インフィニット・ストラトス Strong・Summer   作:kue

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第33話 少年は一時の祭りを楽しむ

 そして始まったIS学園文化祭。

 一般公開はされてないうえにIS学園の生徒から正体チケットを貰った人物しか文化祭に参加することができない決まりの為にごった返すことは無いけどそれでも日々に比べたら非常にごった返している。

 するとやはりバカは溢れ出てくるというわけで。

 

「はぁ!? なんでは入れないんですかー!? 俺ちゃんと招待券持ってんじゃん!」

「い、いえ。ですからこの招待券は学園生徒のサインがないために無効なんです」

「ざっけんなよ!」

 

 髪色を金髪にし、イヤリングやらなんやらをつけている所謂ヤンキーと呼ばれる奴らが学園の校門で暴れているところをクラスへ向かう最中に目撃した。

 

「やはりああいう奴らはいるものだな。よし、私がやろう」

「いや、お前の場合、代表候補生だろ。ここは俺に任せろ」

 

 ラウラを少し待たせ、暴れているヤンキーどもがいるところへと向かうとそいつらの視線が俺に向けられ、さらにメンチを斬られながら俺ににらみを利かせてくる。

 まあ、女子の園だからこういう奴は出てくると思ったけどまさか現実に出てくるとはな。

 

「お前織斑じゃん。なあ、俺も中入れてくれよ」

「無理だっつってんだろ。そもそもこれコピーした物だろ。どうせどっかから手に入れたんだろ」

「あぁ? お前喧嘩売ってんの? でもお前手出せないよな? テレビで言ってたぜ? お前が手を出したら速攻でISを取り上げるって」

 

 ニヤニヤ下卑た笑みを浮かべながらヤンキーどもが近づいてくる。

 タバコのにおいがあまりにも臭いに加え、そろそろ時間が迫っているのでちょっと強硬手段に出るとしよう。

 

「ぐうぇ!」

 

 近寄ってきていた奴の首を鷲掴みにし、そのまま片腕だけでそいつを持ち上げると周りからどよめきが湧き、集まっていたヤンキーどもは数歩後ずさる。

 

「お前が言ってたやつってそれ極論を言うことで有名な女性至上主義者の論客だろ? 悪いけどある程度の防衛は許可されてるんだよな。今は学園の防衛ってわけだ」

 

 首を掴んでいた手を離すと同時にヤンキーの体が落下するが腹めがけて蹴りを軽く入れるとそのまま背中から吹っ飛んで地面に落ちる。

 これでも加減はしてるし、流石にこれでもう殴り掛かっては来ないだろ。

「ここは下がってくれよ。お互いのためにさ」

「一夏、甘いぞ」

 

 そんな声が聞こえ、振り返ると技をかけられ、地面に押し付けられるだけでなく首元にサバイバルナイフをあてられ、涙目顔面蒼白のヤンキーとラウラの姿があった。

 …………本物の軍人さんは手加減なしっすか。

 

「そんな譲歩でこいつらが言う事を聞くものか」

「え、えっと……本物の軍人です」

 

 そう言うと全員が一様に顔面を蒼白させ、一目散に逃げていき、ラウラに解放された奴も肩を抑えながら必死に逃げていった。

 そりゃ、本物の軍人って言ったら逃げるよな。俺もさっきのラウラの本気の目を見て久しぶりにひやっとした。

 

「お前ら」

 そんな声に反応し、条件反射的に振り返った瞬間、目の前で星が光った。

 

 

 

 

 

 

 

 ――――☆―――――

「織斑君が燕尾服姿でもてなしてくれるんだって!」

「それはいいんだけど……何で織斑君、頭氷で冷やしてるの?」

「さあ? でもいいじゃん! 早く頼もうよ!」

 

 そんな楽しそうな声が聞こえてくる一組教室で開かれているメイド喫茶兼執事喫茶では大繁盛でさっきから客の長い列が縮むどころかドンドン伸びて二組の入り口すら浸食しているだとか。

 にしてもまさか千冬姉が騒ぎを聞きつけてやってくるとは思わなかったし、久しぶりに食らった千冬姉の拳骨は効くわ。まだヒリヒリする。

 今回のことはまあ、許してはくれたがその代わり全力の拳骨を俺もラウラも喰らってしまい、頭を冷やしながら接客をするという妙なことになっている。

 

「一夏もラウラもすぐ熱くなるんだから~」

「ま、まあな……シャルロットは珍しくロングスカートか」

「うん、まあね……でも」

 含み笑いを浮かべながらシャルロットは俺の耳元へ口を寄せてくる。

「一夏だけにならエッチなメイドさんになっても良いよ」

 

 そんな威力絶大な爆弾を投げ込み、シャルロットはスキップをしながら注文を承りに向かったがその爆弾を投げ込まれた俺はちょっと息子が腹筋の準備を始めてしまうくらいにダメージを追ってしまった。

 あ、あいつはこんな公共の場で俺の尊厳を切り崩す気か!? な、なんだか最近のシャルロットはエロエロな時と清純な時の差が半端なさすぎるぞ。

 

「あてっ」

「さっさと働かんか、一夏」

「お、箒もメイド姿か」

「う、うむ。お、お前が見たいというからな」

 

 うんうん。やっぱりメイドさんは女性によく似合う共通のスタイルだよな。

 ミニスカメイド、ロングスカートメイド、おチビちゃんメイド、長身メイド、さらにはエロエロメイドに清純派メイドまでもう多種多様の素晴らしい職業だ。

 まぁ、本物のメイドを知っているセシリアは不満げだけどな。

 

「次のお客さんはいるよー!」

 

 客裁き人の地位についているクラスメイトの声に反応し、扉の方を振り向くとそこにいたのは大体んなすろっどが入ったチャイナドレスを着ている鈴だった。

 

「よっ、鈴」

「よっ、じゃないわよ。あんたのせいでこっちは暇なんだから」

「悪い悪い」

「そう思ってるんならせ、接客しなさいよね」

「任せろ。さ、こちらです。お嬢様」

 

 そう言うと鈴はものすごく顔を赤くし、あたふたしながらもテーブルへと着き、まるでメニュー表で顔を隠す勢いの近さまでメニュー表を顔に近づける。

 何こいつ恥ずかしがってんだ?

 

「じゃ、じゃあこの執事ご奉仕セット」

「……こちらの旬のケーキセットはいかがですか? 値段も三百円と格安でありながらお菓子部所属の部員が真心こめて一から作ったハンドメイド作品でございます」

 

 直後、何かを察したのかさっきまで顔を赤くして悶えていた鈴の目が座り、嫌な笑みを浮かべながら俺のことをジーッと見てくる。

 やめろ……頼むからその執事ご奉仕セットだけは辞めてくれ。

 執事ご奉仕セット―――それは魔のメニューと言っても良いような俺にとっては最強最悪のダメージを与える物であり、メニュー内容としてはケーキとお茶が付いたものなんだがそのケーキをお客さんの隣に座って俺があーんをしながら食べさせるという何とも気恥ずかしい物なのだ。

 直後、鈴は俺の胸倉をガッと掴み、そのまま自分に引き寄せた。

 

「執事ご奉仕セットを一つください!」

 

 こ、こいつまさか俺がつけているブローチがカモフラージュしたマイクであるという事に気付いて!?

 時すでに遅し、厨房の方に注文が行ってしまった。

 

「鈴……恨むぞ」

「キヒヒヒヒ! さ、早くご奉仕しなさい」

 

 もう諦め、厨房の方へとセットを取りに行き、鈴のテーブルに置き、彼女の隣に座ってケーキを小さなフォークで彼女の口へと運んでいく。

 すると周囲から羨ましそうな声がやたらと聞こえてくる。

 

「うん、美味しい!」

「っっ!」

 鈴の満面の笑みを間近で見たせいか恥ずかしさがこみあげてきて思わず顔を逸らしてしまう。

 あ、あれだよな……鈴って笑顔が一番かわいいよな……って俺は何言ってんだ!

「は、はい。お嬢様、あ~ん」

「あ~ん♪」

 鈴はやたらとご機嫌だが俺は恥ずかしさがメーターを振りきっている。

 そんなこんなで鈴にケーキをあ~んしている間、俺は必死に恥ずかしさと戦いながら接客をした。

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