箱庭の世界にやってきた博麗霊夢 作:冷水
上空に投げ出される、博麗霊夢。
「っ・・・・・・」
空を飛ぶ程度の力を持つ霊夢は、空を飛ぶことに慣れている。
しかし、突然、地面が遠くなるという現象に出合うと、驚くものがある。
ふと、そこで同じように、地面へと落ちていく人影が3つあった。
着地地点を見れば、そこそこの深さの湖がある。
霊夢の”勘”が、落ちても大丈夫だと告げている。
(助けなくても、大丈夫そうね)
そして、3人は湖の中へ落ち、霊夢は湖のほとりへと綺麗に着地を果たす。
「信じられない、いきなり空へ放り出すなんて!」
「場合によっちゃいきなりゲームオーバーコースだぜ」
少し短めのロングスカートを履いた少女と、学生服の少年が話している。
傍らには、猫を抱きかかえた少女。
湖から、霊夢が着地したあたりへ上ってきた。
「で、誰だよお前ら」
学生服の少年が言う。
「それは、こっちのセリフよ。目つきの悪い学生君」
お嬢様然とした少女が返す。
「一応確認するが、お前らにもあの手紙が?」
霊夢は、少年少女の今のやり取りを聞いていて、手紙?なんのことだろうと思う。
「お前っていうのは訂正してくれない?私は久遠飛鳥よ。そこの猫を抱えた貴女と、脇を出した特徴的な服装の貴女は?」
お嬢様然とした少女は、少し高圧的に返す。
「春日部耀」
「・・・・・・博麗霊夢」
「それで、失礼で野蛮で凶暴そうな貴方は?」
「見たまんま、粗野で野蛮な逆廻十六夜だぜ」
少年、逆廻十六夜は楽しそうに笑っている。
-黒ウサギの内心:
- (なんか、一癖も二癖もありそうな方々なのです・・・・)
-
- (それに、なんか御一方だけ空を飛んでいましたが、そういうギフトでも持っているのでしょうか)
-
自己紹介が終わると同時に、あたりを剣呑な雰囲気が増す。
「で、そこに隠れてるやつにでも話をきくか」
皆が、気づいていることだったが、今までスルーしていた話題。
召喚された者がいるということは、召喚する側がいる、物語の道理である。
そこから、黒ウサギと呼ばれるウサギ耳の少女が出てくる。
(月のウサギ?)
皆が、ウサギ人間?コスプレ?とつぶやいている中、霊夢だけがある意味的を射ている。
「黒ウサギのウサ耳がぁぁぁっぁ」
絶叫が聞こえて来たところで、しょうがないので助けに入ることにする。
「そのあたりで、許してあげたら?」
黒ウサギが、箱庭という場所、そしてギフトゲームについてテンプレートのような説明をする。
そして、プライドを掛けてギフトゲームをしましょうと、黒ウサギが皆に喧嘩を売り、それを買う。
逆廻十六夜だけが、世界の果てまで遊びに行ったり、それを黒ウサギが追いかけて行ったり、
かと思えばホクホク顔で黒ウサギが十六夜を伴って帰ってきたり。
霊夢は、無表情ではあったが、内心では退屈はしてなかった。
十六夜が、黒ウサギに質問したことを覚えている。
『この世界は、楽しいか?』
それは、霊夢が気になっていた話。
形は違えど霊夢も、地位も名誉も全てを捨ててこの世界に来たのだ。
それなりの対価は欲しいと思っていた。
『Yes!この世界は格段に楽しいと、黒ウサギは保障します!』
返答は、本心からの黒ウサギの笑顔だった。
あんな素敵な笑顔で、”楽しい”と言われてしまえば、楽しいのかもしれないと、期待してしまうではないか。
霊夢は、黒ウサギの後ろ姿を見ている間、微笑を浮かべていた。
きっと、黒ウサギは私たちに何か隠し事をしている。
しかし、それを抜きにしても”楽しくなる”と霊夢の勘がそう言っていた。