艦隊これくしょん×トランスフォーマー   作:ラットル先生

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磯波が来てまだ初日。
進み遅くない?


【第五話】磯波、着任ス その3

「じゃあ、お話はこれくらいかな? 一応この編成で行くと思うけどまだ磯波の書類纏めてないからどうなるか分からないけどね」

 

 自己紹介の後、編成や隊列について少し詳しく詰めて話をしました。

 とりあえずは前線には出撃せず磯波ちゃんの性能を見るようだ。

 

「質問はあるかしら……無いなら解散、長時間悪かったわね」

「おっ疲れさ~ん」

「あっと、忘れてた!」

「まだ何か?」

「ほいこれ、磯波にプレゼント」

 

 司令官が鍵を投げ渡してくる。

 この鍵は寮の鍵でしょうか……?

 

「吹雪と深雪と同じ部屋だよ。吹雪面倒見てやって」

「了解しました司令官!」

「おぉ? 深雪達と相部屋? 磯波よろしくね」

「よろしくお願いします」

「秘書官の仕事も良いから案内してやって」

「はい、了解しました~」

「はいじゃあよろしくね~」

 

 運が良い事に書類仕事から解放されました。

 

「じゃあまず寮に行く? それとも他の場所見てからにする?」

「まずは寮からじゃない? 磯波の荷物とか置かなきゃなんないでしょ?」

「荷物? あ、そっか……」

「えっと……」

 

 あぁ、どうしよう?

 司令官は大本営の虎の子って紹介したれけど、そうなると荷物を持ってきてないのは不自然ですよね……。

うぅ、司令官の考え無し~!

 

「忘れちゃったの! 荷物! ね? 磯波ちゃん!」

「え? あ、うん! そう、忘れちゃったの!」

「ん? そうなの? じゃあ寮の前に支給品貰いに行く?」

「支給品?」

「支給品って言うのは建造で生まれた娘が貰える便利セットみたいな物かな? 肌着とかの衣料品とちょっとした日用品、それと基地内で暮らすためのルールなんか書いた本が貰えるの。」

「深雪さまはこの基地で建造されたから最初お世話になったぜ。でもあんまり可愛いの無いからお給料入ってからは全部取り換えちゃったけどな!」

 

 確かに支給品を使い続けてる人はあまりいないけど。

 いや、私は使い続けてますけど。

 だって勿体ないじゃないですか……。

 

「お金あるなら酒保でも良いと思うけど?」

「い、いや、磯波ちゃんあんまりお金持ってきてないんじゃないかナー?」

「そ、そうですね! お金はあんまり……」

「ん、そう? じゃあ支給品貰いに行こうか!」

「そ、そうだネー。それが良いネー?」

「そ、そうですね! それが良いと思います!」

「?」

 

 よっし、バレてなーいっ!

 深雪ちゃんがまっすぐな子で助かりました。

 

 さて、私達の基地の話を少し。

 私達の基地は軍港に併設された物で艦娘用の港と軍用艦や普通の船舶が停泊できる港のどちらも存在している。

 いわゆる鎮守府の様な専門機関ではなく規模としては小規模としか言いようがない。

 それでも艦娘用のドックや工廠が設置されているので建造や修理まで行う事が出来る。

 艦娘専用の施設は桟橋、訓練場、演習場、女子寮、ドック、工廠、倉庫があり、基地内の面積の20%程です。

 司令部、通信所、運動場、食堂、酒保、病院、レクリエーション施設などは海軍と共同で使う事が出来る。

 燃料や弾薬の保管、管理は海軍が行っており、一々申請書類が多くなりがちなのが面倒くさいが艦娘部はただでさえ頭数が少ないので管理になんて人数を割けないのでどうしようもない。

 さてさて、海軍基地と艦娘部が併設されていると言う環境から私達は男性と接する機会が普通にある。

 申請書を書いては男性職員に提出したり、食堂に行けば隣の席になったりもする。

 私はこの環境はとても良い環境だと思っている。

 と言うのも艦娘と言うのはどうにも過保護に扱われる事が多く、他の鎮守府から来た娘が「提督以外の男性を初めて見た」と、言った時はとてもビックリした物だ。

 まあ、何が言いたいか?

 つまり宇宙からやってきた磯波ちゃんもある程度“普通の環境”で過ごせるでしょう。

 

「はい、じゃあコレ支給品」

「ありがとうございます」

 

 支給品は意外と簡単に貰えた。

 と、言うのも他の基地や鎮守府から遠征や補給で寄った娘でも利用できるらしい。

 

「んじゃ、とりあえず部屋に行くかー」

「お部屋、どんな感じですか?」

「んー、普通の寮って感じかな? 三人部屋だから結構広いけど」

「磯波が入ったら狭くなっちゃうけどなー」

「こ、こら深雪!」

「冗談! 冗談だってば。そんなにプリプリすんなよー」

「ごめんね磯波ちゃん。深雪ちゃんってばこういう子だから……」

「別に気にしていませんよ吹雪」

 

 ……気にしてないって言ったけど、磯波ちゃんちょっと怒ってる。

 もう、深雪ちゃんの馬鹿ー!

 

「ここが寮だよ。202号室が私達の部屋だね」

「さっさと荷物置いて色々見てまわろーぜ!」

「深雪ちゃんは自分が遊びたいだけでしょ」

「あっはっは、そうとも言う!」

「……でも私も見て回りたいです」

「あはは、そうだよね。じゃあさっさと案内しましょーか」

 

 見慣れた部屋に入る。

 私の物が少し、深雪の物がたくさん置かれている。

 

「ほら、深雪ちゃんもさっさと片付けちゃって」

「ほいほい」

 

 荷物、磯波ちゃんのベッドと机に置かれている物を片付けていく。

 主に深雪の物が大半なのだが、本人の気がすぐ散ってしまうので大変だ。

 

「とりあえず磯波ちゃんの場所は確保したね」

「結構時間かかったなぁ」

「誰の所為ですか……」

 

 本当にね。

 普段からちゃんと掃除すればこんな面倒も無いのに。

 

「時間食っちゃったし、さっさと遊びに行こうぜ」

「遊びに行くんじゃないってば……」

「だから誰の所為ですか……」

「行かないと時間無くなっちゃうぞぉ!」

 

 深雪ちゃんはさっさと出て行ってしまった。

 なんと自由気ままな子だ……。

 

「私達も行こうか……」

「そうですね……」

 

 

 

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 ※※※ HIGH SCORE!! ※※※

 

 ピロリロリンと音が鳴り、ゲーム機が記録を更新した事を告げる。

 

「磯波スゲぇな! このゲーム、クリアするだけでも難しいのに!」

「そうですか? 結構単純ですよ?」

「あ、あはは」

 

 凄い精密操作でした。

 目から入った情報をそのまま手にアウトプットしているようでした。

 私が止めなければミスをせず永遠とゲームを続けているところでした……。

 危ない、危ない。

 

「磯波ゲーム得意なんだ?」

「いえ、初めてですけど……」

 

(ダメだよ磯波ちゃん! バレたらマズい事になるかも知れないんだから!)

(でもこれで肉体の動きにも少し慣れました。後は運動を少ししたいですね)

(そんな動き出来てまだ少しなんだ……。運動したいなら運動場かな?)

 

「どうしたん?」

「ん、磯波ちゃん運動したいんだってさ」

「運動? おっけ~」

 

 運動場はレクリエーション施設の隣にあるので移動は楽だ。

 深雪ちゃんは早々と移動を始め、私達はそれについていく。

 

 レクリエーション施設もなのだが運動場は男女共用なので男の人が多い。

 艦娘は何処の鎮守府でもお姫様の様に大事に大事に扱われているので初めて此処を利用する艦娘はたくさんいる男性にビビりまくったりする。

 磯波ちゃんに関しては大丈夫なようだが。

 

「おぉ! 君新しい娘だね?」

「はい、磯波と申します。よろしくお願いいたします」

「僕は技術部にいるからよろしくね~」

「あ、ズルいぞ! 俺は水雷部にいるから! 今度そっちにも寄ってね!」

 

 大人気です。

 まあ、艦娘がいても男女比率は男性多数ですからね。

 かくいう私も着任した時は凄いたくさん話しかけられました。

 モテ期はとっくに終わってしまいましたがね……。

 そりゃ女の子って言っても私の見た目ってどう見積もっても中学生ですし……。

 ぐぬぬ、せめて長良さんくらいの見た目なら……。

 

「ど、どうしたんですか吹雪?」

「へぁっ!? な、何が?」

「何がって……吹雪が何も言わず百面相していたからどうしたのかと思って」

「気にすんなって! たまにこういう事あるの吹雪のヤツってば!」

「そ、そんな顔してた? てゆーかそんな顔してたなら教えてよ……」

 

 もう、恥ずかしい。

 今まで百面相をずっと垂れ流しにしていたのか……。

 

「さ、吹雪はほっといて何かやろーぜ!」

「い、良いのかな?」

「良くないよ! 一緒に遊ぶよ!」

 

 私達は倉庫からボールを一個取り出し、とりあえずトストス(バレーのトスを繰り返すヤツ)する事にしました。

 まずは私から、軽めに深雪ちゃんにトスをする。

 私自身の運動能力は艦娘と言う括りなら普通に入る部類です。

 可もなく不可もなく、しかし艦娘と言う部類自体が一般的な人間のそれを凌駕しているのでかなり動けます。オリンピック選手並みです。

 そしてトスを受ける深雪ちゃん。

 彼女の運動能力は艦娘の括りで高いです。

 いつだったか敵が撃った砲撃を見て避けた事もありました。

 そんな深雪ちゃんが磯波ちゃんにトスを繋げる。

 磯波ちゃんは手で三角を作りボールを受け――

 

「痛いっ!」

「だ、大丈夫かぁ!?」

 

 思いっきりボールを可愛いお鼻にぶつけました。

 彼女運動音痴です。

 その後もパスパスだとかただ投げてキャッチするだけとかもやりました。

 全て不可です。

 一応単純に走るだけ、投げるだけならそれなりなんですけど……。

 やはりロボット生命体と艦娘の肉体部分の相性が悪いんでしょうか……?

 

「あはは、磯波は運痴だなぁ!」

「う、うんち!? いきなり何言っているんですか!?」

「運動音痴の略語だよ磯波ちゃん」

「そ、そうなんですか……? 確かに私は運動音痴みたいですけど……」

 

 此処まで球技が苦手だと射撃の命中率の方が気になる……。

 ん? でも、試し撃ちの時はど真ん中命中だったような……?

 まぁ、考えても仕方ありません。

 分かった事は磯波ちゃんが極度の球技音痴って事です。

 

「そんなんで海に出て大丈夫かよ~?」

「多分、きっと……大丈夫だと思います」

「まあまあ、深雪ちゃんもプレッシャーかけないで。それに磯波ちゃんの主な仕事は索敵でしょ! 戦う事は二の次でしょ?」

「って言ってもよー? 海に出たら何があるか分からないぜぇ?」

 

 確かにそうだけども!

 海に出る前に不安にさせるヤツがありますか!?

 そんな会話をしていると声がかかる。

 

「吹雪、磯波」

「司令官? どうしたんですか?」

「ん? ちょっと磯波に用事よ」

「私ですか?」

「そ、吹雪も一緒に来て頂戴」

「司令官! 深雪は?」

「いらん。しっし!」

「え~酷いぜぇ。そんな司令官嫌~い!」

「ほら、これでアイスでも買って食べなさい」

「わぁ司令官大好き!」

 

 なんて現金な……。

 それにしても私達に用事ってなんでしょう?

 

 十中八九磯波ちゃんの事でしょうけど……。

 




艦×トラ図鑑No004
深雪 【艦隊これくしょん】
桜庭提督の艦隊の初期からいる艦娘。
練度が高く、高い運動能力と広い視野で前線を引っ張っていく。
戦闘能力は提督お墨付きだが普段の素行はあまり良くない

普段から色々と周りを引っ掻き回すトラブルメーカーではあるが
それと同時に周りへのムードメーカーでもある。
長良曰く、彼女の笑顔は周りも笑顔にさせる。
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