波濤の戦士たち   作:小湊拓也

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第1話

 無論、フランスでは地獄の6年間を過ごした。

 だがそれ以前の、城戸邸での日々に比べれば。海斗は、そう思う。

 フランスでの地獄の6年間は、城戸沙織の声を聞かずに済む、辰巳徳丸の顔を見ずに済む6年間でもあったのだ。

 聖闘士となって聖衣を入手し、日本へ持ち帰る事。それがグラード財団から下された厳命である。

 6年に及ぶ修行の末、正規の青銅聖闘士たる資格を取得し、聖衣を与えられた。

 そこで海斗は、初めて気付いたのだ。

 地獄のような修行の末に、自力で入手した聖衣。わざわざ日本へ持ち帰って城戸光政に献上しなければならない理由など、一体どこにあるのか。

 6年間、海斗を鍛え上げてくれた師匠は言った。ギリシアへ、聖域へ行けと。

 急遽、聖域の防備を強化する必要が生じたのだという。

 一方、日本のグラード財団は、一刻も早く聖衣を持ち帰れと言ってくる。

 どちらを優先すべきかは、考えるまでもなかった。

 だから海斗は今、ギリシアにいる。

 聖闘士の総本山とも言うべき聖域で、警護の任務を遂行中である。

 一体この聖域を、何から警護しなければならないのか。いかなる者の魔手が、聖域に迫っているのか。それは全く聞かされていない。

 ちらり、と海斗は見上げた。

 ほとんど山と言ってもいい、岩の高台。その上に辛うじて見える、白羊宮の入り口。

 本来ならば、自分のような青銅聖闘士が警護する必要などないはずの場所である。

 白羊宮をはじめ、聖域の中枢をなす十二宮にはそれぞれ1名ずつ、最強の戦力たる黄金聖闘士が配備されている。それが正しい状態なのだ。

 しかし今、白羊宮は無人である。守り手たる牡羊座の黄金聖闘士が、聖域に不在なのだ。

 聞くところによると、他にもいくつか無人の宮があるという。

 12人いなければならない黄金聖闘士に、欠員が生じているという事なのか。

 聖域に攻撃を仕掛けて来た敵が、まず最初に陥落させなければならない白羊宮。

 最初の守りを受け持つ牡羊座の黄金聖闘士が、しかしいない。

 だからこうして海斗のような青銅聖闘士が、白羊宮の入り口近辺を守っている。

「俺たちに、黄金聖闘士の穴を埋めろと……そういう事、なのかな? いやいやいや」

 自分の言葉を、海斗は激しく否定した。

 漁牙が、にやりと笑う。

「願ってもねえ話じゃねえか。俺たち青銅が、十二宮を守るなんてよ」

「お前、冗談でもそういう事言わない方がいいぞ。白銀の人たちにでも聞かれたら」

「なあ海斗。ここだけの話なんだけどよ」

 漁牙が、その大きな体をいくらか屈め、声を潜めた。

「……白銀の連中ってホント、そんなに強えのかな? 例えばトレミーとかジャミアンみてえなのより、カシオス先輩の方が強えんじゃ」

「あー聞こえない。俺は何にも聞こえてないからな」

 海斗は両手で耳を塞いだ。

 それでも、聞こえてきてしまうものがある。

 弦楽器の調べ、であろうか。優雅な音色が、鼓膜で、脳で、直接感じられてしまう。

「海斗も漁牙も……少し、気を抜きすぎじゃないのかな」

「のんびり楽器いじってる奴に、言われたくはねえなあ」

 漁牙が睨みつけた、その視線の先では、勇魚が石段に腰掛けている。手つき優雅に、竪琴を弾きながら。

「知っているだろう? 僕が奏でるのは小宇宙の調べ……敵の力を封じるための、武器なんだ。それはもちろん、オルフェ先生の足元にも及ばない技だけど」

 勇魚が、微笑んだ。

 かつては瞬と同じくらいの弱虫だった彼が、本当に不敵な笑顔を見せるようになってしまった。

「君たちを眠らせる……くらいの事は、出来るよ?」

「……面白え、やってもらおうじゃねえか」

「やめろよ、2人とも」

 海斗は割って入った。

「聖闘士同士の私的な喧嘩は、重罪なんだぞ。まあ戦闘訓練って名目なら、出来ない事もないけど……今やる事じゃあないだろう。俺たちは、十二宮の入り口を守らなきゃいけないんだ」

 自分は何を言っているのだ、と海斗は思った。

 青銅聖闘士が、十二宮の入り口を守る。白羊宮の黄金聖闘士を差し置いてだ。

 羅針盤座の海斗。竜骨座の漁牙。艫座の勇魚。

 3人の青銅聖闘士が今、聖衣をまとった姿で、白羊宮の入り口近辺を警護している。

 牡羊座の黄金聖闘士を、差し置いてだ。

「そう、それだよ海斗。俺たちゃ一体、何から十二宮を守ろうとしてんだ」

 漁牙が訊いてくるが無論、海斗に答えられるわけがない。

「聖域に、どっかのどいつが攻めて来やがるってのか。大昔のハーデス軍とか」

「これは噂だけどね」

 ポロン……と弦をかき鳴らしながら、勇魚が言う。

「……グラード財団の連中が、いよいよ聖域に喧嘩を売ろうとしているらしいよ」

「そんな馬鹿な……」

 一笑に付そうとして、海斗は失敗した。

 全く有り得ない話、ではない。

 聖衣を持ち帰れ、などという命令を発する事自体、全ての聖闘士及び聖衣を管理する聖域への、挑戦とも言えるのだ。

 6年前。グラード財団は、海斗たち100名の孤児を、世界各地の聖闘士修行場に送り出した。

 財団総帥・城戸光政は、あの頃から、聖域に対する何かしらの敵対行動を企てていたのかも知れない。

 聖域と戦うための力として、聖闘士の軍団を育成し、手元に置く。

 そんな野望があったのだとしたら、あまりにも愚かであるとしか言いようがない。

 聖域と戦う事の出来る聖闘士など、いるはずがないからだ。

 聖域に、教皇に、そして黄金聖闘士たちに、拳を向ける。

 そんな聖闘士を育成する事など、いかにグラード財団の力をもってしても不可能だ。

 世界各地の修行場で育成を行っているのは、聖域から派遣された聖闘士たちなのだから。

「グラード財団の連中が攻めて来やがんのか。だったら大歓迎だな」

 漁牙が、左掌に右拳を打ち込みながら笑う。

「辰巳のクソ野郎は、俺がぶち殺す。止めんなよ?」

「よく考えなよ漁牙。本当にグラード財団が攻めて来るとしても、辰巳や沙織お嬢様が直々に来るわけないじゃないか。基本的に、威張るだけで何にも出来ない人たちなんだから」

 勇魚が嘲笑う。漁牙を嘲笑ったのか、辰巳や城戸沙織を嘲笑ったのか。

「攻めて来るとしたら……僕たちと同じ、100人のうちの誰かしらだろうね」

「俺たち以外にも聖闘士になった奴らが、そりゃ何人かはいるだろうけど」

 言いつつ、海斗は思う。

 100人いたのだ。10人や20人くらいは聖闘士に成れただろう。何しろ、自分でも成れたのだから。

「けど、そいつら全員……馬鹿正直に聖衣を日本に持ち帰って、グラード財団の兵隊になっちまうのかな。それで聖域に喧嘩を売ってくる? ちょっと考えらんないなあ」

「例えば星矢あたりなら、やりかねないと思うよ」

 勇魚が、懐かしい名前を口にした。

「勇魚は……そう言えば、ここで星矢と一緒に修行してたんだよな」

 100人の孤児が、世界中の聖闘士修行地に送り込まれた。

 だが1人1人、違う場所に送られたわけではない。聖闘士の修行地は、100カ所も存在しないのだ。

 実際、海斗の修行したフランスにも、他に2人が送られた。

 1人は死に、1人は失踪した。あの師匠に認められ、聖衣を与えられたのは、海斗1人だけだ。

 ギリシア枠も、確か4つか5つほどあったはずだ。

 聖闘士に成れたのはしかし、星矢と勇魚の2人だけだ。

「一緒に修行してたわけじゃあないよ、師匠が違うから。僕は幸運にもオルフェ先生の教えを受ける事が出来たけど……星矢を鍛えていたのは、あの魔鈴さんだからね」

「い〜ぃ女だよなあ魔鈴さん。いや、そりゃ顔は見えねえけどさ」

 漁牙が、鼻の下を伸ばした。

「あああ、素顔見せてくんねえかなぁあ。めちゃくちゃキツめの美人に違えねーぜえ」

「お前だから本当にやめとけ、冗談でもそういう事言うの。殺されるから、マジで」

「星矢も殺されかけてたよ、毎日」

 勇魚が、懐かしんでいる。

「彼はでも見事、生き抜いてペガサスの聖衣を手に入れた。それで、すぐ日本に帰っちゃったけどね……お姉さんに、会うために」

 懐かしみながら、勇魚が竪琴を爪弾く。

 琴の音が、いくらか重苦しく響いた。怒りの音色だ、と海斗は思った。

「お姉さんを人質に、星矢を聖域と戦わせる……グラード財団なら、そのくらいの事は平気でやるだろうね」

「辰巳だけじゃねえ、本当クソ野郎ばっかだったからなあ。あの財団は」

 鼻の下を伸ばしていた漁牙が、表情を険しく一変させた。

「……城戸光政の野郎、もう何年も前に老衰で死んじまってたんだってな。俺が、ぶっ殺したかったぜ」

「沙織お嬢様が、後を継いだらしいな」

 フランスで修行している最中でも、そんな情報は何となく耳に入ってきたものだ。

 城戸沙織。幼い暴君であった彼女の振る舞いが、海斗の脳裏にまざまざと蘇ってくる。忘れたくても、忘れられない。

「俺たちと同い年、だったよな。だから今は13歳か……さぞかし高慢ちきなお嬢様に、育っちゃってるんだろうな」

「俺たち、オモチャにされてたもんなあ……」

 漁牙が、空を見上げた。

「……誰だっけ? あん時、馬にされてたの」

「馬? ああ……星矢じゃなかったかな」

「それはない。星矢は誰よりも、辰巳や沙織お嬢様に逆らってたじゃないか」

 勇魚が言った。

「多分、那智とか蛮とか、その辺りの誰かだったと思うよ。僕も、よく覚えてないんだけど」

「ま、思い出したい事でもないしな」

 城戸邸で過ごした日々を、忘れられる。グラード財団から、解放される。

 海斗にとって、フランスでの6年にも及ぶ修行の日々は、今思えば、そのためだけにあったのだ。

 今、海斗は晴れて青銅聖闘士となり、羅針盤座の聖衣を取得し装着している。

 女神に忠誠を誓う、聖域の戦士となったのだ。

 忠誠を誓う対象は女神であり、その代行者たる教皇であり、聖域そのものである。グラード財団や城戸沙織などでは、断じてない。

 聖衣を日本に持って来いなどと、偉そうに命令される筋合いはないのだ。

「おい、交代の時間だ」

 声がした。

 人影が2つ、石段を登って来たところである。大きな人影と、細く小柄な人影。

「あ……カシオス先輩、ご苦労様っす」

 漁牙が頭を下げる。海斗も、それに倣った。

 ああ、とカシオスがいつも通り、いささか不機嫌そうに応える。

 このカシオスという大男、聖闘士ではない。青銅の資格すら持たぬ、雑兵の身分である。

 だが漁牙も海斗も、正規の聖闘士であるにもかかわらず、雑兵であるこの巨漢に逆らえない。敬意を失う事が出来ない。

 戦闘訓練において、海斗も漁牙も、カシオスに勝った事が1度もないからだ。

 聖衣を装着した状態で臨んでも、カシオスの生身の巨体にいつも圧倒される。容赦なく、叩きのめされる。

 これほどの男が、青銅聖闘士にすら成れない。

 それが聖闘士の本場、ギリシア聖域という場所なのだ。

 お前たちはまだ実戦をした事がないからな、というのは時折、特別師範として訓練場に姿を見せるアイオリアの言葉である。

 このカシオスという男、なまじな黄金聖闘士よりも、敗北の痛みと屈辱を知り尽くしている。聖衣なしの戦いならば、このアイオリアとて不覚を取るかも知れんぞ。

 黄金聖闘士・獅子座のアイオリアはそう言うが、さすがにそれは謙遜のし過ぎというものだろう。

 それでも、このカシオスという巨体の雑兵が、海斗や漁牙のような新米青銅聖闘士を遥かに上回る実力の持ち主であるのは間違いない。

「ちゃんと仕事してた? また、くだらない馬鹿話ばっかしてたんじゃないでしょうね」

 カシオスと一緒に歩いて来た1人の少女が、そんな言葉を投げてくる。

 小柄な細身に、水着のような青銅聖衣をまとった、仮面の少女。

「聖域に敵が攻めてきたら、真っ先に戦うのは、あんたたちやあたしなんだからね。びしっとしなさいよ、もう」

「敵が来たら……ま、ナギを頼りにさせてもらうよ」

 青銅聖闘士・帆座のナギ。

 海斗たち3人より1つ年上の14歳。城戸光政やグラード財団とは無関係の少女である。

「どういう敵が攻めて来るのかな、って話をしてたとこでね。ま、どんな奴が来てもナギやカシオス先輩がいれば大丈夫だよなって話もしてた」

「ねえ海斗。あんたまさか、あたしの背中に隠れて何にもしないつもりじゃないでしょうね」

 ナギが、仮面越しに睨みつけてくる。

「言っとくけど。実戦になったら、足手まといな奴なんて守ってあげないからね。むしろ漁牙、あんたみたいに図体のでかいのが、あたしたちの楯にならなきゃいけないのよ」

「ここは俺に任せて、先に行けとか早く逃げろって役? たまんねえなあ」

 漁牙が、頭を掻いた。

 今ここにいる青銅の少年3名のうち、ナギとどうにか互角に戦えるのは勇魚だけであろう。

 漁牙も海斗も、戦闘訓練ではカシオスに叩きのめされ、ナギには遊ばれている。

「ま、この竜骨座の聖衣は確かに頑丈だけどよ。中身の俺は、実はそんなに頑丈ってわけじゃねえんだぜえ」

「そんな事はない。お前の打たれ強さは、俺が保証する」

 カシオスが、じろりと漁牙を観察しながら言う。

「俺はな、相手がお前だから、本気でぶちのめす事が出来るんだぜ」

「勘弁して下さいよカシオス先輩、何かいっつも俺ばっか狙ってるじゃないですか。たまには海斗や勇魚に、その剛拳を食らわせてやっちゃあどうなんです」

「勇魚の野郎はな、俺の拳をまともに食らったように見せかけて、どっかでダメージを逃がしてやがる。そして海斗。お前は自分じゃ気付いてねえようだが、場所取りが上手い。気がつくと俺の死角に立っていやがる。そこからどう攻撃するかが、まあ課題だな」

 言いつつカシオスが、漁牙の大きな肩を容赦なく叩いた。

「俺が一番、気持ちよくぶん殴れるのは、だからお前なんだよ漁牙」

「マジっすか〜」

「ま、せいぜい壁になる練習を怠らない事ね。あんたが雑魚敵にボコられてる間、あたしが優雅に華麗に、敵の親玉を片付けてあげるから」

 ナギが、ころころと笑う。

 勇魚が、竪琴を軽く爪弾いた。

「気になっていたんですけど……カシオス先輩は、もう聖闘士選抜試験を受けないんですか?」

「ち、ちょっと勇魚……」

 ナギが、仮面の下でいくらか顔色を変えたようだ。

 構わず、勇魚は問う。

「僕たちよりも、ずっと強いカシオス先輩が……青銅ですらないなんて、やっぱり違和感がありますよ。持ち主の決まっていない聖衣、まだいくつかあるんでしょう?」

「勇魚お前、あの試合を見てたんなら、わかるだろう」

 カシオスの巨体から、炎のようなものが立ちのぼった、ように見えた。

 小宇宙だ、と海斗は思った。

「俺はな……あの野郎をぶちのめすまで、聖衣なんざぁ恥ずかしくって着れねえんだよ」

「そんな事言われたら……カシオス先輩より弱いのに聖衣着てる、俺たちの立場がなくなりますが」

 海斗が言うと、カシオスは牙を剥くように笑った。

「お前らはお前らだ。俺がただ、つまんねえこだわりを捨てられねえってだけの話よ」

「こだわり、ですか……」

 勇魚が俯いた。

 星矢がカシオスを破り、ペガサスの聖衣を入手した。

 その試合を目の当たりにした数日後に、勇魚も聖闘士として認められ、艫座の聖衣を与えられた。

 それを勇魚はしかし、師匠と共に喜ぶ事は出来なかった。

 勇魚の師匠である白銀聖闘士、琴座のオルフェは、数年前に姿を消している。修行途中の勇魚を、聖域に残してだ。

 その後は、何人かの聖闘士が、入れ替わり立ち替わりで勇魚を指導したようである。

「一番熱心に僕の面倒を見てくれたのは、アイオリア先生だった」

 竪琴を片手に、勇魚は空を見上げた。

「黄金聖闘士の指導を受ける事が出来たのは、もちろん身に余る光栄……だけど僕は、この艫座の聖衣をまとった姿を、オルフェ先生に見ていただきたかった。それが僕の、つまらないこだわりです」

 羅針盤座の聖衣。何ともまあ、聞きしに勝る地味さ加減だ。美しさにおいて、この私の足元にも及ばんな。

 海斗の師匠は、与えられた聖衣を初めて身にまとった弟子の晴れ姿を見て、そんな事しか言わなかったものだ。

「勇魚……わかってるだろうが、仮にオルフェが生きて聖域に戻って来たとしても、感動の再会では終わらんぞ」

 カシオスが、口調重く言った。

「事情は関係なく、あの男は聖域からの脱走者だ。いくら高位の白銀聖闘士でも、処罰は免れん」

「……そうでしょうね」

 勇魚が、感情を押し殺す。

 琴座のオルフェに関しては、海斗も噂くらいは聞いている。白銀聖闘士でありながら、その実力は黄金聖闘士以上、と言われている人物だ。

 美しさにおいて、この私に迫り得る聖闘士。あえて名を挙げるとすれば、まずは魚座のアフロディーテ様、次いで琴座のオルフェであろうな。だが無論、私の方が美しい。

 それも、海斗の師匠の言葉である。

 横暴な師匠ではなかったが、とにかく一緒にいると疲れる男だった。

「……とにかく、交代の時間だから。ゆっくり休みなさいよ勇魚、海斗に漁牙も」

 ナギが言った。こういう優しい声も出せる少女なのだ。

「白羊宮の入り口は、あたしとカシオスさんで、きっちり守るから」

「そう言えばカシオス先輩。白羊宮の黄金聖闘士様は一体どこに」

「訊くな」

 漁牙の質問を、カシオスは叩き斬った。

「訊いてはいかん事というものがある……お前らも、そのうちわかる。生きていればな」

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