あなたは事故に遭ったことがありますか?
これは、事故に遭って命を落としたはずの少年の、不思議な14日間のお話。

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どうも、まっき~です。
今回、初めての短編小説という形で投稿します。
初の短編なのにこんな内容で申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本編へどうぞ。


さよならを言いたくて ~与えられた14日間~

……ん、なんだ……。

…なんで……、みんな倒れて…いるんだ………。

……そうか……、バスが…事故に遭って…崖から落ちたのか…。

…もう、意識が……持たない………。

さよ……なら…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、俺の生涯は幕を閉じた。

そう、思ったんだ。

 

 

 

 

 

――――事故から3日後――――

 

 

 

 

目を開けると、そこには白い天井があった。

 

 

「……凌弥、凌弥っ!!」

 

 

隣には涙を流す俺の母と父。

他にもクラスの友人も数人いた。

 

 

「凌弥君、君も助かったようだ。これで、みんな目を覚ましたね」

 

 

病院の先生はそう声をかけ、病室を後にした。

先生が立ち去った後、俺は体を動かし傷を確認する。

しかし、なぜか傷を見つけることはできなかった。

信じがたいが、すべて治っているのか!?

 

 

「凌弥、本当に、本当によかったよ!!」

 

 

俺の母がいきなり俺に抱き付いてくる。

それだけ不安にさせていたのか。

 

 

「ごめん。母さん、父さん、とても心配をかけた」

 

「なあ、凌弥」

 

 

今声をかけてきたのは光紀。

同じクラスの親友だ。

 

 

「なにが起きたかは知らないが、あのバスに乗っていた全員が助かったようだ。よかったな」

 

 

光紀はそう俺に話しかける。

 

 

「ああ、そうだな」

 

 

俺も返事をする。

 

 

「さて、明日は学校で臨時集会を行うそうだ。遅れないようにいかないとな」

 

「退院できるのか?」

 

「大丈夫だぜ。なぜか誰一人怪我がないからな」

 

「そうか」

 

 

誰一人怪我がない、いや、そんなことはなかったはずだ。

俺はあの光景を覚えている。

血の匂いや味、焼ける音、倒れているみんな、そして、自分の怪我や死の実感。

ここで何かを疑うべきだった。

でも、俺は疑わないことにした。

二度と、あの光景を思い出したくないから…。

その後、俺は無事退院し、明日の学校の準備を始めた。

 

 

 

 

 

――――翌日 事故から4日後――――

 

 

 

 

 

「先日行われた研修旅行中に遭遇した衝突事故について、肉体的、精神的なつらさがあるだろうと思います。そこで、急遽この学校を2週間休校することとします」

 

 

校長は突然そう言い放った。

喜ぶ声、安堵する声がいたるところから聞こえてくる。

 

 

「特に、事故に遭った皆さん。心配をかけてしまった方も多いでしょう。いろんな方に感謝の意を伝え、そして、自分の今やりたいことを精いっぱいやってください。以上です」

 

 

なぜ、俺たちを強調していったのだろう。

いろんな意味が含まれていそうだが、とりあえず気にしないことにした。

 

 

「なあ、光紀」

 

「どうした、凌弥?」

 

「……いや、何でもない」

 

 

そう言って、俺は家へと帰った。

 

 

 

 

 

――――休校1日目 事故から5日後――――

 

 

 

 

 

俺は光紀の家に行った。

家にいてもやることがなく、退屈だったからだ。

 

 

「それにしても」

 

「ん、急にどうした、光紀」

 

「いや、なにか違和感だらけだなと思ってな」

 

「……確かに、言われてみるとそんな気がするな」

 

 

厳密に言えば目が覚めた時から違和感があった。

自分が死ぬときは、自分が一番よくわかると聞いたことがある。

でも、俺はそのことを忘れようとしていた。

否、今もそうしている。

しかし、頭の中にずっと結びついて離れない。

 

 

「俺たち……、本当に生きているのか?」

 

「……生きてはいるんだろう。少なくとも、俺たちは存在しているし、生きているという自覚がある。それなのに死んでいるはおかしい」

 

「それもそうか」

 

 

しかし、この二日後、俺たちは真実を知ることになる。

 

 

 

 

――――休校3日目 事故から1週間――――

 

 

 

今日、俺は病院に行くことになっている。

事故の件について、重要な話があるらしい。

 

 

「凌弥君、そしてそのご両親、このことは大変申し上げにくいことです。決してとは言いませんが、できる限りうろたえずに聞いてください」

 

 

俺は息を呑んだ。

そして、病院の先生はこう告げた。

 

 

「今の凌弥君は、生きていない、そして死んでいない。そのような状態です」

 

「えっ…」

 

 

母の唖然とする姿。

父は口を堅く閉ざしている。

俺は、正直驚かなかった。

 

 

「あの事故の日、凌弥君含めそのバスに乗っていた人は、事故によって全員亡くなった。しかし、その死を一時的に剥奪して2週間だけであるがリミットを設けて生に近い状態になっている」

 

 

やはり、俺はあのときに死んでいた。

誰一人、助からなかったのだ。

 

 

「ということは、凌弥は、もう、あと1週間しか……」

 

「……残念ですが、そういうことになります」

 

「そんな……、凌弥が、凌弥があぁぁっ!!」

 

 

母はその場で泣き崩れてしまった。

 

 

「……先生」

 

「なんだい、凌弥君」

 

「……できたら、もっと早く教えてほしかった…」

 

「それに関しても申し訳なく思う。本当にすまない…」

 

 

俺の寿命はあと1週間。

そのことは、俺よりも両親に深く突き刺さった。

母はずっと泣き崩れ、父も静かに涙を流している。

しかし、俺は涙が出なかった。

その日の夜、俺は光紀と電話をした。

 

 

「そうか…。凌弥も説明を受けたんだな」

 

「ああ。もう、長くは生きられないな」

 

「人生って…、理不尽だよなっ!!」

 

 

光紀は泣いていた。

電話越しにでもわかるくらい。鼻をすする音や、時々嗚咽も聞こえる。

 

 

「なぁ、光紀。今から思い出を作らないか?」

 

「思い出?」

 

「今からできることだってたくさんあるはずだ。なら、今できることを精いっぱいやろう」

 

「っ!!そうだな、そうだよな」

 

 

次の日から、俺たちはできる限りのことをやった。

運動やゲームのような、俺たちにとって定番なものから、旅行のような滅多にできないことをした。

そして、俺の寿命は残り3日となったその日、俺を含めたクラスメイト全員が学校に集まった。

 

 

 

――――休校1週間 事故から11日後――――

 

 

 

静かで暗い教室の中、口を開いたのは担任だった。

 

 

「みなさん、もう事情は分かっていると思います。でも、その前に少しでもこのクラスで何かをしたくて皆さんを呼びました。私は皆さんに質問があります」

 

 

クラスメイトは俺を含めほぼ全員が担任の方向を向いた。

 

 

「皆さんは、幸せでしたか?」

 

 

どうだろうか。

俺は幸せとは言い切れない。

なぜなら、俺はもうすぐ死ぬ。

これはどうしても不幸だからだ。

現に、クラスメイトもほとんどが俯いている。

 

 

「そうですね、それでは質問を変えましょう。皆さんは誰かを幸せにできましたか?」

 

 

誰かを、幸せにする…?

俺は、誰かを幸せにできただろうか?

担任は続けてこう言った。

 

 

「幸せにできなかった人は、今からでも遅くありません。誰かを幸せにしてあげましょう。幸せにできた人は、それ以上の幸せを作り上げましょう。そして…

 

 

 

 

―――それができたなら、きっと、皆さんもおのずと幸せになるでしょう」

 

 

俺はこの時、自然と涙が流れた。

どんなにつらくても出なかった涙が出てきた。

そうか、そうだ。

俺も他の人もみんな幸せにできれば!!

 

 

 

――――休校8日目 事故から12日――――

 

 

 

この日、俺は両親と食事に出かけた。

母は俺のことを告げられてからほとんどの時間を放心してしまっている。

 

 

「…父さん、母さん。話があるんだ」

 

「どうした、凌弥」

 

 

父は反応する。

 

 

「まず、一言言いたいんだ。俺を、迷惑ばっかりかけてたこの俺を、今まで育ててくれてありがとう。そして、父さんと母さんを置いて先に逝くことを許してください…」

 

「凌弥…」

 

 

父は俺をそっと呼ぶと、ゆっくりと、だが力強く抱きしめてくる。

 

 

「お前は立派だ。確かに迷惑をかけたのかもしれない。でも、その分しっかりと成長したじゃないか」

 

「っ!!」

 

「だが、運命とは理不尽だな…。お前の代わりに俺が逝ってやりたいくらいだ」

 

 

俺が父と話をしていると、横からそっと母が抱き付いてきた。

 

 

「凌弥、あんたはよく頑張ったよ。つらい運命を受けてしまったけれど、私もショックで放心していたけど、ずっとそうしているわけにはいかないわね…」

 

 

母の顔を見ると、涙と笑みが同時に見られる。

 

 

「「凌弥」」

 

「父さん、母さん…」

 

 

両親に同時に名前を呼ばれた途端、俺は普段流したことのないほど大粒の涙を流し始めた。

俺はずっと愛されていたんだ。

事故に遭ってから長い間暗かった俺の家庭に、涙で濡れた遅すぎる笑顔が咲き誇った。

 

 

 

――――休校10日目 事故から14日――――

 

 

 

とうとう認めたくない日が来た。

この日になった途端に著しく体が弱り、救急車を呼んで運ばれていった。

病室に運ばれると、隣には酸素マスクをつけた光紀がいた。

 

 

「まさか、こんな場所で隣の席になるとはな、凌弥」

 

「今更そんな偶然が起こっても、何も嬉しくないな」

 

「まあそうだな」

 

 

普通では考えられないような状況で平凡な会話をした後、すぐに俺にも酸素マスクがつけられた。

見る見るうちに体が弱っていくのを感じる。

自分が死にとても近いんだろう。

 

 

「凌弥、頑張れ!!」

 

「頑張りなさい、凌弥!!」

 

 

近くで俺の両親が声をかけてくる。

 

 

「凌弥」

 

「なんだ、光紀」

 

「どうやら、俺の体は、限界、みたい、だ」

 

「なっ!!」

 

 

隣を見ると、目を閉じかけている親友の姿があった。

閉じかけるその目にはうっすらと涙を浮かべている。

 

 

「おい、光紀!!本当に逝っちまうのか?」

 

「なんだ、凌弥。逝くってのは、すでに、わかっている、こと、だろう?」

 

「でも、でもよっ!!」

 

「はは、心配して、くれるのか」

 

 

そう言うと、光紀は俺の方を向き、腕を伸ばす。

 

 

「最後に、お前に、会えて、よかったぜ。親友!!」

 

「っ!!ああ!!」

 

 

俺も腕を伸ばし、光紀と拳をぶつけ合った。

 

 

「じゃあな、父さん、母さん、そして、りょう、や…」

 

 

その言葉を最後に、光紀は息を引き取った。

すぐそばで光紀の両親が泣き崩れている。

 

 

「ぐっ!!」

 

「「凌弥!!」」

 

 

突然腹部に衝撃が走る。

腹部のみならず、全身に痛みが走る。

多分、14日前の死因に関係しているんだろう。

 

 

「俺も、もう、逝くのか…」

 

「やめて、そんなこと言わないで凌弥!!」

 

「そ、そうだな。でもよ、父さん、母さん」

 

「なに、凌弥?」

 

「なんだ?」

 

「もう最後なんだ。笑顔で見送ってくれよ」

 

 

俺の体もすでに限界が来ていた。

もう、ほとんど力は残っていない。

両親は俺の言葉を受け入れてくれたのか、今まで見たことのない笑顔を見せてくれた。

 

 

「ありがとう、父さん、母さん。それじゃ、さよ、なら…」

 

 

俺も笑顔になりそう言うと、少しずつ視界がぼやけていった。

こうして、俺の生涯は本当に幕を閉じた。




いかがだったでしょうか。

実は、この短編は自分の夢で見たものに手を加えたものです。
夢で何てものを見てるんだって話ですよね…。
思いの外書き始めたら止まらなくなって、投稿まで至りました。

アドバイス、誤字脱字等ありましたら連絡よろしくお願いいたします!!

感想も待ってます!!

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