ゼロの使い魔で転生記 作:鴉鷺
「フィー、行こうか」
「レイちゃん、今行く~」
オレの言葉に反応する、ティナ・フィーネ・フォン・ザクセス三歳。
「今日は何する?」
「んとね。おままごとしよ」
おままごと…。精神年齢23のオレにおままごとをさせるとは、いいでしょう。何事も全力だ。そしてその笑顔には負ける。
「いいよ」
「じゃあ、わたしがおよめさんね」
「ぼくは?」
「レイちゃんはフィーのおくさんね」
奥さんが二人になったぞおい。オレらの家庭(本妻、妾)じゃねーんだから。
「それをいうなら、おむこさんじゃないのか?」
「いいの!」
「そうかい」
お嫁でいいらしい。
「あらあら、ティナはレイジのお嫁さんになるの?」
「うんっ!!」
外野が見てる分には微笑ましい光景なのだろう。現にティナの母。ユリアさんはほほ笑みながら話しかけてきた。オレとしてはこんな回答されると苦笑いしかできない。オレはロリコンじゃないのだから、どっちかというと親の気持ちに近いんじゃないだろうか。
まぁ生まれてから三年で分かったことは、この世界には魔法がある。なぜならば、有名なライトノベルである、ゼロの使い魔の世界だろうからである。ゲルマニアと聞いて引っかかってはいたので、親たちの会話を聞きそのことを確信。
今現在はガキンチョなので何もできない。特に何をする気もないのだが。杖を持ち魔法を使わせてもらえるようになるのは5歳からのようだ。待ち遠しい。ま、焦っても詮のないことだ。5歳までにここの文字を把握しておこう。この計画によりオレは母に絵本を読んでもらうことにした。絵本は文字を覚えるのに便利である。あと文字はそこまで難しくはない。英語の文法に似ているところもあるし。
まぁそんなこんなで今はフィー――ティナとだいたい毎日遊んでいるわけだ。家の庭はどこぞの芝グランドのようである。最近はおままごとにフィーははまっているようだ。オレも童心に帰って、なんて考えず作り笑顔を張り付けつつときどき本気で頬がゆるむが。この世界にも慣れたものである。
ま、原作は覚えていることなんてほぼ皆無になりつつある。主要人物くらいしか覚えていない。それで十分かもしれないが。
「レイちゃんどうしたの?」
「いや、ちょっとかんがえごとをね」
「ふーん。あ、はいご飯ですよー」
「お、ありがとうフィー」
そういい頭をなで、フィーが目を細めるのを見てこちらも、ほほ笑む。この光景を見たユリアさんは、子供どうしとは見えなかったそうだ。