ゼロの使い魔で転生記   作:鴉鷺

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第十五話 討伐部隊

チャリンコを作成して二週がたち、ついにアルデルの森に遠征をする時を迎えた。

 

フィーとキュルケはお留守番。

 

オレはオレでそれまでにまた新たに何かないか、模索検討していたわけであるが、

 

風スペルの応用をまたも思いつくことに成功したわけである。

 

風大好き。

 

まぁオレの個人的な事情をいざ知らず、

 

聞くところによると魔物怪物の数は数百とか何とか……。多すぎだろそりゃなんでも、

 

いやそれほどアルデルの森は広大ではあるのだが。

 

オレの―父の―討伐部隊のノルマは100体といったところか。

 

メイジもライン以上限定でありトライアングルも多く集まったとか。

 

スクエアは2人ほどらしい。総勢20名ほどのメイジ部隊ができたわけである。

 

一人当たり5体狩れば、いいそうだ。

 

「では、全員グループに分かれたまえ」

 

父の指令のもとメイジが3、4人のグループを作っていく、そこで

 

「やぁ、君と一緒のチームみたいだ。君何歳? まだ小さいけどラインなんて優秀だね。

 あ、因みにボクはトライアングルで10歳なんだ。よろしくね」

 

俺よりも身長の高い子が話しかけてきた。

 

10歳でトライアングルなんて超絶優秀じゃないか…。

 

そう自分のことは棚上げにして相手を見る。

 

「…失礼、あなたは女性で?」

 

一人称がボクだったもんだから男かと思ったら…。

 

「ああ、そうだけど? なにかへんかな?」

 

一人称が変だ。とは言わない。

 

「いや、中性的な顔立ちをしていたもので。あ、因みに自分は7歳ですね。

 そちらもトライアングルなんてずいぶん優秀でいらっしゃる」

 

そこで目の前の女の子がくすくす笑いながら、

 

「君、敬語が似合ってないね。雰囲気でわかるよ」

 

敬語が似合わない貴族……。

 

「そ、そうですか?」

 

「そうさ、それにボクたちは年が近いんだ。気張る必要はない」

 

「…なら、遠慮なく」

 

「そうそう、そっちの方が自然だよ。あ、そうだ、まだ名乗って無かったね。

 ボクの名前はフィルグルック・ベラステ・フォン・ゼルギウス・グビーツ。

 好きなように呼んでくれてかまわないよ。今回は父に言われてね」

 

男児でないのに大変なことである。

 

「自分の名前はレイジ・グスタフ・フォン・ザクセスだ」

 

「へぇ~噂のレイジ君。レイジって呼ぶよ」

 

また噂か。

 

なんだって貴族は噂を流したがるんだ。しかも誇張して。

 

「構わない。オレもフィルって呼ぶ。

 どんな噂のレイジか知らないが、レイジはオレ以外聞いたことないな」

 

そこで、大人の声が割って入ってくる。

 

「おいおい、私たちは子供のおもりか?」

 

「全くくじ運がないぜ」

 

どうやら、オレたちの班の人のようだ。

 

まぁおもりみたいなもんだろう。と、思うのは仕方ない。

 

「まぁいい、パパっと20体倒そうぜ。いいだろお前らも」

 

そういい、オレとルックを睥睨する。

 

「かまわない」

 

返答する。この言葉使い、貴族じゃないな…。

 

「なら行くか、行くぞアンディ」

 

睨みをやめ、相方っぽいやつに話しかけ歩き出す。

 

「おーけー、クルトどっちが多くやれるか競争といこうぜ?」

 

「いいね、負けた方は酒をおごりな」

 

そういい、余裕綽々の体で森に分け入っていくのをオレとフィルは追っていく。

 

「なんだか、粗暴そうな人たちだね」

 

「まぁみたところによると、傭兵メイジだろ」

 

傭兵メイジといえば変態三兄弟がいたが。

 

あれは強烈だった。思い出し、若干辟易する。

 

「そうだね、あの人たちラインかな?」

 

オレの様子に気づかず、20代半ばのコンビについて考察しだす。

 

「さぁ、どうだろう。まぁ頼りにしてるぜ? トライアングルさんよ」

 

フィルにそう言う。

 

そこで思う。ラインなら、あいつの相手は厳しいぞ…。

 

何せ当時ラインなりたてだったが、

 

ラインの『ウィンドカッター』が浅い切り傷だけだったのだから。

 

オレの懸念をよそに二人は森を闊歩している。

 

てか、オークだけで数百もいるのか?

 

胸中に様々な疑問が浮かぶ中。森に入り十数分最初のエンカウント。

 

森のあいた空間。

 

「おっと、オークだ。数は1、2……5体か」

 

そう声をひそめてクルトだったか…が言う。それに、

 

「5体なら前にやったことあるな」

 

アンディというやつが口の端を釣り上げて笑いながら返答する。

 

「おい、ガキ。お前らは待ってな」

 

クルトがそう言い杖を構える。軍杖のような杖。

 

一方アンディも同じような杖を抜き、先に完成したのはクルト。

 

二人して詠唱、『ウインドカッター』が発動。

 

オークの頸動脈ねめがけ飛翔する。

 

それに合わせゴーレムが10体出現。手には槍やら剣を持っている。

 

色から鉄製と判断。

 

そいつが、オークめがけ突っ込む。

 

が、『ウインドカッター』は浅く首を切りつけるだけやはりライン。

 

フィルの予想通りであり、致命傷には遠い。

 

「なにっ!?」

 

驚きの声を上げる。まぁふつうは切れるからな深く。

 

続けざまに10体のゴーレムが5体のオークに踊りかかり、

 

槍持ちが顔めがけ刺突を繰り出す、オークの頭を貫き絶命させる。

 

が、有効な攻撃が通ったのはここまで、魔法に気づいたオーク4体が

 

ぴぎぃ!ぶぎぃ!

 

やらの声を上げ仲間を亡きものにしたゴーレムに鉄槌を下す。

 

インパクトと同時にゴーレムは土に変える。これで相手との数は4:6である。

 

「どうやら、鉄は効くのか」

 

第一回の攻防を見たオレがぽろっと言葉を漏らす。

 

それに耳ざとく聞きつけ

 

「それってどういう意味?」

 

フィルが聞いてくる。

 

「ああ、風のライン魔法じゃ効かないんだ。正確には致命傷が与えれないんだが、

 いや、目とかの弱点ならあるいは。まぁオレは前にこいつと闘ったことがある」

 

「へぇ、“突然変異種”?」

 

「ああ。トライアングルになると、

 もっと深く肉と切れるから有効な攻撃になりうるが」

 

「けど、ボクの系統は水だから攻撃に向かないな~」

 

残念、と、肩を落とす。

 

「水か、まぁいいや。オレがやる」

 

そう言いちょうど全滅させられたゴーレムと残り2体になったオークを見た。

 

「怖い顔だ」

 

フィルの言葉を無視して日本の短剣を抜剣。

 

『ウィンドアクセル』を唱え二体のオークの間を駆け抜ける―瞬間ブレイドを発動。

 

「お兄さんたち、終わったよ」

 

そう驚いているアンディとクルトに声をかける。

 

その言葉と共にオークの首が落ち、血が噴き出す。

 

刀身を確認異常なし。くるっと剣を回し、納剣。

 

チンッと小気味いい剣をしまう音が響いた。




というわけで、新キャラ、フィルグルックであります。金髪。ボクっ娘ですね。身長はレイジよりも10サントほど高い145サントほど。無駄設定とか言わない。
名前はドイツ語で、一応物語的にも意味のある名前です。

因みに槍が普通に効いたのは質量があるからです。

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