新世界より ~千年前からのメッセージ~   作:キリュウ

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いや~いつぶりの投稿でしょうか?


本当に遅くなり申し訳ありません。


新世界より ~第八話~

 

 

 

朝、案の定、俺が一番最初に目を覚まし、次にカリンが目を覚ました。

 

 

「おぉ、起きたか。少しは眠れたか?」

「う~ん、おはよ~。結構休めたわ~」

 

 

カリンは寝起きだといわんばかりの間延びした声で返事した。

 

 

「一応、昨日の夜の状態から麗子はあんまり変化はない。とりあえず、麗子が起きたらもう一度業魔化のコントロールに入ろうと思ってる」

「うん、そうだね。...ねぇ、あのさ」

「うん?どうした?」

 

 

カリンは下を向きながら俺にぼそぼそとつぶやいた。

 

 

「もしコントロールに失敗したらさ...どうするの?」

 

 

カリンが気にしていることは俺自身考えていないわけではない。

正直、麗子がコントロールできる確率は本当にわからない。

もし失敗なのなら、誰かが麗子を殺さないといけない。

だが現実的には誰かが人を殺すことは愧死機構のせいで不可能だ。

だから、誰かが殺す必要さえない方法が存在する。

麗子が誰もいない山の中で莫大な呪力を放出しながらひとりでに死ぬという方法だ。

...まぁ俺は意図的に(・・・・)人を殺すことが可能だが、そうならないように最大限の努力はする。

しかし、もし本当にダメだったとしたなら...

 

 

「カリンは心配しなくていい。その時は俺がする」

 

 

カリンは俺の言葉を聞いて少し暗い表情をしていた。

 

 

「うん、わかってる。松さんは昔から優しいからね。」

「...俺は優しくなんてない。今も昔も...ずっと昔からな」

 

 

 

 

 

 

 

俺とカリンが軽い朝食を用意したころに麗子は目を覚ましてきた。

 

 

「お、おはようございます。カリンさん、いつもありが...」

「おぉ起きてきたか?どうだ?一応、朝食の準備はしているんだが」

「...え?な、なんで松君がいるの?」

「うん?あぁちょっと麗子に会いたくなってな。どこまでコントロールできるようになったかも気にはなっていたからな」

「そ、そうだったんだ...」

 

 

麗子の表情は暗いものだった。

それも仕方のないことだろう。

現在も進行形で麗子の周りの物質が少しだけだが変質していっているのは明らかだったからだ。

 

 

「どうした?カリンから聞いたがある程度はコントロールできてるみたいじゃないか」

「う、うん。でも...」

 

 

麗子の声はどんどん小さくなる。

 

 

「私、もし業魔かしちゃっ「安心しろよ」...え?」

「絶対、大丈夫だ。俺が俺たちがついてるからな」

 

 

俺が笑ってそういうと、麗子は少し笑顔になった。

 

 

「それじゃあ、とりあえず朝食を食べよう。コントロールの訓練は食べ終わってからだ」

「うん、そうだね。それじゃあ食べよう!」

「は、はい。いただきます」

 

 

麗子とカリンは久しぶりに2人以外での食事だったので嬉しかったのだろう。

ごはんのおかわりを3回もしていた...え?多くない?

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を食べ終えた俺たちは早速、麗子の業魔化のコントロールの訓練に入った。

 

 

「よし、それじゃあ始めようか。」

 

 

俺たちは森の比較的開けた場所に移動してきた。

訓練の場所は周りに木があまり生い茂っていない場所で行っているらしい。

これはカリンのアドバイスで、訓練中に自分の周りのものが、異形なものに変わっていくところをなるべく見ないほうが落ち着きやすいということかららしい。

訓練を始めるにあたってカリンは麗子の訓練に直接関わるので訓練中は麗子のすぐそばにいるが、俺は訓練にかかわることは少ないので麗子からは少し離れたところで待機することにした。

 

 

「それじゃあ、麗子ちゃん。あたしたちを信じて、自分を信じてやってね!」

「は、はい!」

「じゃあ、始めよう!」

 

 

カリンに訓練スタートを言い渡された麗子はすぐに目をつぶって軽く両手を握りながら意識を集中し始めた。

その途端、麗子の周りから莫大な呪力があふれ出す。

その瞬間先ほどまで目をつぶっていた麗子の目は大きく開かれ、握っていた両手もすぐにほどけた。

麗子は呪力があふれ出すことを気にも留めずある事に(・・・・)集中し始めている。

この間、カリンはできるだけ麗子の漏れ出す呪力が周りに影響を与えないように麗子の漏れ出す呪力を上回る呪力で抑え込んでいる。

本来なら俺もカリンの手伝いをする予定だったのだが、カリンから邪魔だから座っててと言われてしまい、今は傍観だけにとどまっていた。

そうして、5分ほど呪力を放出し、カリンが一度止めるように指示した。

 

 

「はぁ、はぁ...」

 

 

呪力の放出をし終えた麗子は軽く息が乱れていたが座りこむほどではなかったようで、ゆっくり深呼吸をして息を整えた。

 

 

「お疲れ様、少し休憩入れようか?」

「だ、大丈夫です。そ、それに今回も見つかりませんでしたし(・・・・・・・・・・・)。」

「そんな簡単に見つかるものでもないんだから、慌てずにね?」

「そうだぞ麗子、だいたいこいつだってコントロールできるまでかなり時間がかかったんだからな」

「そ、そうなんですか?」

「えへへ、まぁね。ってそんなことはどうでもいいでしょ!?」

 

 

そんな俺とカリンのやりとりを見て麗子は笑っていた。

 

 

「ほんとに二人は仲がいいんですね。ちょっと...羨ましいです。」

「うん?そんな仲がいいというわけでもないんだが。まぁ少し一緒に暮らして時期もあるしな。」

「え~ショック~、私は可愛い弟分だと思ってたのに~」

「誰が弟だ!ったく、一時は俺のことお兄ちゃんとか言ってたくせによ~」

「え、そうなんですか?」

 

 

麗子は少し驚いたようにカリンに聞いた。

 

 

「む、昔のことでしょ!?恥ずかしいから言わないでよ!」

「兄は妹がしっかり成長してくれて嬉しいよ~」

「あ~も~!!」

 

 

そんなたわいないやり取りをして麗子の休憩を時間を過ごした。

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ再開しようか?麗子ちゃん」

「はい、頑張ります」

 

 

また最初の位置に俺たちは移動し訓練を再開することとなった。

 

 

「麗子ちゃん、始める前にもう一度、前に言ったこと復習しとこうか!」

「は、はい。まず最初に呪力を使って強制的に(・・・・)脳のリミッターを解除します。その後は、普段自分が呪力を使っている際に無意識下(・・・・)で使っている呪力を見つけ出して、その無意識に漏れ出している呪力を意識的に(・・・・)コントロールできる状態までもっていく。で、いいですよね?」

「うん、まず大切なことは見つけ出すこと!これさえできたら後はそんなにかかることはないからね」

「わ、わかりました。」

「じゃあ、いいよ。始めて!」

 

 

 

 

 

その後、今日は最初のを含めて4回ほど試したが思った成果は得られなかった。

 

 

 

 

 

「今日の晩御飯は俺が作っといた。簡単なもんしかないが我慢してくれ。」

「おぉ~ありがと~松!これはあれだね?主夫だね!」

「誰が主夫だ!バカやろう!」

「で、でもホントにおいしそう。ありがとうね、松君。」

 

 

あぁ、何度見ても麗子の笑顔は可愛いものだ。

 

 

「ごめんなさい。私、全然コントロールできるようにならなくて」

「(もぐもぐ)大丈夫、(ごくごく)少しづつだけど、(もぐもぐ)呪力の放出も、(ごくごく)弱まってるしあと少しがんばろ?」

「そうだ、そもそも業魔化をコントロールするのは簡単なことじゃない。焦らず訓練すればできるようになるさ...それとカリンは食べるか話すかどっちかにしろ。」

「う、うん。そうだよね。」

 

 

麗子は笑ってはいるが、誰が見ても不安を抱えてることは見て取れた。

 

 

 

 

 

夕食を食べて麗子はすぐに寝息をたてていた。

 

 

「ふふ、麗子ちゃんの寝顔可愛いよね」

「あぁそうだな。」

「...ねぇ気づいてる?...ううん、わかってるよね」

「あぁ」

 

 

正直、先ほど麗子には大丈夫大丈夫などと言っていたが、思った以上に業魔化は進行していた。

麗子は業魔化していく人間を見たことがないから比較できないからわからないだろうが俺やカリンは業魔化していく者を知っているためよくわかる。

もう麗子に残された時間は少ない。

 

 

「...ホント、なんでこんな可愛い女の子が苦しまないといけないんだろうね。ホント...なんでこんな世界なんだろうね。」

「...すまない。」

「なんで松さんが誤るのよ!」

「いや、なんとなくな」

「???変なの。」

 

 

 

俺はこの時、あまりよくないが死ぬ可能性があるなら一度、麗子を早季たちに会わせてあげようかなどと考えていた。

 

 

 

しかしこの後、俺はこの考えを本当に実行することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




何か月かぶりの投稿。

皆様からの感想はとても嬉しく執筆の励みになってます!OTZ

時間が忙しく定期的に書けないのですが

これからも暖かい感想をいただけると嬉しいです!


読んでいただきありがとうございました!
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