やはり捻くれボッチにはまともな青春ラブコメが存在しない。 作:武田ひんげん
side陽乃
私と比企谷くんは放課後毎日のように集まった。というか、私が比企谷くんを逃げさせないようにしたと言ってもいい。
私はよく比企谷くんをからかった。
「ねえー比企谷くん、今日一緒に帰らないー?」
ずいっと顔を近づける。その時の比企谷くんの反応がおもしろいのよ。
「は?なんでだよ。ひ、ひとりでかえれるだろ、んなもん」
必死に隠そうとしているが、焦りがモロ出てるよ比企谷くん。
でも、放課後あつまるといっても無言の時間が多い。だって毎日集まっているから話のネタも尽きてくる。ましてや比企谷くんはまったく話のネタを持っていない。
そのかわり捻くれだけは天下一品だった。
「ねえ、比企谷くんってかっこいいよね」
私の本気に見える言い方の冗談を言ってみた。大抵の人はなにか面白い反応をするんだが、
「えなに?なんの冗談だ?」
「ただ思ったまま言っただけだよー」
「あんまりそういうこと言うな。うっかり惚れそうになる」
「じゃ、メロメロにしてあげよっか!」
「…なに?ぼっちの心を弄んで後で笑いものにする気?」
私はこの時本気で笑ってしまった。どんな笑い方をしたかはわからないが、とにかく笑ってしまった。だって面白いんだもん。こんな反応した子を初めてみたから…
――――――――――――
私が会場に戻るとパーティーは終わりかけていた。
私は少し休憩するために会場から出て部屋に戻って休憩していた。そのあいだにいろいろ回想していたら時間がたってしまった。
パーティーが終わったあとに私は父から呼び出された。
私が父から呼び出されるというのはよくあることだ。
ノックをして父の部屋に入ると、父は腕を組んで背を向けてたっていた。
「なんの用?お父さん」
「陽乃、二学期にはいると文化祭があるんだよな?」
「うん、それがなに?」
「文化祭の実行委員になって文化祭を成功させろ。お前の手でな」
「またお母さんの指示?」
「…そうだ」
大方そうだろうと思った。母はいつも自分の決めたことを従わせようとする人だ。そして今回の文化祭のこともそうだろう。
いつも私はその要求を受けてきた。その度に成果は上げてきた。
そのおかげもあって私は両親から期待されている。そして今回も。
「わかったわ。必ず成功させるわ」
「ああ、期待している」
「では、失礼します」
私は父の部屋から出ていった。
…期待ねぇ…
あんまりして欲しくないんだけどなー。結構期待される側も大変なのに…
あ、そうだ、いいこと思いついちゃった!
――――――――――――
side八幡
1ヶ月近くある夏休みが終わり今日は始業式だ。
といっても早速授業が午後まであるのだが。
最初の日なんだから午前中だけで終われよー、と言う奴の声がチラチラと聞こえたが、俺は授業があっていいと思う。俺達は受験生なんだ。一日でも時間は無駄にしたくないしその分授業がすすんで自習の時間とかが後に増える。
時間はポンポン進んでいってあっというまに放課後に。
俺はいつもどおりに特別棟へ向かった。
ガラガラ
教室に入るとまだ誰も来ていなかった。これもいつもの光景だ。
俺は正直少し緊張していた。夏休み花火を一緒に見たとき、俺は雪ノ下に恥ずかしいことを言ってしまったから。
それから夏休み中たまにそのことを思い出してよく悶えた。黒歴史に一つ刻み込まれたよ。
そういうわけで俺は雪ノ下に何をされるかという恐怖と、なんだか恥ずかしい思いが共存した気分で座っていた。
すると俺がついてから五分後くらいたったころ、
ガラガラ
「ひゃっはろー!」
「…うっす」
雪ノ下が元気良く入ってきた。…全くいつもどおりだ。いや、まだ油断してはならない。これからなにかされるかもしれない。
すると、いつの間にか雪ノ下俺の席のところで立ち止まっていた。
…おいおい、まじで怖いことされたりするの?
すると、雪ノ下はいつもどおりの笑顔を浮かべて
「比企谷くん、君は文化祭実行委員会に入りなさい」
「…は?」
「だからー、文化祭実行委員会にクラス代表として参加しなさい、いいね?」
「いやいや、唐突過ぎて処理不可能なんだが?」
「いやだから、言った通りのことだよ?」
「いやいや、ボッチにとってはそういう目立つことはわざわざ自分から死にに行ってるのといっしょなんですけど?」
「大丈夫だって、私がいるから!てことで決定ね、比企谷くん」
「いや、勝手に決められても…」
そんなことを言ってると、平塚先生が教室に入ってきた。
「おい、お前たちなにを言い合っているんだ?ドアが空いてるから外まで聞こえてきたぞ」
「えーとね、比企谷くんを文実に入れようとしててねー」
「なるほどな…」
俺は目で先生に訴えた。入りたくないと。
「…おい比企谷、そんな腐った目でこっちをみるな。
ということで比企谷、その腐った目と根性を治すために文実にはいれ」
「…はい?」
「はい?じゃない。はいだろ?それに陽乃もいるのだろう?それに文実担当は私だ。心配することはない」
「あの、俺は入りたくないんですが…」
「てことでよろしくね、比企谷くん♪」
「いやだから、俺は――――――」
「私も最初からお前は入れるつもりだったからな。入らなくとも無理やり入れるまでだ」
「あの、俺の意志ってないんですかね?」
こうして俺は(無理やり)文実に入らされてしまった。
「大丈夫だ。文実といっても裏方の仕事が主だ。表舞台に出るのは文化祭実行委員長だけだ。安心しろ」
「はぁ…」
ま、それならよかった。裏方ならなんとかなりそうだからな。
すると雪ノ下は真面目な顔になって平塚先生に、
「実行委員長、私がやってもいいかな?」
「…まあ、無理なことはない。ただ、一度文実で集まった時に決めるからその時に改めて聞くからその時にしてくれないか」
「わかったわ」
…雪ノ下がいつもの笑顔ではなく、真面目な顔になってそんなことをいうとは。なんだ?それだけ実行委員長になりたいということか?そういうことはみんな避けたがることなのに。
俺には雪ノ下の考えてることが理解出来なかった。
さて11話ですね。
自分の日本語力が足りないのでわかりづらい描写があるかもしれません。
なんとか残り頑張って書き上げていきます!
次回投稿は6月24日の17時です。
感想等よろしくおねがいします。