生きてました……楽しみにしていた方にものすごい申し訳ない気持ちです……
二年も間を空けてしまったので文体がおかしいかもしれませんが……
本編どうぞ!
目の前で金の雷光を纏った異質なジンオウガの圧倒的な雰囲気に押されながらも、武器を構える。
「…こんなに離れているってのに空気を通してビリビリと電気を感じるってのはやっぱり異常だね…」
「ですね…」
シマの言葉に頷くトール。一体どういう理由であの個体が生まれたかはわからないが、異常だということだけははっきりと理解できた。このままあのジンオウガを放っておけばユクモ村に被害が出かねない。だが、仮にも相手は未知の個体。うかつに動けないのも事実だ。
だが、なぜか件のジンオウガはこちらを見つめたまま一向に攻めてこない。まるでハンターを見下すように、自分が上だと表すような態度だ。
「……どうやらあのジンオウガは挑発してるみたいだね。ハンターなんて相手じゃない、みたいな雰囲気だ。でも怖気づいてばかりじゃダメだね。行くよ!」
「はい!」
自分に臆せず向かってくる二人に応えるかのようにジンオウガも飛び掛かっていく。
前脚をシマに狙いをつけ叩きつける。が、シマもその叩きつけを見切りジンオウガとすれ違うように避け、その前脚とすれ違いざまに刃をぶつけていく。
(さっきは甘く見たがどうやら行動は普通のジンオウガとさほど変わりはないみたいだね。だけど……)
シマは先ほどジンオウガにぶつけた旋風連刃の刃先を確認する。明らかに欠けている。それは、ジンオウガの前脚の驚異的な硬さを表していた。
(下手に前脚に攻撃をすればこちらの武器がダメになってしまうわけか)
しかし、前脚が硬いと言ってジンオウガの背後に回り込めるほど隙があるわけではない。さらに、無双の狩人と呼ばれるジンオウガが大きな隙を晒すとも言い難かった。トールに目を向けると、同じようにジンオウガの前足の驚いている様子だった。
「シマさん! このジンオウガの前脚が!」
「ああ! わかってる、尋常じゃない硬さだ!」
いったん距離を取り戦況を立て直そうと考えるが、ジンオウガの猛攻はやむことがない。下手に研いでしまえばその隙にやられる可能性もあった。少しでも柔らかい部位を狙い攻撃をし続けていく。が、
(――ッ! さすがに刃先が欠けてちゃダメだな……どこかで研ぐ必要があるね……)
刃が欠けた武器ではまるでと言っていいほどジンオウガにダメージを与えられていないようである。が、その時ジンオウガが自ら距離を取った。そして
『オオォ――ッ!!!』
ジンオウガが雄叫びを上げる。突然の咆哮に耳を抑えるシマ。それはトールも同じであり、二人揃って隙を晒してしまっていた。が、ジンオウガは攻めてこない。咆哮で耳をやられないように抑えながらジンオウガを睨みつける。咆哮の拘束から立ち直った二人は追撃を喰らわないように身構える。が、視線の先のジンオウガは二人の予想を超える行動をし始めた。
「なっ!?」
すでに帯電状態であるジンオウガが更に帯電を行うなど一度も聞いたことが、確認されたことがなかったのだ。そして、帯電を終えたジンオウガの姿は先ほどよりも眩い金の雷光を放ち、体毛、爪などが金色に輝いている。まるで先ほどまで本気ではなかったかのようである。
「金の雷光を纏う雷狼竜……か」
シマは冷静な態度を取るが、武器を握るその手は明らかに震えていた。だが、モンスターに怯えていてはハンターとして失格である。それに村で休んでいるイーシャの仇でもあるジンオウガに臆していてはダメだ。そう自分に言い聞かせる。
「相手が本気を出した……てことはあのジンオウガにとって外敵として認められたってことでいいかな?」
「……あはは、シマさんさすがに笑えないですよそれ……」
「ごめんごめん、一旦ベースキャンプに退避しようかと思ってるんだけど大丈夫かな」
「大丈夫ですよ、時間は僕が稼ぎます。だから任せてください」
「……ありがとう、出来るだけ早く戻るよ」
シマはポーチからモドリ玉を取り出し地面にぶつける。緑の煙幕が立ち込めるとシマの姿はエリアから消えた。トールはそれを確認すると武器を握る手に力を籠める。
「……さて、シマさんが戻るまで僕は――俺は負けない」
トールに応えるかのようにジンオウガは威嚇の咆哮を上げた。
これからも遅くなったりするかもしれませんが完結だけはさせます。作品を途中で投げ捨てることだけはしないので気長に……忘れない程度に覚えていてくれると嬉しいです