箱庭の世界にやってきた博麗霊夢 作:冷水
白夜叉との決闘から、10日が経過した。
霊夢は、朝は決まった時間に起床し、時に二度寝を謳歌しつつも、概ね充実した日々を送っていた。
あれから、二つの大きなイベントがあった。
ガルド・ガスパーとの決闘があり、耀が大けがをしたが、最終的にはガルドは問題なく退治され、耀も回復した。
その後、レティシアというフランドールにも似た金髪の吸血鬼がやってきたが、生憎と霊夢はその時、既に就寝していた。
ペルセウスというコミュニティとも決闘をし、十六夜がリーダーを殴り飛ばして、ペルセウスの誇りもろとも砕き去った。
霊夢は露払いをしていたが、途中で石化の攻撃が来て、自らへ掛る呪いこそ無効化できたものの、戦っていた者達が全て石化してしまった為に、やることも少なかった。
飛ばしてしまったが、大事なことを一つ忘れていた。
ガルドとの決戦の折に「打倒魔王」を掲げたコミュニティであると、十六夜はジンを後押しして語らせた。
霊夢としては、大歓迎な話である。
これからは、異変が起こるのを待つのではなく、異変が自ら近づいてきてくれるかもしれないのだから。
それでも、不満があるとすれば霊夢は結局、己の力を見せたのは、白夜叉との戦いくらいであった。
あの後、黒ウサギが霊夢の元気な姿を見て、涙を流しながら抱き着いてきたが、
白夜叉の歴戦の雰囲気は、周りから見る者達からしたら怖いくらいの雰囲気があったのだろう。
対面する霊夢自身が、それを感じていたのだから。
白夜叉は扇子を私の方へ向け、
「あっぱれ!」
と爽快に私の勝ちを称えて、その後に酒盛りをした。
白夜叉秘蔵のお酒は、今まで飲んでいたお酒より、おいしいと感じられた。
魔理沙にも、飲ませてあげられたらと、故郷を少し思い出したが、悲しくなることはなかった。
もっとも、白夜叉との決闘は、霊夢自身はあれを正面から打ち破ったとは思っていない。
白夜叉を霊視して見えるのは、燃え盛る太陽の”連なり”と、修羅の如き白夜の風景が見えた。
あれは、人が敵うとか、そういう次元ではない。
一つの世界が、全てを飲み込むほどの勢いの持った何かになったかのように。
箱庭最強の一角の名は、伊達や酔狂で付けられるものではないということだろう。
それに、何か封印を受けているような、そんな印象を受けた。
大人の姿になって、力が増したように思えたが、あれですら児戯に等しいほどの”何か”を霊夢は感じ取っていた。
もしかしたら、見栄を張るためにあの姿になったのではないかと、霊夢はひそかに考えていた。
神にとって、見栄や体面というのは、自身の威光を掛けた大切なものなのだから。
ドアを、ノックする音が聞こえた所で、霊夢の思考が中断する。
「霊夢殿、お茶をお持ちしました」
「ありがと・・・」
ずずず、とお茶をすする音が響く。
私ほどでないにしろ、それなりに美味しくお茶を入れてくれる使用人ができた。
回想が終わったこの所で、新たに加わった金髪の使用人の話をしようと思う。
名をレティシア=ドラクレアという。
先にも述べたが、幻想郷にいるフランドールとよく似ていて、後少し成長させたらこんな感じになるんじゃないかという、美少女だった。
金髪に、真紅の吸い込まれそうな美しい瞳。
翼こそ、漆黒でカラス天狗のような羽であったが、普段はそれを隠している。
一度、レティシアに「翼は無いの?」と聞いたら、なんだか驚いたような顔をされたが、
私が「見せて」と頼むと、少し恥じらいながらも見せてくれた。
見た目は”闇”のように光を吸収し、逆に黒く光っているような印象を受ける羽根だが、
なかなかに、そのさわり心地は滑らかだった。
そんなこんなで、霊夢としては一区切りついたような、そんな感傷を得ていた。
存外に、自分は幻想郷では人恋しかったのかもしれない。
今まで、興味がなかったはずなのに、いざ一度人と関わり始めると、
今度はそこから抜け出せなくなってしまう。
しかし、それも案外に悪くないことなのかもしれない。
---作者の幕間---
むむむ・・・・・・。
前回はそれなりに、雰囲気を作ろうとしたつもりなのに、
なんだか、これ以上、プロローグで何かを書くのが無粋に思えてしまって、
アニメの総集編のような、そんな雰囲気を醸し出した・・・・・・つもりなんだけど、皆様の目にはどう映るのでしょうか。
書くことは、労力が要ることだと、どこかの物書きさんが言っていたことを思い出しました。
書くと、燃え尽きたようになってしまって、
本当に書きたい部分というのは、むしろ次からなのに!!!
と思わず(心の中で)絶叫してしまいました。
プロの物書きってすごいなと、思う今日この頃です。
さて、原稿用紙15枚程度の内容が既に消化しましたが、
残り85枚以上を、私は書ききることができるのでしょうか。
なんだかペース的に「少ない」と思えなくもないのですが、
細かい描写をしようと思えば、私はくどい文章になるのを自覚しているので、
さらりと書いているつもりです。
それでは、プロローグはあまり長引かせてもあれなので(←いまさら感)
この辺で、一端〆ます。