腕が千切れた反動で、体が飛んだ。
地面から空へ、そして地面へ、瓦礫へ瓦礫へ。
なんどかバウンドして、ようやく勢いが収まってきた。最後の反動を利用して立つ。
左足は擦り切れていたので、地面に刺さって立ちやすかった。
体からは急速に血が流れ出ている。
左の膝から下がなくなって、左腕は手首から先がなく、肘からは伸びきった皮の隙間から骨が見えていた。
ドアノッカーと呼ばれる大型拳銃の良いところは、そのリロードのしやすさだ。
ドアノッカーのトリガーの下にある、リロードトリガーを引く。中折れ式の単発銃のため、空薬莢が一つだけ宙に舞った。
口に咥えた銃弾をドアノッカーへ捩じ込み、中折れを畳む。
ジュゥゥゥゥ
右頬が銃身の熱で焼け爛れ、構えると同時に焼けた頬の肉が剥がれる。
目の前で、ムカデが丸まって死んでいる。
そんな錯覚をしてしまうほど、刺々しい戦車が一両、いまだ健在だ。
ザッ グジュ ザッ グジュ
左右の足音が違う。
視界もガクンガクンと揺れる。
なのに、銃口だけは一ミリのブレもなく。
ふと、戦車から人が這い出てきた。それも床からだ。
「化け物ども!ああ!死にたく――」
ゴキンッ
そんな、発砲音とともに、ソイツの頭がなくなった。
撃ったのは俺じゃない。が、誰でもいい。
みんな同じ考えなのだろう、百足の死骸に群がる蟻のように、俺たちは戦車の装甲へ銃口を押し当て、引き金を引いた。
ランタンを消すことに躊躇はなく、しかし、消した直後に現れる深い闇のような絶望。
「あ…ああ…うあああああ…」
絞りでるように出た音が、俺の声だとは思えなかった。
いま、俺の体には足りないものが多すぎた。
左腕がない、足がない、内臓がない、血がない、皮膚がない。
涙を流すことも、痛覚すら失っていることにも気づかずにいた。
「イーヴァン…」
声をかけられた。
片目のどちからがなくなっていることに、初めて気がついた。
だが、返答などできるはずもなく、眼球だけギョロギョロ
「ごめん…ごめんな…ごめんな」
なにを謝られているのか、誰に謝られているのか、わからない。
わからないまま、死ぬ…。
嘘だろ…、それは、ダメだろ!
「うあ…ぁ…」
わからないまま、死んでいくなんて、そんなの、そんなの――
「イーヴァン!?」
仰向けにさせられ、声の主を見ることができた。
そっか、ランデルか…。
コイツなら、あぁ、俺が死ぬことも自分のせいにするだろうな…。
そっか、あぁ、俺、死ぬんだ。
そっか。
俺は、笑えていただろうか。
ゆっくりと、まぶたを閉じて、深い闇へと落ちていく。
生理的不安感を煽りたかったんですが、まったくできませんした。なんてこったい。
以下、本編没案
①
不意に風を感じて、俺は目を開けた。
「え?」
慌てて目を閉じる。そして、もう一度だけ開けてみた。
――水だ。視界の全てが水で、もう半分は空だった。
轟々と耳元で暴れる風切り音を聞きながら、これは落下しているのだと教えてくれた。
「なっぶぅぅえお」
喋ろうとして、吐いた空気が押し戻される。
これはきっと、地獄へいく風景なのだろうと諦めて、俺はもう一度まぶたを閉じた。
「…………ゲソ?」
②こらはきっと、地獄へいく風景なのだろうと諦めて、俺はもう一度まぶたを閉じた。
箒「ちょ、あれ人間!!?」
一夏「嘘だろー!!!」
③あたーらしーいーあーさーがーきたー
…間の抜けた音楽が聞こえたと思って、恐る恐る目を開けると…すげぇ服装の男たちが立っていた。
いや、後ろには女の子もいる。
「な…なに、ここ?」
部屋を見渡せば、すげぇ綺麗な内装である。
昔手術を受けた病院よりは絶対に綺麗だった。
「新しい人? えっと、日本語大丈夫?」
「日本…え?なに?」
「お、通じた。俺は玄野計。時間がないから、とりあえずこれ持って、動かないようにお願いするよ。あとで説明するからさ、絶対!」
言い訳
①考えた瞬間「いやいやいや(でも面白そうじゃねーか)」となって処分しました。
②彼専用のIS<ブルーランタン>くらいは考えてふと気づいたんだけど、思えばIS読んだことも観たこともねぇやwって処分しました。
③流れ的には嫌いじゃないけど、ガンツ自体が話がふわふわしてて好きになれなかったので…。あ、大阪編と鬼編は好きですよ。でも弟とか吸血鬼とか、ちゃんと回収してほしかったので処分しました。