「さ~て、此処が達也さんの部屋だよ~。」
「お~・・・」
案内された部屋はかなり簡素であり、
ベッドや机などの必要最低限の家具しか置いていなかった。
前の世界で暮らしていた高級ホテルとは全然違っている。
まあ、高級ホテルの一室と未成年達が暮らしている部屋と
比べるのは野暮というものなんだろうが・・・。
「はあ・・・」ペラッ・・・
達也はベッドにどっかりと座り、寂れた漫画を読み始める。
その漫画というのは、AKIRAだ。
「じゃあ、夕飯の時間までには食卓に来てね~
料理を手伝ってくれるとうれしいなあ~。」
「・・・おう」
達也は料理を手伝うつもりは無い。
なぜなら、生まれてこの方料理なんてしたこと無いからだ。
食事はいままで売ってある弁当か外食で済ませていた。
「・・・そういや俺がもともと持っていた漫画はあるんだな・・・
まあ、俺の私物すべてが無くなっていたら今頃俺は全裸だけどな・・・。」
達也は私物を改めて確認してみると、持っているのは
漫画『AKIRA』、財布、封筒、封筒の中には230万入っている。
「・・・喉が渇いたな・・・。」
粗方私物を確認した後、喉が渇いたので、台所へ行く。
「・・・?」
コップを拝借して水道水を飲んで、自分の部屋に
戻ろうと廊下を歩いていると、マリーが自身の部屋で
何かの作業をもくもくと行っていた。
「・・・」
「・・・なにやってんだ?」
「うわあ!?」
なんか興味を持った達也がマリーに話しかけると
驚いたマリーが造花の花びらを床に撒き散らしてしまう。
「あ・・・ああ・・・やっちゃった・・・」
「あ~あ・・・」
達也は他人事のように無気力な声を出す。(驚かせたこいつの責任も
あるのだろうが)そして、完成している造花を見て、マリーに話しかける。
「お前・・・造花を作っているのか?」
「造花・・・あ・・・(お花のことか)うん・・・そうだよ・・・」
達也は思い出していた、子供の頃を・・・
そういえば母さんが造花を作る仕事をしていて
ガキだった俺は母さんの仕事を手伝っていたな~・・・と
そう、子供のころを思い出している内に、達也は自然と
マリーと一緒に造花の花びらを拾っていた。
そして、いつのまにか達也はマリーの造花作りを手伝っていた。
「あ・・・ありがとう・・・」
「別に・・・」
「・・・達也、話を聞いてくれる・・・?」
「あ~、いいけど・・・」
「達也を見ていると・・・お母さんを思い出すの・・・」
「・・・お前の母さんはどんな人間だ?」
「え~っと・・・とっても優しくて」
「なら俺とぜんぜん似てないな、
何で俺を見てお前の母さんを思い出すんだよ・・・。」
『優しい』という単語が出てきた瞬間、
達也はきっぱりと否定する。
マリーはお母さんのことを説明するときの楽しそうな顔とは
打って変わって、すこし唖然としている。
「で・・・でも・・・今私のお花作りを手伝ってくれてるし・・・」
「これはただ手持ち無沙汰になっていただけだ
お前、優しいってだけで母さんを思い出したのか?」
「それだけじゃない・・・それは・・・」
マリーは言いかけたときに、一気に表情が暗くなる。
「・・・ほい、大体できたから後は頑張れ。」
「あ・・・うん・・・」
達也はマリーの雰囲気を察したのか、大体の造花を
完成させ、部屋を出る。
「・・・お母さん・・・」
マリーは思い出していた、母親のことを・・・
母親は穏やかで、とても優しくて、まだ小さい自分の傍に
ずっと居てくれた・・・だけど
私が言いつけを破ってしまい、人間に虐められた時
お母さんは私をかばって・・・死んでしまった。
そのときの記憶は曖昧だけど・・・お母さんが人間を
石にした直後に・・・お母さんが血を吐いて死んでしまった
というのは覚えている。
私たちに能力を見せたときの達也は、私の中の、
お母さんが死んだときの記憶を思い出させた・・・。
「・・・ごめん・・・なさい・・・。」
マリーは過去を思い出し、すすり泣いてしまう。
メカクシ団の過去・・・そして、達也の過去
いつか、それらを隠すことなく語り合える日が来るのだろうか・・・
今回は比較的短かったです。
駄目な部分や気に入らない部分があったら
遠慮なくお叱りください。