闇の眠りを誘う者~FFFシリーズ~ 1年生ver   作:彪ちゃん

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第1話『花柄』

2月10日、午前8時────────。

いつ咲くかわくわくさせる桜の蕾が実りつつある街路樹を、風が受験生を応援するかのようにゆらゆら揺らしている。

街の商店街では、『頑張れ受験生!!!街は君たちの味方だ!!』とエールをおくる大きな看板が所狭しと並べられてあり、駅の電光板にも、『本日受験生の学生さん、日々の努力の成果を精一杯発揮して下さい!』と電車を待つ学生への細やかな励ましの言葉が流れている。

特に、受験校の近くになると盛り上がりが激しい。まるで勇者が魔王を倒した記念の宴のように高いハイテンションで泣いたり叫んだり笑ったり喚いたりと若干小馬鹿にしてからかってるんじゃないかと思うぐらい騒がしいのだ。

しかも校内に入るとTV局のカメラマンやアナウンサーに新聞記者が、また1匹受験生が来たぞとでも言わんばかりの顔で僕らを特別ゲストのように扱い、パシャパシャと鳴り止まない音と光と質問攻めで入り口を覆い尽くしてしまう。

そう、FFF高等学校日本支部の受験生は未来を背負うリューガさんの後継者だと期待されているのである。

 

まあそんなお堅い口調はおいといて!僕の名前はピカチュウ=フレッド!

この小説の主人公だよ!(自分で言っちゃった)気軽にフレッドと呼んでね!

性別はオスで血液型はO型!知り合いはよく僕のことをドアホ天然記念物って呼んでくるけど、褒めるのかdisるのかどっちかにして欲しいなぁ。

まぁそんなとこ!

 

「一つ質問なんですが、なんで普通の靴じゃなくて花柄のスリッパなんですか?しかも左右逆ですし。」

 

「・・・・・・えっ?あっ・・・。」

 

やばい、生中継なのにドジってお母さんが愛用してる家のスリッパ履いてきちゃった。うん、完全にやらかした。

動揺を隠せず、僕の額から汗がザーザーと滝のように流れ落ちていく。

うわあああ~~~~一旦家かえりたい~~~~~~!!!!

 

「いやっ、これは僕の趣味です。家族揃ってみんな花柄スリッパを履いて外出してます。」

 

何いってるんだ僕は!焦って真っ赤な嘘までついちゃった!

だめだ、もう取り返しつかないや。半年は「あ、あの有名な花柄スリッパーだ!」「やっぱりパンツも花柄なの?」みたいないじりを受けちゃいそう。

 

「そ、そうですか。皆さん大変なんですね、お疲れ様です・・・。」

 

同情までされちゃった。

 

「あ~あ、幸先悪いなぁ。先が思いやられる・・・。」

 

ガクッと肩の荷を落とし、顔を俯きながら廊下を歩いていた。

しかも家族まで巻き込んじゃったし、家族揃って生中継見るねって張りきってたもんだから、きっと今頃テレビのチャンネルを変えて、呆然としたまま「このドアホ天然記念物。」とでも呟いているかも。

 

「そういや、入り口で係員の人に試験の注意書きの紙をもらったんだった!ちょっと見てみよう!」

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

◯注意書き

若き挑戦者たちよ、ここ日本中が期待をよせる善良で純粋な誇り高きFFF高等学校日本支部の試験を受験するために来てくれてありがとう。

ここに書いてある内容は今回の試験内容についてだ。うっかりして誤った理解をしないようにちゃんと目を通しておくように。

あと警察官を目指すにあたって当たり前のことは書かない。それぐらい言われなくても行動しろ。もし受験生としてみっともない行動をした場合は容赦なく出ていってもらう。二度と受験しにくる資格を与えない。

 

それらを踏まえて今から1つだけ説明しよう。

 

試験はランクによって分けておいた。ランクは☆1~3まで存在するが、それぞれの試験で難易度や内容に、務める試験官が違っている。

☆1は才能と経験なしから平均の初心者レベル。

☆2は能力が平均以上の中級者から上級者レベル。

そして☆3は、応用を利かせた才能を感じさせる戦術。経験溢れる高い戦闘力。様々な状況を臨機応変に対処する対応力を備えた、期待できる逸材の超上級者レベルだ。

自分の今の実力を考慮して好きなランクにチャレンジするといい。

 

以上だ。日々の鍛錬や体力づくりを活かして、正義感あふれる立派な生徒として認められるように頑張ってくれ。健闘を祈る。

 

by日本支部兼FFF本部代表フライゴン=リューガ

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

「へぇー!試験にそれぞれレベルがあるんだね!じゃあ、どうせやるなら一番難しいのにチャレンジしようかな!楽しそうだし!」

 

僕はそれを伝説のリューガさんからの直々のエールだと思うと、嬉しくてとても興奮した。

 

(なぁ、知ってるか?試験官が変わる前までランク☆3の試験に受かったことがあるのはリューガさん以外1匹もいないらしいぜ?)

 

(まじかよ!そんなに難しいのか?)

 

(難しいってもんじゃねえよ!その試験官はなんでも日本支部期待のクールな若き鬼長官アブソル=パーシーだぞ!?変わる前でも相当難しかったらしいけど、パーシー長官が務めるようになって以来1人も合格者を出していないらしい!しかも長官、1匹で300ものポケモンを相手に勝利したって噂さ!すごく怖いらしいよ・・・)

 

(はぁ?ほんとかよ?だとしたら誰も受ける奴いねぇだろうなぁ~。瞬殺されるのがオチだろうし。)

そんな受験者同士のひそひそ会話を左へ受け流し、校内にそびえ立つランク☆3試験の入り口へ意気揚々と向かっていく。

 

『「うわぁぁぁっ!」』

 

その時、廊下の階段前で大きなダンボールを持って歩いていた1匹のポケモンが曲がり角にさしかかろうとしていたのに気づかずドンッと正面からぶつかり、ダンボールの衝撃でお互いが尻もちをついて転んでしまった。

 

「いてて・・・大丈夫?」

 

転んでいたのはフォッコだった。小さい炎のような瞳に耳からオレンジ色のふさふさしてそうな毛がたくさん生えている子供狐のようなポケモン。

 

「ううん、大丈夫よ!ごめんなさいね、私が荷物に気を取られてたばっかりに!」

 

するとダンボールから飛び出た小物のアクセサリーや学校用バッジをせっせと拾い始めた。

 

「僕も手伝う!1人じゃその量は大変だよ?」

 

それに応じてさっきのお詫びとして僕も拾うことにした。

 

「気にしなくていいのに!でもありがとね♪」

 

そして。

 

 

「ありがとう!おかげですぐ片付いちゃったよ!」

 

「いえいえ!ポケモンとして手伝うのは当然のことだからね!でも、そんなに重いダンボール運んでどうしたの?」

 

フォッコの可愛げな笑顔に少し照れながらもそういう素振りを見せないよう笑って返した。しかしメス1匹にこんな重いものを運ばせるなんてなぁ。こういうのはオスが持つべきなのに。

 

「私はもう試験が終わっちゃったから時間余っちゃったの!そしたら学校の手伝いでもしたくなっちゃって!」

 

「へぇ~すごいなぁ!熱心な人はきっと合格できると思うよ!」

 

「ありがと!ところで、なんで左右逆の花柄スリッパ履いてるの?」

 

「あっ、それは・・・。」

 

僕はこの子にその時の経緯を順を追って説明した。

多分聞いたら茶化して僕を笑うんだろうな。

 

「あっははははははは!!(爆笑)」

 

案の定一瞬で笑われちゃったよ。しかも爆笑。

 

「わ、笑わないでくれよ!自分でもここまでドジなやつだとは思わなかったし!」

 

「ふふふ、まぁまぁそういう時だってあるよ!めげないで!ところでピカチュウ君名前は?私はフォッコ=レイア!」

 

「僕はピカチュウ=フレッド!ここで会ったのもきっと何かの縁かな?よろしく!」

 

「こちらこそよろしく!」

 

同じ受験生の知り合いができた瞬間だった!僕今すごく嬉しい気分!

ふと時計を見ると少し急がなきゃいけない時間になっていた。

 

「ごめん!そろそろ試験受けに行かなきゃいけないんだ!じゃあね!」

 

「うん頑張ってね!バイバ~イ!」

 

「ありがと、またね!」

 

そして僕は急いで☆3の会場へとダッシュで駈け出していった。

 

「ん、あれ?」

 

レイアは誰のだろうと不思議に思いながらも、落ちていた小さな紙を拾って内容を読んでみた

 

「これは!フレッド君の受験票だわ!届けてあげなきゃ!」

 

続く───────。




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