インフィニット・ストラトス Strong・Summer   作:kue

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第3話 何故、専用機は届かないのか

 翌日の朝、朝食を終えた俺は1人教室でボーっとしていた。

 ここの日替わり定食は中々、美味しかったな。栄養バランスも考えられている一品らしいし、カロリーも女子高だったからか低めに設定されているらしい。

 だからこれからは日替わり定食を注文し続けよう。中華なんかもあったけどそればっか食ってたら栄養が偏って病気になるかもしれないしな。

 

「クラス代表戦まで残り6日……とりあえず訓練機を借りてISに少しでもなれねえとな」

 いくら生身の状態ではあいつを超えているとは言ってもISという装甲を纏った状態では俺はまだ歩きはじめてもいない赤ちゃんと同じレベルだ。

 それに加えて相手は代表候補生だ。俺の何千倍もISに触れて生きてきたんだ……次元が違う相手と戦う気でいないとな。

 

「あ、おりむ~だ~。おはよ~」

「お、おりむ~?」

「うん。織斑だからおりむ~」

 

 手が見えていないほどのだぼだぼな服装の女の子は確か……布仏さんだ。そうだそうだ。確か自己紹介の時にやけにトロ~んとした喋り方だなって感じてたから覚えてるぞ。

 

「おりむ~セッシーに勝てる?」

「セッシー……あぁ、オルコットさんか」

「相手は代表候補生だしね」

「えっと」

「あ、私は鷹月 静寐。よろしく」

「あ、よろしく……まあ全力は尽くす」

 そう言うと同時にチャイムが鳴り響き、山田先生と千冬姉が教室に入ってくる。

「今日は空中でのIS基本動作だ……その前に織斑」

「はい?」

「お前の専用機だが届くのに時間がかかる」

 

 専用機……ってことは俺だけのISをくれるっていうのか? まあ唯一の男性操縦者に専用機を渡さない手はないよな。それで俺の知らないところでデータを回収して男性IS操縦者の量産型計画を~みたいなやつがいるのがマンガ的な悪役でテンプレストーリーだよな。

「良いな良いな~。早く専用機欲しい」

「でも1年生のこの時期は早くない?」

「そりゃ男性操縦者だし」

「静かにしろ。とにかく代表選抜戦までには届くはずだ。では授業を始める」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の放課後、俺は箒と共に剣道部の人にお願いして剣道場を借り、互いに防具をつけて見合っていた。

 一カ月くらい忙しくなるかもと思ったが案外、用件は簡単に片付いたのでこうして箒との昔の約束を果たすべく剣道場にいるという事だ。

 

「ではいくぞ。一夏」

「あぁ、来い」

 

 互いに構えるがすぐに切り込んでくることはなく道場には物音ひとつすらしないほどの静けさが流れる。

 箒の手が竹刀を強く握りしめた瞬間、俺は一歩踏み出して竹刀を突き出すが箒も俺の行動を予測していたのか突きを竹刀で弾き、顔めがけて振るってくる。

 振るわれてくる竹刀を防ぐと道場に良い音が響く。

 流石は剣道全国大会優勝者……体は鍛えてはいたけど試合をしていないというブランクを抱えている俺とじゃその差は歴然……でも負ける気はない!

 

「はぁぁ!」

 踏み出し、まっすぐ振り下ろすと見せかけて箒の胸めがけて突きを繰り出すがそれも防がれ、踏み込んでくる箒の姿を捉えた瞬間、足に力を入れてその場にとどまり、ギリギリのところで竹刀を避ける。

 …………やっぱり俺に型どおりの競技は向いてないな。

 そう結論付け、竹刀を片手で握るとダランと腕を垂らす。

 その姿を見れば普通の場合は切りこんでくるのが定石だけど昔の俺を知っている箒は切りかかってこず、俺から少し距離を取る。

 隙だらけであるようで隙だらけでは無い……構えであるように見えて構えですらない……俺にはやっぱり型通りの競技ってやつが嫌いだ。

 腕をブランとしたままの状態で俺は箒めがけて突っ走っていく!

 

「っっ!」

 箒の驚いた様子が面越しからでも見える。

 喰らえ……名付けて一夏スペシャル!

 見たことのない方法で突っ込んでくる俺に驚いたのかそれともこれで決める気なのか箒は竹刀を俺に合わせて横薙ぎに振るってくる。

 

 

 ――――道場に竹刀がぶつかる音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏……あれはいったい何なのだ!」

「何って……無我の境地?」

 

 その日の晩、部屋で俺はベッドに横になりながら箒のお説教を受けていた。

 結局あの直後、床に向けていた竹刀を手首を曲げることで竹刀を立て、それで箒の横薙ぎの一撃を受け止め、その直後に両手で竹刀を持ち、箒の面に一発ぶち込んだ。

 

「全く……お前は昔からルール違反をする。違反しなくても強いというのに」

「ア、アハハハ~……まあ、ごめん」

「全く……だが負けは負けだ。一夏。お前は奴に勝て。私はお前に勝つ」

「おう。互いに頑張ろうぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日が経過し、クラス代表選抜戦当日の日となった放課後、俺は箒と共に第三アリーナのAピットで待機していた。

 今ピットには俺達しかいない。なんでも千冬姉と山田先生は俺の専用機がこちらへ届くのでそれの手続きやらなんやらをしてくれているらしい。

 話題の操縦者という事もあって観客席は埋め尽くされており、立ち見まであるほどだ。

 

「ついにこの日が来たな、一夏」

「おう……まあ訓練機が借りられなかったのは誤算だったけど」

 

 実はこれまでに何度か訓練機を使用しようとしたのだが予約がいっぱいだと言われ、次の予約が開く日は何と二週間後だと言われたのだ。

 結局俺は箒と一緒に剣道をするくらいしかなかった。

 

「致し方がない。IS学園とはいえ訓練機の数は限られている。借りられないのは当たり前であり、特別扱いはないという良い示しになったじゃないか」

「まあそれはそうだけど……でも遅くないか?」

 既に時間は定刻の30分前。

「織斑君織斑君織斑くーん!」

 ウィーンとドアが開いたかと思えば大慌ての山田先生がピット内に入ってきた。

「ど、どうしたんですか?」

「え、えっとですねふぅ……すーはー……た、大変なんです! 織斑君のISが何者かに強奪されたんですー!」

「「…………はぁぁぁ!?」」

「今全力で専用機の所在を追っていますがどう考えてもこの戦いには間に合わないんですー!」

「ど、どうするんですか!? もう試合は始まりますよ!」

「お、おち、落ち着くのだ一夏! こ、こういう時こそ深呼吸だ!」

「「「スーハー」」」

「で、どうするんだ?」「どうするんだ?」「どうしましょう」

 

 はい、ここでまさかのシンクロ! レベル15の俺と箒、そして24くらいの山田先生をチューニング! シンクロ召喚! って言ってる場合じゃねえ!

 3人しててんやわんやしているとふたたび扉が開き、今度は千冬姉が入ってきた。

 

「お、織斑先生! ど、どうしましょう! このままじゃ」

「山田君。少しは落ち着きたまえ……織斑。打鉄で行け。時間がない」

「で、ですが訓練機で専用機と戦うのは」

「時間がない。どちらだ? やるのか、やらないのか」

「……答えは決まってる。行くさ」

「い、一夏! 無謀だ! 相手は代表候補生だぞ!? そんな相手に訓練機で行くなんて」

「無謀だろうが何だろうが関係ない…………ここで引いたら男として価値が下がる」

「っっ! い、一夏」

 

 ごごんっ! と鈍い音がビット内に響き、ビット搬入口が開くとそこから訓練機である純国産機・打鉄が運ばれてきていた。

 俺は打鉄を身にまとうとハイパーセンサーがリンクし、オルコットさんのISの情報が入ってくる。

 イギリス所属・ブルー・ティアーズ……遠距離型の武装を多く積んだ第3世代型か……対してこっちは近距離と遠距離の両方があるけど俺からすれば近距離しか使えない。

 

『織斑。いけるか』

「行けます……箒。行ってくるぜ」

「う、うむ……行って来い!」

 箒に見送られ、俺はオルコットさんが待つアリーナへと飛び出した。

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