やはり俺がIS学園に入学するのはまちがっている。りていく! 作:AIthe
「天才は、1%の閃きと、99%の努力である」
これは真っ直ぐに取ればいい言葉だが、逆に考えれば「いくら努力しても、閃きがなかったら意味ねえよ」という事を示しているのである。
そもそもの話、これは誤訳なので役に立たない。
くれぐれも、人生無駄な努力をしないように。
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青春とは嘘であり、悪である。
青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺き自らを取り巻く環境 を肯定的にとらえる。彼らは青春の二文字の前ならば、どんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げてみせる。
彼らにかかれば嘘も秘密も罪科も失敗さえも、青春のスパイスでしかないのだ。仮に失敗することが青春の証であるのなら友達作りに失敗した人間もまた青春のド真ん中でなければおかしいではないか。
しかし、彼らはそれを認めないだろう。すべては彼らのご都合主義でしかない。結論を言おう。
青春を楽しむ愚か者ども、砕け散れ。
なーんて思ってた時期が僕にもありました。「高校生活を振り返って」という内容に、こんな作文を書いて提出してみたところ「生き遅れ 何歳から」とか「婚活 千葉」なんて検索していてもおかしくないアラサー教師、平塚先生に愛の暴力を振るわれ、奉仕部とかいう雪ノ下に罵倒されるだけの部活に入れられてしまったのであった。おいそこ、羨ましい?なんなら変わってやろうか?
それから由比ヶ浜が依頼に来て、クッキーと言う名の殺人兵器。又の名をマハムドオンクッキーを大量生産したり、天使(戸塚)のテニス部を手伝ったり、天使と挨拶したり天使とお喋りしたり‥‥‥ああもう俺戸塚と結婚するわ。戸塚結婚してくれるかな?
そんなこんなで、間違えに間違えまくった学校生活を送っていたある日。俺の通う総武高校で、男子にのみIS適正検査が行われる事になってしまった。
ISとは、マルチフォーム・スーツであり、世界最強の兵器である。詳しくは俺も知らないが、それは女性にしか扱えず、世界に四百機程しか存在しないらしい。
この兵器の登場により男女のパワーバランスは崩壊し、世界の男尊女卑の流れは崩壊し、女尊男卑が当たり前となった。が、そもそも女子と話さないぼっちの俺には無関係。ぼっち最高。いや最強。
では、何故男子にIS適正の検査をするのか。
実はつい最近、世界初の男性IS適性者が見つかってしまったのだ。テレビや新聞の各メディアはそれを大きく取り上げ、瞬く間に世界中の話題をかっさらった。たしか織m‥‥織なんとかさんだった。顔は出ていないが、名前は世界の常識レベルに有名である。
初めてその名前がテレビに流れた時、我が愛しの妹小町とテレビを見ながら「この人顔もイケてるし、モテるんだろうね〜」なんて話をした。が、言っている割には小町も興味がなさそうだった。俺もそこまで興味ない。ホモじゃねえし。
クラスの男子連中は「もしIS反応したらやばくね?」といった不毛な話を繰り広げている。関係ないが、不毛ってハゲを殺しにかかっている言葉な気がする。ハゲてる人の人生を否定するような発言だ。
「はい、次の人」
「あっ、ひ、比企谷八幡です」
冷たい業務的に呼ばれ、緊張した上擦った声を出す。
「あっ」てなんだ「あっ」て‥‥八幡緊張しスギィ!
まあ、織なんとかさんみたいな
そういえば、ISを初めて作った篠ノ之博士も千葉県民だったっていう話をどこかで聞いた覚えがある。やっぱり関係があるのか?まあどうでもいいか。どっちにしろ、ISなんて俺には関係のない話だ。
俺は、甲冑のような姿をした、男心をくすぐる見た目のISを見上げる。淡い期待と微かな諦めを込めて、恐る恐る手を伸ばし、無機質で頑丈そうな装甲に手を触れる。
すると、突然その手から莫大な情報が流れ始め、俺の頭を揺さぶる。ISの装甲が光を放ち始め───
「ISが反応した!?」
「し、至急連絡を!」
「ええーっ!?ヒキタニくんマジパネェー!」
「比企谷くん‥‥なんで‥‥‥」
「え?おえっ?ええっ?」
武者を模った灰色の装甲が、俺の全身に纏わりついていた。その鎧はまるで自分の身体のように簡単に動いてしまった。周りから、驚愕の目線が向けられる。
基本的に女性にしか反応しないはずのISが、俺に反応してしまった(意味深)。
どうやら、間違っていたのは俺の青春ラブコメなんてものではなく、人生そのものだったのかもしれない。
───2───
その後、テンプレ的な黒服の方々に連れられて、これまたテンプレ的な真っ黒なリムジンに乗せられた。
高一の始めに似たような車に轢かれた事を思い出してしまい、少しだけ顔を顰める。お陰で高校デビュー(笑)ができましたよっと。
隣には平塚先生が深刻な面持ちで、柔らかなソファに腰掛けている。きっと婚活の事で悩んでいるんだ。うん、そうに違いない。むしろそうであれ!
「比企谷、なんかすまんな」
こめかみを抑える先生。突然の事態だ。先生も頭が痛くなる事だろう。それにその生徒が俺とくれば‥‥そんなストレス想像したくもない。
「某パズルゲームプロデューサーのみたいなこと言わないで下さい先生。俺は大丈夫ですよ」
実際は心が戦場になっているが、なんとか笑ってみせる。多分、引き笑いのようになって見えるのだろう。
なぜかISが動かせちまったせいで、明るい未来(専業主夫)が見えない。マジ深淵見えちゃう。このシナリオは虚淵さんが担当なのかな?となると三話でマミる、もしくは最終的に聖杯を破壊させられるか‥‥‥これもう分かんねえな‥‥‥‥‥
少し真面目な話をすると、俺は家族が───特に小町が心配だ。二人目のISを動かした男性として俺もあの織なんとかさんのようにメディアの注目を浴びることになるだろうが、そうなれば被害が小町に加わるかもしれない。
親は大人だから問題はないだろうが、小町はまだ中学生だ。この数十分だけで俺がここまで疲弊してしてしまっているといえるのに、小町がそれに耐えられるとは思えない。
「‥‥比企谷。お前は優しいな」
「‥‥‥はぁ、人の心配なんてしてないで、先生は結kグフゥ!?」
腹に強烈な一撃をもらう。愛が重いです先生。死にます。行き遅れている理由がわかった気がします。
「‥‥恐らく妹の事が心配なのだろうが、私に任せておけ。教員としてではなく、私個人がお前の為に、お前の妹の事はきっちりと見ておいてやる」
そう言って、平塚先生は優しく微笑む。
隠すつもりはないが、完全に見通されていた。こんなに優しくて美人なのになんで結婚できないんだ‥‥誰か貰ってあげてよぉ!こんなの絶対おかしいよ!
「で、俺はどうなるんですか?」
研究所のモルモットとかになったら、物理的にも精神的にも死ねる。いやマジで。シャレにならないから。
もしかしたら、どこぞの劣等生の様に魔改造されるかもしれない。妹への愛以外の感情がないように手術を受けるの?まさかあの劣等生も千葉県民なのか?千葉県闇が深すぎるだろ‥‥‥‥
「あの織斑一夏と同様、お前もIS学園に入学する事になるだろうな。それも明日からな」
「はぁ‥‥IS学園‥‥‥‥‥」
多分俺は今、あからさまに嫌そうな顔をしている事だろう。
名は体を表すというが、まさにその通りだ。IS搭乗者を育てる学園。以上。
言わずとも分かると思うが、生徒はおろか教師までもが全員女性ばかりという事になる。いやぁ、ハーレムだ嬉しいなぁ(棒)。
確実にストレスで死ねる。次の日には発作を起こし、泡を吹いて手遅れの俺が見つかる。もしくは、身体を強く打ち付けた俺。どっちにしろ明日には冷たくなった状態で発見される事間違いなし!
ここで比企谷八幡の千葉県知識を入れ込んでおこう。IS学園は東京にできる予定であった。が、空いている土地の少なさとかお金とか様々なオトナの事情があり、千葉に建てられてしまいやがりました。
これ千葉県民キレてもいいよね?東京ディスティニーランドもそうだけど東京都民千葉県に色々押し付け過ぎだろ。俺が新世界の神だったら拾った黒色のノートに名前書き連ねちゃってる。俺がキラならLは誰だ?雪ノ下とか適任そう。
というより千葉県色々あり過ぎだろ。ディスティニーランドにIS学園、お兄様もいらっしゃるなんて‥‥‥なかなかできることじゃないよ(バス女並感)。
「毎日連絡するからな」
「丁重にお断りさせて頂きます」
にっこり笑顔が怖い。毎日とか愛が重いよ。愛が重い‥‥結婚ができない‥‥あっ(察し)。
この人のメール本当に怖いんだよな、なぜか敬語だし。
「そんな顔をするな。雪ノ下にも由比ヶ浜にもまた会えるさ」
「‥‥‥‥そうですね」
俺はどんな顔をしていたのか。顔を逸らし、窓から外の景色を見る。
二人の顔が脳裏をよぎる。
今、あの二人は関係ないだろと自分に言い聞かせ、小さくため息を吐いた。
窓の外に見える景色は、焦る俺の心を体現するかのように流れてゆき、見えなくなった。
───3───
今日のところはリムジンでリィィッチな帰宅をした俺は、帰り際平塚先生に肩をポンと叩かれ、「ガンバレ」と励まされてしまった。なんで結婚できないんだよ(三度目)。
というか帰宅するならリムジン乗った意味無いよね?帰宅部ガチ勢はリムジンで帰る運命なの?くっそリムジン爆発しろ。
家に入ると比企谷家一同がが玄関で待っており、何故か歓迎ムードを醸し出していた。おかしい。こんなの絶対おかしいよ‥‥‥
色々と事情を説明して、現在家の居間。俺は今日の事を小町に相談していている。
それにしても、梅雨の時期にホットコーヒーとはいかがなものか。蒸し暑いのとコーヒーから立ち上る蒸気が混ざって最悪な気分だ。
「と、いうわけなんだが小町」
「うんうん、つまり小町の義姉ちやまん候補が増えるってことだね!あ、今の小町的にポイント高い!」
「話聞いてなかったろ」
話聞いてないとかお兄ちゃん的にはポイント低いです。なんなのこの妹、兄の悲劇に心の底から嬉々としてるんだけど。
それにしても、全人類の好き嫌いがポイント制だったらわかりやすくていいと思う。そうなれば「あれっれー?もしかしてあの子俺の事好きなんじゃね?」と他人に期待し、勘違いでフラれるなんて事はなくなるだろう。
小町は俺の青いカップに数個の角砂糖を落とし、一緒にマドラーもぶち込んでくる。これ親父のカクテル用マドラーじゃん。あとで洗っとこ。
「でも、IS学園って全寮制だから小町登校するの面倒になっちゃうな」
後姿の小町が小さく呟く。
お兄ちゃんは登校に便利な自転車程度にしか思われていなかったか‥‥‥絶望した!
だが、その言葉は俺ではなく、誰か別の人に言っているように聞こえた。
「あ、お兄ちゃんホーシブはどうするの?」
「奉仕部な。そりゃあ、辞めるしか無いだろ」
「ほうほう‥‥‥」
あそこは案外気に入っていたのだが、仕方がない。まあ、雪ノ下も由比ヶ浜も、俺が総武校から去って数ヶ月もすれば関係も切れてしまうだろう。所詮、部活動なんてそんなものだ。
と思っているとは言えないので回答を悩んでいると、小町は疑わしげな表情を俺に向けてくる。まるで、飲み会を残業と偽る夫に「今日どこに行ってきたの?」と問い詰める妻のようだ。小町は俺の奥さんだったのか‥‥いや、俺には戸塚がいる。(戸塚と結婚する事を)強いられているんだ!
「最近のお兄ちゃん、とっても楽しそうだったよ?」
「そんな事ないぞ。俺はいつでも楽しく人生を送ってる。むしろ楽しくない人生を送っていないまでである」
「ふーん、お兄ちゃんがそう言うならそれでいいけど。部活の人を大事にしなよ?」
「へいへい」
なんだか面倒になりそうなので会話を適当に流し、砂糖たっぷりのコーヒーを流し込む。ヌルくなった黒く甘い塊が喉元を通り、不思議な不快感を覚え、眉を顰める。
「じゃ、そろそろ荷物準備するわ。もう明日からIS学園に行かなきゃいけないからな」
「ん、小町も手伝ったげるよ」
「いいって。受験勉強でもしてろ」
そう言い残し、考えたくもない明日からの生活の準備の為、俺は自分の部屋に戻ろうとした。
「お兄ちゃんがいない総武校なんて‥‥‥‥‥」
悲しそうな、辛そうな小町の呟き声が聞こえた気がしたが、俺にはそれを聞き届ける勇気がなかった。
その夜、そそくさの準備を終えた俺は、何かから逃げるように布団に潜り込んだ。
その日は寝つきが悪かったのか、寝る前にコーヒーを飲んだせいなのかはわからないが、よく眠れなかった。
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