やはり捻くれボッチにはまともな青春ラブコメが存在しない。   作:武田ひんげん

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今回は番外編ということです。
ただ、誕生日との関係性は薄いです。ただの番外編と思って見てください。興味無い方は飛ばされてもストーリーに影響はありません。
あと、過度の期待はしないでください。こういう番外編専用の面白いストーリーは書けません。なのでどうか温かい目でご覧下さいm(_ _)m


番外編~雪ノ下陽乃の誕生日記念~

「さて、お話の途中ですが私の誕生日を祝いたいと思いマース!どんどんぱふぱふー」

「…あの、突然過ぎて何言ってるかわからないんだけど?」

「ちょっと空気読みなさいよね空気を!」

「へいへい」

「とにかく、誕生日ということなんだけども、この世界では7月7日はとっくに過ぎてるんだよねー」

「そうだな、文化祭も終わったからな」

 

「なので、今日は私たちの歴史を見よう会としまーす!」

「なんだよ歴史って。なに?俺らなにか発見したか?」

「ちがうちがうそうじゃなくてー、私たちが出会ってから今日までを振り返ろうっていう企画!」

「…それほんとにやるの?」

「てことでスタート!」

「はあ…相変わらず強引だな…」

 

 

 

 

 

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「青春とは幻想であり、夢である。

青春を謳歌せし物は常に幻想を見ており、常に周りより自分達の方が上という勘違いをしている。

彼らは青春の2文字の前ならば、どんな強引なことでもさも自分達が正しいかのように振舞っている。

彼らは自分達よりも立場が下のいわゆる非リア充たちをまるで自らが支配者かのように動かそうとする。

そうして彼らは立場が下の者たちの意見なんかお構いなしに楽しもうとする。

仮に立場が下の者が意見を言おう物ならば彼らはその意見を総動員で抑えようとする。

そうして彼らは自分達の立ち位置が上であると見せつけている。

そんな彼らは現実を見ようとせずに楽しくて楽な幻想しか見ようとしない。

しかしそれを指摘したところで彼らはそれを認めないだろう。

すべては彼らのご都合主義でしかない。

…結論を言おう。

青春を楽しむ愚か者ども、砕け散れ。」

 

 

 

 

 

 

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「ほんと、初っ端から飛ばしたねー!」

「まあ、これは俺の偏見が随分書いてあるからな」

「あら、偏見って認めるの?」

「まあな、俺だって変わってるんだ」

「でもこれはないなー。ほんと捻くれてるね!」

「褒め言葉として受け止めておくよ」

「はいはい…じゃ、次のシーンいこっか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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俺…比企谷八幡は今まで友達を作らないいわゆるボッチだった。そんな俺は今日一日の授業がおわり、教室内はリア充共が今日どこに行くだの、カラオケに行くだの、話しているのを尻目に教室をいつもより早足で出た。廊下にはまだ沢山の人が残っていたが俺には全く関係ない。とにかく速く帰らなければという思いが俺を焦らせていた。

いつもよりも数倍早足で歩いてそうして無事下駄箱まで降りてこれた。よし、ここまでは順調だ。

それから靴を履き替えて日が落ちてきて少し黄色掛かった外に出たら俺の勝ちだ。

よし、靴も履き替えた。あとは下駄箱からでるだけ…

 

「あれー?どこにいくのかなー?」

 

後ろから悪魔の声が聞こえてきた。悪魔の声の持ち主雪ノ下陽乃は、ゆっくりと俺のところに歩いてくる。その歩いている様はダースベイダーの登場曲が似合うほどに恐ろしかった。

俺は動くことができずにただやってくるのを待っていた。

 

「さて、なんで帰ろうとしてるのかな?」

「え、えーと…」

 

俺はこの人から逃げるためにわざわざ終礼が終わった途端にそそくさと帰ろうとしたのだったが、作戦は失敗におわった。ゲームオーバーのBGMが脳内で流れる。

そう、俺は負けたのだ…。

ということで俺は(強制的に)昨日初めてやってきた特別棟の空き教室へと連れていかれた。

 

 

 

 

 

 

 

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「まず最初に、なんで逃げようと思ったのかな?」ボキボキ

 

「エ、エート」

「しかも、心の中で結構悪口言ってるよね?」ベキベキボキボキ

「ア、アノー」

「どういうことかな?は・ち・ま・ん?」メキメキメキメキ

「た、たすけて小町…」

 

「ねえ、許して欲しい?」

「は、はい」

「ならなんでもひとついう事聞いてもらうからね?」

「は、はい…」

「ならよろしい。じゃ、つぎいこっか!」

 

 

 

 

 

 

 

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「比企谷くんの数学はどの位の点数なのかな?」

「…この前の学年末は学年で下から十番目」

「…え?ほんとに?」

 

うわー引いてるわー。ドン引きしてるわー。ま、そらそうでしょうね。数学が出来る人からすれば数学なんて公式覚えてそこに数字当てはめるだけじゃん、とかいってるけど、その公式が覚えられねーんだよ!。しかも当てはめても違う答えになるんだよっ。

すると雪ノ下は何かを決断したように指をパチンとならすと、

 

「よーし!私が数学教えてあげよう!」

「…はい?」

「言った通りだよ。私が数学教えてあげるの♪」

「いや、いいから。覚える気もないしそもそも数学できる気しないし、やる気もない。数学できなくても生きて行ける」

「また変な屁理屈こねてる。ほんと君は面白いなー♪でも、そこまで言われると逆に教えたくなるなぁー。…いいのかい?数学学年一位の私が直々に教えて上げるっていってるのに?」

 

雪ノ下は完璧な小悪魔的笑顔を浮かべて誘ってくる。小悪魔的笑顔って何だよ。あ、あれかまるで小町が俺になにか物を買ってほしいってオネダリしている時のあの笑顔みたいか。並の男ならその笑顔に即オッケーしてしまうんだろうが、俺は家に小町がいて鍛えられているので惑わされない。

…しかし、学年一位はきになる。まじか、学年一位に教えられたら…。

 

「あれー?どーするのかなー?一位だよー?」

「……ぐ、わかった。教えてくれ」

 

俺は誘いを受けることにした。まあ学年一位だからな。

 

「人にものを頼むときは言い方ってのがあるんじゃないー??」

 

また意地悪な笑顔をうかべて…。く、だがボッチな俺にはなんの苦痛もない。

 

「お願いします。俺に数学を教えてください」

「心の奥底からいいなさい。(ニコッ」

「…」

 

こえーよその完璧な笑顔。…こえーよ。

 

「…こんな数学ができない卑しい私目にどうか数学を教えてください」

「…はい、よくできましたー♪」

 

パチパチと拍手してたたえてくれた。どうだ、これがぼっちの底力だ…。

すると雪ノ下は手をパンとたたいて、

 

「じゃ、早速はじめよっか。どこがわからないの?」

「え?あ、えーと…」

 

と、俺はテスト範囲でわからないところを聞いていく。といっても、たくさんあるけどな。たくさんどころかほぼ全部か。

 

「…。比企谷くん、おおすぎない?」

 

それもそのはず、テスト範囲ほぼ全部がわからなかったのだ。さすがの雪ノ下も引いている。

 

「でも、できるようにしてあげる。私が教えるんだから90は目指さないとね(ニコッ」

「は、はい」

 

だからその完璧な笑顔やめてよ、何考えてるかわからないよ…。

 

 

 

 

 

 

 

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「まさか理系科目があんな状態とはね…」

「仕方ないだろ分からないものはわからないんだよ。だいたい数学してなんの意味がある?将来πとか計算するか?ベクトルとかいるか?」

「あーそれ、数学出来ない人のいい訳だー」

「うっせ」

「教えてもらえなかったらどうするつもりだったの?」

「諦める」

「ほんと八幡らしいわ…」

「だろ?」

「でも、教えてもらって嬉しかったでしょ?」

「…」

「もう八幡ったらー!うりうりー」

「わかったから頬をツンツンするのやめろ」

 

 

 

 

 

 

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映画館にて

 

「スー…」

 

…なんで寝てんだよ。お前が誘ってきたんだろうが。

しかもめっちゃ気持ちよさそうに寝てるし。

…てか、こうやってみると雪ノ下はやっぱり美人だな。きっと今までこの容姿とあの表の性格で世の男や、人々をトリコにしてきたんだろうなー。いや、トリコというか支配かな?

セミロングの髪の毛は良い匂いを発していて…ていかん!変態になっていた!

と、気づけば雪ノ下は起きていた。

……えーと、やばくない?

雪ノ下はジト目をしていた。

 

「比企谷くん、なーにこっちをジロジロみてるのかな?」

「え、えーと…」

「しかも髪の毛の匂いかごうとしていたよね?」

 

そこまでばれてたのかー。やばいってこのままだとまた俺の黒歴史に一つ追加されちゃうよぉー…

 

「何かいい訳は?」

「…ありません」

 

雪ノ下は一転ニコッと笑っていってきた。俺はその笑みを見た瞬間に寒気がしてきて怖かったので正直に言った。笑顔って時として凶器になるよな。

 

「うむ、正直はよろしい。てかさ、比企谷くん」

「ん?」

 

そういうと、雪ノ下はニヤニヤしながら、

 

「私の顔ずっとみてたけど、どんなこと考えてたのかな??」

「え??な、なにいってんだ?」

「私わかってるよー、比企谷くんの視線ずっと感じてたんだもん」

 

わりかし最初の方から起きとったんかい。あーまた黒歴史が増えていく…

 

「ねえねえー、黙ってないでほら、いっていって!」

「え、あ、えーと」

 

雪ノ下は急かしてくる。好奇心旺盛な感じの笑顔でいってくる。

 

「…その、か、かわいいって、…お、おもってた…」

 

…うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!と心の中で叫んだ。…死にたい!なんて恥ずかしいことなんだ。また黒歴史いきやぁーー!

またニヤニヤと笑顔を浮かべているだろうと、ちらりと雪ノ下を見ると、暗くて良く見えないが、少し顔が赤くなっている…気がした。

 

「え?そ、そう?…ふ、ふーん…」

 

え?なんかちがうくね?この感じは…

 

「あ、比企谷くんまたキョドってるー!ほんとに見てて面白いなー」

 

すると表情をくるりと変えてそう言ってきた。すぐ表情とか変えれるよなー。

 

 

 

 

 

 

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「あーこういうこともあったなー」

「そうだな」

「うん…」

「…」

「「…」」

 

「え、映画館面白かったよね?」

「そ、そうだな…」

「次いこっか…」

 

 

 

 

 

 

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高いところから見る花火はとても綺麗だった。今まで地上から見ていたが、ビルの屋上、正確には50階から見る景色は凄かった。

 

…ふいに、ちらりと横の雪ノ下を見ると、花火の光と雪ノ下のシルエットが見事にマッチしてすごく美しい雰囲気を醸し出していた。花火が光る度に雪ノ下の表情が見えるが、その表情はなんだか切ないものだった。

 

と、雪ノ下がこっちを見る。俺と目が合う。

俺はなんだかドキドキしている。決して階段を上った時のドキドキではないことは分かっていた。

しかし、花火が光る度に見える雪ノ下の顔を見ているとすごくドキドキしてしまった…

 

「…なんでこっちを見ているの?」

「あ、え、えーと、た、たまたまだよ」

「ふふふ、キョドってるよー?」

 

その時の雪ノ下の表情は暗くて良く見えないが、花火が光る度に見える僅かな表情はいつものからかうような完璧な笑顔ではなく、やさしい微笑みだった。

 

「…お前、そんな顔できるんだな」

「…え?そう?どんな顔してた?」

「なんかこう、いつもと違う笑顔だったぞ」

 

はっ!ここで俺は我に帰った。何恥ずかしいセリフ言ってるんだよ。

 

「…そうか、いつもと違うか…そうか、そうなんだね…」

 

雪ノ下の表情は暗くて見えなかったが、声色にいつもの勢いはなかった。

 

その後はなんだか気まずくなって話すことはなかった。

そして花火が終わった。時計を見たら9時だった。三十分しかたってないのに1時間くらいたっている気分だった。

 

そして、俺たちは無言のままエレベーターで一階まで降りていった。

 

一階まで降りたら雪ノ下がこっちを振り返って、いつもの完璧な笑顔を見せて

 

「今日は楽しかったねー!花火も綺麗だったし」

「お、おうそうだな」

「…じゃ、また二学期ね。夏休みのうちは私にも用事があるから電話とかかけないから安心しなさい。じゃ、またね比企谷くん!」

 

 

 

 

 

 

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「あー花火綺麗だったねー…」

「そうだな。場所も良かったしな」

「そうだね…」

「なあ陽乃、この時何を思っていたんだ?」

「え?あーこの時ね… まあ、なんというか、色々かな?」

「なんだよそれ…」

「乙女には秘密もあるのでーす!」

「どこが乙女なのやら…」

「なにかいった?」ベキベキ

「い、いえ…」

 

 

 

 

 

 

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その声を合図に解散していく。

しかし俺は残っていた。

 

カタカタカタカタ

雪ノ下は解散後もパソコンとにらめっこしている。

俺も仕事が残っているので残っていた。

 

カタカタカタカタ

雪ノ下の無機質なキーボードを叩く音が響く。

と、雪ノ下が顔を上げて、

 

「ねえ、比企谷くん」

「なんだ?」

「なんでじっと座ってるだけなの?」

 

そう、俺は今パソコンとにらめっこしているのではなく、ただ単に自分の席に座ってるだけだった。

 

「え?仕事が残ってるからだよ」

「仕事してないじゃんー」

 

雪ノ下が不思議そうな顔でそういってくる。

 

「仕事はこれから入るんだよ」

「え?どういうこと?」

「お前の仕事が残ってるだろ?」

「…え?」

「だから、お前の仕事の記録を取るのが俺の仕事だってことだよ。だから、その、お前が放課後残るなら俺も残るってことだよ」

 

雪ノ下はしばらくぽかんとしたあと、なにか納得したような表情になった。

そして、その後満面の笑みを浮かべて

 

「そういうことなら、しっかり仕事しなさいよ、比企谷くん!」

「おう。当然だ」

 

 

 

 

 

 

 

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「…この時ね、私嬉しかったんだ」

「え?」

「だって、今まで一人でずっとしてたからなんかさみしいというかなんというか… だけど、八幡は残ってくれるかなって思ってたんだ。でもそんな都合のいいことはないと思ったんだけどね、八幡は最後の一週間だけだけど、残ってくれた」

「やっぱり、お前もそういう思いだったんだな」

「わかってたの?」

「当たり前だろ、だてに毎日お前を見てるんだ。当然見てたらわかるさ」

 

「…八幡」

「なんだ?」

「この時からね、八幡のことが私ね…その…き、きになってたのかも」

「…(なにこのしおらしい子、可愛いんだけど…)」

 

「…このあと、告白までいくんだけど、この時もう気持ちはついてたんだと思うよ」

「陽乃…」

「八幡はどうなの?」

 

「俺は… もしかしたらそうなのかもな…」

「曖昧だなー。八幡らしいけどね」

 

「まあな」

 

「ねえ八幡、私達この先どうなるのかな?」

 

「…それはわからん」

「だよね。わたし達だもんね。今までいろんなことを経験してきたわたし達だからね」

「ああ」

 

「でも、変えていけるよね?今までと違ってさ、八幡がいるしね」

「そうだな。おれも陽乃がいるからな」

 

「がんばろう!2人で!」

「そうだな!」

 

 

 

 

 

 

 

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「さて、誕生日記念もこれで終わりです。といってもなんかつまらないと感じた方もいるかもね…」

「そうだな、しかも時間過ぎてるしな…」

「つまらないと感じた方ごめんね!」

「すみません」

 

「ねえ八幡、さっきなんでも一ついう事聞くっていったよね?」

「え?あ、ああ」

「じゃ、おもしろいこといって?」

「…はい?」

「いって」

「は、はい」

 

「こほん… 我々は社畜である」

「なにそれどゆことなの?」

「だから、社会で生きていくにはどんなときでもペコペコとかしなきゃいけないだろ?ちなみに学校内でも同じようなことがある。カーストが高い奴らが低い奴らをまるで手駒のように扱う。タチの悪い無茶ぶりしたり、めんどくさいことを押し付けたり…」

「学校のやつは一部の話しじゃん」

「でも、その一部のやつは辛い思いをしているんだ。俺たちはバランスをとっているんだよ。人間だれでも優劣を付けたがるだろ?だれもが自分より低いやつを見て自分を安心させてるんだよ。俺らはそうやってクラス内のバランスをとってるんだよ。感謝してほしいくらいだ」

 

 

「はいはい。さて、これから物語は後半に入っていくんだけど、八幡なにか一言ある?」

「俺に振るなよ… ま、がんばるか」

「八幡の口からがんばると言う言葉がでるとはね…」

「お前のおかげで言えるようになったんだよ」

「もう八幡たら!」ドンっ

「痛っ!たく、力加減しろよなー」

「女の子にそんなこといってはいけませーん」

「はいはい…」

 

「てことで、これからもどんなことがあろうとも頑張っていきます!てことでこれからも応援よろしくおねがいします!それじゃ!」

 

 

「(誕生日ほんとに関係なかったな…)」

 

 

 

 

 

 

 

 




時間過ぎてしまいました。すみません。
それと誕生日まったく関係ありませんでしたね。期待はずれと思ってしまった方すみません。


次回投稿は7月10日の20時です。

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