インフィニット・ストラトス Strong・Summer   作:kue

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第27話 何故少年は新たな戦いの術を求めるか

 無事に臨海学校も終わり、あと数日で終業式、そして夏休みが来るという事もあってかIS学園も生徒が集まっているという例に漏れずにウキウキわくわく感が感じられる。

 クラスの何人かの女子は既に夏休みどこに行くか考えているほどだ。

 そんな中、俺は一人、机に向かってある用紙を書いている。

 俺の専用機である白式が第二形態へと進化を遂げたことで運用方法も大きく変わったし、まず戦闘を積まないと感覚を得ることができない。

 そんなわけでかたっぱしの専用機持ちの皆に模擬戦を申し込むための用紙を書いている。

 同学年の皆には口約束で行けるんだが上級生になると何故か申込書が必要なのだ。山田先生曰く、上級生の専用機持ちは色々予定が詰まっているらしく、あらかじめ日にちを設定しておかないとできないらしい。

 二年生には二人、三年生には1人しか専用機持ちがいないけどこれが普通らしく、むしろ今年の俺たちの世代の専用機持ちの数が異常らしい。

 まぁ、その原因はまさに俺なんだけどさ。相変わらず俺がISを動かせる理由は全く分からないし。

 

「む? 一夏、何を書いているのだ?」

「おぉ、ラウラか。いやさ、上級生に模擬戦申し込もうと思って」

「なんだ? 私達ではだめなのか?」

 

 そう言いながらシュンと表情を暗くするラウラを見て何故か心の底から頭をナデナデしたい欲望にかられるがなんとかその欲望を押さえつける。

 あ、危なかった。ラウラがこんなにも可愛い小動物だったとは。

 

「いやいや、違うって。ただ単に経験を積みたいのと皆とばっかりやってるとパターン化してくるっていうか」

「まぁ、それもありますわね」

「セシリア。よっ」

「ごきげんよう、一夏さん。ラウラさんも」

「ほぅ、この私はついでか」

「あら、そういうわけではありませんわ」

 

 上品な笑みを浮かべるセシリアと口を三角に尖らせて少し不満げな表情をしているラウラを見ていると小さい子供が大人に必死に理論を振りかざすけど全て素通りされているようなシーンに見えてラウラを応援したくなる。

 あぁ、ラウラたん可愛いお! ……っていかんいかん。俺のキャラがおかしくなる。

 

「私もこの夏には偏向射撃(フレキシブル)を取得しませんと」

「それってたしかBTレーザーの軌道曲げる奴だよな」

「ええ。最大化同時に出来る物なのですがまだ取得できていなくて」

「俺、近接戦闘しかしないからわからないけどやっぱり偏向射撃が出来ると戦闘の幅って広がるのか?」

「そりゃ当たり前じゃない」

「お、鈴」

 箒とシャルがトイレから帰ってきたら全員集合だな。

「避けられてもある程度追尾できるようになるし、死角からの一撃とかもできるし」

「なるほど」

「それに一夏のISのように速度が速かろうがある程度、追尾しながらポイントまで追いつめ、そこで狙撃するという戦術もできる訳だ」

「打ちっぱなしですと一夏さんに当てることすらままならなくなりますし」

 

 なるほど。ISって奥が深いどころか底なし沼レベルなんだな。俺は近接戦闘しかしないけどやっぱり遠距離の

戦闘の仕方も教わるべきか……いや、でも俺が遠距離武器使うときってタッグの時くらいだし、そもそもタッグで試合を行うのってほとんどないしな……やっぱり回避行動と近接戦闘術を上げた方が良いか。

 

「そう言えば皆は夏休みどうするんだ?」

「あたしは向こうから来いって言われなかったらこっちいるわ。もう帰るの面倒だし」

「私は一度、ドイツへ帰って部隊に顔を出さなければいかん」

 

 あ、そういえば忘れてたけどラウラって黒ウサギ隊っていうドイツ最強を誇るIS部隊の隊長をやってるんだよな。ほんと凄いよな。

「私も家の仕事を片付けなければいけませんし」

 

 そういやセシリアは良いところのお嬢様だったっけ? イギリスってまだ貴族制が残ってるらしいからやっぱりセシリアも貴族なんだろうか。

 

「あんたはどうすんのよ」

「俺? ん~多分、バイトするかね~」

「バイトで思い出したけどあんた代表候補の話しどうなったのよ」

「ん? あぁ、そういやそんな話あったな」

「あんたねぇ」

 

 結局、あの話は俺が一回戦は勝ったけど二回戦はスラスターの全壊っていう大損傷を受けたから結局、棄権したから無くなったんだよな。

 

「日本の代表候補生は確か四組の人だったっけ」

「らしいわよ。あたしも会ったことないけど」

 

 是非とも会いたいんだが色々と俺も訓練とかで忘れてること多いからな……まぁ、二学期が始まってから会いに行っても遅くないだろう。

 

「一夏、あんた今日放課後あたしと模擬戦しない?」

「お、良いな」

「では明日は私だな」

「では明後日は私が」

 こりゃ、ハードな日程になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 終業式当日、俺は筋肉痛がまだ残る体を軽く回しながら終業式が行われる一組の教室でそれが始まるのを待っていた。

 IS学園は終業式はアリーナみたいな大きなところで全員、集まって行う事は無いらしい。

 それにしてもここ数日の予定は中々にハードだった。最初は鈴と模擬戦を行い、次にラウラ、次にセシリアとやったんだがそこにまさかのシャルと箒の2人も加わり、セシリアからのぶっ続けで模擬戦をやったおかげで全身筋肉痛が残ってしまった。

 模擬戦で分かったのは形態移行によって戦い方をガラッと変えなきゃいけなくなったこと。

 装甲がみんなのに比べて少ないスタイリッシュな格好になってしまったし、レーザーや衝撃砲なんかの武装の直撃を喰らえばエネルギーが結構持っていかれる始末。

 簡単に言えば装甲が半分ほど減ったおかげで今まで5のダメージが7.5くらいに増えてしまった。

 そしてもう一つの問題はエネルギー効率。確かに瞬時加速に関しては大幅にエネルギー消費が抑えられたことで連発が可能になったし、持続時間も伸びた。

 ただ零落白夜のエネルギー消費は変わっていないから瞬時加速を使い過ぎれば発動できない。

 

「なかなか難しいもんだな」

「何が~?」

「のほほんさん、おはよ」

「おっは~。昨日の模擬戦見たよ~」

 そういやアリーナにはなかなかみんなが集まってたな。皆行事好きだな。

「おりむ第二次形態になったんだね~。びっくりしたよ~」

「まあな。で、どうだった?」

「ん~もっと速度を有効に使えるんじゃないかな~って」

 

 のほほんさんは偶に核心を突くことを言うから侮れない。確かに昨日はあまり速度を出さずに模擬戦をやっていた。まぁ、機体の実戦調整ってこともあったけどさ。

 あ、そうそう。スラスターによる加速の速度も上がったんだよな。それに全速力に至る時間も短縮されていたし俺の機体はいったいどんな方向に進化するのやら。

 

「まだ慣れてないっていうのがな。中々きついよ」

「そのうち慣れるよ~」

「そうだな……はぁ。どこか夏休みにIS動かせる場所は無い物か」

 夏休み期間中はアリーナも整備と点検で使えないし……どうしたものか。

「良いところあるよ~」

「え、マジ?」

「マジ~。私にかかればバババキュ~ンって感じで出来るよ~」

 全く分からないけど要するに居場所があるってことでいいんだよな?

「予定がついたらオリム~に連絡するね~」

「おう。あ、これ家の電話な」

 のほほんさんに家の電話番号を書いたメモ用紙を渡したと同時に山田先生と千冬姉が入ってきたのでのほほんさんも自分の座席に戻った。

 さてと。夏休みは自己鍛錬に費やしますか。

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