ゼロの使い魔で転生記   作:鴉鷺

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原作開始前 第四章
第十八話  平穏


勲章授与の翌日フィルの家が半焼ないし全焼して、行き場のないフィルを、オレは家に来る事を誘ったわけである。

 

父に頼むと二つ返事で了承が出た。

 

グビーツ領であるが、帝国預かりになったようである。

 

戻る日が来るかは、しらないが。季節は巡る。春夏秋冬巡ってやってくる。

 

それは何か……オレの誕生日である。九歳である。

 

そろそろ、もういいんではないか。しかし、そうは問屋が卸さない。

 

一昨年の討伐隊の功績のせいか、オレの名前は若干有名になったのである。

 

なんでも、子供の皮をかぶった悪鬼羅刹だとか……。おい、オレに謝れ。

 

今なら『ウィンドジャベリン』屋敷に打ち込むだけで許してやるから。

 

まぁそんなことはどうでもいい。

 

誕生日がいつにもまして大きく開催されるわけである。

 

まったくもって面倒この上ない。

 

オレはやりたいことがあるっていうのに。まだ風はトライアングルのままである。

 

早くスクエアになるには、やはりキーがいるな。

 

代わりに水がトライアングルに上がったが。

 

火はラインであり土はトライアングル。なかなかである。

 

「レイジ、久しぶりね。」

 

誕生会の会式の辞的なものが終わり、

 

貴族のあれやこれやの話を聞きながしていると、

 

久しく聞いていなかった声を聞く。

 

「キュルケか。おひさ」

 

キュルケは勲章授与を終え帰ってきたら家に帰っていたそうだ。

 

それからは去年の誕生会間でしか会っていない。

 

「おひさ? まぁいいわ。で、その人は?」

 

その人とはフィルのことである。

 

「ボクはフィルグルックだよ」

 

養女になり名前に若干の変化。

 

「あら? レイジに姉なんていたかしら」

 

「ボクはここの養女さ。おととしからね」

 

「一昨年? 去年の誕生日にはいなかったみたいだけど?」

 

「ああ、その日は部屋にこもってたからね。なんだか気が引けて」

 

「オレはいいっていったんだがな」

 

そこでフィーも会話に加わる。

 

「フィルお姉ちゃんは優しいんだよ」

 

フィーはかなりフィルに懐いている。

 

仲のいいことは大事である。

 

「ふーん、そうなの」

 

そういいキュルケはまじまじとフィルをみる。何を考えているのやら。

 

「なにかな?」

 

フィルも無言の視線に耐えられなくなり、聞く。

 

「いえ、あなた。トライアングルなんですってね」

 

なるほど…。

 

「そうだけどなにかな?」

 

「私ももうそろそろ10になるので、それまでにはトライアングルを目指しているんです」

 

「そうなのかい? 頑張ってね。」

 

「キュルケはトライアングルになってなかったの?」

 

唐突に話に割って入るフィー。何が言いたいかと言うと、

 

「わたし、やっと最近、風がトライアングルになったの。レイちゃんのおかげ!」

 

である。これは嫌みではない。単なる自己報告である。

 

他に意図はない。そこにフィーの怖さがある。

 

キュルケもそれは把握しているのであたることはできない。

 

キュルケは衝撃を受け力をなくし、へたり込む。

 

「私だけ……ライン」

 

「おいおい、その年でラインはすごいんだぞ?」

 

自覚あんのか? というが周りはトライアングル以上が集っている。

 

まぁ劣等感を感じるなと言う方が無理である。

 

「そうだよ。まだ先は長いんだ。きっとすぐになれるさ」

 

「そうよね? ええ! きっとそうだわ!!」

 

そう励まされ自己で励まし立ち上がる。その目には希望の光が宿っていた。

 

「まぁがんばれ、オレも火だけはラインだからさ。一緒にがんばろぉーぜ」

 

「だけ……って聞こえた気がしたけれど。気のせいよね?」

 

フィーは追い打ちを掛けることが好きなようだ。

 

「違うよ。レイちゃんは水もトライアングルになったんだよ」

 

「そ、そう。もう何も言わないわ。レイジには何言ったって通用しないから」

 

「それは言えてるな」

 

「なに便乗してんだよフィル」

 

そこで意見が一致し急に仲良くなった女二人と元からよかった女の子一人で、

 

キャッキャと会話が盛り上がっていった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

フィーの誕生会は執り行われない。

 

なぜなら、そこまで売りに出さなくていいからである。

 

いや、この年でトライアングルなんだからものすごい才能ではあるのだが、

 

いかんせん、オレというものがいるから、あまり注目はされてない。

 

素晴らしくいいことである。

 

オレという隠れ蓑があるからまず狙われない。

 

が、オレのアキレス腱でもある。まぁ対抗手段は去年から講じてあるのだが…。

 

「よし、フィー、フィル。練習すっぞ」

 

「はーい」

 

「了解」

 

対抗手段とは簡単に言うと自分でも戦えるようにしておくことである。

 

戦いと言っても魔法だけなのだが。ブレイドも練習中。

 

内容はいたってシンプル。オレとの二対一での模擬戦である。

 

実戦練習は物になることが多い。

 

オレは威力を最小に絞りに絞って魔法をうつ。

 

『エアカッター』『エアハンマー』『ウォーターウィップ』など様々。

 

基本攻めでなく守りに特化させる形でやっていく。

 

フィーが得意とするのは『ジャベリン』『ウィンディアイシクル』他。

 

水魔法と風を組み合わせたのが得意、好きなようである。

 

時には父が指導している。

 

まぁそこそこの成果は上がることだろう。

 

何もしないより何かした方がいいに決まってる。

 

フィルは完全に支援タイプの用で『ウォーターシールド』などをしつつ、

 

『ウォーターフォール』などで動きを止めつつフィーに決めさせる。

 

という型が最近多い。まぁ負けてはやらんが。

 

オレの修行はと言うと、風、火以外は順調なものである。

 

武術は今は力がないので攻めには向かないが成長すれば、

 

戦術も増え自身から攻撃していけるようになるだろう。

 

ベルトもそこら辺は言っている。力が付いたらよくなると。

 

まぁ力がまだないなりに小手先の技術は無駄に上がったのである。

 

力のないオレは素早さを求めたわけで、空中でも素早く動きたいわけである。

 

そこで考え付いたのが『マテリアルエア』という魔法である。

 

この魔法は風の魔法ある。なかなか汎用性は高いだろう。

 

対竜種とかにもいいな。

 

そんなこんなで月日は流れオレの誕生日から2ヶ月後。

 

ある変態達との再会が待っていた。


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