ゼロの使い魔で転生記   作:鴉鷺

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第五話 修行・タンケン

 オレのお披露目会という名の誕生会が終わりはや二月が経つ。一月前にはフィーの誕生会があった。聞くところによるとフィーは父にずっとくっついていたそうだ。

 まぁその気持ちはわからんでもない。オレもほんとの六歳ならそんな感じだったんじゃないかと思う。そんな波乱な二ヶ月間を過ごし落ち着いてきた今日、やっと剣術、武術の先生が来るやらいい。因みに魔法の先生はいるにはいるが、仕事とかであまり家に来ない。が、オレは別に問題なく成長中なので来た時には適当に質問をするだけである。オレは剣術だけじゃなく、ガントレット(手甲)とかグリーブ(足甲)とかでも、攻撃ができるようにしたいので、剣術を習うというよりも武術を習う。一応はブレイドで素振りまがいのことはしていたんだが。

 父は特に貴族だからこんなことしなくていい…などとはい言わずに了承してくれた。言ってきたらきたらで、言い訳は用意していたんだが…。きゆうだったようだ。

 

「お初にお目にかかります。レイジ様。私目がレイジ様の武術を教えさせていただくベルト、ベルト・リッターでございす」

 

 リッターってことは騎士ということであり、名字がないということは貴族ではないということである。生粋の叩き上げで実力だけで騎士になった人である。ゲルマニアならではか。まぁトリステインとかでは珍しいだろう。

 身長は180を超えているだろう。腕は丸太のように太い。歳は20代だろう。

 

「はじめまして、オレの名前はレイジ・グスタフ・フォン・ザクセスだ。今は6歳だな。剣術だけじゃなく武術…格闘術を教えてほしい。よろしく頼む」

 

「分かりました。しかし、剣術だけでなく格闘術もですか。理由を聞いても?」

 

 まぁ疑問に思うのかね。

 

「杖がいつも手元にあるとは限らない」

 

 当たり障りのない答えを返しておく。

 

「なるほど、ではまずこの剣で素振りをしてください。基礎ができてないとうまくいきませんしね。と、その前に体をほぐしましょう」

 

 基礎が大事。ごもっともである。それから体操をしてから素振りを行う。上段からの切り下ろしの繰り返し、100回位で腕が上がらなくなってきた。

 

「今日はここまでにしましょう。レイジ様も続行は不可能かと」

 

 刃のつぶれた剣を地面にさして肩で息をつきつつ

 

「わかった。うげー腕が棒だ…」

 

 魔法の練習の後でやったからよかった。こんなの杖が持てなくなる。両腕をだらりと下げていると。

 

「なかなか、レイジ様は筋がいい。最初の疲れがたまっていないときはしっかりした剣筋でしたよ」

 

 ほめられた。オレはほめられて伸びるタイプだろう。だって自称ドSだし。アホなことを考えているとオレの心のオアシスフィーがとことこ小走りに来て

 

「『ヒールリング』」

 

 ヒールをかけてくれた。これで少し楽になり握力が杖を握れるぐらいにもどる。

 

「すまないフィー。ありがとう」

 

 そう言い笑いかけ頭をなでてやる。フィーの頭の位置はあまり変わらないのだが。フィーは気持ちよさそうに目を細める。愛い奴め。

 

「では、私はこれで次は一週間後に」

 

「ああ、ありがとうベルト。フィーどうした?そろそろ夕食じゃないか?」

 

 辺りは茜色に染め上げられている。 

 

「レイちゃんが剣振ってるとこみてたの」

 

「そうか。どうだった?オレの剣を振ってるとこは」

 

「かっこよかったよ」

 

「そっか。ありがとう。明日は魔法の練習をしような?」

 

 まぁ剣の素振りもするんだが。そう言えば、筋肉疲労は治ったが超回復だったかそれはどうなるのだろうか。

 

「よし。フィー家に入るぞ。夕食だ。オレ腹へっちゃった」

 

 そう言いフィーの手を引き歩く。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 あけて翌日、若干の筋肉痛と闘いながら朝食をとる場につく。

 

「レイジ。武術の方はどうだ?」

 

 父がそう質問をオレに投げる。

 

「まだ初日なので基礎訓練…素振りしかしてませんが、体を動かすのはいいですね。朝起きたら両腕筋肉痛でしたが」

 

「なるほど。」

 

 それきり、会話はなくなる。静かに食事をするのが常であるからこれが普通なのだが。朝食を食べ終わり日課になったランニングに出かける。30分ほど走り家にもどるとフィーが庭にいた。今日は勉強しなくていいのか。珍しい。いつもは昼間では家で座学なのだが。かくいうオレも座学、父の書庫アサリをしている。

 

「フィー今日は勉強はいいのか?」

 

「うん。今日はレイちゃんと一緒にいる」

 

 どうやら座学は今日はおやすみらしい。

 

「そうか。なら早速魔法の練習するか」

 

 そう言い魔法をできるものを片っ端から唱えていく。『エアハンマー』やら『エアカッター』、『錬金』で青銅と作る。青銅のゴーレムと2体出し、戦わせる。

 これでいちおうは操作技術のアップになるとは、魔法の先生談である。『ヒールリング』は後回し。『ファイヤーボール』を最後に出す。フィーは風と水を使う。

 フィーは『エアカッター』も一応使えるが、使う機会が来てほしくないものである。これらを五回繰り返すころには昼になっていた。続きは午後か。

 昼食を食べ午後一番にやることは剣の素振りである。前回は100強で終わってしまったが今日はいかに。30分かけて振り、結果は157回であった。ものすごい成長率である。

 フィーに『ヒーリング』をかけてもらい杖が持てる握力にもどったら自分で『ヒーリング』をかける。すると、握力が大分もどる。続けてもう一度素振りを始める。それを繰り返す。時間を忘れただ無心に、振り下ろす。全身を使うことを意識して。そんなことをやっていると、時間が過ぎるのは早いもので夕焼けが見え、手を止める。辺りを見るとフィーはどうやら寝てしまったようである。木にもたれかかって膝を抱え眠っている。

 自分の腕にヒールをかけ、フィーをおんぶして家に入る。そろそろ夕食である。今日は飯がうまいだろう。思わず鼻歌を歌いそうであるくらい、気分は晴れ渡っていた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 あけて翌日前日よりも凄まじい筋肉痛が襲い手にものが触れるだけで激痛がはしる。

 ちょ、調子にのりすぎた。

 

「どうしたの。レイジ食べないの」

 

 食事に手をつけない俺を不審に思いユリアさんが話しかけてくる。

 

「いえ、筋肉痛で食器が持てないんです。昨日午後からずっと剣を振っていたんで。」

 

「なるほど、だれか食べさせてあげなさい」

 

 そういうとメイドの一人がこちらに来て食べさせてくれる。これなんてプレイ? これをみてフィーが若干目を輝かせていたのは見なかったことにする。朝食も終わり今日もランニングに繰り出そう。そう思うも歩く衝撃だけで腕が痛い。『ヒーリング』をかけてもらうか…。

 

「フィー。腕に『ヒーリング』をかけてくれないか?」

 

「わかった。はい。」

 

 そういいオレの腕に『ヒーリング』をかける。さっきよりもずいぶん楽になった。魔法は素晴らしい。改めて魔法の利便性を感じた。

 ランニングから帰ってきたらなんと久しぶりに魔法の先生がいた。

 

「ミスタ・シード。お久しぶりです」

 

「おや。レイジ君、どこへ?」

 

「いえ、朝の日課のランニングです」

 

「ああ、なるほど」

 

「それでミスタは今日来る予定でしたっけ?」

 

「ええ、正確には来る予定になったんですが」

 

「ふーん。父さんにようですか。今は執務室でしょうね」

 

「なるほど、感謝します。しかし、レイジ君。

あなたまさかまた魔法を開発したとかはいわないでしょうね?」

 

 そう、過去に3度ほど魔法の開発もどきをやったのだ。

 

「いえ、まだ開発なんてしませんよ。いまは武術に興味シンシンですから」

 

「ふむ、まぁいいでしょう。では」

 

 そう言い家の中に消えていく。そろそろ完成しそうなんだよね。新しい魔法。いやーあれはなかなか使えるね。戦闘でだが。問題点はそれなりの地力が必要ってことか。そう問題点を上げていくところで

 

「レーイちゃん。今日もお母さんが、遊んで来いだって」

 

 なに? 今日もだと? それは珍しい。ミスタ・シードが関係ありそうだが。まぁいいか今日はどうしようか。

 

「今日はフィーの好きなことしようか」

 

 昨日暇させてしまったのでフィーにゆだねる。

 

「んーなら今日は森に行こう?」

 

 森。オレの家から街とは反対方向にある木々がうっそうと生い茂る。森に行くまでは歩いて10分ほど。まぁ小動物しかいないし、いいか。何か発見があるかもしれないし。

 

「よーし、なら今日は森を探険だな」

 

「やった。今日はリスさんみつけよ」

 

 嬉しそうに笑う。リスか。見つかるか?

 歩くこと20分、森につく。どうやら思ったより時間がかかったらしい。

 

「よし、手を離すなよ?迷子になっちゃうから」

 

「うん。離さない!!」

 

 元気がいいことだ。掘り出し物がないかディテクトマジックをしつつ歩く。フィーは木を一生懸命、目を凝らしてみている。森の奥へまっすぐ歩くこと十数分、ここら辺からは未体験ゾーンである。さらに歩くこと10分弱二人が同時に声を上げる。

 

「お?」

 

「あ!」

 

「どうした?」

 

「リスさんがいたの。ほら、そこ」

 

 そう言い嬉しそうに指をさす。するとリスが一匹木の実をほおばっていてほおを膨らませていた。

 

「レイちゃんはどうしたの?」

 

「ああ、ディテクトマジックが反応したんだ。

 魔法の痕跡見たいのがあるかもしれない。…そこかな?」

 

 ディテクトマジックに引っかかっるのは魔法的要素があるものと基本相場が決まってる。まぁこんな宝探しみたいなのにはディテクトマジックは使わないんだが。そう思いつつもオレは使う。なぜならロマンだから。いつまでも心は少年でありたい。くだらないことを思いつつも土魔法でディテクトマジックで反応した近辺の土をどけていくすると。

 

「ん?剣?なんだこの短剣?」

 

 掘り出し、汚れを払うと汚れ一つないのではと思わせる短剣が二本あった。これは硬化魔法の跡があるってことは、『固定化』と『硬化』魔法に反応したのか。しかし、なぜこんなところに。そう思い剣を鞘から引き抜く。一本目は両刃であり、もう一本は片刃であった。刀身に傷一つない相当強い硬化魔法であろうことはわかる。そう思い剣を調べようとするとき。

 

「ひぃ!」

 

 フィーの悲鳴が聞こえ服が引っ張られる。何事かと振り返ると。

 

「オー……ク!?」


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