インフィニット・ストラトス Strong・Summer   作:kue

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第34話 少年は戦う……狩人という名の女子と

 鈴の様子を見ていたのか俺が現場に出ている間はご奉仕セットだけを注文するお客さんばっかりでもう俺の恥ずかしさのメーターの針はぶっ飛んで行方知らずだ。

 今は休憩中だがさっきまでの恥ずかしさが未だに頭にこびりついているせいでまともに女の子たちの表情を見ることができない。

 

「な、なんつうメニューを生み出したんだ」

「少しよろしいでしょうか」

 

 後ろからそんな声をかけられ、振り返ってみるとスーツを着てふわりとしたロングヘアーがよく似合う美人な女性が立っていて俺の顔を見るや否やすぐにポケットから名刺入れを取り出し、俺に差し出してくる。

 その名刺を受け取り、見てみると案の定、IS武装関連会社だった。

 

「巻紙礼子……さん」

「はい。IS武装開発企業・みつるぎ渉外担当をしております。是非、織斑様にわが社の武装を使用していただきたく、来ました」

 

 こういう話は俺がIS学園に入学してから山ほど来ており、昼休み、放課後などに会っては話しをしてきたがどの人のも断ってきた。

 俺のISは零落白夜に全てのパルスロットを使用しているうえに拡張領域までも埋まっているので後付武装はつけることができない。

 夏休みにもそういう人たちが大勢やってきて1人1人、事情を説明してお帰り頂いたんだけどまだこういう人がやってくるという事は案外、こういった業界での横の繋がりは薄いらしい。

 でも最後にやってきた人は俺が事情を説明して断ったら、やっぱりそうですよね、って言ってたから全くないことは無いみたいなんだけどな。

 

「すみませんけど俺の機体は後付武装使えないんですよ。色々なものに領域が食われてるんで」

「そう言わずに説明だけでも」

 

 説明だけでもと言われても白式は今のパーツ以外を装備した際のデータ算出さえ、嫌がっているのかエラーを起こしてデータを破壊するくらいのじゃじゃ馬なのにな~。

 

「すみません、人待たせてるんで」

 カタログを出そうとしている隙にダッシュでその場から脱出し、人混みの中に埋もれると流石にここまで追ってくるのは辞めたのかさっきの女性の姿は見えない。

 一息つき、学園の校門へと向かうと待たせていた奴の姿が見える。

 

「よ」

「心の友よー!」

 

 そう言いながら飛びかかってくる弾の頭を鷲掴みにし、片腕だけで押さえるが向こうも体を鍛えているので少しずつだが押され始める。

 が、そこは俺。足に力を入れ完璧に弾の動きを封じる。

 

「お、お前筋肉増えたか?」

「これでも毎日の日課は欠かさずやってる」

「にしても女の園は良い匂いがするな!」

「そんなこと言ったらお前、不審者としてつまみ出されるぞ」

「一夏さんや。俺は自由に行動していいのかね?」

「まあ、俺の招待券ある以上はな。あ、でも入るなっていうところは絶対に入らない方が良いぞ。もしも入ったらお前普通の生活は送れないからな」

「入らねえよ。IS学園なんて機密事項の島なんて言われてるし」

 

 そう、IS学園には俺たち生徒にすら知らされていないことが山ほど存在し、一般人には絶対に開示できないものまで存在するので学園祭とは言えど解放されている部分は全施設の中でも見ても数少ない。

 それほど学園は重要な施設だという事だ。

 

「美女漁り♪美女漁り♪」

「蘭にボコられない程度にな」

「もちのろんすけ! じゃーなー!」

 

 弾は今まで以上にふやけた顔をしながら女の園へと走っていった。

 まあ、弾のことだから牢屋にぶち込まれるようなことはしないだろうけどなんかやらかすような気がする……中学時代、おバカさんトリオの肉体派と言われたあいつだからな……というか中学の天井に穴開けようぜって言い出したのもあいつだし……ま、大丈夫か。

 と、そんなことを考えていると放送を告げる音楽が響く。

 

『皆様~本日はIS学園文化祭をお楽しみいただけていますでしょうか~? さ~て! 本日のメインイベントともいえる大きなイベントを開催いたします! その名も! ドキッ! 織斑君の格好いいところを見よう選手権!』

 

 この声、どう考えても会長の声だよな……というか何これ? 俺全く聞いていないんですけど。

 

『我がIS学園にただ一人だけの男子生徒である織斑一夏君は非常に優秀かつ戦闘中の彼のイケメンの度合いはもう学園の女の子がメロメロになるほど! そこで! 皆様方にそのイケメンさを見せ、ハートをがっちりと鷲掴みにする姿を見てもらいましょう! その姿を見せるのに一役買ってくれるのはIS学園が誇る運動部最強の部長たちに加え、なんと! 各国の代表候補生が織斑君と生身による戦いを披露いたします!』

 

 え、だから俺聞いてないんですけど? え、まさかこんなところで代表候補生の皆と戦いあうとか言う願っても無い機会が実現しちゃうんでしょうか? ていうか会長一言俺に相談してくれよ……でも学園が誇る運動部最強の部長と戦えるのは燃えてくる。

 

『なお、一般の皆さまはいずれかの教室に入っていただき、モニターによる観戦をしていただきます! 生徒の指示に従って教室へお入りください』

 

 会長がそう言うや否やその役を引き受けているであろう人たちの声が廊下に大きく響き、溢れるほど廊下にいた招待客たちがそれぞれの教室へと入っていき、あれほど騒がしかった廊下がわずか数分で静かになり、俺以外の人間は廊下には立っていなかった。

 通りで監視カメラがいつもよりもよく見かけるなって思ってたんだ……まさかこんなことのために台数を増やしたのかよ……まあ、防犯っていう事もあるんだろうけど。

 

『今宵、血に濡れた武器を手に狼を狩るハンターたちは息をヒッソリとひそめ、狩りが始まる時間を今か今かと待ち望んでいる。彼女たちは牙である武器を磨き、あらゆる方向から狼を狙う。獲物を視界に入れる目はまさに殺し屋の目そのもの! It‘s show time!』

 

 直後、窓の外から一瞬だけ太陽の光が反射したのを感じ、反射的に伏せた瞬間、窓ガラスを突き破って矢が飛んできて壁に突き刺さる。

 …………あ、あれ? この矢ってまさか先端尖ってます? 刺さったらイタ~イっていうレベルじゃない?

 

「織斑一夏覚悟!」

「うぉ!?」

 

 振り返った瞬間、腕を付きだそうとしている格好のボクシング部部長さんの姿が見え、慌ててその場から飛び退くと壁とグローブがぶつかり合い、爆音が響きわたる。

 い、今の爆音まるで金属同士がぶつかり合ったような音してるんですが。

 

「ボクシング部部長! 参る!」

「剣道部部長も参戦!」

 後ろから竹刀、前からは拳! ならば!

「よっ!」

「っっ!」

「隙あり!」

 

 ストレートパンチを伏せて避けた俺に竹刀が振り下ろされてくるがその竹刀目がけて足を上げて蹴りをぶつけると衝撃が手に走ったのか苦悶に顔をゆがめ、その手から竹刀が落ちる。

 落ちた竹刀を掴み、ボクシング部部長の腹に突きを加え、剣道部部長さんには思いっきり面を加える。

 ……ダメだ。今のは前から先に攻撃が来たから助かったけど同時に来られてたら片方の攻撃は絶対に食らってた……まだまだだな、俺も。

 剣道部部長の竹刀を借りたまま廊下を走ろうとするがさっきの弓のこともあるので壁に背中を当て、窓の外をチラッと見てみるが外にスナイパーの姿は見えない。

 遠い位置にいるかもしれないしな……ここは窓に姿を見せない様に

 

「っっ!」

「ちっ!」

 

 後ろから僅かな殺気を感じ、振り返ることも無くその場から飛び退いた瞬間、窓ガラスが割れ、弾丸の雨が凄まじい速度で打ち込まれていく。

 サ、サブマシンガンっていうレベルじゃないぞ!? これ絶対シャルロットだろ!? しかも目の前には本職の軍人さんのラウラがいるし!

 

「ふ、ふふふ……一夏を捕えて会長に渡せば一週間一夏と戦いたい放題」

 こ、こいつは何嬉しそうにすごいこと言ってるんだよ! ていうか会長もそんなこと許可するなよっていうかあの人まさか全員にご褒美与えてるのか!?

 

「安心しろ嫁。このサバイバルナイフはゴム製だ」

「いや、ゴムにしては尖ってますが」

「尖ってないナイフなどナイフではない!」

 

 妙なことを叫びながらラウラは二本のサバイバルナイフを手に俺に斬りかかってくる。

 こっちとて鍛錬を積みまくってるんだ! 簡単にやられるわけにはいくか!

 ラウラが放ってくる一撃を彼女の手首を叩きつけながら往なしていくが次の一撃を繰り出してくる速度が速いうえにフェイントも織り交ぜてきている。

 リアルに俺のこと殺しに来てないか!?

 

「フハハハハハ! どうした嫁! そんなものか!?」

 あ、悪役にしか見えん。

「一夏覚悟!」

「って今度は鈴って手裏剣かよ!?」

 

 ラウラの一撃をかわし、近くの空き教室へ避難した瞬間、再び窓ガラスをぶち破って鉛の雨が俺に向かって降り注いでくる。

 ていうかなんでみんなそんな迷いなく俺に一撃加えてくるんですか!?

 鈴が放って来る手裏剣を近くにあった鉄製のおぼんを振り回すことで叩き落していくが鈴たちが射撃範囲にいるのか鉛の雨はやんでいる。

 くっ! なんていう連携攻撃っ!?

 

「こ、今度はセシリアか!?」

 おぼんが手から弾かれたかと思えばおぼんに真ん丸な穴が開いている。

 スナイパーライフルにより俺の防具の狙撃、サブマシンガンによる奇襲攻撃、サバイバルナイフ・手裏剣による攻撃と殺す気満々だなおい!

「ふっふふふふふ! あ、あんたを捕まえれば一週間執事ご奉仕!」

「一週間戦い続ける!」

 マ、マズい……後ろは壁、窓の近くに行けばシャルロットとセシリアによる射撃……万事休すか!?

「止めだ!」

「ちょっと待ったー!」

 ラウラが飛びかかる寸前に鈴が手裏剣を投げ、彼女を静止させる。

「なんだ? 鈴」

「こいつを追い詰めたのはこのあたしよ。だから止めはあたしが」

「何を言っている!? この部屋に追い詰めたのは私だ!」

「違うよ僕だよ!」

「私ですわ!?」

 

 スナイパーライフルを持ったセシリア、サブマシンガンを両手、そして両足に装備している状態のセシリアまでもが教室に入ってきて言い合いを始める。

 

「僕が一夏をこの部屋に追い込んだから僕が止めを!」

「いいえ! 私の正確無比な狙撃により、一夏さんの防具を弾き飛ばしたのですから私が!」

「何を言っているんだ貴様らは! 近接格闘戦で私が一夏をこの部屋に誘い込むほど追い詰めたのだ!」

「あんたらバッカじゃないの!? あたしの手裏剣の攻撃を避けてこの部屋に一夏が入ったのよ!」

 ……い、今のうちに。

 四人が言いあいを続けている間に俺は壁伝いにすり足抜き足で教室から脱出した。

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