インフィニット・ストラトス Strong・Summer   作:kue

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第36話 少年は最強の相手を見つける

「おめでとう、織斑君。まだ力をさく裂させる時間が長いけど十分だわ」

「せ、生徒会長!?」

「っっ! あ、IS学園の生徒会長つったら最強の」

 

 そこで奴の言葉が聞こえなくなると同時に凄まじい爆音が響き、更衣室の厚い壁に大きな穴をあけて相手は外へと吹き飛んでいく。

 い、今の瞬時加速からの一撃……早い上に一撃が凄まじく大きい。

 俺の一撃と生徒会長の一撃の間にどれほどの威力の差があるかなんてことは一瞬で理解できたし、生徒会長の実力も非常に高いことも分かった。

 これがIS学園の全生徒の頂点に立つ最強の実力者であり、俺の目的を達するには必ず目の前に敵として立ちはだかる存在。

 こんなことを習得するのに時間をかけているようじゃまだまだあの人には勝てないし、千冬姉にだって勝てない……チクショウ! まだまだ世界は広いな!

 

「これくらいの一撃を出せるようにね。織斑君」

「……あ、姐さん!」

「んもう♪ そこはお姉さんっていってくれないと……さてと、テロリストさんを捕まえますか」

「はい!」

 

 会長とともに穴が開いた壁から外へと出ると絶対防御を貫くほどの衝撃に悶絶しているのかISを展開したままの状態で横たわっている相手の女の姿があった。

 絶対防御を貫くほどの威力をあの一瞬で出すとか化け物だな。

 

「て、てめえらよくもっ!」

「貴方を捕まえてじっくりと聞かせてもらうわよ? 亡国機業について」

 

 生徒会長がそいつを拘束しようと近づこうとした瞬間、複数ロックの警告が表示され、慌ててその場から飛び退くや否や地面に青い一筋の光が突き刺さり、爆発を起こす。

 上空からの狙撃!?

 慌てて上を見上げるとそこにはまるで蝶を連想させるような姿形をしたISを纏い、バイザーで目の部分を隠している人物が浮かんでいた。

 宙に浮かんでいた存在はゆっくりと地面へと降り立ち、俺達を睨み付けてくる。

 

「仲間か」

「仲間? こいつとは同業者だが仲間ではない」

 

 冷たい声が響いた直後、そいつが後ろへ大きく飛びのいたかと思えば青い光がいくつも地面に降り注ぎ、大きな爆発を上げる。

 後ろを振り返ればそこにはISを既に展開しているラウラとセシリアがいた。

 

「セ、セシリア!? それにラウラまで」

「申し訳ない、生徒会長。侵入を許してしまった」

「なるほどね。彼女たちを振りきるほどの実力者ってわけ」

 

 二人が会長の指示で動いていたってことは既に会長は亡国機業の人間がIS学園の中に入り込んでいるのを気付いていながらも敢えて黙っていたのか。

 より確実に学園内で侵入者を捕まえるために。

 確かに学園の中ならある程度の戦闘が許されるし、一般人への防衛策も学園内ならば腐るほど存在するから市街地の上空でやるよりかははるかに安全だ。

 となるとシャルや箒もその任務に就いているってことか。

 

「その機体はイギリス製第三世代型IS・サイレント・ゼフィルス! いったい何故貴方がそれを我が物顔で使っているのですか!?」

「一応、役には立っているがイギリス製はどうやら私には合わないようだ。やはりポンコツ国が作ったISはさらにポンコツだということだな」

 

 その一言に激高したセシリアはビットを射出し、容赦なく相手へとBTレーザーを放つ。

 相手もそれに応えるかのようにビットを射出してBTレーザーを放ち、正確にセシリアの全てのレーザーを叩き落とすと隙だらけのセシリアに向かってスナイパーライフルでの一撃を放つ。

「させるか!」

 雪片弐型を握りしめ、叩き落そうとした瞬間、まるで意思があるかのようにレーザーが雪片弐型をすり抜けるように進路を直角に変更し、さらに弧を描くようにして上空へと向かった瞬間、その一発がさく裂し、俺達に向かって広範囲にエネルギーの塊が降り注ぎ、爆発を上げる。

 軌道操作に加えて一発のレーザーを分裂とかなんなんだあいつは。

 

「オータム。撤退だ。これ以上やればお前が死ぬぞ」

「ちっ。クソが」

 相手のそんな会話が聞こえた直後、アラクネがこちらへ向かい始める。

「マズい! 自爆する気だ!」

 

 ラウラの叫びを聞いた直後、俺は瞬時加速を発動させ、相手の後ろへと回り、八本の足の一本を鷲掴みにして瞬時加速の勢いのまま上空へと放り投げた。

 直後、上空で大爆発が起き、地上に衝撃波がぶち巻かれる。

 思わず体勢を低くし、衝撃に備えようとしたがいつまでたっても衝撃が来ないので顔を上げてみると俺達を包み込むようにして水の球体が浮かんでいた。

 

「ふふっ。これが私のIS・ミステリアスレディの力よ。織斑君、さっきのはナイス判断よ」

「ど、どうも」

 

 ふと視線をずらすと今までに見たことが無いほどに思いつめた表情を浮かべているセシリアが見え、一瞬声をかけようとしたがその表情に思わず手を引っ込めてしまう。

 確かセシリア、あの時我が物顔って……つまりあのISはあいつらに強奪されたってことだよな……俺には分からない代表候補生の苦しみってやつか。

 それにしても亡国機業……あいつらはいったい何者なんだ。

 

「さてと。騒ぎも沈静化したことだし、えい」

「「あー!」」

 

 会長がいきなりランスを呼び出したかと思えば結構強めに俺の装甲に突き立て、一気に俺のエネルギーを刈り取ってしまった。

 え、え? これ何?

 直後、何かの終了を告げるブザーが学園内に響き渡る。

 

「ふふっ。この催しは織斑一夏を倒した部活に特別予算を出し、なおかつ一夏君がその部活に入るもの。私は生徒会執行部所属。つまり」

「……お、俺まさか生徒会執行部に入部!?」

 そう叫ぶや否や会長が満面の笑みを浮かべて親指を突き立てる。

「そ、そんなの無しだ! ず、ずるいぞ!」

「ふふふ。私はルールに則ったまでよ」

 

 確かに会長は何もルール違反になるようなことはしていない……で、でも俺が生徒会……な、なんだかな~。俺今後大丈夫かな?

 

「これにてIS学園文化祭を終了いたします! 皆さまどうもありがとうございましたー!」

 会長のそんな声の後にどこからともなく花火が打ち上げられ、青空の下で花を咲かせたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――☆―――――――

「では更識君。報告を」

「はい。侵入者である亡国機業構成員は仲間とともに逃走しました」

「そうですか。炙り出すために今回の文化祭を部分的に利用したとはいえ残念ですね」

「はい。ですがアラクネのコアを抜いた自爆により、向こうのISは一機失いました。コアを慣らすまでに相当時間がかかるので実質の損害としていいでしょう」

「その割には嬉しそうですね」

「そうですか? まぁ、嬉しいと言えば織斑君でしょうか。私のアドバイスを見事に実践しましたし、あとは時間をかけて鍛錬を積めば十分でしょう」

「問題は篠ノ乃さんですね。状況はどうですか?」

「まあまあと言ったところでしょうか。鍛錬を始めてまだ少ししか経っていないのでどうともいえませんが今のところは彼女を最優先に鍛えています」

「未知の技術が詰まった機体ですからね。彼女を狙う存在も多いでしょう。彼女には一刻も早く力をつけてもらわないといずれ世界が争うかもしれない」

「そこはお任せください。この一年で育て上げてみせます」

「そうですか。期待していますよ」

「はい♪ 学園長」

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