艦隊これくしょん×トランスフォーマー   作:ラットル先生

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トランスフォーマー陣営の呼称は
サイバトロンとデストロンを使います。


【第二話】宇宙からの来訪者 その2

 目の前が真っ暗だ……。

 

 

 

 目を閉じているのだから当たり前だ。

 うぅ……磯波ちゃんはどうなってしまったのだろう?

 目を開けたらスプラッタな光景が広がっているのだろうか?

 

 いや、それよりも恐ろしいのがあの機械が私を食べに来てないだろうか?

 

 私はゆっくりと目を開ける。

 徐々に光が差し込み、色が鮮明に映る。

 

 

「あ、あの……大丈夫ですか?」

「え? ……あっ」

 

 磯波ちゃんが此方を覗き込んでいた。

 辺りを見回すが先ほどの機械の化け物はいなくなっている。

 幻覚? そんな馬鹿な。

 

「磯波ちゃんは大丈夫だった?」

「え、えっと……はい」

 

 要領を得ないがしっかりと受け答えをしてくれる磯波ちゃん。

 そう言えばいつの間にか艤装を背負っている。

 同期が完了したのか先ほどの希薄さは一切なくなっている。

 もしかして化け物は艤装で追い払った、もしくはやっつけちゃったのだろうか?

 

「さっきの機械の化け物はどうなったの?」

「え、えーっと……そ、それは……」

「アンタの艤装の中だよね?」

「し、司令官!?」

 

 唐突に現れた司令官は軍刀を磯波ちゃんの首元に宛がいます。

 もう何が何だか理解がさっぱり追いつきません。

 

「アンタは何者で何が目的だ? 首と身体がサヨナラしたくなければ答えて貰おうか?」

「ひゃ、ひゃい!?」

 

 司令官が冷徹に言い放つと半泣きの磯波(?)ちゃんが答えます。

 

「な、名前はグラインドサーフ。さ、サイバトロン軍所属の調査員です!」

 

 

 

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 場所は変わって執務室。流石に廊下で長々と話すわけにいきませんしね。

 

「だ、大丈夫? いそな……グラインドサーフさん」

「ひゃ、ひゃい大丈夫です……」

 

 偽波ちゃん半泣きです。半泣き。

 今にも泣きそうな女の子に流石に毒気を抜かれたのか。

 今はじとっとした目つきで偽波ちゃんを見ています。

 

「先ず聞きたいのはグラインドサーフだっけ? アンタはどう言うモノなの?」

「私は――【トランスフォーマー】もしくは【超ロボット生命体】と言うのが正しいでしょうか?」

「トランスフォーマーと超ロボット生命体?」

 

 ロボットなのに生命体。しかもスーパー。

 トランスフォーマーはサッパリ分からないのでとりあえず頷いておきます。

 あ、司令官が分かってないだろって目でこっちを見ました。

 

「ロボットにスパークと呼ばれる魂が宿った物と考えて頂ければ」

「ふむ、それは大体理解できるが……トランスフォーマー、と言うのは?」

「簡潔に言うと超ロボット生命体の中でも取り分けて【変身能力】を持つ者の事ですね」

「変身? 変身できるの?」

「えっと見せた方が早いですね。トランスフォーム!」

 

 偽波ちゃんが声を上げると偽波ちゃんの艤装に亀裂が走る。

 ミョミョミョと特徴的な音を鳴らしながら元の艤装から考えられない変形をする。

 まるで元々がその姿だったかの様に形態が変わってしまった。

 背中の艤装はSF的なデザインに変わり、4本のロボットアームが生えている。

 

「グラインドサーフ本来の変形形態は調査船型と人型の二形態なのですが……磯波と合わさった事で調査船の形態が通常艤装、そしてこの形態が人型に当りますね」

「うむ、やはりロボは変形機構がないとな!」

 

 司令官が変な所に食いついちゃってます。

 こういうの好きだったのかぁ……。

 

「えーっと、つまり私は変身能力を持つ超ロボット生命体って事です」

「うむ、素晴らしい!」

「あ、ありがとうございます……」

 

 偽波ちゃんがちょっと引いちゃってます。

 うぅ、恥ずかしいぁ……司令官の馬鹿!

 

「じゃあ次、サイバトロン軍ってのは何で、アンタの目的は?」

「えっとサイバトロン軍と言うのは……えーっと……」

 

 考え込んでしまう偽波ちゃん。

 軍、と言っていますし喋れない何かがあるのかも知れません。

 

「あの、これは磯波の記憶から推察して多分凄く可笑しな事を言うと思うんですけど……」

「何かしら?」

 

 司令官はロボットアームをキラキラした目で見つめています。

 真面目に聞いてあげてください。

 

「サイバトロン軍は……【平和】を尊ぶサイバトロンと言う人種を主なメンバーとした【正義】の軍隊です……」

「……【正義】の軍隊ねぇ」

「【正義】の軍隊……」

 

 言わんとしている事は分かった。

 偽波ちゃんが言うのを躊躇った理由も分かった。

 

 ――正義――

 

 それを定義するのはとても難しい。

 ましてや正義の軍隊なんて……。

 

「で、その正義の軍隊が何故地球に?」

「地球に来たのはサイバトロン軍は全く関係なくて……」

「アンタの意思で地球に来たって事? まさか旅行とか言わないでしょうね?」

 

 むむむ、と偽波ちゃんは少し唸ってから口を開く。

 

「事故です……」

「事故ぉ?」

「宇宙航行中に隕石にぶつかってこの星に落下したんです……うぅ」

 

 偽波ちゃんは耳を真っ赤にして目には涙を溜めている。

 逆に司令官の口からはクックックと笑いが漏れています。

 流石に笑うのはどうかと思いますよ司令官。

 

「えーと、グラインドサーフさんは意外とうっかりさんなんですね!」

「吹雪、それフォローになってないわ」

 

 司令官は爆笑。偽波ちゃんはついにうつむいてしまいました。

 場を和ませようとしただけなのに……。

 私まで恥ずかしくなってきました。

 

「それでアンタはどうしたい?」

「どうしたいですか……?」

「分かりやすいところを言えば宇宙に帰りたいとか? そういうのよ」

 

 偽波ちゃんはしばし考えてから答える。

 

「……私を磯波として使っていただけないでしょうか?」

「此処は軍隊よ? そこんとこ分かってる?」

「十分理解しています。艦娘、妖精、そして深海棲艦」

「磯波の艤装の記憶を引き出したのか?」

「いえ、私は……」

 

 偽波ちゃんは真剣な眼差しで此方を見つめて言う。

 

「吹雪型駆逐艦九番艦の磯波です」

 

「サイバトロン軍のグラインドサーフであるのと同じくらい」

 

「艦娘の、駆逐艦磯波でもあります……」

 

「半分がグラインドサーフで半分が磯波」

 

「そして私の中の磯波が言うんです」

 

「故郷の海を守りたいって……」

 

 

 

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「そう言えば妖精達が混ざったって言ってたっけね」

「司令官?」

 

 司令官はフフっと少し笑い、磯波ちゃんの真剣な眼差しに答える。

 

「駆逐艦磯波、私の艦隊にようこそ。歓迎するよ」

「……! あ、ありがとうございます!」

 

 磯波ちゃんはとても嬉しそうで此方まで嬉しくなってくる。

 

「あー、私の名前は桜庭梅子。一応君の上司になるが気軽に何でも言ってくれ」

「私は吹雪。吹雪型駆逐艦一番艦の吹雪です! えーと、なんて呼べば良いかな?」

「私の事は磯波と呼んで吹雪……姉さんで良いのかな?」

「姉さんはムズかゆいから止めて! 普通に吹雪で良いよ!」

「じゃあ……吹雪、よろしくね」

「うん、こちらこそよろしくね!」

 

 最初はどうなる事かと思ったけどどうやら仲良くやれそうです。

 

 

 

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「それにしてもグラインドサーフねぇ……?」

「どうしました司令官?」

 

「いや偶然にしても出来すぎてない?」

「何がですか?」

「あ、やっぱりそう思いますか? 私も何か引っ張られたんじゃないかって……」

 

 二人だけ納得している!

 わ、私だけ仲間ハズレ!?

 

「……吹雪。サーフってのは打ち寄せる波の事。つまり磯波の事だよ」

「えぇ!? じゃあ宇宙の磯波ちゃんが艦娘の磯波ちゃんにぶつかったって事ですか!?」

「そゆこと。私は運命とかは信じないタイプなんだけどねぇ……」

「アハハ……」

 

 

 超ロボット生命体でトランスフォーマーと艦娘吹雪型駆逐艦九番艦のハーフ?

 と言うちょっと特殊な磯波ちゃん。

 彼女を中心に一波乱も二波乱もありそうで怖いけど、少し楽しみです!

 




艦×トラ図鑑No001
グラインドサーフ【オリ、トランスフォーマー】
調査船型のトランスフォーマー
調査目的で地球のある宙域にやってきたが不運な事故で地球に落下。
建造中の磯波の艤装にコア部分が衝突し融合する。
元々の性格もかなり磯波に近かった為上手い具合に混ざってしまう。

グラインドサーフとしての特技は調査と索敵。
大量の調査器具を内蔵していたが隕石と衝突したときにほとんどが破損。
残ったのは広域レーダーが一つのみ。
それでも索敵値は正規空母並み。
敵が深海棲艦じゃなくてデストロンならもっと高い索敵能力になる。
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