世界に惹かれた魔法使い 作:イリス
なんとUA1000をもう超えてしまいました。
そんなに見てくれている人がいてくれてとても嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
あと、表現としては、ミカゲが魔眼を使っているときは『視る』で普通のときは『見る』です。
そこは大きな海底洞窟?だった。
あれからやっと遺跡に着いたんだが・・・なかなかに大きいな。
「ここが冥王の遺跡かぁ。」
「ああ、そうだ。ここが、『冥王の墓』と言われている遺跡だよ。」
つい口に出ていたようだ。
父さんからその返事が返ってきた。
『冥王の墓』か・・・。
本当に冥王がいそうだな。
いや、しかし、本当に凄いな。
いやでもこれ・・・少し古ぼけてはいるけど近代的すぎるだろ、これ・・・。
床も壁も機械金属でできてるし、天井には使い物にならないだろうが照明もついている。
なんというか・・・想像と違いすぎてびっくりだ。
「遺跡っていいうから洞窟とかそんなものだと思ってたよ。」
「ははは、まあ、遺跡っていうとそっちを想像するだろうけど、古代ベルカの場合は全く逆なんだ。あの時代は今とは違った文明の発展の仕方をしていたからね。・・・・っと、おい、そこは一昨日見ただろうが、君はあっちのB区画を見てきてくれ!・・・悪いな、父さんはちょっとあっちを見てくる。ミカゲはこの辺りに居てくれ。この辺りならもう全て調査済みだから危なくないし好きに見ていていいぞ。」
俺の疑問に父さんが答えてくれていたが、部下の指示に少し奥に行ってしまった。
「さてと、じゃあ、俺はちょっと視てみるかな。」
最初はこの遺跡の色を確認する。
・・・なんて言えばいいだろうか。
古いせいか少し霞んでしまっているが、悲しい感じの蒼い色だ。
俺は、辺りも視回してみる。
・・・あれっ?
なんだか一部だけ色が濃いところがあるぞ。
いや、でも、ここは壁なんだけどなぁ。
父さんに聞いてみるか?
でも、この辺りは全て調べ終えたって言ってたしなぁ。
とりあえず、神様が言ってた情報解析能力を試してみるか。
・・・へぇ、隠し扉か。
これは俺みたいに何か情報系統の能力を持ってないと見つけられないだろ。
しかもこのプロテクト、父さんや母さんくらいじゃないと解けないレベルだぞ。
「ディノ、これ解けるか?」
【No problem master.(問題ありません、マスター。)
If it's this level, it can be analyzed in about 2 minutes.(このレベルでしたら2分程で解析できます。)】
さすがディノ。
このくらいは簡単のようだ。
「じゃあ、頼む。」
【I see.(分かりました。)
お父様には言われないのですか?】
「うん。ちょっとね。俺の直感が俺一人で行けって言ってるんだ。・・・・・へっ?今ディノ、普通に話さなかった?」
・・・まさか、俺の聞き間違いだろう。
【はい、やっと主要世界109世界分の翻訳機能が完成しましたので、これからはこのように話すことができます。】
ははは・・・やっぱりチート機能はすごいなぁ。
いや、でも、凄く助かるなあ。
「まあいいや、先に進もう。ええっと、この先にトラップなんかはあるかなっと。」
とりあえず、先を眼で確認する。
よしっ、トラップは無いな。
(そんなお前もなかなかにチートだぞ。)
ドラゴンが何か言っているが、聞こえていないことにしよう。
それよりもトラップが無いことも分かったし、先に行かないとな。
・・・ん!また扉だ。
何か文字が書いてあるぞ。
ああ、この眼知らない文字も読めるんだ。
かなり便利だなあ。
何々・・・『どうか、イクスヴェリアに永遠の安らぎを・・・』か。
イクスヴェリア・・・確か『冥王』の名前だったよな。
この扉にはロックは掛かってないのか。
よし、開けるぞ。
「ディノ、一様セットアップの準備しといて。」
【分かりました。】
俺は扉を恐る恐る開けていく。
そこにあったのは大きな試験管の中に入れられた俺と同い歳くらいの女の子だった。
「・・・・なんだよ、これ。これが、いや、彼女が『冥王』なのか・・・。・・・んっ?」
俺は足元に古ぼけたというか、ボロボロなノート?が落ちていた。
「これ、眼を使えば少しなら読めるぞ。」
俺はそのノートを下手に衝撃を与えてバラバラにならないように、慎重に開いて読み始めた。
『#月$日
今日、戦争に勝つために姫殿下への改造が決められた。
記憶はあると邪魔なので消すことが決まった。
可哀想ではあるが、これも戦争に勝つためである。
落ちこぼれの何の力も無い姫が、この戦争に勝利をもたらすことができるのだから姫も本望であろう。
ここで断れば、きっと私は消される。
私には妻と娘がいる。
だから、ここで死ぬわけにはいかない。
ああ、きっと私はいい死に方はできないだろう。
#月%日
やっと改造が終わった。
これで姫、いや、イクスヴェリアの力によってこの国に勝利をもたらすことができるはずだ。
あとは、実験を何度か繰り返すだけだ。
この閉じ込められた生活ともおさらばだ。
ああ、もうすぐ家族に会える。
#月*日
実験が始まった。
イクスヴェリアは死体を爆弾人形の兵器に変える。
最初の死体が運ばれてきた。
そのとき、私は気がついてしまった。
その死体は私の妻と娘だった。
きっと彼らが殺したのだ。
私は許さない。
彼らを、そしてきっかけを作った私自身を・・・・・・。
*月%$日
あれからもう何年が過ぎたか。
そんなことはもう忘れてしまった。
だが、この復讐ももう終わりだ。
国はイクスヴェリアによって滅ぼした。
戦争も全て虐殺によって終わらせた。
あとは、私が死ねばそれで復讐は完了だ。
イクスヴェリアは眠らせようと思う。
あの子には申し訳ないことをしてしまった。
記憶を消し、人を殺させ、復讐の道具として扱った。
あの子はきっと私を恨んでいるだろう。
でも、生きていれば、もしかしたらあの子にも普通に笑える日が来るのかもしれない。
だが、今の世の中では絶対にそれはありえない。
だから、託す。
未来の誰かに、ここを見つけてくれた未来の誰かに・・・・。』
・・・・・。
「・・・・確かに、あんたの思いは受け取ったよ。」
【マスター・・・・・・。】
俺は、試験管の中の彼女を見つめる。
ああ、今にも黒く染まりきってしまいそうな色だ。
だけど、確かにその黒の中に綺麗な蒼が残ってる。
俺はその蒼が黒く染まるのは嫌だ。
「だったら、俺が変えてやらないとな。」
俺はそう自分に言い聞かせるように呟く。
教えないといけない。
世界は絶望だけじゃないって。
希望だってたくさんあるんだって。
俺は知ることができたから・・・。
「お前にだって見せてやるよ。だから、早く起きろ。世界は待ってはくれないぞ。」
見てしまっては、いや、視てしまってはもう無視することはできない。
目の前で黒く染まるのを視たくないから。
誰かが絶望するのを見たくないから。
自分だって変れたのだから。
「よし、そうと決まれば彼女を起こそうか、ディノ。」
【分かりました。ですが、どうするのですか?】
「そんなのこんな便利な眼と頼りになる
【そんな風に言われては張り切ってしまいますよ。】
さて、俺はどんな風にすれば彼女を救えるだろうか・・・。
なんて言えば彼女に届くのだろうか。
結局、そんなことは彼女を起こして直接話してみなければわからないだろう。
「ええっと、・・・ふむふむ、これは2つ同時にやらないとエラーだったり、バグを発生させるんだ。なら、ディノ、この端末から俺の言うとおりに操作して、俺も同時に別方向から起動させるから。」
【はい、これですね。】
それから俺はディノと共に操作を始めた。
・・・・・。
ふう、なんとか成功した。
「ありがと、ディノ。お疲れ様。」
【いえ、主のサポートは、デバイスとして当然です。マスターもお疲れ様です。】
「うん、ありがと。それじゃあ、いよいよ姫様のお目覚めだね。」
目の前の『冥王』いや、イクスヴェリアはゆっくりと目覚め始めていた。