ええ、とある事故により投稿が遅くなっててしまいました。申し訳ないです
では、始まります!
円の朝は早い。
というのも実家にいた時は毎日朝早くから祖父と稽古をしていたからだ。
「さってと」
今朝もまた「目覚まし」と称し十五分もの間、両手の親指のみで倒立をし続けることから始め、様々な内容の鍛錬を行っていた。
本人は「目も覚めるし筋力もつくからな」などと言っているが世間一般ではそれを「頭に血がのぼる」という。先日の食堂で円が話したとおり彼の祖父もまたアレなので孫もコレなのだ。
〇〇〇〇〇〇
「おっす円」
寮から教室棟へと続く一本道。この学園における生徒達の通学路である。
「寮生だから朝寝坊しても余裕」などと思うかもしれないがなんやかんや普通に歩いて二十分ほどは掛かるのでそれぞれ余裕をもって出発しているのだ。
とりあえず通学路は覚えた円は後ろから掛けてきた一夏に振り返り挨拶する。当然だが遅刻しそうだからという理由でISを使おうものなら即懲罰ものである。ISとはなかなか不自由な物なのだ。
「あれシャルルは?」
横に並んだ一夏の横にシャルルが居ないことに気づく。同じ部屋なので一緒に登校してくるものだと思ったらしい。
「あぁ、あいつ普段は俺より起きるの早いのに今日は寝坊したみたいでな。待ってたんだけど着替えるから先に行けーって」
「ふーん」
歩きながら話す二人の周りにはちょっとした空間が。女子生徒達が彼らを見ているがどうにも近寄れないのである。実際「あ、あんた話しかけてきなさいよ」「ムリよ! 近づいた瞬間に視線の吹き矢飛んでくる!」「じゃ、じゃああたしが……」「「どうぞどうぞどうぞ」」「ちょっと!」などとやりとりをしているのだ。
「一夏も大変だな」
「え? なんのことだよ」
べつに、と答える円を不思議がりながら一夏は話題を次のものにシフトさせる。彼が円の言葉の意味を知るのは少し先のこと。
「そういえばさ、おまえ随分ISの操縦に慣れてたけど何処かで訓練してたのか?」
んな馬鹿な。ご存知ISとは史上最強の兵器として通っているが「女性にしか動かせない」という欠点がある。(一概に欠点というのもまた語弊があるが)
となると一般の男性はISに関わった職に就くなどしない限りこれに触れる機会はまず無い。まして「操縦する」などありえないのだ。
「訓練っていうか……」
言いながら円は右手の薬指につけたエンペラーの待機形態である黒い指輪を一夏に見せる。ISはこうしてコンパクトに持ち運びできる待機形態に形を変えることができるのだ。(形は様々でアクセサリーからちょっとした武器になる物もある)
そのとき二人の背後に忍び寄る小柄な人影が
「ちょっとぉ! 無視すんじゃないわよ!」
「ん?」
「お?」
振り返った二人だが誰もいない。朝っぱらからホラーとかなにそれやだーこわいー、などと円がぼやく。
「なにふざけてんのよ! あんたたちは!」
「あれー鈴の声がしたんだけどなー(棒)」
「だれもいないなー(棒)」
視線を変えない二人の死角(笑)でついに鈴音がキレた。
「こんのアホォォォ!」
怒鳴りながら二人のつま先をゲシゲシと踏みつける。一踏みで二人のつま先を捉えるのだから器用だ。後ろで様子をみていた箒が「打ち合わせでもしているのか」と呟くがもちろんしていない。
「ほうき と 鈴 が なかまになった」
「いちか と まどか の れべる が 2 あがった」
「なんで踏まれてんのにレベル上がってんのよ!」
抑揚の無い声でボケる二人とキレる(ツッコミが)鈴音、呆れる箒。実に騒がしい朝であった。
「あーでも教室に魔王がいるからなぁ」
「たしかに」
冒険の先にゲームオーバーしか無いというのも酷なものである。
†
「あ、そういえば朝の続きなんだけどさ」
なんやかんや午前中の授業を終えた円は今日も一夏と学食にきていた。
ちなみにだがIS学園といえど学ぶのはそれの事だけではない。一応は「高等学校」というスタンスでの運営なので当然一般科目の授業もあるのだ 実際それらの時間割コマ数はIS関連の物に比べればかなり少ないが。
しかしながら「ISが動かせても基礎学力が低いんじゃあ格好がつかない。しっかり学んでくれたまえ」という古文教師 笹本のシニカルな言葉の通り詰め込まれている勉強量は凄まじい。ゆとりとはなんだったのか。
「あぁ俺のこと?」
昨日と違うことといえば一夏の幼馴染である篠ノ之箒が同席していたことと、その影響か三人の周りの女子達が悔しそうな目をしていたことだろうか。
なおセシリアは円が転入(編入)して来て以来、一度も一夏と食事をとっていない。それ自体は円に問題があるのだが彼がそれを知るのは少し先のこと。普段ならここで「抜け駆けだなんてズルですわ!」などといちゃもんをつけられる箒も彼女を少しだけ心配していた。
「そうそう。結局うやむやになっちゃただろ?」
例によって日替わり定食を受け取った一夏は空いた席を探しに歩き出す。一つ後ろに並んでいた円の昼食は焼きそば定食だ。(「焼きそば、ご飯、味噌汁、漬物」なぜこんな大阪メニューがあるのかは謎だ)
三人分の席がある一角を見つけた一夏が二人を呼び、食事が始まった。
「それの事なんだけどさ、一夏がISを動かした事がニュースになったのは知ってるだろ?」
「あぁ、あんまり思い出したくないけどな……」
あのときは大変だった。とうな垂れる一夏を見ながら円は話を続ける。
「でさ、あのあと大規模なIS適性検査があったんだよ」
「あ、それ俺も友達から聞いた」
中学時代の友人である五反田弾からその旨を聞いていた一夏は彼との電話のやり取りを思い出していた。電話の内容だが適正なんか無かったぜと涙声で訴えられたのに対しドヤ顔で(もちろん電話越しなので見えるはずが無い)姉の言葉「おまえたちのランクなどゴミだ」云々を送ってやり、見事に困惑されたとか。
「その適正検査の前日にこれが届いたんだよ」
といって円は朝と同じように帝王の鎮座した右手をみせる。薬指につけることに対しては特に意味はないらしい。
「なんか俺宛の手紙が来てさ。どんな内容だったかなぁ」
ISが待機状態で手紙で届いた。この異常事態に一夏と箒の顔が青くなる。比喩抜きで。
「思い出した。確か……
『やっほー! げんきー? ってわたしは君と会ったことないんだっけ? ふふふ! おっかしーワラワラ(笑)
そういえば知ってる? わたし今君の後ろにいるんだよ! ……なーんちゃって! うっそでーす! ね、向いた? 後ろ振り返った? でも後ろ振り返った、ってなんか変だね。ま、いいや。
一緒に入ってる指輪はわたしからの贈り物だよ! あ、でもそーいう意味じゃないからね? だってわたしには愛する旦那さまがいるんだもーん! 結婚してないけどね。わははは。
国交間のパワーバランス変えてまで造ったんだからさ、大事にしてよね! んじゃ、ばいばーい!
P.S
なおこの手紙は開封してから三十秒後に自動消滅しちゃうよ』
だったかな。手紙が勝手に溶けたからびっくりしたよ。誰からだったんだろうな」
「そ、そうか……」
「姉さん……」
頭痛を感じた二人がほぼ同時にこめかみを押さえる。なにやってんだよあの人、とぼやく一夏に首をかしげながら円はさらに話を続けた。
「んでその次の日に俺の住んでたで適正検査があったんだよ。その実施会場で順番待ちしてたらコイツがいきなり光りだしてさ、エンペラーに変わったわけ」
そこまで言うと円は一度お茶を口に含む。
「そっからが大変でなー。二日三日ISが脱げなくてさ、もう頭グラグラしてたっけ」
というのもISは装着時にハイパーセンサーが展開され、視力の補助や高性能集音機能の他、空気中の水分や湿気のパラメータ化、射撃時の風向&風速計算など様々な面で搭乗者をサポートしてくれる。
しかしながら慣れない者が扱うとクリアすぎる視界などにより吐き気などを催してしまうことがあるのだ。一夏もそれを知っているが食事中なので流石に口にしなかった。
「それでさ、その場にいた検査官の人が簡単な操縦方法をおしえてくれたんだよ。それに俺の中学男子も強制でISの授業あったしある程度は知識あったし」
実際選択授業などでISの授業を取り入れている学校も少なくない。円の中学校は「もしもの時のため!」で男子生徒もこの授業を受けさせており、円のこともあって最近高い評価を受けていた。
「へぇ、そんなことがあったのか」
入学前にうっかり参考書を捨ててしまった彼からしたら少し羨ましいようだ。そんな彼も必死の猛勉強でなんとか追いついてきたが。
「一夏、箸が動いていないぞ。早く食べろ」
「おぉ、悪い」
つい話しに夢中になっていた一夏を箒が注意する。べつに彼女に対して悪いことなどしていないのだが謝ってしまうのは性格が故か。
「今日は遅れないようにしないとな」
その様子をみていた円も言いながら箸を動かす。
本日、午後の授業は実習訓練なのだ。
前半のネタですか? はい、今回遅くなった原因をモチーフにしております←
まぁここでながながと語るのもアレなので詳しくは割烹にでも。
あと私の特技は「さらっと新キャラを出してさらっと消す」ことです(笑)
では、読了ありがとうございました!
次回もまた!