やはり俺がIS学園に入学するのはまちがっている。りていく!   作:AIthe

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二十話まで手直し加えたのに消えた‥‥‥死にたい


毎日はつつがなく進み、されど平凡に非ず。

「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ」

 

‥‥‥‥‥深淵ってなんだよ(哲学)。

 

──────

 

「追跡!心霊スポット〜!」

 

シュレーディンガーの猫という思考実験を知っているだろうか?名前は聞いたことがあるが、説明してと言われるとわからないという人が多い実験である。

 

蓋のある箱に、猫を一匹入れる。箱の中には猫の他に、放射性物質であるラジウムを一定量と、ガイガーカウンター、青酸ガス発生装置を一台入れておく。このまま一週間放置すると、はたして猫の生死はどうなっているのだろうか?というものだ。

 

総武高校にて数学の学年最低点を記録している文系の俺にはよく分からないが、パラレルワールドの証明になるとか、生きてるだか死んでるとか確率が半々になって同時に存在するとやらなんとやら。

正直な話、よくわからない。そもそも死んでいるか生きているかという問題以前に、猫は絶食のできない生物である。つまり、シュレーディンガーは確実に猫を殺しにかかっているのである。

 

結論を言おう。

 

無闇な殺傷は良くないでござるよ。拙者はただの流浪人でござ(ry

 

「比企谷くん朝だぞー!起きろ〜!」

「‥‥‥‥‥」

 

ほーら、噂をすればこいつだ。

働きたくないでござる!!絶対に働きたくないでござる!!

俺の惰眠を奪わんとする奴がやってきたよ。小町なのか?俺の妹なのか?確かに年下だけどこんな妹はいらん。小町一人で十分だ。

 

「起きないと織斑先生呼ぶよ〜?」

 

なんだそれは。「いーけないんだ、いけないんだ、せーんせいに言っちゃーお」レベルの台詞である。小学校の思い出が浮かび上がりやがるからやめろくださいお願いします。

 

「‥‥‥ふぁーあ‥‥うっす」

「おっはよー、今日はっ、家にっ!帰るんでしょおらあ!!」

 

抵抗してみたのだが、残念無念。布団をまくり取られてしまった。

俺の人生に八番目くらいに大事な布団が取られた。ちなみに一番は小まt‥‥戸塚だわ。夏だけど僕の右ポケットにお招きしたくなる。今は暑いんでこの上ない理由にはならないですね。早く冬が来ないかなぁ(スノースマイル)。

 

「なんか暑くて面倒」

「えー!帰んないのー?」

 

本日は土曜日。社畜は出勤するが、学生には楽しい楽しい休日である。

 

「ヨーロッパ各地に、刃物で切り裂かれたような謎のバツ印が発生しているんです!では、これを目撃してしまった───」プチッ

 

うるさいので電源を切る。朝から心霊スポットの番組ってどうなんだよ。しかもヨーロッパって。

 

話を戻そう。IS学園は自習、つまり授業がなくなり、生徒達は各々の活動を始めるのだ。ISの訓練をするのもよし、部活動をするのもよし、遊ぶのもよし。近ければ家に帰るのもよし。

ただ、あまら、うるさくしていると織斑先生にしょっ引かれる。

 

「帰りなよー!」

 

I❤︎千葉と書かれたTシャツを着た俺になんて事を言うんだ。我が家に帰れたらとっくに帰ってます。てかどんだけ俺に帰って欲しいんだこいつは‥‥‥

 

「今日小町は友達と遊びに行ってていねえんだよ。親父と母さんは寝てるし。帰っても意味ねえの」

「そっかぁ‥‥‥じゃあご飯食べに行こっか!」

「何その超理論、まあいいけど」

 

こいつ俺飯に誘い過ぎだろ。ぼっちなの?まあクラスで誰かと話してるの見た事ないから実際そうなのか?まあどっちでもいいけどな。

 

「んじゃ行くか」

「ほーい!」

 

てめえはアラレちゃんかよ。

 

───2───

 

朝飯を済ませた後、俺は相‥‥‥相なんとかさんと別れ、職員室に向かった。今日は暇だしISのレクチャーを頼もうと山田先生を訪ねてみたところ、すごく嬉しそうな顔をして「はい、なんでも頼んで下さい!私は先生ですから!」と胸を張った。あの自己主張の強い箇所をさらに主張するとか身体に悪い、俺の方が。

この先生マジ優しい。時々、女尊男卑っていう時代の流れを知ってるのか不安になる。

スペック詳細は企業秘密なので、模擬戦で使用した武装のみをレポートに纏めて、山田先生に提出した。俺氏超有能。これができる男ってやつですよ。

 

「比企谷くんのISは‥‥うーん。飛べないんですね‥‥‥‥」

「い、一応ジャンプはできます」

 

脚力があるので、ある程度のジャンプ力はある。思いっきり蹴飛ばせば、アリーナのカタパルトくらいまでは飛び乗れる。

‥‥‥何言ってるんだろ俺。フォローになってないじゃん‥‥‥

 

「でも、このふじ‥‥【藤壺】っていう武器が強いですね。第三世代型兵器とは思えない燃費の良さですし」

「おすs‥‥そうなんですか?」

 

他のレーザー武器を使った事がないので分からないが、どうやら燃費が良いらしい。第三世代機は基本的に燃費が悪い。だか、この【浮舟】は何故かPICという慣性制御装置が取り外されているので、その分を他の武装に回せるのだ。飛べないけど。

 

「特にこのスナイパー、すっごい強いですね」

「えっ。」

 

俺が嫌いな武器を選んできたよこの先生‥‥天使に見せかけた悪魔なの?

 

「いやぁ、リロードの遅い武器はちょっと‥‥‥」

「そうですか?ちょっと展開してみて下さい」

「うっす。来い、【浮舟】」

 

真っ黒な装甲が俺を包み込む。ラインアイが走り、視界が開ける。

初心者なので名前を呼ばないと出てきません。厨二っぽくてカッコ恥ずかしい。顔からファイアが出るわ。ファイアじゃなくてファイガでした、へへっ。

 

「2nd code:Sniper rifle.」

 

砲口のないカノンが形を変え、青い粒子を放ちながら四本のレールが出現する。地面スレスレを走らせ、持ち上げ、左手で抱える。

 

「かっこいいですね!」

「えっ?は、はい」

 

メカメカしい武器が好きなのか。もしかしてなくてもどこぞの機動戦士とかが好きなのかな?ここで突然ボトムスとか言われたら尊敬する。ATライフル持ち出すレベル。

腰を落とし膝を曲げ、レールを前に構える。右脛がカパカパと動き出し、物理シールドを展開する。

 

「システムを精密射撃モードに変更。照準、表示します」

 

視界に十字のあれ(照準)が現れた。画面じゃない。視界にだ。大事なことなので二回言いました。

 

「試しにターゲットを出すんで、撃ってみて下さい」

 

なんだか乗せられている気がする。乗るしかない、このビックウェーブに。

アリーナの端、俺の真正面側に小さな空間認識型のターゲットが出現する。濁った目を軽く動かし、ターゲットを注視する。引き金を引くと共にチャージングが始まり、視界に軽く青いノイズが混じり込む。

 

「trigger」

 

引き金を離す。閃光は確実にターゲットの中心を貫く。結晶のように砕け、消える。

 

「すごいじゃないですか!思った以上に威力も高いです!」

「あ、まあ、はい」

 

あ、ってなんだよ。名詞が続くの?音によって形変わるの?

山田先生はぴょんぴょんと跳ねて身体で喜びを表現する。胸が‥‥胸が‥‥‥

 

「絶対スナイパーの才能がありますよ。折角この武器があるんですからちょっと練習してみましょうよ!」

「えっ」

「じゃ、じゃあ、レーザーについてどのくらい知ってますか?」

「いやぁ、全然‥‥‥」

 

すごいペース持ってかれているんだけど。山田先生コミュ力高スギィ!でも男が苦手って聞いてるんですけど‥‥‥あっ、俺が男と思われてないんですねわかります(白目)。

 

「基本的に、レーザーは有効射程を離れると、一気に減衰して威力が低下してしまうんですよ」

「‥‥まじっすか?」

 

それは盲点だった。ほら、レーザー兵器って値段が高いけど威力が高いっていうゲーム的なイメージあるじゃん?しかもゲームだと有効射程とか気にしないじゃん?さっきからじゃんじゃん言い過ぎじゃん黄泉川先生じゃん。

 

「だから、チャージングでその射程とか威力とか速度とかを伸ばすんです。チャージしなくても打ち合いでは高速弾として使えますし、チャージすればスナイパーライフルとしての威力を発揮しますね。スナイパーライフルというより、チャージ式のレーザーカノンに狙撃機能を取り付けたって言うのが正しいかもしれません」

 

すごい饒舌になったんだけど‥‥山田先生実はコミュ障なんじゃね?自分の話せることだけにやたら饒舌になって、ネタが尽きるとだんまりするあれ。あと知らないネタだと反応が薄いやつ。ソースは友達のH君。

 

「ノーチャージで撃ってもらってもいいですか?」

「うっす」

 

先程よりもかなり近くに現れたターゲットに対し、ガンマンのように素早い挙動で構え、撃つ。光はターゲット左端を捉える。少しずれたが、まあ及第点というところだろう。

 

「ふーむ‥‥‥チャージするとレーザーは細く濃縮されるんですね。ふむふむ‥‥‥」

 

いや、確かにさっきの方が光が小さかった気がするけど独り言はやめましょうね。ぼっちはすぐに話しかけられてると勘違いするんで。「自意識過剰乙」と言われたらそれまでなんだけど。

 

「じゃあ、もう一回構えて下さい!」

「‥‥っす」

 

俺にアサルトライフルの練習をさせてくれ!アサルトライフルゥゥゥ!!

 

───3───

 

あの後山田先生にスナイパーライフルのことしか教わってない。まあそこそこ役に立ったけどね?でも立ち回りとか練習することまだまだたくさんあるじゃん‥‥‥俺ってほんとバカ‥‥‥‥

 

「はぁ‥‥」

「どうしたの?」

 

溜息の訳を聞いてみても自分じゃないからわからないって誰かが言ってたろ。だからせめて知りたがるんですねわかりません。

 

「‥‥‥暇だ」

「布団でゴロゴロしてるじゃん〜」

「お、おう暇だからな‥‥はぁ」

 

最近相なんとかさんの服装が際どい。蒸し暑いのはわかるけどキャミソールだけとか誘ってるの?どこぞの第一位みたいに叫べばいいの?俺じゃなかったら勘違いしちゃうね。

対して俺はTシャツ一枚。健全過ぎてプリキュアショーに出れるレベル。

 

プルルルル、プルルルル

 

「比企谷くんのケータイが鳴った!?」

「驚くことじゃねえだろ‥‥‥誰だ?」

 

相なんとかさんマジ無常。

IS学園に入って初めてかかってきた番号は戸塚‥‥‥ではない。知らない番号だ(シンジ並感)。

 

「はい、もしもし」

「もしもし、比企谷くん?」

「ゆ‥‥雪ノ下か?」

 

意外ッ!それは雪ノ下!

てかなんで俺の電話番号知ってるんだ?どこかで安売りされてるの?タイムセール中なの?

 

「比企谷くん、誰だった?」

「ちょ、おま「あら、エロ谷くん。女の子を侍らせて楽しそうね」

 

人差し指を口に当てると、相なんとかさんも同じ動きをして、肩をすくめる。

 

「おい待て、俺に侍られる女子がいる訳ないだろ」

「そうね。あなたの周りに人間は集まってこないものね」

「あーはいはいそうですね‥‥‥」

 

楽しそうな声色だ。俺がいないと自慢の毒舌を吐く相手がいないからストレスが溜まってるのかな?いや、そんなこと言ったら「あら、比企谷菌の分際で自惚れ過ぎてはないかしら」とか言われそう。

ひ、ひとりでもぼっちだから気にしないもん!

 

「そろそろ本題に入りたいのだけれど」

「お、おう?」

「来週の日曜日。由比ヶ浜さんの誕生日なのよ」

「‥‥‥そうか」

 

由比ヶ浜結衣。その名は俺が今一番思い出したくなかったものだ。せっかく忘れられていたのにと、少しだけ顔を顰める。

 

「彼女、悲しんでいたわよ。比企谷くんを悲しませちゃったってね」

「‥‥‥だから、どうした?」

「あなたの思っている“それ”は勘違いよ。そういう気持ちが微塵もなかったとなれば嘘になると思うけれど、彼女の思いは本当よ」

 

チラリと、聞き耳を立てている少女の顔色を伺う。疑問符を浮かべた顔で首を傾げる。なんか損した気分だ。

 

「‥‥‥‥」

「そうなれば、あなたが彼女を拒絶する理由はなくなるわ」

 

再び、彼女の方を見る。もし、もし仮に。相川清香のように、本物とは言えずとも、あの優しさが嘘じゃないと言うのなら。あの幻が嘘じゃないと言うのなら。

 

「だから、比企谷くん───」

 

凛とした声で、雪ノ下は宣言する。

 

「少し付き合いなさい」

「‥‥‥は?」





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