いい加減にしろよなんなんだお前等、ドンパチやりに来たんじゃねぇのかよ!?」

 

「我々魔法使いは魔法を教えるに当たって『対価』など受け取らない!

君が師匠(マスター)と呼んでいる奴は、ただの魔法使いじゃない、それどころか!

 

――人間ですらない(・・・・・・・)!」

 

 

 

コイツは、コイツ等は、何を言ってる、何の話をしているんだ、どうしてそんな目で俺を見る、なんでそんな悲しそうな顔をしてるんだよ、俺は敵じゃないのかよ?

 

なんでそんなに可哀想な奴を見るような感情を向けてくる!?

 

本当に哀れんで連中は口を開いた

 

 

 

「奴は今までに万を超える人間を殺してきた『真祖の吸血鬼(ハイ・デイライトウォーカー)』だ、君も奴にとっては食料に過ぎない

分からないか、君は騙されていたんだ……」

 

「………………」

 

 

 

それは、なんというか……、考えもしなかった事で、どういう風にすればいいのか、俺には分からなかった、まるで頭の中身を直接ハンマーでガツンと殴られたみたいな衝撃が走った

 

頭の中に過るのは何時もの師匠(マスター)、日常で俺と今まで暮らして来た師匠(マスター)、『俺に何かを隠している師匠(マスター)』、『何かを偽り隠している師匠(マスター)』、『決して本心を明かしてくれなかった師匠(マスター)

 

常日頃感じていた『違和感』と『距離感』、師匠(マスター)と俺を隔てる大きな壁と絶対不可侵の領域にいるかのような『拒絶感』

 

今までに見ていた師匠(マスター)が音も無く掻き消えて行く、それもそうだろう、なんせ俺が見ていた師匠(マスター)は偽物だったんだから、どうしようもない程紛い物で、掛け値なしの嘘っぱちで……

 

一人の魔法使いが俺の側に駆け寄って回復魔法をかけてくる、爆発の衝撃で傷付いた体が癒えて行く

 

 

 

「ショックなのは分かる、今まで世話になってきたんだろう?

君の態度を見れば分かる、だけど、残酷だけど言わせてくれ、奴は今までに万人を殺してきた吸血鬼だ、私達偉大な魔法使い(マギステル・マギ)は君の師匠(マスター)を『殺さなくてはならない』」

 

「なんで、なんで……、そんな、も、もしかしたら仕方がなかったかも知れないじゃないか……

だって、魔女狩りから逃げる為に仕方なく、そうだ、どうしようもない理由があったかもしれないじゃないか」

 

「……確かに、そういった理由があったかもしれない、けれどな未熟な少年よ、良く良く覚えておけよ?

『どんな理由があろうとも、それが殺人を犯して良い理由にはならない』、ましてや魔法で魔法を持たぬ物を殺すなど、そんな物は言語道断だ」

 

「ぐ、う、ぅう……、それだったら、それだったら――

 

――あんたらだってそうだろッ!」

 

「そうだな、その通りだ、私達は魔法を今君の師匠(マスター)を殺す為に使おうとしている

だから、今日から私達も偉大な魔法使い(マギステル・マギ)ではない、姑息な悪の魔法使いだ

君に恨まれて殺される事になるかもしれない、それも承知の上だ、承知の上で、私達はそれでも殺すだろう、君の事は知らなかったが、どんな事になろうと戦うと私達は『覚悟』してきているんだ

 

これ以上、真祖の吸血鬼(ハイ・デイライトウォーカー)の、君の師匠(マスター)の被害者を出させる訳にはいかない」

 

 

 

俺の口から出た震え声は、偉大な魔法使い(マギステル・マギ)と名乗った人物の芯のある声に掻き消された、俺に暖かい毛布をかけて魔法使い達は歩き出してしまう、その歩みを止めようと伸ばした手を見て気付く、震えているのは何も声だけじゃなかった……

 

 

 

……覚悟ってなんだろうか、魔法ってなんなんだろうか、俺は今までに何を学んで生きてきたんだろうか?

 

震える身体は動かずに夜空の下でただ立ち尽くしている、霞む視線の先には大勢の魔法使い達が何処かへ歩いている、その先に師匠(マスター)が居るのだろうか、師匠(マスター)が……、俺の知らない師匠(マスター)が居るんだろうか……?

 

頭の中が真っ白になって頭を下げる、魔法使い達が見えなくなった変わりに、月明かりに照らされた『青白いマフラー』が見えた――

 

――震えは既に止まっていた

 

 

 

「――どういうつもりか、聞いても?」

 

 

 

俺の『前』で魔法使いが言った

 

 

 

「それはいらない、暖を取る物はもう持ってるんでね

ついでに言うなら、俺も『覚悟』を決めた」

 

 

 

魔法使い達の『前』で啖呵を切る

 

 

 

「私達と、殺し合う気かい、この人数差が分からない訳では無いだろう、君の剣を見て魔法剣士と判断しても後衛の魔法使いが居なければ勝負は分かり切ってる筈だ

参考までに言っておこう、ここにいるのは百戦錬磨の魔法使いと魔法剣士が百人だ、一国でさえ落とせる自信があるぞ」

 

「笑わせるな魔法使い、俺を倒すには後七十一億九千九百九十九万九千九百人程数が足りないんじゃねぇのか?」

 

「驕りは身を滅ぼすぞ、それに此方も真祖の吸血鬼(ハイ・デイライトウォーカー)に会うまでに死ぬ訳にはいかない」

 

「……はん、勘違いしてんじゃねぇよ、てめぇらは誰一人として師匠(マスター)に会う事は無いし、今月今宵は『誰一人として死人はでない』」

 

「……何を言ってる、君は?」

 

「相手を必ず殺す気概が『覚悟』だと?

恨まれるのを承知するのが『覚悟』だと?

悪の魔法使いと名乗るのが『覚悟』だと?

殺して殺されるその事こそ『覚悟』だと?

 

もしも本当にそんな事を『覚悟』と言うなら、俺はそんな物はいらないッ――!」

 

「君はッ――!

本当に君は自分が何を言ってるのか分かってるのか!?

 

それは、君が言おうとしてるその事は、『絶対に出来な――』」

「――誰も殺さず叩き伏せるッ!

俺は、誰も殺さない事を『覚悟』させてもらったッ――!」

 

「舐めるなよぉおおお少年!!!」

 

 

 

大地を粉砕して幾人もの魔法剣士が迫る、右から二刀流の軽装備の魔法剣士が、左からは槍を携えた隻眼の魔法剣士が、直進から飛び上がったのは両手で鉄塊とも見間違える程の大剣を振り上げた魔法剣士が――

 

――その三人を得物ごと斬り捨てると同時に『縮地』でもって十三人を斬り捨て背後に回る

 

 

 

「『瞬動』か、いや『虚空瞬動』!?

どちらにせよ移動は元より『入り』さえ分からなかったぞ!?」

 

「どっちでもなく『縮地』だ、わざわざ説明する理由も無いからこのまま叩き潰させてもらうぜ!」

 

「西峡谷王家守護騎士直伝奥義ッ!」

「うるせぇ邪魔だあっ!」

 

 

 

騎士甲冑に身を包んだアーティファクトの剣を持つ魔法剣士の剣を真正面から斬り捨てる、剣身がブレて幾千もの筋となって襲いかかるそれを一つ残らず斬り伏せる、拳と拳で挟み込むようにして『銀の剣』に打ち付けてきた魔法剣士には更に加速させた『銀の剣』をその面に叩き込み、雨のように降り注ぐ魔法を斬り裂いた

 

挟み撃ちしてきた魔法剣士をそれぞれ背後に回り込んで斬り飛ばす、魔力を携え突っ込んできた魔法使いを魔法ごと断ち斬る、ただひたすらに斬って斬って斬り結ぶ

 

難しい事何て何も無かった、戦場に置いて次に何をしてくるか分からない敵は居なかったし、思考の読めない敵も居なかった、敵の用いる『武器』は全て『銀の剣』で斬り捨てる事ができた、戦場に不意打ちは無く全方位が俺の掌の上のように分かった、何処に敵が居るのか、敵が何をしようとしているのか全て理解出来た

 

 

 

「かっ……、はっぁっ!?

な、なんだその『剣』は、なんだその動きは、どうして、どうして斬られた私達は『死んでいない』!?」

 

「……、すげぇなあんた、素直に感心するよ

まさかこの剣に斬られてまだ意識を保ってられるかい」

 

「ふっ――、ぅくっ!?

はあっ、はぁっ!」

 

「この剣の名前は『銀の剣』、『心を断ち切る心の剣』

この『銀の剣』こそが、この俺の『心』その物を剣の形にしたものでね、そこに『心』や『想い』に『感情』が有れば何であろうと斬る事が出来る、今みたいに魔法だろうがな」

 

「こっ、『心』! 『心』だと!?

なんだそれは、言うに事書いて『心』だと!?」

 

「まぁ、訳わかんねぇよな、でもまぁ詳しく説明する気も無いしここらでさようならだ、名前も知らない偉大な魔法使い(マギステル・マギ)

 

 

 

『銀の剣』を振り上げ偉大な魔法使い(マギステル・マギ)は苦悶の表情を浮かべて、俺が斬り捨てる前に気を失ってしまった、心折れ断ち斬られた魔法使い達に一瞥くれてその場を立ち去ろうとした

 

 

――そうした時、俺の腹から剣が飛び出した

 

 

 

「…………………え?

 

がふぁっ、なんだと?」

 

「カカカ……、カカカカカ……」

 

「キ――、殺人人形(キリングドール)ぅうううおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!?」

 

 

 

すぐさま『能力』で作り出した質量を持つ炎で叩き伏せる、いとも容易くゴミに変わったソレから製作者の希薄な感情がゆっくりとジワジワと本当に僅かばかり漏れ出して、そして霧散した

 

突き刺さった後から横に引き裂いたのかポッカリと空いた穴から色々な物が飛び出す、力が入らずいつの間にか出来ていた誰かの血溜まりに倒れこんだ

 

ああ、まさかだ、まさかだったぞコレは、よりにもよって能力に過信して油断したか、無様極まりないな……

 

あんなにかっこつけたのに、最後の最後が油断した上の不意打ちとは……

 

意識が何処かへ飛んで行く、痛いし苦しいし滅茶苦茶怖い、グングンと何処かへ引っ張られる感覚、この感じには覚えがあるぞ、そうそうだ、これは『死ぬ感覚』だ

 

どんどん冷たくなっていく体に、唐突に何やら暖かい物が頬を伝う、ポツポツと顔に落ちてくるその暖かい物は何だろうと目を開けてみれば、そこには師匠(マスター)が泣いて居た

 

 

 

「ああ、あぁぁぁああああああ、何で、なんでこんな、こんなことっ!」

 

「ああ、おはようございます師匠(マスター)

 

「なにがおはようだばかもの、ばかものぉ!」

 

「あー、師匠(マスター)、もう、良いんですよ」

 

「いやだ、いやだぁああああ――」

 

「だってもう、『俺の下無いんでしょう?』」

 

 

 

殺人人形(キリングドール)の武装についていた魔法、吸血鬼殺しの侵食火炎と呼ばれる希代の奇跡のような魔法だったか、斬り落とした部位を焼き尽くして復活を妨げる聖なる炎

 

師匠(マスター)の反応だけで全てが分かった、腹の辺りに添えられた掌を退かそうとしても師匠(マスター)は一向に治療を止めない

 

 

 

「ああそうだ師匠(マスター)、俺死ぬ前に言いたい事が有ったんですよ」

 

「もう聞いてすらいないみたいなんで勝手に言いますがね?

『お、俺を倒しても第二第三の俺が必ずや復活して――』」

「――あほかぁあああ! こんな時に何をお前は巫山戯てるんだばかものぉ!」

 

師匠(マスター)に元気が戻ったようで、何より、ですよ

師匠(マスター)、すみません、師匠(マスター)から貰ったマフラー、綺麗な青色だったのに、俺の血で赤くしちゃって、ごっ、ごふっ、ごめんなさ――」

 

「……コウ? おい、何で急に黙るんだ、どうした、何か言ったらどうなんだ、こら、ばかでしぃ、聞いているのかコウ、頼む、お願いだ、いやだ、いやなんだ、お願い、死なないでくれ、頼むから、お願いだから、ぅぁぁぁぁぁ――

 

――お願いします、『神様』ァッ!」

 

 

 

とある夜の一世一代の大舞台は獅子怒 鋼と言う1人の死傷者を出して終わった

ろくに伝えたい事も伝えられず、少女の『神様』への願いも当然の如く届かず、誰も死なせないという『覚悟』も自分自身で台無しにして、

とある欧州の地で、獅子怒 鋼の一世一代の大舞台は完膚無きまでに『破壊』されて終わった




サービス回? いや知らんな

覚えているか、今回はサービス回だと言ったな?

ああそうだ、確かにそう言ったぞ! だからサービスシーンを!

ありゃ嘘だ

うわあああああああ――

――完――



いや、まだ終わってないよ?
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