黒い長髪、青い目で尚且つ白いワンピースに水色のガーディガンを羽織った15歳前後の少女が、里を後にして博麗神社へと向かっていた。
左手には袋、右手には何かが書かれた紙。
「…おつかいってさ、こんなもんだったかなぁ」
曖昧な笑みを浮かべながらそうぼやいている。
この年齢になってまでそういう扱いを受けるとは思っていなかったのか、それとも不本意なのか…。
「まぁ、いいんだけどね。ここにきてから女子力あがったし」
嬉しそうにそう呟く。
それから数十分。階段を空を飛ぶ要領で飛ばし、境内に入る。
入るなり見えるのは掃除しているフリをする紅白の巫女服を着た少女こと博麗霊夢。
「…ねぇ、霊夢。面倒くさいと言うわりにはそこは掃除するんだね?」
「うっさいわね。こうでもしてないとうるさい奴がいるから仕方ないでしょう」
思わず苦笑いを浮かべながらつっこく久遠に、半眼で久遠を見つめる霊夢。
「大変だね、霊夢も。…ところで霊夢、霖之助さんから聞いたんだけどさ、私用の巫女服作ったんだって?」
袋を置きに行き、縁側に座ると霊夢の方へと顔を向け、困ったような表情をする。
「あら、やっぱり香霖堂に行く機会があるからバレてしまうのね。ええ、そうよ。んで、お金とそれとを交換してくれたかしら?」
ニコニコ、と笑みを浮かべながら久遠の前に立つ霊夢。
どうやらこうなるのが分かっていたらしい。
「…おかげさまでね。っていうかなんで私が…。あといつ着るの?巫女服って」
苦笑しながら、座っているため顔をあげて、霊夢の顔を見る。
「今着ればいいんじゃないかしら?ほら、あんたも博麗の巫女に……」
「いや、私はあなたみたいに博麗の血は流れてないし。普通の人間だし」
企んでいるような表情を浮かべ、その表情でずっと言っているが、その言葉を遮るように言う久遠。
正論を言われて面倒になったのか、中に入っていく。
(仕方ないか…)
そう思い、久遠は袋を再度持ってあとを追うように入っていく。
だからってこういう扱いはないよな、と久遠は思いながら買った荷物をしまった。
終えるとふぅ…、とため息をつく。
「外の世界じゃこれはコスプレ、だよなぁ…」
霊夢、と言う少女が着ている巫女服と同じ服のみを手にしたまま、そう独り言を言う。
当の本人はどうやら境内で魔理沙と話をしているようだった。
「……。自分の部屋にあるタンスに入れるだけ入れるかな」
やれやれ、と苦笑しながらぼやくと自分の部屋と決めてもらった部屋へとその服を持って向かう。
それから暫くして、自室で本を読んでいると障子の向こうから声がかけられた。
「あんた、明日は暇なんでしょうね?」
その言葉に返答しようとした。
…が、相手がそれを聞く前に入ってきたもんだから、急いでしおりを読んでいる本にはさむ。
「暇だけどさ…同性だからってそんなずけずけ来るかな。もうちょっと外来人なんだから警戒したらどう?」
「でもね、あんた優秀でなかなか使えるから。それにあんた人間だから不安がる心配もなくってね」
呆れ顔を向け、話したつもりなんだけど…と、久遠が思いながら口元をほころばしている霊夢。
だからとは言え、警戒すなさすぎではないか?
そう感じてしまうのは無理がなかった。
お試し感覚です。