遅れてごめんなさい。
今回はゆっくり幸村さんに頂いた案をもとに書いた番外編となります。
因みに、今回のメインはユーカとなります。
それではどうぞ!
――これはとある夏のユクモ村のハンターたちの日常譚。
「なぁ、ユーカ。久しぶりに海に行ってみないか?」
急に私の家にやって来たトールは顔を見るなりそう言い出した。
「海?どうしてそうなるのよ?確かに最近暑いから行きたいって気持ちはあるけど……」
「なら決定だな」
「え!?」
いやいや、急に言い出して急にメンバーに加えられても困るだけなんですけど……
「二日後に孤島に向けて出発だからな?しっかりと準備しておけよ?」
そう言ってトールは自分の家のある闘技場に走っていってしまった。
「はぁ……準備しておきましょ……」
トールの姿が見えなくなるのを確認した私は家の物置に向かい、アイテムボックスの中から大きめの革袋を引っ張り出し、必要な物を詰めていく。
――そんなとき、二年前の水着が荷物の陰から顔を覗かせた。
「うわぁ……流石に二年前の水着ってサイズが合うわけないわよね……」
私は はぁ、とため息をつき、とあるお店を目指して家を出ることにした。
◇◆◇◆
目的のお店、と言うのはいつも防具等でお世話になっている龍人族のおじいさんが経営しているお店のことだ。
そのお店でおじいさんのお手伝いをしている女性――レイさん――に用があるのだ。
「失礼しまーす……」
と、入店すると
「はい、いらっしゃませー」と女性の声が店の奥から聞こえてくる。
「あら、ユーカちゃん。今日はどうしたの?」
「その……レイさん……実はかくかくしかじか……」
≡≡≡≡
「ふぅーん……海ねぇ……そのために水着を新調しに来たわけねぇ」
レイさんはそう言った後、よし!、と言うと私の腕を引っ張って私を店の奥に連れていった。
何をされるかはもう予想がついているので驚かないけどレイさんの私の腕を掴む握力の強さには驚かされる。あー……やっぱり慣れないなぁ……
「さて、ユーカちゃん。身体のサイズを測るからいつも通り頼むわよ?」
「……はぁい」
そう言い私は上の服を脱ぎ、近くの机の上に置いた。
――正直な話、サイズを測るのにそんなに時間はかからなかった。ただ問題は……と言うとレイさんが……あぁ思い出すだけで恥ずかしい……
「じゃあ、ユーカちゃん。明日までには完成させておくから海に行く前に寄ってね」
「ありがとうございます」
レイさんにお礼の挨拶をし、私は店を後にした。
≡≡≡≡
さて、約束の二日後になったのでお店に寄り、新しい水着を受け取ってからトールの家に向かう。
トールの家の近くに着くと、見覚えのある数名がそこにいた。
トール、トールのお母さん、フレイさんにキャラメル……何故かレイさんもいた。
何故いるのですか?と聞くと、
「面白そうじゃない」
と返ってきた。
もう良いや……そう思うことしか出来なかった。
どうこうしている間に、トールのお父さんがガーグァを三匹連れてきた。トールのお父さんは連れたきたガーグァに荷車を付けると、
「さぁ、皆乗った乗った。出発するぞ」
と、大声で話し皆が三台ある荷車に乗ったのを確認すると海に出発していった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「さぁ!皆、今日はこの孤島の海を独り占めだ!いや、皆でいるか独り占めじゃないのか?うーむ……」
と、トールのお父さんが唸っているけど皆そんなこと無視して海で遊んでいる。
しかし、不思議なものね……エリア10にくるまで一度もモンスターに会わないだなんて。ま、平和なことは良いことよ。さ、泳ぎに行こっと。
「おーい!ユーカ。俺とフレイさんが泳ぎで競走するからどっちが早いか見ててくれないか?」
と、トールに競走の審判を頼まれた。泳ぎたいのに……
「わかったわよ……」
「おう!じゃあ頼むぞ!」
そう言ってトールは海に飛び込む。トールとフレイさんは海岸からある程度進んだ位置で動きを止める。
どうやら準備が出来たようだ。
「いちについて――スタート!」
かけ声とともに二人が泳ぎ始める。あ、フレイさん泳ぐの速いんだ。へぇー。あ、トールがフレイさんを抜かした。意外に接戦なのね。と言うかゴールってどこ?聞いてなかったわ。
ふと、視界を上の方に向ける。
あれ?キャラメルだ。あそこから飛び込むのかな?あ、飛び込んだ。あっ!そのままいくと……
バッシャーン!
泳いでいたフレイさんとキャラメルがぶつかった。そしてそのまま沈んでいく一人と一匹……
救助はトールに任せて……これでやっと泳げる!
ドッボーン!
海に飛び込むと水しぶきが上がり、右足の自由が利かなくなった。あれ?まさか足吊った?え?嘘……泳げ……な……
◇◆◇◆◇◆◇◆
『……カ!………り…ろ!……カ!…っかりしろ!ユーカ!』
トールの声で目が覚めた。
私が目を覚ましたことを確認したトールは よかった、と一言呟いてから私が溺れてからのことを教えてくれた。
どうやら私が溺れたことにより、皆遊ぶどころではなくなったらしい。大変迷惑をお掛けしました。それと、この海に来たときはまだ昼位だったけ?今は太陽が沈みかけている。長い間気を失ってたのかな?と聞くと そんなことはない とトール。あれから一時間位しか経っていないらしい。
さて、そんなことより現状の整理から。トールに助けられた?そうだったらトールも大変だったと思う。だってフレイさんとキャラメルを救助してから……ねぇ?そして、私は助けられて気を失ってたから応急処置をトールがした……と。
ん?応急処置って人工呼吸と……人工呼吸ッ!?
体温が一気に上昇していく。あぁ……恥ずかしい……まともにトールの顔が見れない……
≡≡≡≡
二人の様子を遠くからみていたトールのお父さんとお母さん、そしてレイさんは
「ねぇあなた。青春ねぇ」
「ん?そうだな。青春だな」
「あれが青春って奴なのねぇ……」
と、順番に呟いて酒を飲むのであった。
≡≡≡≡
あれから色々あって今は夜。
そして誰が言い出したかわからないけど肝試しをする事になった。しかも、二人一組で行う事になったらしく、私とトール、トールのお父さんお母さん、フレイさんとキャラメル、レイさんは一人らしい。
肝試しの内容は今いるエリア10からエリア8まで行ってくる、という事らしい。ただし、崖から行くのはダメとのこと。しっかり歩いてエリア8を目指せ、と言うことだと思う。因みに、帰りは飛び降りてOKらしい。
さて、私たちの番が回ってきたらしい。トールが妙に張り切っている。
「はぁ……」
「ん?ユーカなんかあったか?」
「へっ……!?いや、何もないわよ?」
「ふーん……なら行こうぜ!」
そう言う事で私とトールの肝試しが始まったのであった。
≡≡≡≡
さぁ、困ったことになった。まさかトールと離れてしまった。いや、正確にはトールが勝手に行ってしまっただけなのだけれど……ま、迷子じゃないんだからね!?
と言うか辺りが暗すぎてここがどこのエリアかわからない。えーっとエリア6?でトールが先に行ってしまってからトールを追うように走っていたらよくわからない洞窟っぽいとこに着いてしまった。
「……暗すぎる」
基本、孤島の夜は月明かりがあって明るい。だがここは洞窟内部。月明かりが入ってくるはずがない。
しばらくの間、この洞窟にいるので少しは慣れているが暗いのは変わらない。
「ハァ……」
と、ため息を吐いた時だった。洞窟内に
カツーン……カツーン……
と、ピッケルで鉱石を採取をする音が響いた。
私は恐怖を感じながらも、好奇心には勝てず音のする方に歩いていった。
音のする方に近づいていくと、採取を終えたのか、ピッケルの音は聞こえなくなっていた。
と、思っていたとき前方に人の気配を感じた。
「誰?」
そう言い前方を向く。
その人はトールではなかった。
その人の口は耳まで裂けており、その裂けた口と目は赤く光っている。
「キャァァアアアア!!!」
洞窟内に私の叫び声が木霊する。私は叫びながら逃げた。壁沿いに移動し、洞窟内からも脱出することも出来た。だがそれでも私は走るのを止めなかった。エリア10まで走り続けた。きっと今ならディアブロスの突進と並走出来るんじゃないのかな?なんて思いながら……
≡≡≡≡
エリア10に着いた私は皆に体験したことを全て話した。だが、誰も信じてくれなかった。
「きっと疲れてたのよ」とか色々言われたけどあれは絶対に何かいたのだと思う。
「おーい!ユーカ!花火するぞ!」
トールが手を振りながら私を呼ぶ。しょうがない、いつまでも考え続けるのは良くないよね。さ、花火を楽しもう!
≡≡≡≡
その頃エリア4の洞窟内にて口が裂けているような見た目の防具――マギュルシリーズ――を身に纏ったハンター・シマは
「そんなに驚かなくてもいいのに……」
と、悲しげに呟くのであった。
最後に出てきたシマは番外編2話目でまた登場します。
……しかし今回新しいキャラ二人(トール母、レイ)も出てきましたけど多分そんなに出番はありません。多分空気です。
さて、ユーカの水着姿は皆さんの想像にお任せします
それでは番外編第2回で……