愚弟の暗殺教室   作:レベル777

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無駄な長文注意かも


3話:愚弟の時間

 私の弟は普通の男子と比べてちょっと変だ。

 

 容姿が女子っぽいのも、シスコンということも、特技が『追剥』とかもふざけているわ。

 

 追剥ってなんなのよ。ほぼ犯罪じゃない。

 

 服を剥ぎ取ってどうするつもりなのよ、お姉ちゃん恐ろしくてアンタが寝るまで寝付けないのよ、いつもいつも。この前も夜這いしてきたし。

 

 なんでああなったのかしら……いや、シスコンになった原因はアレしかないんだけどもこの話は割愛にして。

 

 実際のところ、弟の『追剥』で私は犠牲になっておらず未遂に済んでいる。でも、他の生徒が『追剥』の餌食になったことを知った。

 

 進学校に通う私達にとってエンドのE組行きは絶対に避けたいものなのに関わらず自ら飛び込んだ愚か者が、私の弟。

 

 愚かな弟と書いて愚弟よ。

 

 E組なだけで差別を受けて、教育環境もなっていない山の隔離校舎で授業を受けさせらる。受験生にとって、この学校の生徒達にとっては絶望の象徴なクラスにシスコンというだけで、私がE組だからという理由で普通こっち側にきたりしない。

 

 私はあの子の考えていることが分からなかった。いや、今もあの子のことをコレっぽっちも分かっていないのかもしれない。

 

 今日まで私は勘違いをしていた。

 

 初めは本当にシスコンだから私目当てでE組にきたんだなと思っていた。そう思う他なかった。思いあがりもいいところね。

 

 でも、違った。

 

 兄弟愛とかそういう美しいものじゃない。100億円という大金に目が眩んだだけのただの愚弟だった。

 

 弟の真の目的は、新しく着任した黄色いタコの先生であり、月を破壊した犯人であり、暗殺のターゲットである。

 

 とても急展開。ツッコム余裕さえない。

 

 弟は黄色いタコの先生を殺せば報酬として100億円がもらえるということを今説明されたから暗殺したわけじゃない。前々から知っていたから暗殺計画を企てたんだ。

 

 事前準備もなければ教卓から爆発音が聞こえるはずがなかった。

 

 地球さえも破壊宣言している怪物相手に勝算もなく挑もうとする程バカじゃない。

 

 そう、弟はずっと前から暗殺計画を企てていた。

 

 私には内緒で……

 

 クラスの皆も騙して……ズルをした。

 

 裏切られた気分だ、憤りさえ覚える。

 

 確かに世界を救うために必要なことだったかもしれない。でも、私は思っている以上にショックを受けている。

 

 でも、それ以上に弟のことが心配でたまらない。皆も同じことを思っているだろうか。

 

 弟は先生にトドメを差そうとした。でも逆に触手に手首を絡め取られて身動きできない状態になった。

 

 そう、弟の暗殺が失敗した。

 

 暗殺に失敗した生徒はどうなってしまうのだろうか……私は今、恐ろしい考えをしている。

 

 防衛省の、烏間さんってヒトは私達生徒には被害が及ぶことはないと言っているけど、本当かどうかまだ信用できない。

 

 この黄色いタコの先生がルールを破ってお仕置きといって弟を食べてしまうかもしれない。

 

 それだけは嫌だ。私の大切な家族を、ミソギを失うのだけは嫌だ……

 

 でも、私の不安も心配も杞憂に終わる。

 

「ニュルフフっ、初日だから暗殺されないと油断しているとでも思っていましたか、片岡くん?? 甘い、甘いですよその考え。練乳をかけたマスクメロンよりも甘過ぎる。自分自身が暗殺対象ならもう既にこのクラスに暗殺者の生徒が紛れ込んでいることも視野に入れておくのがプロというやつなのです。残念でしたね」

 

「クソッタレめ。でも、天井トラップに引っ掛かってたじゃん! 油断していた証拠だよ!!」

 

「にゅやッ!? ア、アレはワザとですよ!! そう、暗殺を仕掛けた犯人を誘き寄せるためにワザと罠に引っかかってあげただけですよ!!」

 

「ププーッww愚かにもワザとダメージを食らった親切なターゲットさんは暗殺者が近寄ってくるまで瀕死のフリしてこっそり触手を回復させていたとかナイわーwwかっこ悪くて見ていて片腹痛いんですけどwwそれがこれからボク達生徒に勉強を教える教師たる者の姿ってワケですか、たいへん参考になりましたwwいや~、せんせーみたいなカッコ悪い大人にはなりたくないなーwwww」

 

 なんか楽しそうね、ミソギ……食べられる心配はなさそうね。

 

 それと、ガキ相手にムキになる先生ってどうなの。煽り耐性ゼロなのかしら。

 

「ムキーーーッ、言いましたね片岡くん! なら、次から本気でいきますから! せんせーの大人のカッコ良さというものを見せてさしあげますよ!!」

 

「ムリムリwwソレを見る前にせんせーをヤるもん。今日に暗殺を仕掛けたボクが第2第3の暗殺計画を練っていないはずがないよ。今日のよりドきついのお見舞いしてあげるからね♪」

 

「ヌルフフッ、上等です。実はせんせーにはまだ奥の手というのがあるんです。余裕綽々と生き延びてカッコいい大人を見せてあげますよ」

 

「オーケー、ならボクも奥の手というやつを使ってやるよ、今から第二ラウンド開始だね」

 

「い、今からっ!? へ、へー、それは楽しみですね!!」

 

 脅しに掛かる中学生にビビる先生。なにこの生き物。

 

 これからどんな奥の手を出すのか皆が見守る中、きっと碌なものでもないでしょうよと私は予想を立てる。

 

 悪足掻きにもほどがあるわ。

 

「さあ姉ちゃん、弟のピンチだ。出番だぜ!」

 

「悪足掻きもほどほどにしときなさいよミソギ!!?」

 

 何が出番か。ついつい反応してしまった。

 

 まったく、これじゃ悪足掻きじゃなく悪ふざけじゃない。私を巻き込まないでよ。

 

「片岡さん、あなたが片岡君の奥の手ですか!??」

 

「先生も間に受けないでください!!」

 

「いや、もうこれは最終兵器といっても過言じゃないぜ、せんせー。ボクは姉ちゃんの声援で何倍も強く、そして光よりも早くなる!」

 

「にゅやっ!? な、なんとっ、それは本当ですかっ!!?」

 

 私は間に受けないでくださいと言ったんですが…・・・

 

「あぁ、拘束されていようとも何倍も強くなったボクは近くに散らばったBB弾を足ですくっては弾丸以上の速さでせんせーに飛ばすことなんてワケないよ。そして、ボクを拘束している手前、生身の人間相手にマッハ20は使えないよね。よってせんせーはボクの拘束を解こうとするけど手間取ってヤられるのさ」

 

「ひ、ひぃぃいいいい」

 

「「「「………」」」」

 

 いや、なんかバカらしくなってきた。

 

 弟は先生の触手にかじり付いては拘束を取れないように必死になって私をもう一度呼ぶ。

 

「姉ちゃん!! 好きって言ってくれよ!!」

 

「言うわけないでしょうがこのシスコン!!」

 

「いでー!? 姉ちゃんがボクを叩いたーーー!??」

 

「にゅやっ、暴力はダメですよ片岡さん、一旦落ち着いてください!!」

 

「「「「………」」」」

 

 私は我慢できず愚か者な弟に拳骨をお見舞いしてやるのであった。

 

 クラスの皆は最早ポカンと口を開けている。

 

 そして、防衛省の烏間さんが皆の代弁を言ってくれた。

 

「なんだこの茶番は……」

 

 うん、それは私も思いました。

 

 あと、弟とこの黄色いタコの先生はくっつけて碌なことがないということも学んだわ。まったく……

 

 このあと、烏間さんたちは黄色いタコの先生を放置して帰っていった。

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

「と、このように片岡くんが仕掛けてきたように、いつ何時でも君達からの暗殺をわたしは心よりお待ちしております。まぁもちろん暗殺の素人である君達に殺されるせんせーじゃありませんけどね、ヌルフフフ」

 

「「「「「えーーーー」」」」」

 

 こうして暗殺教室が始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の弟はちょっと普通の人と比べて思考がブレている。

 

 今は放課後。

 

 帰る仕度をしているところ。といっても、私は日直の引継ぎもあるから遅くなるんだけども。

 

「ミソギくんの暗殺、本当にビックリしたね」

 

 そう弟に声を掛けたのは渚ね。

 

 隣には杉野くんもいる。

 

「いきなりだったもんなー。アレって防衛省の人に頼んで仕込んでもらったんだろ? 俺達が奴の存在を知っているはずもないから油断しているって所に着眼点を置いたのは、今考えたら殺す確率が高い暗殺方法だったかもしれないけどさ、やっぱり抜け駆けは良くないぜミソギ」

 

「ごめんよ皆、でもどうしても独り占めして100億円が欲しかったんだー」

 

 悪びれることもない弟に私は誠心誠意込めて謝ったらどうなの、とテレパシーでも送ってやりたい。

 

 だけど、私が思っていた以上に弟への反発は少なかった。

 

 もちろん弟に不満を漏らす生徒もいるけど、弟の暗殺を見て皆殺る気を出したみたい。

 

 自分たちと同じ中学生が暗殺したんだ、だったら自分達も計画を立てて実行に移し暗殺できるかもしれない、という希望を抱いたのかもしれない。

 

「ところでミソギちゃん、独り占めしようとした100億円でどんな夢を買うつもりだったんだい??」

 

 そう訊ねるのは中村さん。

 

 あの子、ミソギにくっつきすぎなのよね。前にセクハラし放題とか言っていたし。

 

「私も気になるなー。抜け駆けしてまで手に入れようとしたミソギの夢」

 

「私も聞きたい聞きたいー」

 

 茅野さんや倉橋さんほどじゃないけど私も気にならなくはない。

 

「そんなに気になるなら話し混ざってきたら……??」

 

「………っ!?」

 

 磯貝くんが苦笑いで私の手を引こうとしてきた。

 

 危なかった、そのイケメンフェイスにぐーパンチをお見舞いするところだったわ。

 

 今は弟とは話したくないの。

 

「ふっふっふ、俺にはミソギの夢が分かるぜ。俺もアイツならそうしている」

 

「おっ、前原奇遇だな。俺もミソギの夢が分かるぜ」

 

 なんで分かるのよ岡島くんまで。

 

「だってな、これしか答えないだろ。100億円使ってハーレム王国を!!」

 

「あぁっ、チャンネー達の楽園を作って毎日ハッスルするんだー!!」

 

「「「「お前らなら言うと思ったよ!」」」」

 

 皆からツッコミが入る。

 

「あっはっは、なかなか夢のある話しだね。でも、残念ながら違うよ。とても残念だけどボクが愛する女はただ一人だけさ」

 

「「「「うわー…………」」」」

 

「ちょっとこっち振り向かないでよ!」

 

 マジなトーンで言うから性質が悪い。

 

「それでミソギの夢って何なんだ?」

 

「あぁ、千葉くん。前にも言ったとおりボクは狩りゲーが好きなわけだけども。ゲーム全般が好きだからね、こうなったら自分の好みのゲームを作ってみたくなったんだ。それで自分の会社を立ち上げようと思ってね」

 

 実際どれくらいの金額がいるのかしら。100億円もあれば足りそうね。

 

 まさか、弟がまともな夢を抱いていたとは……お姉ちゃんは安心した。

 

「しゃ、社長、私を採用してくださいなー」

 

「オーケーいいだろう中村ちゃん。キミにはボクの秘書に任命しようじゃないか」

 

 などとふざけ合っているけども、何故だろうか。お姉ちゃん、アンタのその何かを企んでいる顔を見る度に不安になっていくんですけど。

 

「あ、でも面白い話がこっからでね中村ちゃん、それに皆。ボクの真の目的は会社を立ち上げることじゃなくその先にあるものなんだ♪」

 

「そ、それはなんですか社長……??」

 

 未来の社長の悪い顔に中村さん達は身構えた。

 

「なに、身構えなくてもいい。ちょっとした余興みたいなものさ」

 

 私は耳を塞ぎたくなった。

 

「ふひっ、この楠ヶ丘中学のエリート共をさ、社蓄として飼ってやろうかと思っているだけだよ。この学校のシステムを参考にしてさー、ボク達E組と同じ扱いをアイツらにもあわせてやりたい、ただそれだけだよ」

 

 どこまでが冗談で、どこまでが本気で言っているのかわからないのが弟の性質の悪いところ。

 

 でも、これは半分本気で言っているような気がする。

 

「まぁエリート共を全員半殺しにするよりかはよっぽど人道的だと思うけどね。当初の予定より大分と譲歩したつもりだよ? 結局のところ、奴等を地にひれ伏せれたらいいんだ」

 

 ………。

 

「じょ、冗談で言っているんだよね、ミソギくん?」

 

「いや、コイツならやりかねんって。シスコンだしな」

 

「つーか、ミソギ社長だと知ったら奴等入社してこないだろうよ。シスコンだからな」

 

「大金をチラつかせても?」

 

「いやいや、悪意あるのバレバレじゃん」

 

「まぁそこはほら、もうちょっと作戦を練ってみるから」

 

「もう計画破綻しそうだよな。テキトーに考えたろ」

 

「じゃあエロゲーも作ればOK問題解決だな」

 

「うん、何がじゃあなのか分からないけど岡島君は黙っていようか」

 

「社長っ、エロゲーも作ってくれよなっ!」

 

「おい誰か興奮した岡島を止めろ!!」

 

「オーケー、岡島くん。キミの熱意が伝わったよ、今度ボクん家でエロゲー製作にあたっての打ち合わせしようじゃないか!!」

 

「ふむ、2Dの話なら僕も参加させてもらおうか」

 

「おぉ、まさか竹林くんの初セリフがこれで協力してくれるとはね。とても心強いよ!」

 

「あぁ、よろしくなっ、竹林!!」

 

「ふっ」

 

 いや、そこは他所で打ち合わせしなさいよ。

 

「というか、何の話しだったっけ?」

 

「ミソギが会社立ち上げてこの学校のエリート様を社蓄として飼う話しだ」

 

「まぁそういうことで、どうしても100億円が欲しいわけ。だからさ、これだけは覚えておいてよ。皆でやる暗殺計画は協力はするよ。でも隙あらば手柄は横取りするつもりだから先に謝っておくよ、ごめんね」

 

「「「「「「あ、うん………」」」」」」」

 

 そう言って弟は先に1人、E組の教室を後にした。

 

 本当にどうしようもない弟だ。

 

 本当に何を考えているのか分からない。

 

「しゃ、社長、秘書の私を置いて帰らないでくださいまし!」

 

 いや、中村さん。もう社長ごっこはやらなくていいんだって。

 

 

 

 

 

 

 そして、帰宅した私。

 

 今日の件についていろいろ話さなければ、と思い弟の部屋に直行。

 

 暗殺の件。

 

 100億円の使い道。

 

 私がちゃんと納得できるように全部説明してもらうわよ。

 

 なんで黄色いタコの先生の存在を知っていたのか。もう話してくれてもいいでしょう。

 

 100億円の使い道が本当に社蓄云々だとしても、まだ彼らを恨む理由を聞いていない。

 

 ちゃんと話して欲しい。

 

 私だけには心を開いてほしい。

 

 だけども、扉をノックしようとして……やめた。

 

「ミソギ………………」

 

 最愛の弟が泣いていたからノックできなかった。

 

 部屋の中から聞こえてくるのは呪文のように唱える100億円のワード。

 

「100億円、ほじがっだ~~~。あどもうずごじだっだのにーーー」

 

「………あんた、やっぱりちょっと変よ」

 

 大泣きするほどに100億円が欲しかったのだろう。

 

 大泣きするほどに暗殺を失敗して悔しかったんだろう。

 

 今日はもういいわ。

 

 理由なら明日以降に聞けばいい。

 

 私は心の中で弟を激励し、その場を後にした。

 

 頑張れ、ミソギ。

 

 私も明日から暗殺頑張ってみるから。

 




最後の方とか舟こぎながら書いていたのでテキトーすぎです。


次回から本編、だと思います。
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