真・恋姫†夢想~三国乙女大乱!流星に乗ってきた最強の弟子~   作:TE

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まだ3話目ですが、一番文字数が多いです。

叫び声が多いからかな?

楽しんで頂けたら幸いです。


BATTLE.3 暴走と武人の誇り

「うおおおぉぉぉぉ!!」

 

斬られた思春だったが、彼女は庇った明命を突き飛ばしその反動でゲイスに斬りかかる

 

「しゃしゃ!?」

 

「喰らえぇぇぇぇ!!!!」

 

致命傷になる攻撃だけは防ぎ、肩や腕、足を斬られても思春は止まらずゲイスの腕に一太刀を与えた。

 

「しゃああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぐふっ!?」

 

「思春様!?」

 

ゲイスは思春の腹部に突きを繰り出した。

思春は武器で突きを防ぐがその反動で明命の下まで吹き飛ばされてしまう。

 

「思春様!?思春様!!」

 

「・・・・・・」

 

吹き飛ばされた思春を抱え声をかける明命。しかし思春の返事はない。

防いだ突きの衝撃で気絶してしまったようだ。

だが、ゲイスから受けた傷から血がどんどん流れていく。かなり危険な状態であった。

 

「うおおぉぉぉ!」

 

「しゃ!?」

 

「雪蓮様!?」

追い討ちをかけようとしていたゲイスだったがそれを雪蓮が止める。

 

「明命・・・!思春を早く連れて行きなさい!」

 

「は、はい!」

 

「祭、あなたも!」

 

雪蓮の言葉に明命はすぐに従い、思春を背中に抱えて走り出した。

祭にも同じように下がらせようとしたが祭は首を振ってそれを拒否した

 

「君主を一人置いて引く訳に行きませんぞ。そんな事したら堅殿に会わせる顔がない。安心せい、手は出さん。思う存分暴れるがよい」

 

「・・・ええ」

 

「しゃあ!てめえ、またもや俺の獲物を___なぜ笑っている?」

 

思春と明命を取り逃がしたことに怒り出すゲイスだったが目の前にいる雪蓮を見て表情を変えた。

雪蓮は笑っていたのだ。この状況で笑っていられる理由がゲイスにはわからなかった。

 

「(笑っている?私が?)」

 

自分で確認する術はないがゲイスの言う通り笑っているのだろうと思う雪蓮。

 

なぜ笑っているのか。

 

兵を大勢殺され、部下の思春も斬られた。

笑う要素など何一つない。しかし雪蓮は笑っている。

 

雪蓮の戦乱時の願いは大切な呉の民が平和に暮らせる国にすること。

それは三国協定により見事に果たす事が出来た。

雪蓮自身も毎日を笑って過ごしている。

 

しかし雪蓮の中には獣が存在した。

もっと戦がしたい。

もっともっと強い者と戦いたい。

もっともっともっと殺し合いがしたい。

修羅が、良く言えば戦闘狂という名の獣が暴れ出そうとしているのだ。

 

「(落ち着け、落ち着くのよ。私は今、民の為にみんなの為に戦うの!決して自分の欲求を満たすためじゃ・・・)」

 

「しゃしゃしゃしゃ!」

 

雪蓮の武器とゲイスの武器がぶつかり合い、火花が散る。目の前には殺気を全開にぶつけてくる自分より強い猛者。これ程の環境が今まで一度足りと感じたことが無かった。

 

「(気持ち良い・・・。ダメってわかってるのに・・・。我慢が出来ない・・・)」

 

ゲイスの猛攻に防ぎきれずに身体の至る所に傷を負う。それすらも快感に感じ始める雪蓮。ダメなのはわかっている。しかし、雪蓮の我慢は限界に達しようとしていた。

 

「策殿!?」

 

「死ねええええぇぇぇ!!」

「・・・もうイっても・・・良いよね?」

雪蓮は祭の声とゲイスの声、ゲイスの武器から感じる殺気と死への恐怖を感じたのを最後に頭の中で何かが切れた音が聞こえた。

「があああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「しゃ!?」

 

急に雄叫びを上げた事で怯んだゲイス

その隙を見逃さず斬りかかった雪蓮その一太刀は今までに見たことのない様な鋭さと速さで振り抜く。

ゲイスですら防ぐので精一杯で、さらにはあまりの威力に遠くまで弾き飛ばされてしまった。

「ガアァァァァァァ!!」

「なんて荒々しい動の気。しかも暴走してやがる・・・」

雪蓮の豹変ぶりを冷静に分析するゲイス。今まで剣を前に出して構えていた雪蓮はゲイスと同じ様に剣を逆手に持ち姿勢を低く構えている。

その姿はまるで猛獣。ゲイスもまるで空腹で暴れる虎と対峙しているような感覚だった。

「ガアッ!」

「しゃ!」

雪蓮がゲイスに襲いかかる。ゲイスもそれに対応するがお互いの実力が拮抗しており、有効打が当てられない。

「策殿・・・」

雪蓮の豹変に驚きはしたが過去にも暴走した事はあった。しかし、その過去のものと比べると全く違う事にも祭は気付いていた。

だからこそ、心配だった。何か取り返しのつかない事態が起こってしまうのではないかと。

そんな祭の心配はよそに戦況が動く。それは雄叫びを上げてはいるも剣を落とし、身体は膝を付いてしまっている雪蓮がいた。

「しゃしゃしゃ!どうやら限界のようだな!」

「グオアァァァァ!!」

「なかなか楽しめたぜ。さすがは孫策と言ったところか?」

満足しているのかにたりと笑うゲイス。そして、まだやれるんだと主張しているみたいに雄叫びを上げる雪蓮。

雪蓮はゲイスとの戦闘でかなり消耗していた。そこからの動の気の暴走で雪蓮の身体はさらに傷付き限界を越え、まるで糸が切れた人形のように崩れ落ちたのだ。

「これが三国時代で有名な孫策が持つ武器南海覇王・・・。いいね~。沢山の人の血を吸っているのがわかる。こいつは良い剣だ。気に入った」

「ガアッ!アアァ!」

「お前には感謝するよ、孫策。お礼に俺がこの剣で殺す第1号にしてやるよ!」

ゲイスは南海覇王を振り上げると雪蓮に向けて振り下ろされた。

「白刃流し!」

「ぐぼっ!?」

「なっ!?」

遠くにいた祭だけが見えていた。

ゲイスが振り下ろした南海覇王を弾き、そのまま顔面へと拳を減り込ませる。1人の男の姿を。

「白刃流し!」

「ぐぼっ!?」

華雄さんに案内され僕の目から町が見えた時だった。

町から少し離れた場所に二人の女性と一人の男が対峙していたのが分かった。

女性の方はわからなかったけど、男の方は見覚えがあった。

その男は美術館で襲撃してきた闇の武器組の一人だ。

僕は全力で走り、闇の武器組が剣を振り下げる直前で間に合った。

不意打ちで白刃流しを決めてやったけど関係ない。僕はこいつを絶対に許さない。

「ぐっ・・・テメエは史上最強の弟子!なぜこk」

「うおおぉぉぉ!」

僕は相手の言葉を待たずに攻撃を仕掛ける。

「ティー・ソーク・トロン!ティー・ソーク・ボーン!ティー・ソーク・ラーン!拳槌打ち!最強ショートコンボ!」

「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁ!!??」

「この坊主頭!お前は絶対に許さないぞ!」

関係のない人たちをこんな・・・。これ以上犠牲者を出さない為にもこいつはここで倒す。

「ちいっ!これは形勢が不利だな。引かせてもらうぜ」

「逃がすか!」

「おっと!良いのか、活人拳?あいつを放っておいて?」

坊主頭は僕の後方を指差す。振り向いてみると膝を付き、苦しそうに頭を抱えている桃色の髪をした褐色肌の女性がいた。

動の気が暴走で精神が壊れかかっているのか?確かにこれ以上放っておける状態じゃない!

「あばよ、史上最強の弟子。ちなみに俺はゲイス・ガルシアだ。覚えておけ」

僕が振り向いて女性の方へと向かったと同時に名前を名乗り、姿を消した。

あんな奴、坊主頭で十分だ。それよりも彼女の容体が心配である。

「近づくな!!」

「うわっ!?」

近付こうとしたら、もう一人の女性に矢を放たれ行く手を阻まれる。

「貴様は何者だ!先程の輩の仲間か?」

「ち、違います!僕は白浜兼一という者です。性が白浜、名は兼一、字と真名はありません!」

「むっ?字と真名がない?まるで蜀にいる天の御遣いみたいな・・・」

僕を警戒している女性は僕の自己紹介を聞いて考え込む。

正直なところ時間がない。荒っぽいけどまずは危険な状態の彼女を気絶させてから話をしよう。

「ガアァァァァァァッ!」

「うわっ!?」

「グルルルルルッ!!」

近づこうとしたら彼女の方から近づいて来ていきなり殴りかかってきた。

僕はなんとか避け、彼女は態勢を崩し両手を突いて僕を睨んでいる。

大変だ!

あの状態はアドレナリンの過剰分泌によって痛みや疲れを感じていない。

それに動の気の暴走で精神が飲み込まれているから彼女の近づく人は全て敵と判断し襲い掛かってしまう。

「策殿、ご無事か?」

「・・・・・・」

もう一人の女性が仲間の安否を気にして近づいてしまう。

それも仕方ない。この世界にはアドレナリンという言葉、意味を知っている訳がない。

彼女たちは何千年も前の人だからだ。

僕は華雄さん達に町まで案内されている時にこの世界が僕の知っている世界ではないこと。あの鏡のせいで僕はタイムスリップ、もしくはパラレルワールドに潜り込んでしまったのだと結論に至った。

突拍子な話だけどその結論だと全てが説明つく。

奴らの目的も少しだが分かってきた。

とりあえず、まとめるのは後にしよう。今は目の前のことに集中しなければ

「近づいちゃダメだ!離れろ!!」

「ガアッ!」

「なっ!?」

暴走している女性は手元にあった剣をいつのまにか持っており、起き上がるのと同時に仲間の女性に斬りかかった。

「ぐっ・・・!策殿、正気に戻ってくだされ!」

「グウルアアアアアアアアア!!」

仲間の女性は弓でどうにか剣を防ぎ、声をかけるが暴走した女性は止まる事無く勢いを増して斬りかかる。

「ガアッ!」

「しまっ!?」

「させるか!」

暴走した女性は仲間の女性の弓を弾き飛ばして首に向けて振り抜く。

僕はなんとか仲間の女性を横から掻っ攫い事なきをえた。

「大丈夫ですか?」

「う、うむ。すまない、助かった」

「彼女は今、自分の力に飲み込まれかけています。近づくのは危険です。ここは僕に任せて頂きませんでしょうか?」

「し、しかし・・・」

「大丈夫です。傷つけたりはしません。少し気絶してもらうだけですから」

「・・・・・・」

やっぱり急に現れた人に仲間を託すのは難しいか?

でも、そうは言ってられないし。こなったら強制手段に及ぼうか?

「わかった!お主を信じよう!」

「えっ?」

あれ?意外とすんなりOKが出たぞ。

僕が戸惑っていたのを感じてか女性は言葉をかけてくれる。

「お主の目を見て嘘を吐いておらぬのはわかる。それにワシでは恐らく今の策殿を止めることは出来ん。興奮して暴れることはあったが、あそこまで理性が飛んだ虎のように暴れることはなかったからのう・・・」

仲間の女性は僕の肩に手を置き、真剣な表情で言葉を続けた。

「すまないが暴れ馬、いや暴れ虎な君主を頼む。別に傷つけたって構わん。思う存分やってくれ」

「は、はい!わかりました!」

よ、よし!許可はもらった。女性なので傷つけたりはしないがこれ以上負担をかける訳にはいかないので全力で行こう。

「グルルルル!」

暴走した女性は僕を警戒してか凄い形相をしながら睨みつけている。それはまるで、人を何人も食べている虎のようだ。

「行くぞ!」

「ガアアアアッ!!」

僕と女性は同時に飛び出す。

先手は彼女で剣を僕に振り下ろす。

「真剣白羽取り!からの真剣白羽折り!」

「ガアッ!?」

僕は彼女の武器を破壊した。

彼女は周りを見渡して武器を探したがどこにもない。諦めた彼女は無手戦闘へと切り替えたのか構えを変える。

「グオオオオオオオオオッ!!」

「ここだ!!」

彼女が飛び上がって襲い掛かってくるタイミングで、僕も飛び上がった。

「暗外旋風締め(あんがいせんぷうじめ)!」

「!?」

僕と彼女が交差し、着地すると僕はすぐに彼女の元へと向かう。

何故なら彼女はすでに意識がないからだ。

倒れ込む彼女を抱えてもう一人の女性の所へ向かった。

 

「なんとか無傷で抑える事が出来ました」

 

「確かに無傷だが・・・。お主、白浜と言ったな。策殿と交差した瞬間に何をしたのだ?ワシからは全く見えなかったのだが・・・」

 

この暗外旋風締めは組み付いた時に急速な回転を加え、強いGでブラックアウト状態にしてからコンマ一秒で締め落とす技。危険な技だけど宣言通りに無傷で彼女を止めることに成功した。

 

「えっと、それはいずれ話します。失礼ですが、貴女は?」

 

「おおっ、ワシは黄蓋じゃ」

 

「黄蓋さん、ですか・・・」

 

やっぱり僕の知ってる歴史とはかなり異なっている。

華雄さんから聞いた話では戦乱は終わったのだから赤壁の乱も終わっている筈だ。

 

やはりこの世界はタイムスリップより、パラレルワールドの線が有力かな。

いや、この事は後で考えよう。坊主頭が暴れたという事は怪我人も沢山いる筈だ。

一人でも多く助けないと!

 

「すみません、黄蓋さん!お願いがあります!僕を城へ連れて行って頂けませんか?」

 

「・・・それはもちろん構わん。お主はさっきの奴と何か関わりがあるようじゃから話を聞きたいしの」

 

「もちろんです。でも、その前に坊主頭に怪我を負った人たちの場所に案内してください」

 

「むっ?何故じゃ?」

 

「僕は医者です。救える命は一つでも多く救いたい」

 

これは嘘ではない。僕は武術以外にも師匠から色々と学んできた。

 

その一つが医術だ。

 

僕は医者としても達人な岬越寺師匠と針治療のエキスパートの馬師父二人の指導の元、僕は普通の医者以上の知識と技術を身につけた。

 

僕としては教わる事に少しの抵抗があったけど損は無いため教わったけど僕も色々と人間辞めてるな、と思ったのは秘密である。

 

「分かった、お願いしよう。ワシも兵達を一人でも多く救いたいからの。しかし、案内したいのじゃが肝心の馬が逃げてしまったみたいでな。歩いて案内になる」

 

確かに周りに馬がいない。恐らく坊主頭とこの気絶している女性の殺気で逃げてしまったんだろう。

でも、それじゃあ間に合わない人がいるかもしれない。

 

「では僕が走ります。黄蓋さんは僕の背中に乗って下さい!」

 

「なんじゃと?何をバカな事言っとんのじゃお主は?」

 

どうやら僕が人2人を運んで馬より速く着くわけないだろと言いたいみたい。

 

「早く」

 

「仕方ないのう・・・」

 

僕は言うよりも行動で説明した方が早いと判断。背中を向けで黄蓋さんに乗るよう急かす。

黄蓋さんは渋々背中に乗る。よし、急ごう。目指すはあの大きなお城だ!

 

「黄蓋さん!揺れると思うので舌を噛まないようにとしっかり掴まって下さい!」

 

「う、うむ・・・」

 

「行きます!」

 

僕は黄蓋さんの返事を聞いて思い切り走り出した。

 

「ぬおおおおぉぉぉ!?」

 

黄蓋さんの驚きの声を耳にしながら僕は後を急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思春様・・・思春様・・・」

 

「思春・・・」

 

場所は呉の医療室の一室。

そこにはゲイスによって重傷を負った思春が眠っており、そのベッドの前で膝を付き涙を零しながら思春の名前を繰り返す明命と雪蓮の妹孫権こと蓮華の姿があった。

そしてその二人の後ろには呉専属の医者がいる。

 

「背中に負いました切り傷からの出血は止まりました。しかし、容体は悪くなる一方。原因は分からず我々では手の施しようがありません・・・」

 

「そんな・・・」

 

「なんとかならないのか?」

 

「せめて甘寧様が目を覚まして容体を聞ければ原因を特定出来るかもしれないのですが・・・」

 

医者はそう言うが、明命が思春を医療室に運び込むまで思春はうなされるだけで一度も目を覚ましていない。

 

「思春様、お願いです。起きて下さい!」

 

「明命・・・」

 

「嫌ですよ・・・。このままお礼も言えずにお別れだなんて・・・」

 

明命に思春を身代りにさせてしまった責任がのしかかる。

斬られるが自分であれば良かったのにと頭の中で何度も何度も繰り返す。

 

蓮華はそんな明命にそっと肩に手を置いた。

しかし、何も声をかけられなかった。自身も悔しさで言葉を出せないのだ。

 

姉の雪蓮の命令とはいえ、自身の側近をこんな目に遭わせた者を捕らえにいけない自分の無力さ。

明命の話では雪蓮と祭が2人がかりでも危ういとの事。もしかしたら大切な人がまた死んでしまうのではないかと、不安が頭によぎる。

 

「ゴホッゴホッ!」

 

「!?」

 

「思春様!?」

 

いきなり思春が咳き込むと同時に血を噴き出した。そして薄っすらと思春の目が開く。

 

「思春!思春!」

 

「れ、れ・・ふぁ・・さま・・・?」

 

蓮華の呼び掛けに耳を近付けなければ分からないくらいの大きさで思春は返事を返す。

 

「み・・みん・・・め・・いは・・?」

 

「明命なら無事よ!」

 

「思春様!私は、思春様のお陰で怪我はございません!」

 

「それよりこれ以上喋ってはダメ!」

 

明命の声が聞こえてか薄っすらと笑みを浮かべた思春は蓮華の言葉を無視して話し出した。

 

「れ・・んふぁ・・ま。お逃げ・・さい。あ・・の・・お・・とこは・・・すぐ・・に・・・やって・・・きま・・す」

 

「な、何を言ってるのそんな事出来る訳ないじゃない!」

 

「思春様!諦めないでください!」

 

思春の言葉に明命が励ましの言葉を捧げるが思春はゆっくりと目を閉じ、言葉を述べる。

 

「明命・・・、お・・まえ・・にさ・・・いごの・・・たの・・みが、ある」

 

「そんな!?最後だなんて・・・」

 

「わ・・たしは・・・もう・・・もた・・ない。だか・・ら、蓮華・・さ・・まを・・まか・・せる」

 

「思春様・・・」

 

自分の死を受け入れ願いを託す思春に悲しみの涙が溢れ出す明命。しかし、思春のお願いはそれだけではなかった。

 

「みん・・めい、おまえ・・・の手で・・・わ・・たしを・・・殺し・・て・・くれ」

 

「!?」

 

「思春!?」

 

自らの命を絶つようにお願いする思春に2人は驚愕する。

 

「わ・・・たしは・・あん・・な、おとこの・・・手で・・しぬ・・わけ・・・には・・・いかん。せめて・・もの・・ていこう・・・だ。みん・・・めい、武人・・としての・・・願い・・・だ・・・」

 

「思春様・・・。しかし!」

 

「・・・明命。思春のお願いを聞いて上げて」

 

「えっ・・・」

 

まさかの蓮華からお願いされ固まる明命。蓮華は涙を堪えながらも話し出した。

 

「思春も悔しいのよ。何も出来ずにこのまま命を失う自分に・・・。だから、せめて悔しい気持ちを残さずに死なせて上げて・・・」

 

「・・・分かりました」

 

震える蓮華を見て覚悟を決めた明命。背中に背負った刀を抜き振り上げる。

 

「ありが・・とう・・・・・・。すまない・・・」

 

「思春様・・・良い眠りを!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待てえええええええええええええええええっ!!!!」

 

『!?』

 

もの凄い勢いで開けられたドアと同時に響き渡る一人の大声。

あまりの大声に中にいた全員の動きが止まる。

全員が一斉に振り向くとそこには兼一がいた。

 

「はあ・・・はあ・・・待って・・・ください・・・」

 

やけに息が荒い兼一。しかし部屋にいる蓮華は我に返り思考を巡らした。

 

呉の国に現れた男

 

呉の兵をたくさん斬った男

 

思春を斬った男

 

姉、雪蓮と祭が戦っている筈の男

 

そして、目の前にいる「返り血」を浴びた見知らぬ男

 

これらのキーワードから導き出された答えは一つだった。

 

この男が全てを狂わせた

 

「貴様があぁぁぁぁぁぁ!」

 

蓮華が腰に下げた剣を抜いて兼一に襲い掛かる。

 

「止めい!」

 

「祭!?」

 

それを遮るのは雪蓮と一緒に戦場に残った祭だった。

止めららた蓮華は唖然とするがすぐに切り替える

 

「何故あなたがここに?姉様と一緒じゃ・・・」

 

「話は後じゃ。白浜殿、頼む」

 

「はい!ちょっとごめんね!」

 

既に息を整えた兼一は蓮華の横をすり抜け明命を軽く押し退けて思春の前で座り込む。

 

「き、貴様!思春にちか__」

 

「落ち着きなされ、権殿!白浜殿は敵では御座らん!」

 

「な、なに?」

 

祭の言葉に動きを止める蓮華。それを見て祭は話し出した。

 

「彼は、国を襲った男を退き、暴走した策殿を止め、さらには怪我をした兵達の治療をして下さった。言わば彼はこの国の救世主とも言えよう!」

 

「な!?ね、姉様は無事なのね・・・」

 

「ええ。多少怪我をされたが自室で寝かせて冥琳を付かせております」

 

「そう・・・良かった・・・」

 

一つの心配事が無くなり少しは気持ちが楽になった蓮華

 

「そして、兵の治療が終わったと思ったら急に走り出しての。どうやら死にかけておる思春に気づいたのじゃろう」

 

「思春・・・!」

 

祭の話に夢中になっていた蓮華は思春の方へと振り向くと兼一は思春の身体に触れて何かを確かめていた

 

「・・・専属の医者はもう打つ手はないと言っていたわ。あの男で何とかなるの?」

 

「分かりませぬ。じゃが、腕は確かじゃ。あれ程の腕前は華佗殿とはるやも知れん」

 

「あの五斗米道と・・・」

 

それならもしかしたら、そう思っていると再びドアが思いっきり開かれた。

 

「お待たせしました!!」

 

「み、明命?」

 

「ありがとう。そこに置いといて」

 

「はい!」

 

兼一の指示に従い明命は何かの入った壺と小刀を兼一の横に置いた

 

蓮華と祭は何かと思い兼一の後ろに回り、手元に置いてある物を確認した。

 

針と糸、そして明命が持ってきた壺と小刀。薬、薬草らしき物はなく何をするつもりなのか全く理解できなかった

 

「むっ?明命、これはまさかワシの酒壺じゃ・・・」

 

「あ、はい。あの方から酔いやすいお酒を持ってきてと言われたので一番近かった祭様の部屋にあるお酒を拝借致しました!」

 

「なん、じゃと?」

 

明命の言葉に固まる祭。緊急時とは言え大事な物が無くなるのはショックが大きかった。

 

「お前、その道具とお酒で何をしようと・・・?」

 

「手術です。この方は、肋の骨が折れて肺に突き刺さっている状態です。なので切開して治療を行わなければならないんです」

 

「切って人を治すと言うのか?そんな事聞いた事がないぞ?」

 

確かに三国時代にはそんな手術の技術がある訳がなく、兼一の言葉を信じられずにいる。

 

「一刻を争います。彼女を救う為、皆さんは部屋の外で待っていて___」

 

「や・・めろ・・・」

 

「思春!」

 

兼一の言葉を遮るように声を出す思春。

兼一は驚いた。喋るだけで激痛が走るのに喋ろうと力を振り絞っている事に。

 

「もう・・てお・・くれ・・なのは・・・じ・・ぶん・・・でも・・わかる・・・。だ・から・・・」

 

「ふん!!」

 

「うっ・・・!?」

 

「思春!?」

 

兼一が思春の首元に針を刺した。するとがくりと思春は気を失った。

それを見た蓮華が驚きの声を上げる。

 

「武人の誇りは僕にもわかる。死に様は自分で決めたいものだ。でも、だからこそ彼女はここで死んでいい人じゃない」

 

「・・・お前なら救えるのか?」

 

ぼそりと何とか聞こえる声で蓮華は兼一に問う。

 

「もちろん」

 

「信じて良いのだな?」

 

「この命、誇りに賭けても!」

 

「・・・・・・・・・」

 

蓮華の目から涙が溢れ出す。思春の誇りを優先した蓮華。

それはもう諦めたから、助けられないと判断したから。

しかし、救えると真っ直ぐな瞳で言う男白浜兼一の言葉に何故だかわからないが信じられた。

 

思春は助かる。諦めなくていい。その安心が蓮華の心のダムを決壊させたのだ。

 

「白浜殿。思春を頼みますぞ」

 

「お願いします!思春様を救ってください!」

 

「お願い・・・思春を・・・助けて・・・」

 

「任せて下さい!」

 

3人の想いを自信満々に返事した兼一は手術を開始した。




この後の続きどうしようかな・・・

全然考えてない。

まあ、頑張ろう・・・

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