ゼロの使い魔で転生記   作:鴉鷺

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第十七話 白毛精霊勲章

討伐隊は目標規定数狩り終えたので二日で解散。

 

人数は半数ほどになっていたが。

 

聞くところによると、

 

竜種がでたのはオレたちのところだけであり、とても割を食っている。

 

フィルとは帰路に就く際別れた。なんだかんだで二日でとても仲良くなった。

 

なかなか大人びは少女だった。とても10とは思えない。

 

人のことは言えない身ではあるが。

 

まぁそんな益体もないことなどほおっておいて、フィーとの修練に励むことにする。

 

キュルケはまだこの家にいるようであるが、

 

そろそろ仕事が終わるらしいとの手紙が来たとか何とか。

 

オレは『ウィンドジャベリン』の威力が、異常ということがわかったので、かなりご機嫌である。

 

そんないつもの生活にもどったある日、一通の手紙が来たわけである。

 

それが閣下からの授勲の指示である。

 

「レイジ、閣下から勲章が授与されるようだぞ!!」

 

「え?」

 

そうすごくテンションが上がった父が話しかけてきた。

 

「日程は一月後だ。なんでもお前が討伐数が一番多かったそうだ」

 

「そ、そうなんですか」

 

やっぱ、調子乗りすぎたようである。父はとても喜んでいるが…。

 

「レイちゃんすごいね。勲章だって!!」

 

フィーは自分のことのように喜んでくれている。

 

「レイジ、あなたまた何かやらかしたのね?」

 

何かやらかすってのは、なんか悪いことやらかしたみたいだからやめろ。

 

「ああ、討伐隊で暴れまわってやった」

 

「ふーん、そう言えば、どんな魔物を討伐したの?」

 

「そうだな、オーク、トロール、オルグ等だ。あーあいつもいたな」

 

「あいつって?」

 

「火竜」

 

「なるほど、火竜ね。火竜ですって!?」

 

「おい、どうしたそんなに驚いて」

 

「レイちゃん、竜倒したの?すごいね」

 

そう言い抱きついてくるフィーの頭を撫でつつキュルケの文句を聞く。

 

「だって、火竜よ!? スクエアでも難しいとかいう話じゃない!?

 それをあなたは。はぁ……」

 

勢いが竜頭蛇尾に小さくなり、果てはため息をついた。

 

「おい、なんだ。その溜息」

 

むっとして聞き返す。

 

「いえ、もうあなたの武勇伝には賞賛でなく呆れただけよ」

 

「おいおい、なんだそりゃ」

 

どうやら呆れたらしい。そういえば、

 

「そういえば、呆れるといえば、フィルもよくオレの行動には呆れてたな」

 

ふと思い出しフィルのことをポロッとこぼす。

 

「レイちゃんそれだれ?」「レイジ、それだれ?」

 

「ああ、討伐隊で同じ班になった、グビーツ家の長女で名前はフィルグルック。

 略してフィル」

 

「なるほど、それでその人女?」

 

「ああ、10歳で水のトライアングルっていってたな」

 

「トライアングルですって!?」

 

キュルケはトライアングルに反応。

 

「ふーん。レイちゃん、おいたはだめだよ?」

 

何を言ってるんだかフィーは…。またキュルケに毒されたな…。

 

「おいたなんてするわけないだろ?」

 

そう返答し、もう一回頭をなでてやる。やれやれ、これから大変だ…。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

勲章授与の日ヴィンドボナ。王城、謁見の間。

 

そこには討伐隊の各隊の指揮官が集っていた。

 

その中にレイジの姿もあるわけである。

 

今日集まったのは他でもない、

 

その討伐で功績をあげたものを表彰する場への参列のためである。

 

噂は飛び交う。

 

「こたびの討伐で討伐数が一番の者は名の通った若い傭兵だとか」

 

「いやいや、老練な傭兵だとか」

 

「いやいや、年端もいかぬ子供だとか」

 

など様々な噂が飛び交う中、唐突に噂は終わりを迎える。

 

「静粛に!!」

 

アルブレヒト3世が姿を現したのである。

 

そこで3世が指示を出す。

 

「では、勲章を授与する」

 

そう言い3世は名前を呼んだ。

 

「レイジ・グスタフ・フォン・ザクセス」

 

「はい」

 

3世の声を聞き、高い声が場に響く。

 

「貴殿に白毛精霊勲章を授ける」

 

貴族たちは驚愕で目を見開く。

 

誰かが言った。年端もいかない子供だと。

 

それが現実であったのだ。

 

「こたびの討伐において、もっとも多くの魔物をほふった証としてこれを授ける。

 

記録上では、オーク20、トロール12、オルグ6、火竜1とあるが、間違いはないな?」

 

「はい」

 

この数値にまたも貴族たちは耳を疑う。火竜?何を言っている…と。

 

「では、白毛精霊勲章を授与する」

 

しかし、アルブレヒト3世は気にしたふうもなく、勲章をかけた。

 

一人をのぞいて唖然としながらも拍手をする貴族たち。

 

レイジの父である。グスタフは笑顔で授勲を見守っていた。

 

レイジは授勲が終わりささやか―と言っても豪華だが―料理を物色していると、貴族に話しかけられる。

 

全部が全部、ことの真偽を確かめるものであるのは仕方のないことなんだろうか。

 

早くこんな場は終わってほしいそう願っていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

明けて翌日、見知った顔を発見したので声をかける。

 

「よぉ、フィル。来てたのか」

 

「やぁ、レイジ勲章おめでとう。領地が近くだからね。同じ班員だったしね。」

 

「ふーん。そうなのか。まぁ、昨晩はめんどい会食なんぞが催されもしたが、

 なんだかんだ言って章はうれしいな」

 

「そりゃ、だれでも勲章となればうれしいだろう」

 

「それにオレはほめられて伸びるタイプなんだ」

 

口角を上げてフィルをみやる。

 

「君は、よくあくどい顔をするな」

 

「あくどいとはなんだ。とてもいい顔だろうが」

 

「それをいい顔と表せるのは相当だよ」

 

「そうか? ん?」

 

会話をしている最中に兵士が駆け込んでくる。それもかない大慌てで。

 

「どうしたんだろうね?」

 

「さぁ」

 

その後も何分かフィルと話しに花を咲かせていると、

 

兵士が戻ってきたので聞いてみる。

 

「ちょっといいか、何を慌ててたんだ?」

 

「あ、いえ、グビーツ邸が火事になりまして」

 

グビーツ。

 

「そ、それは、本当かい!?」

 

フィルはグビーツ侯爵の一人っ子である。

 

「は、はい。ですので陛下に水メイジの派遣をと」

 

そこまで聞くとフィルは駆け出す。

 

「おい!フィル。まさか、家に家族でも残ってたってのか!?」

 

フィルに追いつき並走しつつ声をかける。

 

「ああ、ボク以外は家だ」

 

なぜ女の子一人で来たんだ、という疑問は飲み込む。護衛はいるだろうから。

 

「ここから、領まで何分だ!?」

 

「馬で半刻だ」

 

「よし、駅で馬を借りて飛ばしていくぞ!」

 

「わかってる」

 

駅とは馬を金を出して買える。もしくは借りれるところである。

 

 

 

駅で馬を借り飛ばすと、すぐに黒煙が舞い上がっていることが確認できた。

 

「おいおい、やっべーな。家には両親がいたのか?」

 

「……両親、ああ、そうだ。」

 

「因みに水メイジではないのか?」

 

「父は土のドットだ。」

 

「それは」

 

ドットじゃ高熱の火は防げないな。

 

馬を飛ばし半刻ほどフィルの家に到着、まだ消火部隊は来てないのだろうか。

 

まぁ部隊編成とかいろいろあるからな。

 

家全体が燃えている。家の大きさがオレの家の比ではない。

 

ヴァリエールより若干小さいくらいだろうか。

 

こんな規模が全体が燃えているなど、明らかに人為的に起こされた火事である。

 

貴族それも古くからの貴族だ。

 

妬みやら嫉みやら、いろいろ持ったやつはごまんといるのだろう。

 

それが貴族だからしかたないのか。

 

「フィル、家に突っ込もうなんて思うなよ」

 

「分かってるさ。だけど、消火はボクでもできるから」

 

そういい『ウォーターフォール』を詠唱。

 

「ならオレも参加しようかな。消火活動」

 

そう言い、詠唱をする。

 

オレは基本的に戦闘特化で訓練しているので、

 

『ウォーターフォール』などの技は覚えていない。有効活用はできそうであるが。

 

これを機に覚えてみるのもいいかもしれない。

 

大して時間をとるわけでもないのだから。

 

「ありがとう」

 

気にするな。そう言い返しオレも消火作業へと意識を向ける。

 

消火が終わったのは、

 

オレたちがフィルの家―グビーツ侯爵邸―についてから、

 

実に4刻ほどたった時だろうか。消火部隊が来て3刻半ほどあとである。

 

家は半焼…といっても柱が建っているだけである。

 

全焼の基準はどんなだったか。確か、倒壊したらだったような。

 

そんな益のない思考を繰り広げつつグビーツ邸跡をみる。

 

そこから視線をずらし、ただ、たたずむ少女を見やる。

 

「フィル、お前親戚の家に行くのか?」

 

オレの質問に数泊遅れて振りむきながら、

 

「いや、親戚はいないんだよ。父は一人っ子だったらしい。

 後は…知らない。分からない」

 

その顔には涙は見られなかった。無表情。やせ我慢なのだろうか。

 

「……そうか、よかったらうちに来ないか?」

 

「え……?」

 

「あの班になったのも何かの縁だ。

 それにオレは近くの人には優しくするくせがあるんだ。

 まぁ…単なる偽善さ。嫌なら無理にとは言わない。」

 

まぁデマを混ぜ込んであるが。そこでまた家の方に向き直るフィルはいった。

 

「君はお節介だな。だけど、悪いね」

 

「そうか、なら家に来るんだな。父さんも喜ぶぜ?こんな美少女が娘になるんだ」

 

「なら、ボクは君の姉かな?」

 

「ゲッ……」

 

「なんだい不満かい?」

 

「フィルが姉は、なんか違うな」

 

「まぁレイジは大人びているからね」

 

「そうか?」

 

「そうさ」

 

そこで馬をつないでいた木の方に歩きだして、あることに気づく。

 

「フィル、こういうときは、悪い、じゃなくありがとうだ」

 

「そうか、確かに。ありがとう」

 

まぁまだ決まったわけではないが。

 

さて、父さんにどう説明するか。いや、そのまま言えばいいか。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

とある屋敷の一室。5人の男性が机を囲っている。

 

「計画の方は?」

 

「ああ、大丈夫だ。

 着々と進んでいるし、進めているそうだ。それより集まったものは4人か」

 

「こんなところでしょう。にわかには信じがたい眉唾ものですよ?」

 

「まぁ私も彼らの立場なら信じんかもしれんな」

 

「でしょう?"エルフ"の力を借りてだなんて」

 

「しかし、あれは確かに先住魔法でないとできません」

 

「では、始める。我ら"リベリオン"の最初の会を」


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