機械天使はマジ天使   作:邪神使いさん

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第三話

 こんにちは、イカロスの中の人改め、ウラヌスです。なんとなくで付けた名前とはいえ、結構気に入ってしまいました。

 さて一夜明けた今日は平日、つまりはイッセー達が学校に行っている日であり、暇を持て余したイカロスはイッセー母と一緒にクッキー作りに励んでいます。一生懸命混ぜたり捏ねたりするイカロスを見て、イッセー母と一緒にほっこりして過ごしました。後、庭にいつの間にか移されていたスイカ畑のスイカ達は、ちゃんと育てればちょうど夏頃においしく食べられそうです。

 

「それでは、行ってきます」

 

 そして夕方、オカルト研究部の活動が始まる時間に合わせて、焼きあがったクッキーを持って出かける事にしました。因みに服はまともなのを着ています。あの恰好は色々と拙いからな。翼は消せないから、小さくしてパーカーを着て隠しています。

 

「変なのに絡まれないように気を付けるのよ? 何かったらイッセーに押し付けなさいね」

 

 お母様、いくらなんでもあんまりじゃありませんかねぇ。これまでのイッセーの変態行動を(かんが)みれば仕方ないのかもしれんがな。ていうか、学校に行くだけで何かが起こるワケないでしょ。

 

 

 

 

 

 

 

 そんなふうに考えていた時期が俺にもありました……。

 

「……」

「……」

 

 住宅街を歩いている途中、十字路で鉢合わせしたのは銀髪に青い目のイケメンだった。どう見ても『白龍皇』です。本当にありがたくないです。アイエエエ!? ヴァーリ!? ヴァーリ・ルシファーナンデ!?

 

(え……もしかして……ヴァーリさん!? な、なんで居るの……。どうしよう、こんな所で会うなんて聞いてないよぉ……!)

 

 マジ何で居んの? 原作じゃ登場すんのも少し後だよね? ……いや、コイツ堕天使陣営だったよな。だとしたら、アザゼルに命じられて先に現地入りしてんのか。

 

「…………」

「…………」

 

 な、なんなの……? なんなのなの!? どっちも目を合わせたっきり、微動だにしないんだけど!

 

(えぇぇぇ……どうしたらいいの!? と、とりあえず動かなきゃ……!)

 

「!」

「!」

 

(あ、あれ!? おんなじ方向……!?)

 

 二人共同時に同じ方向に足を踏み出す。そんでもってまた顔を見合わせる。なぁにこれぇ。気まずいってレベルじゃねーんですけど!?

 

(こ、こうなったら!)

 

 おっ、遂に動くのか! 一体どんな手を見せてくれるんだ!? 手提げ袋の中に手を突っ込んで……?

 

「どうぞ……」

 

 手作りクッキーが数枚入った袋を差し出したァ! 何でだよ!! 何故その行動をチョイスした!? ワケが分かんねぇよ……。

 

「……!」

 

 って何ヴァーリも素直に受け取ってんだよ! え、その場で開けんの!? クッキーを一枚摘んで……ムシャアッ。

 

「……美味(うま)い」

「!」

 

 感想を言うヴァーリに、サムズアップで応えるイカロス。今ここにッ! また一つ、新たな友情が芽生えたッ! …………じゃねーよッ!! 何通じ合ってんの!? もうヤダ……誰か助けて……。

 

(おいしいものを食べれば、誰とでも仲良くなれるって本当だったんだね……!)

 

 違う、そうじゃない。合ってるけど、今この状況でそれは違うと思うんだ……。

 

「まだまだ、いっぱい、ありますよ」

 

 更に袋を取り出す。確かにオカルト研究部の人数に対して多すぎるくらい焼いたけどさぁ……。

 

「……貰おうか」

 

 いつの間にか一袋を食べきって、新しいの受け取ってるし……。

 

「お茶も、如何ですか?」

「貰おう」

 

 水筒に入った紅茶まで……あぁ、もうどうにでもな~れ。早く学校に着かないかな……。

 

 

 

 

 

 

 

 結局その場から動いたのは十分程経ってからだった。その間、一切会話は無かった。もう一度言おう、会 話 は 無 か っ た。途中通りがかったオバちゃんが微笑ましげな視線を向けてったけど、俺は気にしない事にした。

 つーか、ヴァーリもイッセー達の通う駒王学園まで一緒に来てるし。イカロスよ、おかしいとは思わんのか!? 現状和平を結んでないんだから、敵情視察に来たと見られてもおかしくないんだぞ。原作じゃあちゃちゃっと和平を結んだけどさ……。

 

「女、名前は?」

 

 人の名前を尋ねる時は、まず自分からでしょーが……とは言わんぞ。もう疲れました。

 

「イカロス、です」

「覚えたぞ。イカロス、この食い物の礼は必ずしよう。俺の名前はヴァーリだ、覚えておけ」

「はい、ヴァーリさん」

 

(いい人、だったなぁ……。本で読んでた時はちょっと苦手だったけど、少し印象変わったなぁ……)

 

 ……スルーで。

 ポケットに手を突っ込んで歩き去っていく姿は、流石イケメンといったところか。……これ、完全に目を付けられたよな。どうすんだっぺ。俺は知らん、知らんぞぉ! イカロスに危機が訪れん限りな!

 

(そういえば、私オカルト研究部の部室に行った事無いんだった……。旧校舎ってどこにあったっけ?)

 

 むむむ…………おや、校門の陰に丸刈り頭のと眼鏡のガリ勉っぽいのが居ますねぇ。どう見てもイッセーの友人の、松田と元浜です。これは道案内に使えそうだ。

 

「イケメン死すべし慈悲はない」

「クソッ、これだからリア充はッ!」

 

 あぁ、イカロスとヴァーリが一緒に学園に来たところ見てたのね。はいはい、嫉妬はやめましょうねー。お前らも変態な所を除けば彼女の一人や二人、簡単に出来そうなのにね。

 

(アレってマスターの友達の……松元さんと浜田さん、だっけ? 道を聞いてみようかな)

 

 おしい! 文字の組み合わせが違うだけだぞ! っと、そうしてる間にも地団駄を踏んだり、メイソーをしている二人に近寄っていく。

 

「あの……」

「「は、はい!?」」

「オカルト研究部に行きたいのですが、場所が分からないんです。旧校舎の場所を、教えてもらえませんか?」

「「ヨ、ヨロコンデー!!」」

 

 お前らドコのサラリマンだっつの。ガチガチに緊張してやんの! 大草原不可避だわ。

 

 

 

 

 

 

 

 んで旧校舎まで案内してもらったお礼に、クッキーの袋を渡しましたとさ。ドン引きするぐらい感動していた二人と別れて、旧校舎内を探検する事約五分。やっとそれっぽい扉を見つけて入ると、オカルト研究部……えぇい、面倒くさい! オカ研でいいY! オカ研部員全員が突然現れたイカロスに驚いた顔を晒していた。

 

「イ、イカロス!? どうしてここが!?」

 

 ん? リアスの驚き方が変だな。もしかして人避けの結界みたいなの張ってたのか?

 

「道を、聞きました」

 

 さも当たり前のように答えるイカロスに、ちょっと尊敬を覚えます!

 

「……一体誰に聞いたの?」

「えっと、松元さんと、浜田さん?」

 

 聞き覚えが無いんだろうな。けど、全員が黙り込む中、思い当るフシがあったイッセーが声を上げる。

 

「もしかして松田と元浜か!?」

 

 そうだよな、それっぽい名前でアイツらが出てくるよな。正解だよ!

 

「はい。旧校舎の場所を聞いたら、案内してくれました」

「アイツら……」

 

 部室内に変な空気が漂う中、目敏(めざと)くっつーか鼻敏く、クッキーの匂いを嗅ぎつけたらしい小猫が近寄ってきた。

 

「イカロスさん、それは?」

「あ、はい。クッキーを焼いたので、部活中に食べてもらおうと思って、ここに来たんです」

 

 ヴァーリや松田や元浜にあげてもまだまだ残ってるクッキーを取り出すと、小猫の目の色が明らかに変わった。届け物を見せてここに来た理由を言うと、他の面子も気を弛めた。これぞイカロスの癒し効果である!

 

「成程ね。ならわざわざここまでイカロスが持ってきてくれたんだもの。活動前にみんなで食べましょう。朱乃、飲み物を。クッキーには紅茶が良いわね」

「はい、部長。イカロスさん、棚にある大皿にクッキーを空けて下さいます?」

「分かりました」

 

 あっという間にお茶の準備が終わる。スゲーな、三分も掛かってねーぞ! 魔法ってスゲーな! 一瞬でお湯が沸いたぞ!

 

「では頂きましょうか」

 

 と言ったものの、誰もクッキーに手を伸ばさない。

 

(あ、あれ? 何でみんな食べないの……?)

 

「ぶ、部長?」

「イッセー、何をしてるの。貴方の使い魔が焼いてきた物なのよ? マスターの貴方が一番最初に食べて感想を言ってあげなきゃ、私達が食べられないじゃない」

「イッセー先輩、さっさと食べて下さい」

 

 ……わお、これは予想外。小猫よ、早く食いたいのは分かるが、食い意地張り過ぎッスよ。

 

(良かった、別に食べたくないワケじゃなかったんだ……)

 

「わ、分かりました! いただきます! ……うん、美味い!」

「ありがとう、ございます」

 

 うむうむ、よきかなよきかな。ま、結果は分かり切ってたけどな!

 

「それじゃあ私達も……おいしいわ、イカロス」

「おいしいよ、イカロスさん」

「おいしいですわ」

「おいしいです」

「とってもおいしいです!」

「えっと、その……」

 

 絶賛の嵐! 嬉しい気持ちや恥ずかしい気持ちが混ざり合って、こんがらがってるイカロスも可愛いよ!

 

「そういえば昨日から聞こうと思っていたのだけれど、貴女ってロボットなのに食べても平気なの?」

「はい、食べた物は全て私のエネルギーに変換されるので、その点は問題ありません」

 

 あ、俺もソレ気になってたんだよ。エンジェロイドの体って一体どうなってやがるんだ? 細かい事気にしたら負けなのかもしれないけど、原作でもそこら辺説明されてないからちょっと興味が湧くよな。

 

「エンジェロイドねぇ……。詳しく知りたいし、その内貴女の体を調べさせてもらってもいいかしら?」

「はい、構いません」

 

 あんまり期待はしないけど、何か分かればいいかなってくらいには期待してもいいかもな。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 お茶会の後は悪魔としての活動をする事になり、イッセーの使い魔(?)であるイカロスはイッセーの仕事を手伝う事になったが、今日のところは悪魔召喚のチラシを投函するだけだったので簡単に終わった。

 ……どうやって投函したかって? エンジェロイドの能力を活かせば、高速で飛びながらすれ違いざまに目的の家のポストに投函するくらいワケないのさ。

 

 さて、時刻はまさにウシミツ・アワー! 特に何かがあるワケじゃあないが、なんとなく屋根に登って月を眺めています。

 

「暇だ」

 

 これから原作三巻、聖剣関連のお話が始まるというのに、俺は何をしているんだろうか。ふむ、暇を持て余してるし、どっかの山で特訓でもするか。なに、マッハ24で飛べるんだから移動は一瞬さ。

 

 

 

 はい、やってきましたどっかの山! こんな時間に来る馬鹿は俺くらいだろうし、特訓にはもってこいだな。戻る時は鎖の反応を頼りにすればいいし、帰りも迷う事なんてないからな?

 アルテミスはスイカの害虫駆除で使ってるから実験する必要無し。イージスも使い魔の森で、害獣から身を守る時に展開したから実験の必要無し。アポロンは原作の設定的に、山一つどころか都市が一つ消し飛ぶかもしれないから実験不可能。ウラヌスシステムは論外。あんな機動兵器みたいなのを使えるワケないでしょーが。

 そうなると今出来る事は…………この体がどれ程のポテンシャルがあるのか、実際に動いてみるくらいしか無いか。

 

「うし、いっちょやってみっか!」

 

 そういや俺が表に出てる時って、フツーに笑ったり出来るんだよな。笑顔っつっても良い笑顔じゃなくてイイ(・・)笑顔、つまりオリジナル笑顔になっちまうんだけどな……。ま、いっか。

 

 この体の力は可変ウィングの稼働率と大体比例関係にある。要は稼働率を高めれば高める程力が強くなっていくって事だ。試しに一割からいってみっか。……おお、この体の奥から来る力は!

 

「ふぉぉぉぉ! みwなwぎwっwてwきwたwww!! ッセイ!!」

 

 勢いのまま正拳突きをすると、5m程先にあった木が弾けた。うむ、実に見事な破裂っぷりであった……つーか破裂って何よ。

 

「えぇぇぇ……?」

 

 こ、これはひどい。特訓どころじゃねぇや。仕方ない、稼働率は抑え目でやるしかないか。自分自身の力で壊れないように、強度だけはあるからな。

 

「フッ、ハッ!」

 

 あ、頑張ればオラオララッシュ出来かも! 足で地面を握るように意識、体幹を固定して左右の拳を交互に高速で乱打!

 

「た、楽しい……!!」

 

 一頻(ひとしき)りラッシュをやりまくった後で、俺はある事に気付いてしまったのです。この町に、コカビエルがやって来る事を! 実にイイ感じのサンドバッグになりそうです。

 そうと決まれば、空を縦横無尽に飛び回れるようにならないとな!

 グヘヘ、俄然楽しみになってきたぜ!!

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