機械天使はマジ天使   作:邪神使いさん

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第五話

「これは聖剣だよ」

 

 こんにちは、ウラヌスです。兵藤家にて行われているオカ研の活動はイッセーのアルバムを見る事にシフトし、幼いイッセーと男の子っぽい女の子が写っている写真を見つけました。はい、さっき木場君が言ってましたね。聖剣も一緒に写っちゃってるんですよコレ。

 

 俺と同じく、展開を知っているイカロスが木場を見ていたから気付いたよ。木場の目が妖しく光って、変な気を撒き散らしてんだよ。これが殺気ってヤツなんだろうね。

 

 でも初見でおもちゃの剣にしか見えなかったんだ……よ……ハッ! まさか木場君は聖剣なら何でもいいの!? やだ、木場君見境(みさかい)無さ過ぎ……!? これだから各地でホモ扱いされんだよ!

 

「木場さん」

「ん、なんだいイカロスさん?」

 

 話し掛けられて笑顔で対応しようとしてるけど、笑顔が少し引き()ってるんだよなぁ。

 

「早まらないで、ください」

「っ! …………うん、分かっているよ」

 

 分かってないじゃん。イカロスに心配される事を光栄に思え。そしてイカロスを心配にさせた報いを俺から受けるべし。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 また日が経ち、今日は生徒会との顔合わせをしております。リアスはいつも通り部長席に座って、その後ろに朱乃が控える。他の部員は壁際に立って、イカロスはソファに座ってるお客……眼鏡っ娘とパツキンの男子生徒の二人にお茶を出した後、イッセーの後ろに移動する。

 

 はい、生徒会長さんですね。D×D世界の数少ない眼鏡成分……そのままの君でいてほしいものです。男子? 男の説明なんてしなくていいでしょ。

 

「それでリアス、この『天使』について説明してくれるんでしょうね? 素行や人気の話ではありませんよ? 彼女の評判の良さは学園中から聞こえてきますから」

 

 あのー、面接とかもしたのに、生徒会っつーか悪魔側の会長さんがイカロスの事を把握してないってどういうこっちゃ?

 

「説明も何も、イカロスは使い魔の森に住んでいた使い魔よ」

 

 リアスェ……。冷や汗掻いてるんじゃありませんことよ? 説明して無かったんかい!

 

「初めまして、私はエンジェロイド・タイプα、イカロスと申します」

「……これはご丁寧にどうも。私はこの駒王学園の生徒会長、支取蒼那(しとりそうな)です。それよりも今、エンジェロイドと仰いましたか?」

 

 す、すげー、眼鏡が光ったぞ! マジでキラリって擬音が聞こえてきそうだぜ!

 あ、エンジェロイドの説明の流れはリアス達に説明した時と同じように、イカロスがロボットって事と、ワンオフって事と、一年前の記憶以外無いって事と、加えてイカロスの事を調べるって事を言いました。でもリアスの時以上に鼻息荒く質問してきたのは、ちょっと怖かったです。

 

「ところで気になってたんですけど、なんで生徒会長がここに?」

 

 間が空いた所でイッセーが声を上げる。そういや知らなかったんだっけ。

 

「支取蒼那様の真実のお名前はソーナ・シトリー。上級悪魔シトリー家の次期当主様ですわ」

「なっ」

 

 因みに上級悪魔ってのは……。

 

「シトリー家は、グレモリーやフェニックス同様、『大昔の戦争で生き残った七十二柱(ななじゅうふたはしら)のひとつ』です。この学校は実質グレモリー家が『実権』を握っていますが、『表』の生活では生徒会――つまり、シトリー家に支配を一任しています。分かりやすく言えば、昼と夜の活動を夜はグレモリー家、昼はシトリー家と分担しているのです」

 

 朱乃が全部説明してくれたわ。いやぁ、楽できて助かったぜ。

 

「会長と俺達シトリー眷属の悪魔が日中動き回ってるからこそ、平和な学園生活を送れているんだ」

 

 会長さんの後ろにずっと黙って立ってた男子が喋り出して、イカロスがビックリしてビクッとなった。可愛い。

 

「……あぁ、失念していました。サジ、挨拶を」

 

 忘れられてやんの、ププッ。

 

「何か馬鹿にされた気がする……。っと、俺は生徒会書記兼転生悪魔の匙元士郎(さじげんしろう)。二年生で会長の『兵士(ポーン)』だ」

「おおっ、同学年で同じ『兵士』か!」

 

 イッセーが嬉しそうな声を出すけど、サジはあからさまに残念そうなため息を()く。ある程度知ってたけど、初対面なのに遠慮がねぇなぁ。

 

「俺としては、変態三人組の一人であるお前と同じなんてのが、酷くプライドが傷つくんだけどな……」

 

 クハハ、マジで嫌そうに言いやがるぜ! まあ変態と同じだとか思われれば、そうなるのかもしれんがな。

 

「な、なんだと!」

「お? やるか? こう見えても俺は駒四つ消費の兵士だぜ? 最近悪魔になったばかりだが、兵藤なんぞに負けるかよ」

 

 一触即発じゃないけど、喧嘩になりそうな雰囲気……。いいぞ、もっとやれ。(あお)りは文化だ(違います)。

 

「サジ、お止めなさい」

「し、しかし、会長!」

「今日ここに来たのは、この学園を根城にする上級悪魔同士、最近下僕にした悪魔を紹介し合う為です。イカロスさんという予想外の存在も居ましたが、ね」

「うっ……」

 

 じっとりとした視線を向けられたリアスは(うめ)くけど、報告を怠ったリアスのせいだし自業自得だ。

 

「つまり、貴方と兵藤一誠君とアーシア・アルジェントさんを合わせる為の会合です。私の眷属なら、私に恥をかかせないこと。それに……」

 

 観察するような視線を、今度はイッセーに向ける。もしかして、その視線って素ですか?

 

「サジ、今の貴方では兵藤君には勝てません。フェニックス家の三男を倒したのは彼なのだから。『兵士』の駒を八つ消費したのは、伊達ではないという事です」

「駒八つ!? フェニックスを倒したのがコイツだったなんて……。てっきり木場か姫島先輩が助けたモンだと……」

 

 目元が引き攣ってますよ。学園中から変態変態言われてる奴が、冥界で不死身で知られてるフェニックスを倒した事が信じられないってのは、分からなくはないけど。

 

 あ、忘れてたけど、この世界は俺とイカロスみたいな神様に転生させてもらうんじゃなくて、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)っつーチェスの駒の形をしたアイテムを使って、転生悪魔にするんだよ。多分オカ研の殆どが死にかけ、もしくは死んだ後に使われてんじゃなかったっけ?

 

 んで悪魔の駒(イーヴィル・ピース)はまんまチェスの駒と同じ数と役割を持ってて、ここに居る奴を参考に言えばリアスやシトリーは駒自体は存在しないが『(キング)』として扱われ、朱乃はあらゆる能力が高い『女王(クイーン)』の駒、アーシアは魔力運用に()けた『僧侶(ビショップ)』の駒、小猫は攻撃力と防御力が桁外れの『戦車(ルーク)』の駒、木場は素早さ(AGI)ガン振りの『騎士(ナイト)』の駒、そしてイッセーとサジは特化はしてないが敵の本拠地に入れば、プロモーションで『(キング)』以外の全ての駒になれる『兵士(ポーン)』の駒で、それぞれ悪魔以外の種族から悪魔に転生している……だっけ。

 

 付け加えると、能力によって転生させるには複数の駒が必要になるんだ。赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)っつー神器(セイクリッド・ギア)の中でも条件が合えば神すら殺せる神滅具(ロンギヌス)のひとつに数えられる、ソシャゲだったらイベントの一位限定のURとかSSR+とかLRとか言われそうなワンオフの神器を宿しているイッセーは、いち悪魔が持てる『兵士(ポーン)』の駒八つ全部を消費してやっと転生出来るレベルなんだってさ。もし妖怪いち足りないとか出てたら物語始まって無かったんだぜ? サジ? そういや駒四つっつってたな。黒龍だったか、そんな感じのドラゴン系の神器を宿してたハズだよ?

 

 で、意識を戻すと、会長さんがイッセーとアーシアに頭を下げていた。

 

「ごめんなさい、兵藤一誠君、アーシア・アルジェントさん。うちの眷属は貴方よりも実績がないので、失礼な部分が多いのです。よろしければ同じ新人悪魔同士、仲良くしてあげてください。イカロスさんも、これから接する機会が多くなりそうですし、よろしくお願いします」

 

 そう言って笑う会長さん。うーん、やっぱ可愛いわ。

 

「サジ」

「え、は、はい! ……よろしく」

 

 イッセーを噂話でしか聞いた事無いから、変態ってイメージが強いせいか、渋々って感じで挨拶をしやがる。せめて外面(そとづら)(よそお)うくらいしようぜ。

 

「はい、よろしくお願いします!」

「よろしくお願いします」

 

 アーシアとイカロスのダブル天使から挨拶されるとか裏山。後で体育館裏に呼び出したいわー。……体無いけど。

 

「アーシアさんやイカロスさんなら大歓迎だよ!」

 

 イッセーの時とは百八十度違う態度で、近付いて二人の手を取って握手をする。天使だろうが可愛ければいいのか! ……あっ、別にいいのか。

 

「うわああああ!? 匙君! 俺の事もよろしくね!! つーか、イカロスとアーシアに手を出したらマジ殺すからね、匙君!」

 

 なんか知らんが、焦ったイッセーがサジの手を無理矢理離して握手する。イカロスの事をチラチラ見てくるけど、どうしたのだ?

 

「うんうん、よろしくね、、兵藤クン! 金髪美少女を独り占めとか、本当に鬼畜なエロ魔人だね! 天罰でも落ちないかな! 爆発すればいいのにね!」

「うっさいわ! 下手したら俺が殺されんだよ……!」

 

 ん? もしかして俺を見てんのか。別に握手くらいどってことないだろ。現に購買で働いてる時にお釣り渡したりすれば、手が触れたりするしな。

 

「チッ、俺んところの生徒会メンバーは、お前のところよりも強いんだからな」

 

 力比べに飽きたのか、手を離す二人。

 そんな二人を呆れた目で見ていた会長さんは、改めてイカロスが出した紅茶を飲んでから口を開く。

 

「私はこの学園を愛しています。生徒会の仕事もやりがいのあるものだと思っています。ですから、学園の平和を乱す者は人間であろうとなかろうと許しません。それはこの場に居る全員にも当てはまる事です」

 

 真面目だねぇ。だからこそ結構好きな人なんだけど。

 

「お互いの新人紹介はこれくらいで十分でしょう。では、私達はこれで失礼します。まだまだ生徒会の仕事がありますので」

 

 しっかりと紅茶を飲み干してから部室を後にしようと立ち上がった会長さんにイッセーが声を掛けた。

 

「会長……じゃなかった、ソーナ・シトリー……さま! これからもよろしくお願いします!」

「よ、よろしくお願いします!」

「よろしくお願いします」

 

 イッセーの言葉に続いて頭を下げる天使二人。

 

「えぇ、よろしくお願いします」

 

 会長さんは少し目を丸くしてから微笑んで言葉を返すと、リアスを見て不敵に笑う。

 

「球技大会が楽しみね」

「えぇ、本当に」

 

 そういやもうそろそろだったな。確かテニヌとかすんだっけ? とかくだんねーコト考えてたっけ、会長さんは帰っちゃいましたよ。

 

「イッセー、アーシア、イカロス。三人とも匙君と仲良くね。他の生徒会メンバーともいずれ悪魔として会う事になるでしょうけど、同じ学び舎で過ごす者同士、喧嘩はダメよ?」

「はい!」

 

 リアスの言うことに元気よく返事をするイッセーだが、ケンカに発展しそうな事態になりそうなのはお前くらいだぞ。

 

 あと、木場は一言も喋らずにボーっとしてて、それを小猫とイカロスが心配そうに見てましたよ。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 悪いが球技大会は省かせてもらおう。何でかって? 何も無かったからだよ!! イカロスが『天使の購買』の校庭での出張販売で、ずっと人に囲まれてたから、リアス達の様子が分からなかったんだよ。

 あ、でも木場がリアスに平手を食らってた所は見ましたがね。聖剣の事で頭がいっぱいで、ずーっと(うわ)の空だったんでしょ。

 

 さて、今は深夜、外は土砂降りの雨だ。そして全員が寝静まっている。イカロスは木場を心配して遅くまで起きていたがな。

 時間は分からんが、木場が傘も差さずに外を歩いてる中、フリードとかいうマジキチ神父と遭遇する筈だ。もう遅いかもしれんが、様子を見に行こうと思う。

 

 てなワケで俺は家を抜け出して、外に飛び出す。翼が雨水を吸って重くなるが、飛べない程ではない。エンジェロイドの視界は、雨が降っていようがいまいが関係ないってのは助かるね。

 高く高く飛んで町中を見下ろす形で探す。十分程探して、なかなか見つからないから諦めて帰ろうとしたその時、視界の端で火花が散るのが見えた。

 

「見ぃつっけたっ!」

 

 深夜だったけど、見つかって良かったぜ。あれはてっきり夜七時とか八時辺りだと思ってたが、まさかのまさかだったよ。

 

 さぁて、木場が見つかった事だし、制裁を加えに行きますか。雨なんかカンケーねぇ! 行くぜ! 可変ウィングフル展開! 稼働率は保険も込みで二割五分――25%で!

 

「スクランブル・ダーッシュ!」

 

 ちと古かったかな?

 

 次の瞬間俺は、木場とマジキチ神父の間に降り立っていた。ポーズはもちろんT―2000で。

 おや、先程までいがみ合っていたのに、唖然としちゃってますね。今度はレ級さんの『右手で』敬礼のポーズとマジキチ笑顔(スマイル)で!

 

「チーッス」

「」

 

 木場くんは剣を構えるのも忘れて唖然――おおっと、先に復帰したのはフリードくんだぁ! え、なに、無言で切りかかってくんの!? こわっ!

 

 フリードが異常な速度で剣を振り下ろしてくるが関係ないね! 左手の人差し指と中指で真剣白刃取りぃ!! 決まったぜ……。俺、カッコイイ!

 

「いやマジスンマセンあやまるんでゆるしてちょ?」

「は? お前マジなんなの? 俺っちは今からこのクソ悪魔くんを聖剣ちゃんでブッコロコロするトコだったんスよ。邪魔しないでおくんなましィ!」

 

 素早く剣を引き戻してまた振り下ろす。

 ふむ、なかなかの速度だ。だが……!

 

「速さが足りない!」

 

 右手でそっと剣の腹を押すだけで()れて、道路を砕く。そんでもって俺の翼がやっと視界に入ったのか、思わずといった感じで声を上げる。

 

「げえっ、天使!!」

 

 誰も銅鑼なんざ鳴らしとらんわ!!

 

「秘技! (無言の腹パン)」

「グェ!?」

 

 お、聖剣落とした。もーらい!

 

「あ、返せこのっ!」

 

 んー、中途半端に合体してるなぁ。もしかして全部の聖剣を合成させる前の実験なのか? 何とかして取れたりしないk――

 

「「「あっ」」」

 

 俺達の心がひとつになった瞬間であった。じゃなくて、俺が握ったらバラバラになっちゃったんだよ。

 無理矢理合成してたせいか、因子やらを持たない俺が持ったせいかは知らんけど三本に分かれたんで、幻惑とか見せる面倒くさい夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)だけ取り上げとこ。天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)は……まぁいいか。

 

「はい、残りの二本」

「あ、どうも」

 

 いつも思うけど、素直なのはイイ事だよね。もしかしてフリードって頭がハジケてるだけで、結構イイ奴なんじゃないか?

 

「どうする? もっかい腹パン食らっとく?」

「いやぁ、天使サマと戦うだなんて、そんな畏れ多いこと…………出来るんだなァ!!」

 

 今度は二刀流ッスか。ヒョイヒョイっと体を左右に振るだけで避ける。

 あ、髪黒く染めてみる? ビーターになれるかもよ?

 

「なっ!? 避けんなクソッタレ! どりゃ!」

「だぁれがクソッタレだ! 体は天使なんだぞ! 体は!! セイヤァッ!」

 

 二本同時に振り下ろしてきたんで、右手に持った夢幻の聖剣で受けて、軸足じゃない左足をフリードの腹にブチ込みそのまま押し出すと、力が強すぎたのか吹っ飛ぶ。

 

「おう、まだやるか……って居ねぇし」

 

 逃げ足だけは早い事早い事。不利を悟って吹っ飛んだ勢いを利用して天閃の聖剣で更に加速、透明の聖剣で不可視化して逃げやがった。

 チッ、この場に居ねぇ奴の事なんか放っとくに限る。

 さて木場クン。楽しい楽しいO☆HA☆NA☆SIの時間だよ?











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