カズナリは帰宅した。
玄関の外で母に遭遇した。
母「自転車は?」
カズナリ「・・・自転車だけ跳ねられてスクラップになったよ。」
カズナリはまあまあありえないウソをついた。
母「まあ、あんたが無事でよかったよ。」
カズナリ「まあね、自転車ごめんね。」
母「まあ、あんたも当分足で走ればいいさ。」
カズナリ「うん、そのうちバイトするから。」
このやりとりをカズナリは何百回繰り返しただろうか。
カズナリ(俺に生きる資格なんてあるのか・・・こうやってまた家族に迷惑かけてノウノウと生きて帰ってきた。)
カズナリは死に惹かれていた。もうカズナリには欲などないのである。
エリは祖母の家で父の帰りを待っていた。
父はエリと祖母が夕飯を食べている時に帰ってきた。
父「どうだ、ショッピング楽しかったか?」
父は楽しげにエリに話しかけた。
エリ「うん、友達と行ってきた。」
父「そうか!お前ついに友達と遊ぶ気持ちになったんだな。」
エリは気をつかわれるのが嫌で入院していた時、友達に罵声をあびせていた。
そしてエリは自分に気をつかわない友達をいちからまた作る気になったのである。
父「身体は大丈夫だったか?」
父は心配そうに聞いた。
エリ「うん、もう全然元気だよ。男に声かけられるくらい!」
エリは嘘をついた。
父「そうか!お前は母さんに似て美人だからな。」
父はうれしそうであった。
エリ「ねえ、父さん私働きたい。」
エリは真剣なトーンで切り出した。
父「んー、そうだな、俺の会社でいいか?」
エリ「働いていいの?」
エリは父の許しに驚いた。
父「俺がまちがっていた。お前の人生だ。好きにしろ。」
父は凛々しく言った。
エリ「やったー!!ありがとう父さん!!!」
カズナリは夕食後FPSをしていた時であった。
ぴっぽっぽぱぽー、ぴっぽっぽぱぽー。
カズナリのスマホに電話がかかってきた。
カズナリ(ん?母さんか、何か俺にようがあるのか?)
スマホにはエリという名前が表示されていた。
カズナリ「あ、もしもし。」
エリ「あんた、毎日暇?」
カズナリ「まあ、暇だけど・・・」
(こいつ女子とは思えない急な用件言ってきそうだな。)
エリ「明日からバイトで働かない?」
カズナリ「働くか・・・」
カズナリは決して働きたくないわけではなかった。
ただ人生に絶望していただけであったのだ。
エリ「もしかしたら正社員なれるかもよ!!」
カズナリ「いいかもな、正社員になれば学校やめればいいし、仕事向いてなかったら現状維持すればいいもんな。」
エリ「また、そんなこと言うじゃん。覚めるんだけど。」
カズナリ「ごめんなさい。」
次の日カズナリは平服でバイト先に行った。
そこは田んぼのど真ん中にビルが建っていた。
カズナリ(これバイトじゃなくて普通に派遣じゃね?)
カズナリはビルに入って行った。
カズナリ「すいません。第三会議室ってどこですか?」
受付嬢「こちらの地図で・・・」
カズナリは受付嬢の手元の地図を見ていた。
すると後ろから殴られた。
エリ「面接はこっちだから・・・」
エリはなぜか不機嫌であった。
そしてエレベーターに乗り、三階の第三会議室に向かった。
エレベーターのなかで
エリ「あんた、なんであんな受付と近かったのよ?」
カズナリ「いや、面接の場所聞いてただけなんだけど。」
エリ「分からないことがあれば私に聞けばいいから!」
カズナリ(俺なんで怒られてるんだ?)
会議室に入る時、ノックを三回した。
カズナリ「失礼いたいます。師子王カズナリ、23歳大学生です。」
エリ父「君がエリの友達か!」
エリ「そうよ。父さん。」
エリの父はカズナリに軽快に接した。
エリ父「まあ、腰かけたまえ。師子王くん。」
カズナリ「では、失礼します。」
エリ父「君も大変だろ。エリはわがままだからな。」
カズナリ「いえ、エリさんにはよくさせていただいてます。」
カズナリ(ああ、また嘘ついちまった。てかなんかこの面接違和感すげーな。)
エリ「そうよ。私は社長令嬢だから。」
カズナリ「じゃあ、面接官はこの会社の社長!!!」
エリ父「はっはっはっは、そうだ。今日からよろしく頼むよ。」
カズナリは○○ホールディングスで働くことになった。
カズナリは多少PCが使えたため、広告作成を主にしていた。
エリは企画やマーケティングの会議のアシスタントをしていた。
夜7時ころカズナリは仕事が終わり会社を出ようとしていた。
カズナリ(あれ、俺って学生ニート設定だったよな。まあ、いいか。)
一階のフロントで受付嬢がいた。
カズナリ「今日は朝、ありがとう。」
受付嬢「いえ、当然のことですから。」
するとまた後ろから殴られた。
エリ「すいません。うちの同僚が。」
エリはカズナリを引きずって会社を出て行った。
カズナリ「なんで、そんなにお前は俺に冷たいんだ?」
エリ「別に、普通だし。」
するとまたエリがうずくまった。
エリは苦しそうだった。
カズナリ「昨日のあれか?持病か?」
カズナリは心配した、そしてエリの背中をさすってあげた。
エリ「ありがとう。」
エリは立ち上がった。
エリ「心配しなくていいから、帰りましょう。」