機械天使はマジ天使   作:邪神使いさん

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第二話

 こんにちは、イカロスの中の人です。サポーター、もしくはATMでも可。それよりもさっきからイッセーの視線がウザいです。胸見て、太もも見て、また胸見て鼻の下伸ばして…………アルテミス撃ったろか!? あぁん?

 

「うっ、寒気が……」

「大丈夫、ですか……マスター?」

 

 おや、イカロスさんはロールプレイがお好きみたいですな。俺も表に出た時はソレっぽく振る舞ってみようではないか。

 

「あ、ありがとう、大丈夫だ」

 

 今イカロスとオカルト研究部はログハウスに集まっています。え、ザトゥージはどうしたかって? 使い魔を決めに来たのはイッセーとアーシアだけで、イッセーはイカロス、アーシアは原作通り蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)を使い魔に出来たので、お帰りになりましたとさ。あぁいや、イカロスのは使い魔契約とは違うか。

 っていうかログハウスは元々イカロスだけが住む為に建てられたから、オカルト研究部を加えた七人が入るには狭すぎるんだよな。四畳半って言えば分かりやすいか? 何も物を置いてないから、広いっちゃあ広いけど、無理があるよね。

 

「すいません、何も出せなくて……」

「いいえ、別に構わないわ」

 

 少し困ったような表情で答えるのは、部長ことリアス・グレモリー。紅髪が眩しいね。赤じゃなくて紅。実際に見てみるとスゲー鮮やかな色なのな。まあ困った表情をしてるのはリアスだけじゃなくて、イッセーを含めたこの場の全員なんだけどな。

 うん、君達が何を聞きたいのか分かるよ? 俺知ってるよ。みんなイカロスのこと、知りたいってこと。さあイカロス、この局面をどう乗り切る! ……あんまし期待はしてないよ。

 

「私の事、聞きたいんですよね?」

「えぇ」

「……分かりました。お答え、します」

 

(えぇっと……、原作のイカロスさんの設定使ってもいいよね? な、なるようにしかならないし……)

 

 おう、計画の『け』の字も無かったな。

 

「……私は、エンジェロイド・タイプα、イカロスです」

 

 愛玩用とか言われても困るし、言った本人も困るだろうからな。ナイスな判断だ。戦術戦略用は警戒度が半端ねぇ事になるから論外な。

 

「エンジェ……ロイド……? ロボットって事? 一体何処で作られたの? 他にも貴女みたいなのがいるの? そもそも貴女は一体何処から来たの?」

「え? その、あぅ……」

 

 興奮気味に迫ってくるからちょっと怖いですことよ!? 超絶美人なリアスに迫られてんのに、全然嬉しくねぇ! ほらぁ、イカロスも委縮しちゃってるじゃないですかぁ。いきなり現れた天使がイッセーの使い魔になったのが気に障るのは分かるけど、もちっと落ち着こうぜ。

 

「ちょっ、部長、待って下さいよ! 一気に聞いたってイカロスが困るだけじゃないですか!」

「あ、そ、そうね、ごめんなさい」

 

 ナイスだイッセー。気に入った、アルテミスの刑は免除してやる。

 

「一応、ロボットという定義には当てはまりますが……私が創られた場所は分かりません。あと、私以外のエンジェロイドはいないと思います。それと、私がどうしてここに居るのかは、私自身分からないんです。気が付いたらここに居たから……」

 

 たどたどしいけどしっかりと質問に答える辺り、流石イカロスですわー。そんな姿を見てアーシアに通ずるモノを感じたのか、全員の警戒心とか毒気が抜けていくのが手に取るように分かるぜ。

 

(よ、良かったぁ……。納得してくれたみたい……)

 

 神様は無駄に再現度の高い体にしたみたいで、表情が出にくいイカロスの内面を見て俺はウハウハしています。ありがとう、神様。少しだけなら感謝してやらんでもないぞ。

 

「そうだったのね……。ところで貴女はここにどれくらい住んでるの?」

「大体一年程……」

 

 一年ってホントはえーよなぁ。この体じゃなかったらフツーにおっちんじまってるよ。

 

「……それじゃあ一番重要な質問よ。貴女は、天使?」

 

 何当たり前の事聞いてんスか! イカロスは大天使に決まっとろーが! あ、種族はちゃいますよ。

 

(えっと、ここは知らないフリした方がいいんだよね……?)

 

「天、使……?」

「待って、貴女まさか……何も知らないの?」

 

 よし、いいぞ。向こうが先走ったおかげで取っ掛かりが出来た。

 

(こ、これって、チャンスかも……!)

 

「私の記憶は、約一年前、ここに住み始めた所から始まっています。ここに棲息しているウンディーネさんや、ペガサスさん達の事なら知っていますが、他の事は一切……」

 

 言葉を途中で切って俯く。言っとくけど、嘘を吐いてる事を申し訳なく思ってる仕草な。とにかく、これでちょっとした同情ムードが出来上がったぜ。もう心配はいらないか?

 

「成程……。それじゃあ私達悪魔についての説明からしないといけないわね」

「悪魔……」

 

 勝ったッ! 第三部が完結するワケじゃあないがな! はーい、説明フェイズ入りまーす。

 

 ある所に天使、悪魔、堕天使という三大勢力がいました。天界に住む天使は別として、冥界に住む悪魔と堕天使は常日頃から争っていました。紆余曲折あって、二天龍の赤い龍ことウェルシュドラゴンのドライグと、白い龍ことバニシングドラゴンのアルビオンが喧嘩を始めたそう。二天龍は周りの被害を考えずに争い続けて、遂に三大勢力の戦争にまで乱入しました。

 こりゃあ拙いと思ったらしく、全勢力が力を合わせて二天龍を倒して封印しました。そうして出来上がったのが赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)で、その片方の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)をイッセーが宿しています。

 それは置いといて、二天龍との戦いで多大な被害を受けた三大勢力は大人しくなりましたが、今でも小競り合いは続いてるそうです。まあ原作通りだね。

 

 既にある程度知っている事を説明されるのって結構面倒だったわ。イカロスはそうでもなさそうだったけどな。むしろちょっと楽しそうに聞いてた。分からないなぁ。

 

「貴女はイッセーの使い魔になったから、これからはイッセーの傍に居てもらうワケだけど、何か問題はあるかしら?」

「スイカを……育てたいです……」

 

 若干感性が原作のイカロスに近くなってるのか知らんけど、スイカに拘りがあるんだよな。

 

「そういえば近くに畑があったわね……」

 

 あ、種は森を訪れた精霊さんに貰いました。何とも言えねぇ表情をする気持ちも分かるぜ。俺だって最初は戸惑ったからな…………スイカの魅力に。多分こけしにも反応しそう。出来れば鳴子こけしが欲しいです。

 

「他には?」

「特に、ありません」

 

 まぁ、ぶっちゃけ俺達は根無し草だから、行こうと思えばこの身だけで何処にでも行けるんだよな。

 

「でも、時々ここに来させてもらえると……」

「1年も住んでたんだからそれなりの思い入れもあるでしょうし、それくらいなら全然構わないわよ。オカルト研究部の部室から飛べば、5分も掛からずに行き来出来るもの」

 

 そういや原作でも部室からひとっ飛びだったな。これで問題は無いか。

 

「スイカ畑は……イッセーの家に住んでもらうから、イッセーの家の庭で構わないわよね?」

「はい」

「全然問題ありません! むしろ大歓迎です! ……グヘヘ」

 

 ブレねぇなぁ。その内2頭身になったとしても違和感無いんじゃねぇの?

 

 それはさておき、大変お世話になったウンディーネ達にお礼をして、時々ここに来る事を伝えてお別れ。スイカ畑は後でグレモリー家が兵藤家の庭に移してくれるそうだ。ありがてぇありがてぇ。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 そいでもってやってきました兵藤家! 見た目も中身も文字通り天使なイカロスを連れてきた事に、イッセーの両親はパニックを通り越して逆に落ち着いて対応してくれた。首輪からイッセーの右手に伸びてる鎖は、ひっじょーに残念だけど不可視化しましたよ。これからもっと変なのが増えたり、家が地下付きの超豪邸になったりするかもしれないんで、今の内にイカロスである程度耐性付けといてください。

 そしてやってきた夜ッ! イカロスが寝る時間、即ち俺がある程度自由に動ける時間である。今居るのはリアスと同じ部屋である。こっそり部屋を出ます。この体のスペックを引き出せば、扉の開け閉めすら無音で出来るのさ! 無駄に洗練された無駄の無い無駄な動き(結局無駄な動き)すらも可能なのである! まさに廃スペック。

 

「はーい、今俺は、イッセーの部屋にやってきておりまーす」

 

 某寝起きバズーカの如く誰に言うでもなく実況しております。ブッパ系の武器はアポロンしか持ってないので今回は平手で勘弁してやろう。

 

「オラ、起きろ」

 

 ペチッではなくベチッという音を響かせる。やりすぎたか? まぁいいや、イッセーだし。

 

「い、イデデ! だ、誰だ……ってイカロス!?」

「静かにしろ。リアス達が起きるだろうが」

 

 痛みで起きたイッセーの口をソッコー塞ぐ。騒がれても面倒だ。要件もソッコーで済ませっか。

 

「誰だ! イカロスじゃねぇムグッ……!!」

「静かにしろっつってんだろ。タマ潰すぞ!」

 

 内股になりやがった。ふぅ、やっと黙ったか。これで話を進められる。

 

「ではまず自己紹介と行こう。俺の名前はウラヌス。イカロスの守護者だ」

 

 空の女王(ウラヌス・クイーン)モードから名前を取ったけど、ロウの翼のイカロスに天空を司るウラヌスなんて、ちょっとアレだな。

 

「ウラヌス……? それで、何の用だ」

 

 おろ、案外素直なのな。そういうの、嫌いじゃないわ!

 

「俺はイカロスの守護者っつったろ。俺が話す事はイカロスの事以外ねぇよ」

 

 立ったまま話すのもアレだな。…………からかいも含めてベッドに腰掛けてやろう。

 

「そ、そうか……! で、話って何だよ?」

 

 モノホンのパイオツ見た事あるだろうに、すり寄っただけで飛び起きて正座になるとかまだまだだな。あぁいや、レイナーレの一件をずっと引き摺ってんだっけか。まぁいい、それは矯正してやればイイだけの話だ。

 

「まぁまぁ、夜はこれからなんだ。もっと近くに来いよ」

「い、いやぁ、俺はここで……」

 

 今も組んだ足の太ももから目を離せてねぇのに、何遠慮してんだよ。むしろご褒美だろ? 仕方ねぇ、翼で抱き寄せてやっか。

 

「うわっ……あ、あったけぇ……」

「んで話だけど、始めに俺の事を説明しとくぜ。俺はイカロスが意識の無い時限定で表に出られんだ。だからイカロスは俺の事を知らねぇ。もしイカロスが俺の事を知ったら、長い時間俺が表に出られるように寝る事になるから、ぜってー言うんじゃねぇぞ? もちろん他の部員にもだ。この事は俺とお前だけの秘密だ」

「わ、分かった!」

 

 うし、こんくらい釘刺しとけば大丈夫だろ。

 

「ほんでも一つ。俺はイカロスと同様、目覚めた1年前より前の記憶はねぇが、目的っつーか使命があるんだ」

「使命? それってイカロスの守護者って言ってた事と関係あるのか?」

「もちろん。俺はイカロスをあらゆる事から守る使命を帯びている。誰に命令されたか分かんねぇが、目覚めてからの1年間ずっとイカロスを見守ってきた」

 

 詳しくは言わねぇけど、色々あった。転生する事になって、この世界に独り放り出されて、それでも懸命に生きるイカロスを見守ってきた。

 

「そしてその内、俺自身本気でイカロスの事を守ってやりてぇって思ったんだ。命令されたからじゃねぇ、俺が、俺の意思で、俺の信念に懸けて、俺の命に代えても守るって誓った。これをマスターのお前に伝えとこうと思って来たんだ」

「ウラヌス……」

 

 おや、太ももはもういいのかい? 俺の目なんか見ちゃってさぁ。イカロスの緑色じゃなくて、空の女王(ウラヌス・クイーン)モードの赤い目だけど、見つめても何も出ないぜ?

 

「俺はイカロスの体だけじゃなくて、心も守ってやりたいと思ってんだ。だからさ、お前が不純な動機でイカロスに手を出そうとしたり、悲しませたりしたら、あらゆる障害を蹴散らしてお前をブッ飛ばしてやる。覚悟しとけ……!」

「お、おお……」

「そうだ、言っとくけど俺自身はイッセー、お前の事は結構好きなんだぜ?」

「うぇ!? な、なんだよいきなり!」

 

 あらあらまあまあ、顔赤くしちゃって可愛げのある事。

 

「軽く話を聞いたけど、イッセーがオカルト研究部に入って半年も経って無いんだろ? それなのにリアス・グレモリーやアーシア・アルジェントや姫島朱乃、表にはあんま出さないけど塔城小猫、男の木場祐斗、部員全員からの信頼を得てるんだ。それってスゲー事だと思う。他人からの信用じゃなくて、信頼を勝ち取るのってすんごい難しい事なんだぜ? そんなお前を純粋に一人の人間、今は悪魔か? どっちでもいいが、兵藤一誠という存在を好ましく思ってるんだ」

 

 オープンスケベ過ぎるのが玉に(きず)だけどな。まぁそれもアリだなって思えるくらい魅力があるんだから、コイツはスゲーんだよな。

 

「……決めた」

「ん?」

 

 急に何だ? キリッとした表情(カオ)なんかしてさ。

 

「俺はイカロスだけじゃなくて、ウラヌス、お前からも信頼されてみせる!」

「…………」

 

 チッ、近くに抱き寄せたのが仇になったぜ。イッセー本人は気付いてないのかもしれねぇが、闘志とドラゴンの覇気が洩れてんだよ。あぁクソ、()てられそうになっちまった! 完全に呑まれてたら堕ちてるトコだったぜ。

 

「少年よ、精々努力したまへ」

「おうよ!」

「これは景気付けだ。受け取れ」

 

 イッセーの額に触れるか触れないかのキスをしてやる。ククッ、手を当てて呆然としてやがるぜ。確か額は友情だったけか? それくらいなら(いだ)いても問題ないだろ。

 

「さぁてと、お前は明日もガッコーだろ。早めに寝とけよ。ボーッとなんかしてたらイカロスが心配すんだろ。」

「お、お前がしたんじゃねぇか!」

「うっせーぞ、男ならこれくらい黙って糧にしとけよ。サービスだ、子守唄を歌ってやるぜ」

「はい……?」

 

 ボーゼンとしてるイッセーを、翼を器用に使ってベッドに横にする。グヘヘ、俺の子守歌で眠りの世界に旅立つが良い。

 

「――――」

「!!」

 

 どうだ、天使の歌声は! 驚いて声も出せないだろう! フフフ、凄いか?

 

 

 

 

 

 

 イッセーを寝かしつけた後は来た時と同様、一切音と気配を発する事無くリアスの部屋に戻りましたよ。軽く状態をスキャンしたけど、リアスの睡眠状態に異常は見られなかったから、起きてはいなかったようだ。ホントに良かったぜ。

 さ、明日に備えて寝るとしますか。

 明日から俺とイカロスの原作ブレイクが始まる…………かもしれないぜ!

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