機械天使はマジ天使   作:邪神使いさん

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月光校庭のエクスカリバー
第四話


 最初はね? 出来心だったんだよ。だけどさ……。

 

「ハハハハハハハ!! おかしくって腹痛いわぁ~。退屈で退屈で仕方ないからァ~? 戦争を起こすゥ~? アーハハハハハハ!! イッヒヒヒハハハハ!! 五対十枚の羽根を持つ堕天使の幹部がッ、そんなバカデケェ事ほざいておきながらッ、たった一対二枚の羽しか持たない俺に倒されるなんて…………ねぇどんな気持ち? ねぇねぇどんな気持ちィィィイヒヒハハハハ!!」

 

 コカビエルさんがあまりにもテンプレな悪役してくれちゃったもんだから、何でか張り合っちゃったんだよね。

 

「アレは……何なの……?」

 

 イカロスしか知らないリアス達の反応は……まあ、そうなるな。

 

 

 

 あぁ、そろそろ現実逃避はやめようか……。

 

 

 

 あぁぁぁ!!!! やっちまったよぉぉぉぉ!? ちょっとボコせればいいかな~って思ってたのに!? 何してんだイッセー、早く止めてくれよ!? グ、クソッ、この際ヴァーリでもいい! 乱入はよ、はよ!! …………もう泣きたい。

 

 

 

 マジでどうしてこうなった。いきなりこんな所から話し始めても分からんだろうし、少し(さかのぼ)ろうか。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 こんにちは、ウラヌスです。あの特訓のような何かの夜から数日が経ち、ずっと家で家事ばっかりをさせるワケにはいかないって事で、イカロスが働く事になりました。

 別にフツーに学校に通ってもいいかなーとは思ったけど、大変珍しい事にイカロス自身が使い魔として動きづらくなるからと言って、通学を辞退したのだ!

 

 そんな経緯があって落ち着いたのは、駒王学園の購買のバイトだ。色んな意味で近すぎず遠すぎず、それに仕事に拘束され過ぎない……なかなかイイ感じのバイトだと思わないか?

 最初は接客以前に働けるのかと不安になったけど、丁寧かつ真摯な接客態度とマジ天使な見た目から、初日にして学園の生徒や先生はもちろん、一緒に働くオバちゃんからも気に入られたのだ! イカロスマジ天使!

 

 そうそう、イカロスの翼の事を忘れる所だった。流石に隠し通すのは無理だったから、初日から最小化せずに翼全開で行ったら案の定驚かれたけど、逆にそれが良かったんだろうね。オバちゃんはいたく気に入って、『天使のいる購買』なんて宣伝文句で客引きを始める始末だ。恐るべしオバちゃんパワー……!

 

 つかフツー翼の生えた人なんか居ないし、もっとアレな反応が返ってくるかと思ったのにな……。やだ、駒王学園(ココ)の人達順応性高過ぎ!?

 

「それじゃあイカロスちゃん、今日も頼むよ!」

「はい、頑張ります」

 

 そういう事で、今日も今日とて『天使の購買』は絶賛営業中であります!

 

「イカロスちゃーん! サンドイッチちょーだい!」

「なっ、テメェ、割り込んでんじゃねぇよ!」

「アンタら邪魔よ! 私が先なんだから!」

「物はありますから、喧嘩をしないで、ちゃんと並んでください」

『はーい!』

 

 生徒達の押し合い()し合いで混乱した所をイカロスの一声で一瞬の内に収めてしまうのも、たった数日で見慣れた光景となっちまった。

 

 ……てゆーか君たち、イカロスに注意されるためにワザとやってない?

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

「あそこまで人気が出るなんて、正直予想外だったわ……」

 

 夜の食卓にて、リアスが関心するように呟いた。俺もその点は予想外でした。

 

「ホントにそうッスよ。昼休みにアーシアと一緒にイカロスの様子を見に行ったんですけど、購買に近付くのすらやっとだったんですよ!」

「本当に凄い人だかりでした……」

 

 あぁ、そういや視界の端に二人が居たような気がしなくもなくなくなかったっけ。

 

「えっと……はい。この仕事を紹介して頂いて、ありがとうございます」

「どういたしまして。でも、ここまで人気を得たのはイカロス、貴女自身の実力よ。それは誇っていい事だし、紹介した私も誇らしいわ」

 

 もうべた褒めである。イカロスは俺の誇りだから、褒められて当然だけどな!

 

「イッセーの使い魔じゃなかったら私の眷属に誘ってる程よ。どう? イッセーの使い魔から私の眷属にならない?」

「ぶ、部長!?」

 

 なるへそ、鞍替えッスか。だがしかぁし! イカロスはそこまで尻軽じゃあないんだよねぇ! ……エンジェロイドが眷属化したらどうなるか、興味はあるけどね。

 

(気持ちは嬉しいけど、こういうのって簡単に変えちゃいけない事だよね。……うん、断ろう)

 

「申し訳ありません。私のマスターは、マスターだけなので……」

「あら残念、断られちゃったわ」

 

 全然残念がって無いじゃないスか! 最初から断られる事前提だったんスね。

 

「さて、話は変わるけど、明日のオカルト研究部の活動はここで行うわよ」

 

 来たか! もうそろそろだとは思っていたが、明日から始まるのか。七つに分かれた聖剣エクスカリバー。その内の三本が奪われた事から発展していく事件……なのか? まあ細かい事は俺が考える必要は無いか。

 とにかく、俺とイカロスが関わる原作がどうなるかは分からんが、全てが明日から始まるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 ここに来てから夜寝る時は部屋の数の都合上、リアスの部屋とアーシアの部屋を日替わりで使わせてもらってるんだが、増築はまだですかねぇ。

 

「ねえ、イカロス」

 

 布団に入ってこれから寝るってところで、リアスから話し掛けられた。

 

「何でしょう?」

「少し、話さない?」

 

 なんだ? 変な感じもしないし、特に重要な話でもなさそうだけど……。

 

「はい、何について話しましょうか?」

「それは貴女のマスター、イッセーについてよ」

 

 イッセーについて何を話すってんだ? 別に話す事なんて……無いよな? ……ハッ! もしや夜這いをするのか!?

 

「単刀直入に聞くわ。イッセーが貴女と出会った次の日辺りから様子がおかしいの。何か知ってる? 知ってたらどんな細かい事でもいいから、教えて頂戴?」

 

 出会った次の日から…………あっ……。スイマセン、ソレ俺のせいかもしんない……。

 

「……いえ、特にこれといった事は……」

「そう、よね……。まだイッセーについて知らない事ばかりでしょうし、変な事を聞いたわね」

「あの、様子がおかしいって、どんな風にですか?」

 

 おや、気にするとは珍し……くは無いか。い ち お う、マスターだもんな。

 

「そうねぇ……ふと目を離すと何かを考え込んでたり、寝不足なのかもしれないけれど、とっても眠そうなのよね」

 

 はい? それは俺も心当たりが無いザンス。

 

(何か悩んでるのかな……? ちょっと心配……)

 

「分かりました。それとなく、聞いてみます」

「お願いね。アーシアも気付いちゃってるみたいだし、早めに何とかしてあげないといけないわね。私の方でも話を聞いてみるわ。何か分かったら教えて頂戴ね」

「はい」

 

 うーん、分っかんねぇな……。原作のあらすじは覚えてるけど、キャラ一人一人の細かい心情とかは思い出せなくなってるし……この時期にイッセーが悩むような出来事なんてあったか?

 ………………チッ、面倒だ。リアスが寝たら乗り込んでやる。

 

「それじゃあおやすみなさい」

「はい、おやすみなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 やれやれ、やっと寝たか。久々に時間が長く感じたぜ。うし、こっからは俺の時間だ。サッと部屋を抜けて、スルッとイッセーの部屋に滑り込む。慣れたもんだな。

 呑気に寝やがって……。鼻でも摘まんでやろうか?

 

「ん……ウラヌス?」

「イタズラをする前に気付くとは……ツマンネーなぁ」

「えぇぇぇ……」

 

 なんだぁ、今のは。理不尽過ぎるって? 知らんな。つか俺が近付いただけで起きるとか、眠り浅過ぎじゃね?

 

「余計な前置きは置いといてだ。リアスに最近様子が変だって思われてるぞ」

「え? お、俺が?」

 

 ああもう、こっちは無自覚かよ。ドイツもコイツも……! あ、木場は聖剣関連が終わったら制裁だな。

 

「悩みがあるなら聞いてやる、話せ」

「な、悩みって程じゃないんだけどさ……」

 

 歯切れが悪いな。そんなに言いづらい事なのか? 面倒クセぇなぁ、無理矢理吐き出させてやろう。

 

「話さなければ……分かってるな?」

 

 握り拳を一つ用意します。以上。確実に暴力系キャラの印象を与えてる気が…………。少し、抑えようか。

 

「う、わ、分かったよ……! えーっと、その、だな……歌……」

「は?」

 

 何を言い出すかと思えば……歌だぁ?

 

「だから、この前ウラヌスが歌ってくれた子守歌だってば!」

「お、おう。確かに歌ったけど、それがどうかしたのか?」

「なんか、懐かしくってさ……。どんな人だったかは思い出せないんだけど、枕元で子守歌を歌ってくれた人がいたんだ。多分それでかも、な」

 

 ふむ……ってやっぱり俺のせいじゃねーか! 巡り巡って俺の所に帰って来るんじゃねーよ! 俺はイカロスを見ながらニヤニヤしたいだけなんだよ。この精神体で精神的ニート生活をしたいだけなんだよ。

 

「ハァ、仕方のない奴だ。時々で良ければ歌ってやろうではないか」

「マ、マジか!?」

 

 おう!? く、食い付き良すぎだぞ。なんか良く分かんねぇけど、これで問題が解決するならいいか。そうだ、この俺直々に歌ってやるんだ。何か報酬を強請(ねだ)ってもバチは当たらんだろう。

 

「その代わり、何か報酬を貰おう。それぐらいの(ねぎら)いはあってもいいだろう?」

「あ、あぁ、そうだよな。でも報酬って言っても、何がいいんだ?」

「そらおめぇ、センスの見せどころってヤツだろ。まぁ俺はイカロスの陰だから、物を貰っても困るってアドバイスをしておこう」

 

 ん? 難易度上がった気がするぞ? でもイッセーの事だから、きっと俺を満足させてくれるだろう。

 

「……分かった! 今すぐは無理だけど、期待に応えてみせるぜ!」

「うむ、良きに計らえ」

「ははーっ」

 

 尊大な態度の俺と小悪党の様に答えるイッセー。なかなかノリがイイじゃないか。そういや元々は松田と元浜と三人で馬鹿やるくらい、お調子者なんだっけか。

 

「ククク……」

「へへっ……!」

「んじゃまぁ、歌ってやるから横になれ」

「おう」

 

 何だろう、こう……素直に言うことを聞くイッセーを見てると……。

 

「ちょっとした嗜虐心がくすぐられるよな」

「なんでさ」

 

 不満そうなイッセーはほっといて、喉の調子を整えて、と。

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーを寝かしつけてから思ったが、どうしてリアスが夜這いを掛けて来ないんだ!? え、フェニックスの時にホレたんじゃないの?

 それにアーシアもだ。こっちは対抗心が刺激されてないからかもしんないけど、大人しすぎるんだよ。純粋に尊敬してるっつーか、恋愛感情より親愛とか友愛が勝ってる感じ。

 他にも原作と違ってるトコがいくつかあって、なんかモヤモヤする。

 

「そんなアナタにはコレ! 巨大な岩を砕いて、感じているストレスを発散しましょう!」

 

 はい、色々影響が無さそうで出来るだけ大きい岩を、海底からどっかの山に持ってきました。ゴリゴリと動かないように固定して、準備オッケー!

 

「肘を左脇の下から離さぬ心構えでやや内角を狙い、(えぐ)り込むように打つべし! それっ、打つべし打つべし打つべし打つべし!」

 

 眼帯を付けた出っ歯のおやっさんの言う通りに拳を放って、見る見る削れていく岩を見てると、思った以上にスッキリするな!

 

「うぉーっし! 最後は右ストレートで仕舞いだぁ!!」

 

 小さくなった岩を右足で蹴り上げてぇ……!

 

「ハイィ!!」

 

 ジャストミィィィィィィット!!

 

「っしゃオラァ! 最っっ高!!」

 

 コレはクセになる。プチプチなんか目じゃねぇぜ! うし、戻って寝るか!

 

 気になる事はあるけど、どうとでもなるだろう(超楽観視)。

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