ゼロの使い魔で転生記 作:鴉鷺
オレが生まれること数ヶ月。オレは三日ほど今生の母であるサラなる人の腕の中で現実逃避を続けたが、状況の打開、解決には繋がらないとわかっていたので、この現実を受け入れることにした。この数ヶ月はこの世界(髪の色が赤青緑などだから)の文化、生活水準を考察することにした。見たところオレがいた現代のような電化製品もなければ車なんてものもない。しかし、魔法があった。
魔法それはロマン。
若干オタク気質であった前世の自分。であるからにトリップものを読んだこともある。が、まさか自分がその現象に巻き込まれることなどついぞ考えなかった。まぁ起こってしまったもんはしょうがない。と楽観的に考えるしかない。悲観的に考えたって物事は好転しない。そう三日目に割り切り、この不可思議な現象からは目をつむることにした。
そんなわけでオレはこの前世の記憶を持った状態のまま、この前世の知識を生かすことを考える。日がな一日ベットの上でゴロゴロと赤ん坊の生活を送った。そんなある日イベントが発生した。なんでもオレの母は妾らしい。そう、妾そんな一夫多妻制なんてなんぞやるなんてなんてやつだ。けしからん。と思うがこの世界でおかしいことではないのだろう。
前世の常識と今世の常識をすり合わせ、最良のオレの常識をつくることで納得することに。妾ってことは本妻がいるってことであり、その本妻との不和はあるのか気になったが、今日ないことが分かった。
なぜなら今のオレと同じくらいの子がその本妻(推測)とやらに抱かれてオレのところまで二人(正確には三人だが)で来たからである。
「サラ。あなたの息子はこの子ですね?」
「はい、レイジ・グスタフ・フォン・ザクセスといいます。ユリア様」
どうやら、本妻(仮)の名前はユリアというらしい。そうベットの上で寝ているオレを覗き込む女性(ユリア)を目にしつつ、考える。
「歳は私の娘と同じなので、跡継ぎ問題はどうしましょうか」
「それはグスタフ様の一存でございましょう」
「まぁ、そうね。貴族とはいえゲルマニアの伯爵家なのですから。
グスタフは優秀なほうなどと言いそうですが、ね」
どうやらオレと同い年の娘さんがいるようだ。早く会ってみたい。まぁ会話ができるとは思わないが。ん? ゲルマニア? どっかで聞いたような。オレは引っかかりを覚え記憶をさぐる。
「あらあら、またこの子は難しそうな顔して。」
そういいつつオレの頬をなでる母。どうやら顔に出ていたらしい。
「この子、レイジはいつもこんな顔をするの?」
「はい、それにあまり泣かないんです。不思議で…」
「利発な子に育ちそうね。そうだ、ここに来たのはこの子をレイジに会わせることもあるんだけど、今から仕事なのであなたにこの子の面倒を見てほしいの」
「はいわかりました」
「それではお願いね」
そう言い、部屋を出ていく。
「さぁ、ティナちゃん。この子が私の息子のレイジよ」
そういいオレの隣に寝かせる。オレはその子、ティナを見る。オレの真っ赤な血のような髪ではなく、輝く金髪だった。