ゼロの使い魔で転生記   作:鴉鷺

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第二十七話 オーク退治

リッター武闘会から二月程経過した時。

 

秋の気候は深まり、

 

気温は日に日に下がってくることを肌に感じながらも日がな一日修行に明け暮れる。

 

オレのストレスの発散の仕方がもう訓練になってきたんじゃないかと思うくらい訓練、

 

修行は面白い。フィルにはよくバカだと言われるが気にしない。

 

そんな無駄な思考をしつつもサンドバッグを蹴り殴りボコボコにしている。

 

そろそろガントレットとかが欲しくなってくる今日この頃である。

 

こんなことなら、ドラゴンの鱗とか剥ぎとっときゃよかった。

 

オレもハンターにならねば。

 

ドゴンとひと際大きな鈍い音を響かせ額の汗をぬぐう。

 

「今日もいい汗かいたぜ」

 

そうキャラに合わない。爽やかキャラを演出する。

 

「レイジ、父が呼んでるよ」

 

「んあ? 了解」

 

フィルに返答しつつ屋敷向かう。

 

「今日は何だ?」

 

「聞いてないな」

 

肩をすくめオレの質問に答える。

 

「ま、いい父さんに聞きゃいい話だ」

 

 

 

 

 

「領の村に魔物が出たとの報告だ。レイジ、お前が行って討伐して来い」

 

何かと思えば魔物の討伐である。

 

「了解しました」

 

そう二つ返事で言い踵を返し戸に手を掛けたところで、

 

「フィーも連れてってやれ」

 

「どうしてまた」

 

「フィーからの願いだ。レイジだけずるいとな」

 

何がずるいんだよ。

 

「まぁ、オレとしてはいいんですが」

 

「ならボクも行くよ」

 

「そうしてくれると助かる。まぁ、これも貴族の社会勉強の一環か」

 

ま、オレが守ればいいや。いざとなれば囲めばいいわけだし。

 

のほほんとしたもんだ。慢心ってのはこういうことを言うんだろうか。

 

などと思いつつも気にしない。

 

偏在が使えりゃいいんだがオレはまだトライアングルだしな~。

 

ま、なんとかなるか。楽観論で考えるとしますか。

 

 

 

翌日、朝日がまぶしい時刻に馬車に乗り込み三人+一人(イリス)で村に向かう。

 

村までは馬車で3時間ほどの距離である。馬車遅っそ。

 

事前情報によるとオークが群れているらしい。

 

「フィー確認だがフィルのそばを離れるなよ」

 

「大丈夫。お姉ちゃんは私が守るから」

 

元気よく承諾された。斜め上にそれた解答ではあるが。

 

「よろしく頼むよ、フィー」

 

笑ってフィーをなでる。

 

仲の良い姉妹だな。

 

そんな光景を馬車の向かいの席から半眼でみる。

 

「ま、いいか」

 

また、何度目かの溜息と共に投げ槍気味な言葉が口をつく。

 

ちゃんと、オレ特性ペンダントは持ってきているようだしな。

 

そう思いのどかな麦畑をみる。すでに刈り取られた跡であるが。

 

ウトウトしてきた昼ごろにようやく目的の村までの行路を終える。

 

日帰りにする気満々なので早速オレは村長に話を聞くことにした。

 

「村長、ここにオークが出たと聞いてきた」

 

初老の男性はその言葉を聞き顔に生気を取り戻す。

 

「おお、貴族様。ありがとうございます」

 

「気にするな。これも上に立つ者の仕事だ」

 

ガキのオレがなんか上からの会話に、

 

自分自身違和感を感じないでもないが気にしないで続ける。

 

「村の近くの林の奥の洞窟に村の狩人が見たと。

 どうやらそこに住み着いたらしく、

 幸い人的被害は出ていないのですがそれも時間の問題かと」

 

どうやら、オークは林の動物で今は腹を満たしているようだ。

 

しかし、オークは一応手だれの兵士5人に相当するらしい。

 

まぁ、その兵士は非メイジだろうが。

 

「成程、数はわかりますか?」

 

これも重要なことである。

 

「数はそのものによると10前後とのことでした」

 

あからさまに心配し始めた村長。子供三人だから無理もないだろう。

 

「10匹ですか…。ならいいですね。すぐに終わらせてきます」

 

そう真顔で言い林の方へと歩を進める。

 

「あ。案内を頼めますかその狩人に」

 

「分かりました」

 

洞窟の位置がわからんのからな。これはうっかりだ。

 

待つこと一分ほど、

 

「私がオークを見つけた狩人です」

 

「よし、行くぞ。フィーたちも来るのか?」

 

「何を言ってるんだレイジ。当たり前じゃないか。」

 

さも、心外とばかりにフィル。

 

「何言ってるのレイちゃん。あたりまえじゃないか」

 

フィルの口調を真似つつフィーも同意。

 

「そうかい」

 

そこで、フィーの目を見て、

 

「フィー、ここからは戦場だ。血が流れる。

 命が消える。それでも来るのか?それを目の当たりできるのか?」

 

「これは、フィーの覚悟しだいだね。これからどうありたいかというのもあるけど」

 

「そうだ、フィーがいやならオレは全部被る。フィーは光でオレは影として」

 

そこまで言ったがフィーはオレの目をしっかり見返して、

 

「大丈夫、光も影もしっかり見とかなきゃ、いい為政者になれないから」

 

「そうか」

 

フィーの言葉を聞き頭を一撫でして、狩人に先を促す。

 

歩くこと十数分、例の洞窟がその口をあけていた。見張りのオークは2体。

 

一応見張りをつけるという概念はあるんだろう。

 

ま、そんなの関係ないがな。

 

「これからオレは、『エアカッター』で2体をやる。

 見たくないなら、目をつぶってろ、すぐ終わる」

 

そこで、思い直す。

 

「蛇足だったか」

 

そう言い、『エアカッター・ツイン』を詠唱。

 

風の刃をそれぞれの首へ叩きつける。頸動脈から威勢よく血が噴き出す。

 

この光景を見るのは何度目か。フィーをチラ見する。

 

そこには、初めて生き物の死に直面した子供の顔だったが、しっかしと見ている。

 

覚悟は確か。オーク2体を倒し、見張りがいなくなり洞窟の前へと一人飛びだす。

 

音に敏感な風メイジの福次効果をいかんなく発揮。

 

洞窟内にはぱっと聞いただけで10体か。他に狩りに出かけている可能性もあるが。

 

まぁいい。そう思い魔法を詠唱。『フレイムボール』を洞窟内へ打ち込む。

 

その後に洞窟の出口の部分に『ファイヤーウォール』もかけとく。

 

オークの悲鳴が響く。

 

外に出ようと足音が近づく。しかし、洞窟の入り口は火の壁となっている。

 

そこで一度足音が止まるが、

 

死に物狂いのせいか、『ファイヤーウォール』を突破する者もあらわれる。

 

そこをオレが『エアカッター』で首を狙っていく。

 

また一体また一体としたいが量産されていく。

 

最初の攻撃を仕掛けてから数十秒で辺りは、

 

タンパク質の焦げた独特の鼻を突く臭いと鳥のさえずりだけになる。

 

オレが殺したオーク全てを土魔法であけた穴に入れ上から土を掛け後始末も完了。

 

今回のオークは今までの突然変異種と違い全ての能力が低く感じた。

 

突然変異種の発生の原因は。

 

「レイジ、また見事にむごいことしたね」

 

そこまで気にしたふうでもなくオレに話しかけるフィル。

 

「フィーの様子は?」

 

「大丈夫だよ」

 

オレの質問に答えたのは当の本人。

 

「そうか、無理はすんなよ」

 

「うん」

 

「この世は弱肉強食だ」

 

オレはここまでいろいろと生物を殺めてきたが。

 

「帰るか」


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