艦隊これくしょん×トランスフォーマーの二次創作SSです
窓から差し込む日差しが心地よい晴れの日。
風も気持ちが良いし、波も穏やかです。
こんな日は行楽の一つでもしたいのだけど……。
いつ深海棲艦が現れるか分からないのでちょっとした遠出も出来ません。
「吹雪? ぼ~っとして大丈夫?」
「いえ少し考え事を……」
私は思考を目の前の書類に戻そうとすると司令官が立ち上がる。
ん~っと伸びをして大きく息を吐き出す。
「お昼にしようか吹雪?」
司令官の言葉に時計を見やるととっくに正午を過ぎていた。
「そうですね司令官! 今日の日替わり定食はなんでしょうね?」
「確か今日の日替わりは……あっ!」
「どうしました司令官?」
「建造がもうそろそろ終わる時間だ……悪いけどお昼の前に工廠に行こう」
「あうぅ……そう、ですね。 待たせても可愛そうですし行きましょう!」
ぱぱっと新人と顔合わせして、案内ついでに一緒に食堂に行けば良い。
そんな事を考えながら工廠に行く準備をしていました。
――しかし物事は上手く運ばないものです。
突然の爆発音と地面を揺らす衝撃。
私は深海棲艦が攻めてきたのかと思い、焦りました。
「吹雪! 状況の整理と艦隊にいつでも出撃できる準備をさせろ!」
「ハ、ハイ! 司令官!」
私たちは急いで各所に連絡を取り繋ぎます。
「司令官! 第一艦隊出撃準備完了、第二艦隊もいつでも出撃できます」
司令官は各所と連絡を取りながら手で返事をしてくれます。
「了解した。 一応索敵は続けてくれ」
受話器を置き、司令官は一つ息を吐く。
少しばかり安心した表情になりました。
「どうやら爆発は工廠から、基地の周りには敵影は無しとの事だ」
「えっと……じゃあ」
「あぁ多分深海棲艦では……ないな。工廠は開発、建造時以外は火薬類持ち込み厳禁の……」
司令官はまた表情を曇らせました。
「建造された艦娘はどうなった!?」
「……っあ!?」
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工廠の前にまで来たが火の手が上がっている様子はありません。
何らかの音も……聴こえてはこないです。
「吹雪、中を確認する。 フォローを頼む」
「了解です司令官!」
ゆっくりと扉を開けて中を確認します。
中は本当に爆発音の発生源が此処なのかと思うくらい静まり返っていました。
「おかしい……静かすぎる」
司令官は訝しげな顔をします
確かに静かですが音の発生源が別の場所だったという可能性も……。
「吹雪……妖精がいないのはおかしくないか?」
「……っあ!」
確かにいつもなら工廠は妖精が元気に走り回っているはずなのに……。
今は妖精の一人も見当たりません。
「それにあの天井の穴と抉れた地面。音の発生源は間違いなく此処だ」
司令官が指をさした場所。天井には穴、地面には抉れ吹き飛んだ痕がありました。
「まるで隕石でも落ちてきたかのような……」
「吹雪もそう思うか?」
司令官も私と同じ考えのようだ。
あの音と衝撃は隕石が落ちてきたと考えれば納得がいく。
だけれど司令官は今一つ納得しきっていないような顔をしています。
「何か気になる事でも……?」
「……うむ」
司令官は一つ頷いて思案し始める。
司令官が思考の海に入ってしまったので私は辺りをよく見回す。
すると工廠の隅の暗がりに一つ影を見る。
女の子が倒れている!
「あなた! 大丈夫!?」
私は急いで駆け寄って脈と息を調べる。
女の子は意識を失っているが脈も息もしっかりとしていた。
「吹雪、その子は大丈夫か?」
「意識は失ってますが……多分衝撃波で吹き飛ばされたんじゃないでしょうか?」
そうか、と司令官は胸を撫で下ろす。
「吹雪、その子を医務室のベッドに寝かしてきてくれ」
「了解しました!」
司令官はそう私に命じると辺りを見回し大きな声で彼らを呼んだ。
「妖精達よ! 出てきてくれ!」
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「妖精達よ! 出てきてくれ!」
そう呼ぶと彼らがちょこちょこと顔を出し始める。
「どうしたんだ? 君たちが騒いでいないなんて珍しいじゃないか?」
『テートクさん、とてもとても大変なのデス』
妖精達が焦っている。
何か嫌な予感がする……。
「詳しく話してくれないか?」
『モチロンなのデス』
妖精達と話すのは少しコツがいる。
と、言うのも妖精達は子供に近い思考をする。
だから少し遠回りになってもしっかりと話をしていかなければならない。
「まずは、空から何かが落ちてきたのかな?」
『ハイなのデス。空から何か落ちてきてエラくたまげたのデス』
何かが落ちてきたのは間違いなさそうだ。
「では次に、落下物はあそこに落ちたのかな?」
私は抉れた地面を指さして確認する。
すると妖精達がざわつき始める。
『艦娘に落ちたのデス』
「……は?」
今、何と言った?
カンムスに落ちた?
カンムスとは何だ?
新しい兵装か何か?
『テートクさん落ち着くのデス』
「す、すまない……しかし艦娘に落ちたってそんな強度あるのかあの艦娘は?」
『正確には艤装に落ちたのデス』
艤装に落ちた……。
ということは木端微塵だろうな……。
「その艤装は修理できるか?」
『……』
「……?」
妖精達は再度ざわつき始める。
「どうしたんだ?」
『あれデス』
妖精の一人が指さす方向を見やると艤装の主機が無造作に置いてあった。
形から察するに吹雪の物と同型の艤装に見える。
「あの艤装がどうかしたのか?」
『……あの艤装に落ちたのデス』
「……はぃ?」
いや、いやいや。
おかしい。
あの艤装は木端微塵どころか傷一つない。
工廠の天井に穴をブチ開けてなお地面を抉る威力のある物体が落ちたのだぞ?
なのに傷一つない艤装なんて……
大和戦艦の物ならともかく私の見立てではあの艤装は吹雪型駆逐艦の物だ。
駆逐艦の艤装の装甲がこの威力に耐えうる物なら深海棲艦との戦いは幾分も楽だろう。
「……もしかしてからかっているのか?」
『遊びじゃないデス』
「……そうかぁ」
妖精は悪戯好きなモノが多いのでもしかしたら私を謀っているのではないかと思ったけど……。
妖精達はどうやら真剣な様だ。
悪戯だったらどんなに気が楽だったか。
「この艤装がねぇ……」
『気を付けてくださいデス』
艤装をよく観察する。
うむ、吹雪型の物でまず間違いなさそうだ。
傷一つない、真新しい艤装。
私が見ても誰の物かは分からないが……。
?
何かマークがある。
人の顔を模したようなマーク。
吹雪型の艤装にあんなマーク付いていたか?
もしかして吹雪型じゃないのか?
「そう言えば完成した艦娘は誰だったの?」
『……磯波ちゃんのハズだったデス』
「磯波。確か吹雪型の九番艦だったかしら……ハズだった?」
なにか、途轍もなく。
イヤぁな予感が……。
「それはやっぱり隕石? の所為で磯波は天に召されたって事かしら?」
『多分磯波ちゃんじゃなくなったのデス』
あぁ、もう面倒事確定しているじゃないか……。
胃がキリキリと痛む。
「どう言う事か教えてくれる?」
『エーと、落ちてきたモノの中に何か入っていたのデス』
「何か?」
『何が入っていたかはワカラないデス』
もしかして隕石ではないのか?
新開発の兵器……?
いや、軍施設に試し撃ちするとは考えにくい。
では嫌軍派の連中、もしくは新型の深海棲艦。
『磯波ちゃんと何かがぶつかった拍子に混ざったのデス』
「そう、混ざったねぇ……はぃ?」
『磯波ちゃんと何か中身がグチャグチャに混ざったのデス』
混ざった?
マズいぞ。
あの磯波ちゃんの中に何かが潜んでるんだとすれば吹雪が危ない。
私はすぐさま吹雪に連絡を入れる。
ツーツーと音が受話器内で鳴る。
お願いだ吹雪。
早く、早く出てくれ。
ガチャと音が鳴り、いつもの頑張り屋の声が聞こえてくる。
「司令官? 此方からも連絡しようと思ったところだったんですよ~」
「吹雪! 先ほどの艦娘はどうした?」
「えっと? それがちょっと大変な事になってて……そっちにこの子艤装ありますか?」
「艤装はあるが……」
『テートクさん!』
吹雪の質問に、妖精の慌てた声に、そして異様な気配に。
私は艤装の方を見る。
それは、動いていた。シャキシャキと不気味な金属音を上げて。
それは、生きていた。ドクンドクンと脈動をしながら。
それは、何だろう?
おおよそ今までの人生の中では見たことのないモノだった。
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「ふぅ……重かった~」
艦娘とは言え人一人を運ぶのは結構な労力です。
さて、医務室まで運んだのは良いけどこの後どうしましょうか?
「うーん、この子が起きるのを待つべきかそれとも司令官の所に戻るか……」
そう言えばこの子は誰なのだろうか?
艦娘なのは間違いなさそうだけど……
何か少し変に感じる。
艦娘の様な違うような……?
違和感の正体は分からないけど何かこの子からはズレみたいなモノを感じる。
「もしかして隕石にエイリアンが詰まっていたとか……?」
……怖い想像をしてしまった。
もしエイリアンだったら艦娘は勝てるだろうか……?
そんな事を考えているとベッドの上の少女がゆっくりと目を開ける。
あぁ、エイリアンだったらどうしよう?
馬鹿な事を考えながらコミュニケーションを取ることにする。
「だ、大丈夫?」
「……ぁ」
「あなた名前は? 何型の何番艦?」
「……いそ、なみ」
どうやら彼女は吹雪型駆逐艦九番艦の磯波ちゃんのようだ。
あまりにも希薄な返事に一瞬本当にエイリアン!?
とか考えてしまったがこの症状には思い当たる節があった。
「もしかしてあなた同期が取れてないの?」
「……ぅぅ」
小さく頷いて肯定する磯波ちゃん。
やはりそうか。
隕石の所為で艤装と肉体の同期が取れなかったんだ。
だから必要な知識とか記憶とかが欠如している。
そうと分かれば司令官に連絡しないと。
多分まだ工廠にいるだろうから磯波ちゃんの艤装があるか聞かないと……
携帯電話を取り出すと司令官から連絡が来る。
なんて良いタイミングだろう。
やはり私と司令官は相性バッチリ何でしょうか?
そんな事を考えながら電話に出る。
「司令官? 此方からも連絡しようと思ったところだったんですよ~」
「吹雪! 先ほどの艦娘はどうした?」
「えっと? それがちょっと大変な事になってて……そっちにこの子艤装ありますか?」
「艤装はあるが……」
司令官の声が遠ざかる。
何度も呼びかけても返事がない。
慌ただしい音だけが電話内に響く。
その中に電話が切れる。
何が起きている?
「くる!!」
「っ!?」
いきなり声を上げて起きあがった艦娘にビックリしてしまった。
何故いきなり起きあがったのだ?
「ちょ、ちょっとどうしたの? 来るって何が!?」
「わたし!!」
マズい。
磯波ちゃんが医務室を飛び出した。
司令官の所にも行かなきゃいけないのに手間をかけさせないで欲しい!
「もう! なんなの!!」
私も後を追って医務室を飛び出す。
廊下を見渡すと磯波ちゃんはすぐ近くで止まっていた。
両手を広げて飛びかかってくるソレを受けとめようとしている。
――私は息を飲んだ。
ソレは大型の獣くらいの大きさの機械だった。
いや、機械なのだろうか?
金属で出来た生命体だと思える精緻な動き。
金属がそのように動くのが当たり前だと言わんばかりの躍動感。
ソレは動物的なモーメントで
ソレは野性的なアクションで
ソレは機械的な大口を開いて
――磯波ちゃんを飲み込んだ。
ハーメルンを使うの初なので色々不安。
とりあえず一話ですがプロローグでも良かったですね。
正式なタイトルは後日考えます。
いつもタイトルで凄く悩むんだよなぁ……