ご了承ください。
光和七年――陳留/華琳邸宅内
壱
「――ここか」
屋敷の中を歩くこと十数分。アドラーは華琳によって用意された自分の部屋の前まで辿りついた。
中に入ろうと扉に手をかけた時、部屋から不審な気配があるのを感じ取った。
既に誰かが部屋の中に居る。
「誰だ!」
「ふぁえあ!?」
気配の正体を確かめるべくアドラーが扉を勢いよく開け放つと、部屋の中に居た小柄な娘が素っ頓狂な声を上げた。
華琳と同じか少し年下に見えるその娘は、アドラーの声と勢いにすっかり気圧されてしまったのか、怯えた小動物の様に視線を彷徨わせながらオロオロと部屋の中を右往左往している。持ち前の薄氷色の瞳には既にうっすらと涙が浮かんでいた。
身につけている群青色の着物は屋敷で働く女官のものと同じであることから、彼女もその内の一人なのだろう。
野暮ったく後ろで編んでいる黒い長髪やおどおどした雰囲気も相まって、垢抜けない田舎娘という言葉がぴたりと合う少女だった。
「お、お待ちしておりました、アドラー様……」
今にも消えそうなか細い声を絞り出すと、娘は命乞いのように深々と頭を垂れた。
「貴様は何者だ。ここで何をしている」
容赦の無い言葉にびくりと娘の身体が震える。
「わわわ、わたしは! 孟徳様より、その……ア、アドラー様のお世話役を命じられました、女官の翡翠と、も、申します……い、いまはその、部屋のお掃除を……」
最初は聞き取れた娘の声は喋っていく内にどんどん小さくなり、最後は何と言っているかすら聞きこえるかどうかも怪しいほどになっていた。
――世話役? この娘が?
アドラーは思わず自分の耳を疑いたくなった。
確かに世話役をつけると聞いてはいたが、まさかこんな田舎娘のような奴だとは夢にも思わなかった。これなら一人の方が余程マシだろう。
なぜ華琳は、こんな娘をわざわざ自分にあてがったのか?
分からない。
だが今さら文句をつければ、面倒な事になるのは目に見えている。
(雑用だけなら邪魔にはなるまい……)
強引にそう結論付け、アドラーは渋々納得する事にした。
「ではお前が華琳の言っていた俺の世話役という訳だな?」
「はい……そう、です」
確認するように改めて訊ねると、娘――翡翠は怯えながらもはっきりそう答えた。
思わず頭が痛くなるアドラーだったが、それよりも気になる事が一つあった。
「貴様、さっきから何をそんなに怯えている?」
そう。この少女は自分に対して何故か不自然なまでに怯えているのだ。いきなり怒鳴りつけたのも原因の一つだろうが、それにしてもこの娘の怯え方は異常であった。
「す、す、すみ、すみましぇん! わ、わたし、気が弱くって……それに、えっと、そのぉ……お、男の方にお仕えするのは、これが始めたなもので……それで、その……本当に申し訳ございません!」
言葉の端々を噛んだりつっかえながら精いっぱいという感じで告げると、翡翠は何度も何度も頭を下げた。
あまりの様子にすっかり毒気を抜かれたのか、アドラーはため息を一つつき、
「もういい……早速だが、お前に聞きたいことがある」
と言った。
「は、はいぃ!? な、なな、何でございましょうか!」
「この屋敷に資料室か書庫のような場所はあるか?」
恐る恐る彼女を首を縦に振った。
「それなら、書庫が屋敷に奥にございます……」
「よし。掃除はいいからそこへ案内しろ。今すぐだ」
「わ、分かりました! では私の後に付いてきて下さいませ……」
二人は部屋を出ると、屋敷の奥にあるという書庫を目指して廊下の向こうへと消えていった。
弐
黒髪の女こと春蘭は荒野での騒動の後、街から呼び付けた老医によって念入りな検査と治療を受けていた。
屋敷に戻った時はまだ呼吸も荒れ、一人では動けない程に痺れや痙攣が身体を支配していたが、時が経つに連れてそれらは次第に弱まっていった。
他に目立った外傷や出血なども無い事から、老医は彼女にもう命の危険や異常が無いことを告げると、謝礼を懐に入れ、そそくさと街へと帰ってしまった。
「あのヤブ医者め……異常が無い訳ないではないか」
自室の寝床でひとりごちながら、春蘭は荒野での事を思い返した。
剣を掴まれた瞬間に味わった、あの感覚。
全身に走ったあの痺れと衝撃――それは鮮明に記憶の中に焼き付いている。
どんな事にも耐えてきた自慢の肉体が、剣を掴まれただけで全く言う事を利かなくなってしまった。
それも恐怖や殺気に怯えてそうなった訳ではない。まるで全身の肉が狂った様に暴れ出し、自分の思い通りに動く事を拒んだのだ。
五胡の妖術。
春蘭の頭の中にそんな言葉が浮かんだ。
あれこそまさにそうなのではないだろうか? ただの人間にあんな芸当ができるとは到底思えない。
そんなことを考えていると、
「春蘭――入るわよ?」
扉の向こうから声が聞こえ、華琳が部屋の中へと入って来た。
「か、華琳様!? し、失礼しま……ぐっ!」
突然の来訪に春蘭は驚き、急いで身を起こそうとしたが、上手く起き上がれず床へと倒れ込んでしまう。
再び起き上がろうとする彼女を華琳が制した。
「横になったままで構わないわ。それより身体は大丈夫なの?」
「面目ありません……医者にはもう問題ないと言われたのですが、まだ上手く動けそうにありません」
「そう……ところで、あのアドラーと言う男の事だけど、今後は私の客将として仕えることになったわ」
「なんですと!?」
あまりの事に全身の痺れも忘れ、春蘭は無理矢理身体を起こすと華琳の肩を強く掴んだ。
「いけません華琳様! あやつは華琳様が思う以上に危険な存在です! どのような罰を受ける覚悟はできております。ですからどうか今一度お考え直しを!」
しかし彼女は頑として首を横に振った。
「春蘭、私は一度言ったことは曲げる気は無いわ。それとも、この私に交わした契約を今さら破れと言うの?」
「そ、それは……」
春蘭は答えに詰まった。主の面子を潰す訳にも行かず、かといって自分の中にある意見を曲げることもできないからだ。
主の方針と自分の武将としての勘――相反する二つの意思が溶け合うことなく彼女の頭の中をぐるぐると廻る。
「…………」
嫌な沈黙が部屋の中を包んだ。
そんな彼女の胸中を悟ったように華琳の方から口を開いた。
「判っているわよ。あの男が危険な存在だっていう事くらいね」
「え……?」
「だけどね春蘭、恐らく貴女が思っている以上に世界はこの先もっと荒れるわ。宦官や役人達は腐敗し、朝廷は日を追うごとに力を失いつつある今、私をはじめとした理想や野心を抱える者達は力を蓄え、次々と覇業に名乗りを上げようとしている。そうなったらもう誰も戦乱の流れを止めることはできない。だからこそ、私が誰よりも速く覇業を成し遂げ、大陸に住む全ての国民に平和と幸福をもたらす――その為にはどんな存在であろうとも利用するつもりよ。例えそれが猛毒であっとしてもね」
「ですが……」
華琳は自身の両肩を掴んでいた両腕を手に取ると、春蘭を再び横に寝かせた。
「無論、現状で打てる手は全て打ってあるわ――彼の監視には“仁”を付けたの」
「“仁”、ですか……」
春蘭は息を呑んだ。同時に部屋の温度が一気に下がった気がした。
仁――本名を曹仁と言い、華琳とは血の繋がりの無い従姉妹に当たる。
春蘭や秋蘭も同じく彼女の従姉妹に当たるのだが、曹仁は生まれ持った複雑な事情ゆえ影の者として育て上げられ、その名と姿を知っている者は曹一族の中でもほんの一握りだけだと言う。
親戚筋である夏候家の春蘭もその例に漏れず、その名前や存在すら知る由も無かった。無論、その姿は一度も目にした事は無い。
だが、彼女はふとしたきっかけからその存在を知ることになる。
それは華琳がまだ陳留郡の太守に就く前――首都・洛陽の北部尉(現代における警察署長のようなポスト)として街の治安警備に従事していた時の事だ。
相手の家名や後ろ盾など一切関係なく犯罪や違反行為を罰し、職務を遂行する彼女の周りにある噂が流れたのだ。
『曹孟徳は影の者を使って邪魔者を犯罪者に仕立て上げ、己の出世を狙っている』
最初は馬鹿馬鹿しいと思っていた春蘭だったが、異常なまでの速度で犯罪や違法行為を摘発し続ける彼女の評判を聞いて、一度だけ尋ねたことがあったのだ。
その時、彼女はこう答えた。
「犯罪者を仕立て上げたことなど一度もないが、影の者を使って治安維持に従事しているのは本当だ」と。
その時口端に上った名前が仁――すなわち曹仁だったのだ。
――華琳様があの男に拘るのには、それだけ重要な理由がある。
春蘭は瞬時にそう直感した。
「ええ。そういう仕事はあの子が一番向いているし、何よりアレの事はもっとよく調べる必要があるもの――それよりも春蘭」
改まると華琳の表情が一気に険しくなった。
「はい、何でしょうか?」
「貴女がアドラーに剣を掴まれた瞬間、一体何が起こったの? 貴女の分かる範囲で説明して頂戴」
春蘭は己の脳裏に焼きついた記憶をもう一度辿ってみた。だが、何度思い出してみても結果は同じだった。
「……私にも分かりません。あの男に剣を掴まれたかと思うと、次の瞬間には身体の中を言いようのない衝撃と痺れが走っていました。すると全身のありとあらゆる場所が言う事が利かなくなったのです――馬鹿げているとお思いになるでしょうが、自分は五胡の妖術か、それに類する何かではないかと考えています」
「なるほど……」
馬鹿馬鹿しいと喋った本人ですら思うような話を、華琳は嘲笑う事無く最後まで聞き入れた。
「本当に妖術かどうかはともかく、何か裏がありそうのは確かね……」
と華琳が呟いた時、誰かが部屋の扉を叩くのが聞こえた。
瞬間、二人の視線が同時に扉に向いた。
「誰だ」
「華琳様、秋蘭でございます」
声の主は秋蘭だった。彼女はアドラーがここに来ないよう、万が一に備えて部屋の前を見張っていたのである。
「入って」
「はっ。失礼します」
扉が再び軋みの音を上げると、秋蘭本人が姿を現した。
「華琳様、今しがた文官達から報告がありまして、アドラーと世話役の翡翠が何やら屋敷の書庫に向かったそうです」
「書庫へ? そう。分かったわ」
華琳は少し考える様に、
「彼が一体何をしに向かったのか調べるよう文官達に伝えて。どんな些細なことでも構わない、全てを報告するようにと」
「御意に」
秋蘭が踵を返すと同時に、再び扉は閉じられた。
「あなたの秘密、根こそぎ全て頂くわよ。アドラー」
不敵な笑みを浮かべながら、華琳は静かにそう言った。
参
華琳達の会話から遡ること数十分。
翡翠に案内されて辿り着いたのは、大量の資料や書籍が収められた――まさしく書庫と呼ぶに相応しい大部屋だった。
一丈はゆうに超えるであろう保管棚には、様々な情報や理論を記録した多くの書物や文献がぎっしりと並べられ、部屋の隅々まで犇めき合っている。
更にそれらは年代や種類ごとにきちんと整理整頓され、何処に何が保管されているのか全て一目で分かるようになっていた。
司書などの職員が不足気味なのか、中に居る人間はどことなく慌ただしく仕事をしているようだったが、それもこの部屋の大きさや収められている資料の膨大さからすれば、至極当然の事だった。
(フムン。これなら心配はなさそうだな)
アドラーは感心したように棚に納められた書物や竹閑を適当に見繕って備え付けの机に置いた後、翡翠を呼びつけた。
「翡翠、お前文字の読み書きはできるか?」
唐突にそう聞かれ、翡翠は思わず目を瞬かせた。
「え? あ、はい。一通りの事は教わっておりますので、一応……ですが、何故そのようなことを?」
意味が分からないと言わんばかりんの顔で尋ねる彼女にアドラーは言った。
「今日からしばらくの間、俺はここで勉強する。お前には最初の仕事として、それを手伝ってもらう。分かったな?」
アドラーがここに来た目的は言うまでもなく情報収集だった。
自分が一体どこに居るのか、どの時代に居るのか、まずはそれを正確に知る事が重要だと考えたのだ。
「か、かしこまりました……できる限りお手伝いいたします……」
有無も言わせぬ言葉の勢いに押され、翡翠は弱弱しく頷いた。
肆
「……勉強してる、ですって?」
自室に戻って報告を受けた華琳の顔は、やはり呆気に取られたものだった。
それもそうだろう。警戒していた人間が早速怪しい動きを見せたと思ったら、始めた事がただの勉強なのだ。これでは警戒していた自分の方が間抜けに思える。
現に報告に来た秋蘭も狐に摘まれた様な表情だ。
「は――司書たちの話によれば、あやつは書庫にある資料や書籍を使って文字の読み書きの他、歴史や地学などを中心に学問を学んでいるそうです。それも一つずつではなく、複数の事を同時に行っているとの事」
「世話役の翡翠は何をしているの? まさか一緒になって勉強していると言うのでは無いでしょうね」
重苦しい表情で秋蘭が首肯した。
「……はい。彼女はアドラーの補佐として、あやつの勉強を見ております」
「一体どういうつもりかしら……?」
確かに自分が今どの時代のどういった場所に居るのか調べる事は大切だろう。字の読み書きもこれから働いて貰うに当たって覚えてもらわなければならないので、こちらから言い出す手間が省けてむしろ好都合でもある。
好意的に見れば、アドラーは自分達の為に努力しているという風にも見えなくもない。
だが、あの男がそんな事の為に動く人間だとはとても思えなかった。
――何かある。絶対に何かある。
頭の奥からそんな予感と共に鈍痛が湧き起こった。
「華琳様、また顔色がお悪いようですが? どこか具合でも?」
秋蘭が心配そうに顔を覗き込んだ。
「大丈夫よ。何でもないわ」
そう答えたものの、嫌な予感と鈍痛は消えない。それどころか痛みは己の存在を主張するかのようにどんどんと強くなっていく。
――この痛みは自分に何かを伝えようとしている。しかし、それが何かは分からない。
だが警戒は更に強くしておいた方がいい――脳裏に響く頭痛に耐えながら、華琳はそう決意した。
伍
時間と言うものは、物事に集中するとあっという間に過ぎていく。
最初は明るかった書庫の中も、時が経つにつれて段々と赤く染まり、今では月の光と蝋燭の明りだけが頼りになっていた。
その間、アドラーは翡翠にいくつかの資料や書籍を読ませ、それらを参考にこの時代の文章の癖や特徴などを掴んでいった。
元々中国語は母国語のように使える事もあって、今では簡単な文章なら自分で読む事ができた。
そのまま自分で持ってきた資料を早々に読み尽くすと、アドラーは地理や歴史についての資料を探し出して次々と読み漁った。
一方、早々にお役御免となった翡翠の方はと言うと、下がれとも残れとも言わないせいで別の仕事に手を付ける事が出来ず、黙々と資料を読み続ける彼の向かいで所在なさげに本を眺めている状態である。
既に互いに無言のまま数時間、このままずっと無音の時間が続くかと思われたが、突然アドラーがその沈黙を破った。
「おい翡翠」
「ひゃ、ひゃい!?」
唐突に名前を呼ばれたせいか、翡翠は上ずった妙な声を上げた。
「……別に取って食ったりしない。いちいち怯えるな」
「も、申し訳ございません……」
「まあいい。お前、“天の御遣い”という言葉を知っているか?」
「“天の御遣い”……ですか?」
彼女は首を傾げた。何故そんな事を急に言い出したのか疑問に思っているのだ。
「そうだ。何でもいい。何か知っているか?」
「……そういえば、街でこんな噂を聞いたことがあります。『天を切り裂いて飛来する一筋の流星、遙か先の世界から天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静す』と」
「ふむん……」
思わずアドラーは唸った。噂はまさに自分の事を指し示していたからだ。
(だとすると、俺がここにやって来る事を予見していた人間が居たという事になる。ひょっとするとそいつが俺をここへ? だが一体どうやって……? それに乱世を鎮静するとは何だ? 俺が何かするというのか?)
黙々と考える彼の様子が気になったのか、翡翠が不思議そうな視線を差し向けた。
「あの、何か気になるような事でも?」
「いや、そんな言葉をふと耳にしてな。何の事か少し気になっていただけだ。あと、もう一つ聞きたいことがある。この
今度は今しがた読んでいた資料を広げて見せた。
「こいつは数百年前、はるか西の国からやって来て
「は、はい。間違いございません。この女王の事は大陸以外でもとてもよく書かれていますし、他の文化や民族にまで影響を及ぼしたと言われています」
「なるほど……」
再び興味深げに唸る彼だったが、内心では更に浮かび上がった疑問に頭を悩ませていた。
(この亜歴山というのはどう考えてもローマのアレクサンドロス三世の事だ。それが“女”だと? ……おまけに他の連中も女ばかりだ……)
そう、資料に登場する西洋の偉人たちは、何故か誰も彼もが女性だったのだ。
始めは誤字か何かだと思ったが、複数の資料を照らし合わせてそれが確認されたことから、誤字の可能性は消えた。そして創作の可能性も今の翡翠の話で無くなった。つまりこの世界ではどういう訳か、英雄や偉人と呼ばれる人物は全て女性という事になっているらしい。
(もしこいつの話や資料が本当なら、ここは過去の世界とも違うのか?)
今までの話から考えられる結論として、そう言わざるを得なかった。少なくとも自分の記憶にある世界の歴史とは異なる部分が多すぎる。
(いずれにしろ、もっと調べてみないとはっきりとした事は言えないか……)
「翡翠」
「は、はい!?」
「外国に関する資料は他に無いのか?」
「い、いえ、おそらくここにあるもので全部かと……」
「他に資料が手に入りそうな場所は?」
すると、彼女は少し考えた後、
「……もしかしたら、街に流れている書物の中にそれらしいものがあるかもしれませんが……」
と言った。
「ふむん。街か……」
悪くない考えだった。街の中には様々な人間がいる。もしかしたら歴史に詳しい人間や外国人そのものがいる可能性だってある。自分の欲しい情報を手に入れるにはもってこいかもしれない。
(ここでの情報収集が終わったら、足を向けてみるとするか……)
「一度、他に資料がないか調べてみろ。見つけたら、あるだけ全部もってこい」
「わ、分かりました」
翡翠は立ち上がると、蝋燭を片手に棚がある方へと歩いて行く。
「どうやら、思ったよりも謎は深そうだ……」
暗がりで必死に資料を探す翡翠の様子を眺めながら、アドラーはぽつりと呟いた。
アドラーと言う謎多き山から
出土する「情報」と言う名の鉱石。
だが、その価値と真相は誰も知り得ない。
例えそれが罠であったとしても…。
次回「陳留」
毒蛇が楽園にもたらすものは何か…?