愚弟の暗殺教室   作:レベル777

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自己紹介をたった数行書くのに何時間も躓いていた作者です。



1話:暗殺の時間

 ボクは片岡ミソギ。

 

 気軽にミソギと呼んでね。

 

 趣味は狩りゲー、特技は追剥。

 

 好きな食べ物はあわびを贅沢に使った料理。嫌いな食べ物は小さいバナナ。

 

 得意な科目は保健体育(実技)で苦手な科目は英語。

 

 そして、姉ちゃんが大好きなだけの人畜無害だ!!

 

 以上―――――。

 

 

 

 さて、ボクも中学3年生になり新学期が始まった。

 

 桜が舞いちるこの椚ヶ丘中学の隔離校舎にある3年E組の教室ではそれぞれが自己紹介的なのをする中、ボクも簡単に済ませた。

 

 ただ愛の告白まがいなのをしたのがいけなかった。

 

 周りの皆が若干引き気味になっている中、姉ちゃんが睨んだのがわかった。後ろの席を振り向かなくてもわかった。

 

 担任のせんせーは「ちゃんとお姉さんと話し合ってください」とまじめに注意された。

 

 そんでもって次の自己紹介はボクの次の出席番号であるE-7の、つまり姉ちゃんの番になって、

 

「片岡メグです。元水泳部です。えーと、前にいるこの子と私は兄弟ですけど、そういう関係じゃないんではっきり言っておきます。ミソギのことなんて男として見てないから」

 

「ガビーン、それはひどいよ姉ちゃん!?」

 

 ボクの頭をぺしんと叩く姉ちゃん。

 

 ぐぬぬー、今は男として見られてなくてもその内いつかきっと………などと、そんなこんなと新学期が始まる。

 

 一週間も経てばすぐに友達もできる。

 

 まぁシスコンという誤解は未だに解けないけどね。

 

 いや、もういいさ。シスコンと好きに呼ぶがいい。

 

「片岡弟は本当にシスコンだよなー」

 

「家族だから、姉弟だから…片岡くんは片岡さんのことが本当に大切なんだよ。きっと」

 

「渚ちゃん、ボクのことはミソギでいいよ。ややこしいでしょ」

 

「うん、できたら僕のことも渚でいいよ。ちゃん付けはいらないよ」

 

「うんうん、わかったよ渚ちゃん」

 

「ぐぬぬー」

 

「……諦めろ、渚」

 

 などと一緒にいるのは潮田渚と杉野友人の2人。

 

 渚ちゃんはボクと同じ属性の男の子。否、男の娘。キレイ系なボクと違って渚ちゃんはカワイイ系だ。女の子にしか本当に見えない、けしからん。

 

 そんで杉野くん。彼は元野球部でピッチャーをやってたんだって。変化球の握り方教えてもらったよ。

 

 この2人はあまりボクの悪い噂を気にしていないようだ。いや、始めこそ制服を剥ぎ取られるんじゃないかと警戒していたけどもね。

 

 まぁ自業自得なんだけど、ボクが起した問題のせいもあって向うから話しかけてくれる子ってのが少なかったりする。

 

「ちょっとちょっとミソギちゃんやい、どこへ行くのかね?」

 

 そう声掛けてくるのは中村莉桜こと中村ちゃんだ。「莉桜」と書いて「りお」と最初は読めなかった記憶があるよ。

 

「どこってトイレにだよ……って、ちょっと中に入ってこないで!!」

 

 ボクがトイレに行こうとしていた時のことだった。

 

 ボクの行く手を阻む中村。真剣な面持ちだ。

 

「いや、アンタが使うトイレは女子トイレでしょうに!」

 

「ボクは男だよ中村ちゃん!!」

 

「なん……だと…………!?」

 

「いやいや、一年前には解き明かされた真実のはずだよ中村ちゃん!!」

 

 つーか、ただそのリアクションがしたかっただけでしょ、中村ちゃん。

 

 この金髪不良女子は油断ならない。

 

 あと、他には岡島くんと前原くん、あと千葉くんと仲良くなった。

 

 岡島くんとはエロの話で。

 

 前原くんとは女の子の話で。

 

 千葉くんとは銃を使う狩ゲーの話で。

 

 もちろん、他のクラスメイトとも日が経つにつれて距離が縮まってる。

 

 もちろん、まだ仲良くなれない子もいる。

 

 まあ学園生活とはこんなもんさ。

 

 それにボク達はエンドのE組だ。『落ちこぼれ』『負け犬』『敗者』という称号にもれなく気分が落ち込んでしまうのかな。シスコンなボクの相手をする余裕はないのかもしれない。

 

 渚ちゃんも杉野くんも中村ちゃんも岡島くんも前原くんも千葉くんも皆、どこか暗い陰がある。ボクみたいにE組になって喜んでいる生徒はこのクラスに誰一人としていないのは事実であるけども。

 

 そんな中、エンドのE組に転入生がやってきた。

 

 ただ、転入生との甘酸っぱい青春の物語が始まることもないかな。

 

 茅野カエデちゃん。

 

 緑髪の小さな女の子。ぺちゃ……おっと、なんでもない。

 

 彼女はこのクラスにすぐに馴染んでいた。

 

 皆とすぐに打ち解けれていた。ボクよりも皆と仲が良くなっていた!?

 

 ボクはショックを隠しきれない。その日なんて夜に姉ちゃんの部屋へ夜這いをして泣きついた。しばかれた。とりあえずこのシスコンを治さないとダメらしい。

 

 だったらシスコンのままでいいよ!

 

 オッケー、明日から茅野ちゃんとは宿敵と書いてライバルと読もう。そう胸に誓った。

 

 転入生と対峙するというのもまた青春さ。

 

 まぁでもアレだよね。

 

 この青春が奇想天外の物語になるのか、それとも渚ちゃん達との友達ごっこも今日までなのか、ボクが意味不明なことを言っている理由も明日になればわかるよクソッタレ。

 

 ちょっと無理やり話を進めるよー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、ボクは目に隈を付けて登校した。

 

 寝不足だよ。

 

 昨日は一睡もできなかった。

 

 例の如く懲りずに姉ちゃんに夜這いをかけたけど返り討ちにあったしね。

 

 いや、それで眠れなかったワケじゃない。ただ興奮が冷めなかったから姉ちゃんに気絶させてもらおうと考えただけだよ……いや、嘘です。

 

 でも、それでも眠りにつかなかった。

 

 小学生がピクニック前夜に興奮して中々眠れなかったかのように。中学生が姉と一緒の布団に入ってムラムラして眠れなかったかのように。

 

 ボクも昨日人並みにムラムラして寝れなかった。

 

 理由はHRが始まればすぐわかる。

 

 というかHRが始まらなくても説明はできる。

 

 ボクが寝不足になった原因は新しい担任教師が今日やってくるということ。

 

 これに限る。

 

 前の担任せんせーは退職なさった。

 

 理由は聞かされていない。

 

 もしかしたら寿退職なのかもしれない。婚約者がいたらしいよ、あのせんせー。鼻をほじりながらボクは言う。

 

 で、それ以降はちゃんとした担任教師がいるワケでもなかったE組なんだけど、すぐに新しい担任せんせーがやってくる。

 

 だからボクは興奮している。

 

 今HRが始まり教室に入ってきた。

 

 黒服スーツが3人と黄色いタコが1匹。

 

 皆の目が点になる。今のこの状況を説明無しに理解できるワケもない。

 

 ヒトよりも少し背が高いその黄色いタコが教壇に立った。

 

 黄色いタコは服を着ている。教師を気取った格好だ。何にしてもナマイキだね。

 

 そんな黄色いタコが言葉を放つ。ヒトの言葉だよ。

 

「わたしが月を破壊した犯人です」

 

『は?』

 

「来年には地球も破壊する予定です。皆さんの担任になりましたのでどうぞよろしく」

 

『まず5、6箇所つっこませろ』

 

 たぶん皆は全員そう思っただろうね。

 

 タコの代わりに隣にいた黒服の男の人、防衛省の烏間さんが説明してくれた。

 

 曰く、ここからの話は国家機密らしい。

 

 たぶん苦労人だね、この人。

 

「単刀直入に言う。この怪物を君達に殺してほしい」

 

 殺す、コロス……烏間さんから物騒な言葉が出て皆がざわつく。

 

 曰く、月を破壊した黄色いタコは来年の三月に地球をも破壊するそうな。

 

 このことを知っているのは各国の首脳だけであり、公の場にこのタコの存在を知れば世界はパニックになるからそうなる前に殺さなければならない。

 

 つまり、暗殺だね。

 

 でも、このタコは素早い。最高速度マッハ20。烏間さんがお手本にとナイフで攻撃をしかけるが全部躰された。しかも奴は烏間さんが攻撃している間に烏間さんの眉毛を手入れされている始末。

 

 本気で逃げれば日本はおろかどの国の軍隊でも黄色いタコには追いつけない。破滅の時まで待つしかなくってしまう。

 

 でも、あのタコはそれでは面白くないからとこのE組の担任ならやってもいいという提案を出してきた。

 

 それに国は、ボク達生徒に危害を加えないことを条件に止むを得なく承諾したんだとさ。

 

 ボクら中学生だからとナメきっている隙をつけるかもしれないという理由がある。黄色いタコはナメているとお緑のシマシマの顔になるよ。そんなナメきったタコを支給される対タコ型超生物専用の武器で暗殺するんだ。

 

 そして、ここからが本題。

 

 この黄色いタコを殺した報酬として国から100億円をもらえる。

 

 当然の額さ。

 

 だからボクは寝不足なんだ。

 

 この時をどれだけ待っていたか。

 

 やっと殺せるこの黄色いタコを。

 

 やっと暗殺できるタコ型超生物を。

 

 やっと100億円を手に入れられる。

 

 まさか着任初日に暗殺されるとは思いもよらないだろう。

 

 まだ支給もされていない、手に武器も持っていない中学生に殺されるはずがない。皆は知らないボクの野望も。姉ちゃんにも言っていないボクの暗殺計画も。

 

 寧ろ皆を騙した。出し抜くつもりだ。ズルをした。

 

 悟られるな、まだ殺意は表に出すな。何気ない日常の中の動作の一つのように息をするかのように実行するだけだ。

 

 そしてその時がきた。

 

 話が終わる。

 

 黄色いタコが話を締めくくる。

 

「さあ皆さん、残された1年を有意義に過ごしましょう」

 

 じゃあ有意義に1年過ごすからボクに殺されてよ。

 

 

 

 殺せんせー

 

 

 

 ボクは欠伸と共にずっと握り締めていたリモコンのスイッチを押した。




誰か私に暗殺のアイディアを……
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